せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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長らくお待たせしました。
GW期間で全く執筆できないとはこのリハクの(以下略)


誰もいない筈の奇襲ルートで攻撃を受けた時の動揺は異常。

 80億とも90億とも言われるこの世界の人間の中で、後悔したことがない人がどれだけいるだろう。たぶん、まだ自我のない赤ちゃんくらいしかいないんじゃないだろうか。

 人間生きていれば大小の差はあれど様々な後悔が付いて回る。それはもう運命のようなものだ。どうしようもないと分かっていても、その時その場にいれば、なんて思うこともあるだろう。

 昨日の私が、まさにその典型だった。

 

 

 ※※※※※

 

 

 5月になり、ゴールデンウィークという休める人にとってはまさに黄金の如き連休も過ぎた頃。私たち1組の生徒のほとんどが災難に見舞われることになった。

 教室でいきなり台風が発生したらこうなるのか、それくらいの暴風が吹き荒れ、プリントなどの紙切れが吹雪のように舞い散る。

 

 

「な、なんだ!?」

「―――――!!」

 

 

 セシリアさんが何か叫んでいるようだが聞こえない。聴覚が捉えているのはキーンという耳鳴りにも似たような音だけだ。だがセシリアさんの様子からして、どうやら私の背後で何かが起きたらしい。

 私が頭を振りながら振り返ると、台風の発生源が分かった、というか居た。

 振り返った事を後悔した。明らかに怒りのレベルがマックスを振り切った様子の鳳さんが肩で息をしていたから。

 

 

「あ、アンタ、言ってはいけない事を言ったわね……」

 

 

 喉どころか地獄から出しているんじゃないかなこの声。あとどうせ織斑貴様が犯人だろうどこ行きやがった。

 いないと思った織斑はその場にいた。尻もちをついていて見えなかっただけだった。

 

 予鈴が鳴り、マジギレしながら出ていく鳳さん――周囲に無防備なクラスメートたちが大勢いた教室でISの武装をぶっぱなした事については大いに言いたいことがあったが、あの状態の彼女に噛みつきには行けなかった。私だって命は惜しい――を見送りながら、私はへたり込んだままの織斑に近寄った。

 

 

「大丈夫か織斑? 何があったよ。鳳さん本気でキレてたぞあれ」

「やっちまったなぁ……」

 

 

 と、事の発端を聞き……私は織斑の頭に拳骨を落とした。

 

 

「ってぇ!? 何すんだよレオ!」

「それはこっちのセリフじゃあ! いやーないわー! 事実でも女子の体型の事言っちゃうとかないわぁ! 織斑先生に怒られとけ!!」

「で、でもさ……」

「でもも何もないわ! ……悪い事言ったって自覚はあるんだろ?」

「あ、あぁ」

「だったらその点は謝っておこうよ。悪いとは思ってるけど謝れないってモヤモヤするものだしね」

「そうだな! 次の休み時間にでも行ってくるわ」

 

 

 そして1時間目の終わりと共に覚悟を決めた様子で織斑は出ていき……

 数分後、鳳さんに決闘を申し込まれたと言いながら帰ってきた。

 

 そうはならんやろ!

 

 

 ※※※※※

 

 

 状況を整理しよう。

 

1 織斑は鳳さんにかなりの暴言を吐いてしまいマジギレさせてしまった。

 

2 流石に反省した織斑は休み時間に鳳さんに謝りに行った。

 

3 決闘を申し込まれて帰ってきた。

 

 

うん、分からん。

 確定しているのは5日後のクラス代表対抗戦が決闘の舞台であること、鳳さんの機体がかなりのパワータイプであること――部分展開した機体や壁の弾痕からセシリアさんが判断していた。そこまで分かるのか――。それくらいだ。

 戦いが避けられない以上さっさと作戦会議タイムといきたいのだが、生憎と私たちの身分は学生。授業もしっかりこなさないといけない。余計なことを考えようなら即座に気づいてくる織斑先生の授業は別として、私は多少サボッでも大丈夫な授業で作戦を練ることに決めた。

 

 さて、ここで振り返っていきたいのだが、織斑の機体はゴリゴリの近接タイプだ。剣の間合いに入れば大抵の相手はまっぷたつだろう。

 しかしそれは『近づくことができれば』という条件で邪魔される。シミュレーションでもない限り、奇襲大成功でずんばらり、なんてシチュエーションは望めない。

 

 

「なので、織斑には相手の銃弾を避け続けてもらいます」

「???」

 

 

 放課後の訓練場、シュライクの腕部パーツを部分展開した私は、起動前のセントリーガンを手に織斑に告げた。

 

 

 

「射撃されて近づけないのなら、近づきながら避ければ良いじゃない!」

「いや、そうはならないだろ」

 

 

 織斑につっこまれるが、実際それ位しか対策を練られなかったんだから仕方ないじゃない。高機動なのに近接武器1本しか持っていない自分を恨むんだなぁ!

