せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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 書き溜めると放出したくなる病。


零落白夜って防御にも使えると思うの。

 この時期特有の風雨が日本のあちこちで吹き荒れ、この辺りの桜もすっかり散った。

 不思議なもので、桜の花が散るにつれ、私たち新入生の意識も入学当初のどこか浮かれた気分から『IS学園の1年生』へと切り替わっていったような気がする。

 

「今回の授業では基本的な動作について学んでいく。

 ではまず織斑、オルコット、シキシマ。それぞれISを起動しろ」

 

 いよいよ本格的に始まったISの実機授業。これからISを実際に動かしていくのだと思うとかなりワクワクする。

 ちなみに私の機体についてはISではないのだが、『小惑星等における採掘用ISの試験機』とのカバーストーリーが与えられ、飛行能力等々は後付けされるという事になっている。ロボット物でよくある『試製○○』とか『△・プロトタイプ』とかってテンション上がるよね。

 セシリアさんが真っ先に、少し遅れて織斑と私が機体を展開する。

 

「織斑、オルコットは上空200メートルまで上昇し、その場で待機しろ。シキシマは武装を展開してみろ」

 

 織斑先生の指示に従って上昇していった2人は、あっという間に高度200mまで飛んで行ってしまった。いいなぁ、空を自由に飛びたいんだよなぁ私もなぁ。

 

「シキシマ、見とれるのは後にしろ」

「すみません」

 

 いけない、怒られてしまった。これ以上はマズいので普通に集中することにする。

 

 ――コール、アッパーネイル

 

 しかし、ISの量子変換技術がブラスト・ランナーにも適用されたのは本当に助かる。ゲームだと戦場に持っていける武器は各種1つずつだけだったのだが、ISだとキャパシティの許す限り武器を持っていけるし、武器切り替えを行う度に一度手持ちの武器を背中のマウントに戻して、なんて動作も省ける。かなり戦術の幅が広がるのだ。ショットガンのようにリロードに時間がかかる武器だったら、撃ち切った瞬間に新しい主武器を呼び出す。……うん、ゲームでこんな事やってたらゲームそのものが成り立たないわ。

 

「よし。それではターゲットへの射撃を行え」

 

 織斑先生の言葉の少し後に出てくる射撃目標に、2~3発ずつ釘を飛ばす。ショットガンやハガードのような大型リボルバーを使用しなかったのは、『銃器』感を薄めるためでもあったりする。これまでミリタリーのミの字も知らなかったような子にいきなり『はい銃です。これをぶっ放してね』なんて言って『ハイ分かりました』とドカンドカンできる方が怖い。その点ネイルガンの利点は『軍用にも使える大型工具』な事だ、これを使うことで心情的なハードルが下がって欲しいなと思う。

 

(いち学生が考える事じゃないかもしれないけどね)

 

 考え事をしながらとはいえ、近距離の固定目標ならば外すこともない。出現した5つの的をすべて撃ち抜き、中途半端に残ったマガジンをリロードする。

 

「よし。少し待機しろシキシマ

 織斑、オルコット今度はお前たちだ、基本的な飛行動作を行え」

 

 織斑先生の指示が飛ぶと、上空の2機はそれぞれ直進や旋回、上昇や下降などを始める。あぁ、本当に……

 

「……いいなぁ」

『レオさんの飛行ユニットは開発中と伺いました。テストパイロットは時に待つ事も重要な任務になりますよ?』

「あれ、聞こえていましたか」

『ISのセンサーは高性能ですから。ここからでもレオさんのお顔がよく見えますの』

「それはお恥ずかしい所を見せましたね」

 

 実際恥ずかしい。独り言のつもりだったし。

 

『レオさんの機体は〈これまでにない〉コンセプトが色々と盛り込まれているでしょう? ある程度時間がかかってしまっても致し方ありません。

 待つ間に何ができるのか考えた方が有益ですわ』

「その通りですね……また今度射撃訓練を付けていただいてもよろしいですかな?」

『えぇ、レオさんが望むのならいつでも歓迎ですわ』

「オルコット、シキシマ、仲が良いのは結構だが後でやれ。そして織斑、機体スペックは白式の方が上だぞ。いつまで遊んでいるつもりだ。

 ……よし。オルコット、織斑は降りてこい」

 

 ひえっ、怒られてしまった。

 しかし、2人の機体や武器は模擬戦の映像でも見たけれど、本当に未来のメカって感じだ。特に織斑の『雪片弐型』なんて、刀身がエネルギーとか反則だろう。

 

 ゲームでのボーダーブレイクにおいて、強襲兵装の機体は(上位クラスになれば)一撃必殺も狙える近接武器と、SPを消費する代わりに爆発的な加速を得られるアサルトチャージャーを装備できた。なのでプレイヤーの中にはベルセ〇クかよと言わんばかりの大剣を振り回してキルを取っていく『ブンブン丸』なるプレイスタイルを取る猛者もいたりしたのだ。というか私も一時やってた。ただしある程度上に行くと相手も経験を積むから、不意打ちでもない限り冷静に蜂の巣にされる。

 では雪片弐型はどうか? 確かに展開中はシールドエネルギーを消費するのは一見大きなデメリットだ。しかし私が乗るのは軽量な分高速で動けて回復もこなせる支援機である。織斑の後ろで彼の回復に徹すれば、相手からするとダメージ無効の盾兼近接武器を掲げた相手がヒーラーの支援を受けながら高速で突っ込んでくる事になる。控えめに言って悪夢だね。

 

 なんて思考は、突然の轟音に強制キャンセルされた。

 

「な、なんだ!?」

 

 もうもうと立ち込める土煙が晴れると、校庭には大きなクレーターが穿たれ、その爆心地には織斑の機体が。

 

「織斑!? 大丈夫か!」

「あ~……平気! シールドエネルギーがちょっと削れたくらい」

「馬鹿者、それは着地ではなく墜落というんだ。後でその穴は埋めておけよ」

「はい、すいません……」

 

 そして、

 

「オルコット、近接武器を展開してみろ」

 

 次いで指名を受けたセシリアさんは、それなりに手間取りながら『インターセプタ―』を展開した。私との模擬戦よりも時間がかかっているような気がする。

 

「どうしたオルコット、実戦で相手に待ってもらうつもりか」

「実戦だったらそもそも近づけさせませんわ……っ!」

 

 まぁ狙撃手ならそれが普通なんだろうけれど、この前私や織斑に接近されてるんだよなぁ。

 

「私がセシリアさんの相手をするなら、弾幕を張りながら接近しますね。狙撃手を狩り出すには狙撃手がいそうな場所を潰す。それがセオリーですから」

「分かっていますわ。わたくしだってレオさんが相手なら今度こそ上空から撃ち抜きます」

「あ、それ私ダメな奴」

 

 【悲報】私の弱点、致命傷。

 歌の歌詞じゃないけれども、大空に翼を広げて飛んでいきたい……

 まぁ、それぞれの弱点が色々と浮かび上がる、有意義な授業でもあったのは間違いない。

 

 ※※※※※

 

「それじゃあ、何度目か忘れちゃったけど織斑君のクラス代表就任を祝して、乾杯っ!」

「「「かんぱ~い!!!」」」

「いや、ホントに何回乾杯するんだよ……」

「まぁいいんじゃないかな? めでたいことに変わりはないんだし」

「そうですわよ織斑さん。もう少し自信を持ってくださいな」

「い、一夏。このジュース結構美味しかったぞ」

「お、箒サンキュな……お、こりゃ美味い」

(隣に座った!)

(頑張りましたわ箒さん!)

 

 夜になり、織斑のクラス代表就任を祝うパーティーが開かれていた。織斑は謙遜しているが、

・世界初の男性ISパイロットである。

・機体は日本製の第3世代機である。

・ISに触れてから僅か数か月でイギリスの代表候補生にあと一歩の所まで迫った。

 と、ぶっ飛んだ経歴と決して侮れない実力も有している。いや、そもそもISと比較すると雑魚になる私が言うのも変な話なんだけどね。

 ともかく、織斑はこの学園の1年生全体としてみても、結構上位に来るのだ。

 

「おや、ジュースが」

 

 ふと見ると、それなりに用意したはずの飲み物が結構なペースで無くなっている。このままだとお開きまでもたないかもしれない。

 

「しかたありませんね、ちょっと買ってきますよ」

「ありがとうシキシマ君!」

「あとでお金出すから!」

 

 かくして買い出しに行くべく寮を出たのが数分前。

 そして今、

 

「まったく、空港まで出迎えろとまでは言わないけど、せめて案内くらいつけてほしいものね!」

 

 異国の地に1人送り込まれて不満そうな原作ヒロインに遭遇しちゃったのである。

 

 アイエエ!? 鳳 鈴音!? セカンド幼馴染ナンデ!?




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