 

 

「さて織斑、今からこのセントリーガンを設置する。コイツはその名前の通り自動銃座で、一定の距離に近づいてきた相手を撃ってくる」

「おう。……なんだか嫌な予感がするんだが」

「良い勘してるな。特訓の内容は、コイツの射撃を機動で躱しながら接近して斬る。それの繰り返しだ」

「やっぱりかぁ……」

 

 

 ちなみにこのセントリーガン、追尾性能が結構エグくて、ちょこまかと動き回ってもビシビシ当ててくる。今持っているのは初期のサブマシンガンタイプだからダメージは低めだが、上位になるとショットガンタイプやレーザーガンタイプなどと高威力高精度の自動銃座になる。

 ダメージが低いなら大したことないだろうと思うかもしれないが、このセントリーガンは『投げて』設置できるのだ。下手投げで遠くまでは届かないが、例えば遊撃兵装の特殊武器である光学迷彩を起動しながらドンパチが起きている前線にコイツを投げ入れるだけで敵に結構な圧力をかけられるし、自軍本拠地への侵攻ルートにバレないよう設置すれば即席の警戒装置の完成だ(ゲームでの『ボーダーブレイク』では攻撃が相手に命中すると画面中央のレティクルが反応するため、敵が前線を抜けて奇襲してきてもそれでバレる)。

 分かるか、奇襲確実と思っていたらいきなり銃撃を受け、何だと思ったらセントリーガン。しかもそれを破壊するにしても無視するしても、敵本拠地にたどり着く前にほぼ確定で迎撃を受けるという絶望感が。

 ……おっと、昔を思い出してつい熱くなってしまった。とにかく、これから行う訓練に、セントリーガンは適任なのだ。

 

 

「織斑、コイツの射程はだいたい90メートル、まずは剣の間合いまで近づくところからやってみよう」

「やってみるわ」

 

 

 そして織斑の操る『白式』はセントリーガンへと距離を詰めていき……

 めっちゃシールドエネルギーを削られていた。

 

 

「これ、零落白夜発動してたら即試合終了じゃない?」

「うぅ……でもなんとなくやり方は掴めたような気がする。悪いけどレオ、しばらく時間をくれ」

「最初からそのつもりだから大丈夫だよ。

あと、慣れてきたらセシリアさん呼んでビットの射撃も加えるからよろしく」

「お前は鬼か!?」

 

 

 失礼だな、ゲーマーだよ。

 銃口1つだとリロードの間に距離詰めて即終わりだし、鳳さんの機体構成とか使用武器の情報が全然ないんだから最悪に備えるのは普通だと思うんだ。

 って織斑に伝えたら引かれた。解せぬ。

 

 

 ※※※※※

 

 

 サブマシンガンの弾幕とビットによるレーザーが織斑に集中する。

 対する織斑はフェイントを混ぜた不規則な機動で動き回り、避けられないと判断した攻撃はブレードで受ける。それでもガードをすり抜けた銃弾やレーザーでシールドエネルギーがジワジワと削られていく。

 不意にサブマシンガンの射撃が止まった。セントリーガンがリロードに入ったのだ。

 その好機を見逃す織斑ではない。機体を最大まで加速し、唯一の武装である近接用ブレード『雪片・弐型』でもってセントリーガンを切り裂いた。

 

 

「そこまで! 

やったな織斑、セントリーガンとセシリアのビット6機の弾幕を抜いて距離詰めるとか人間の限界を超えてるぞ」

「それをさせたレオが言うか!?」

「だって織斑、ビット2機じゃ無傷で抜くんだもん」

 

 

 マジで頭おかしいわ織斑。最初こそ被弾しまくってボロボロになっていたんだけれど、何回目かの挑戦でいきなり動きが良くなって、その次くらいには無傷で攻略できるようになっていたのだ。本人曰く「慣れた」との事。お前はロボアニメの主人公か、そういやその通りだったわ。

 これ相手からしたらメチャクチャな高機動でこっちの攻撃を避けまくる敵がどんどん距離詰めてきて最後には斬られるっていうトラウマ確定なやつじゃん。連邦の白い悪魔かな? とんでもない奴と同じ時代に生まれちまったもんだぜ……

 

 

「まったく、ここまで射撃が当たらないと自信を無くしてしまいますわ」

「よく言うぜ、こっちが守り切れない部分をブチ抜いてくるくせに」

 

 

 織斑の訓練で砲台役をお願いすることになったセシリアさんだけれど、彼女は彼女で恐ろしいほどの射撃の腕を見せてくれた。

 まずセントリーガンの射撃、これはもう織斑にかすりもしない。が、『避ける』という行動を強制させられる。

 そして織斑が回避した、その場所にビットの射撃を『置く』。避けられない、防ぐしかないという絶妙なタイミングと精度。当然ながら織斑は雪片で防ぐ。するとほんの一瞬、コンマ数秒にも満たない間織斑の機動は直線的なものになる。

 セシリアさんが狙うのはその数瞬だ。直線的な機動、防御によって乱れる姿勢、そんな織斑が絶対に防げない場所、例えば脚、肩、脇腹。そんな場所を彼女は削り取るように撃ち抜く。

 一度彼女のガンカメラ映像を見せてもらったが、私は早々に理解を放棄した。天性の才を持つ人間が必死に積み重ねた努力の上に成り立つ芸術。彼女の射撃は既にそんな領域に至っている気がするから。

 

 

 何が恐ろしいって、織斑の『白式』もセシリアさんの『ブルー・ティアーズ』も、まだまだ伸びしろがあるって事なんだよね……

 

 

「うん、これだけ動けるなら、並大抵の相手じゃ織斑の敵にもなれないな。

 あとは明日。鳳さんに全部ぶつけるだけだ」

「あぁ、レオもオルコットさんも本当にありがとうな」

「こちらにとっても得るものが大きい時間でしたわ。わたくしの方こそ織斑さんにお礼を」

「今日はここまでだ、後片付けはやっておくから、織斑は部屋に戻ってもう寝ろ寝ろ」

「悪ぃな、なんか色々してもらっちゃって」

「気にすんな、でもこれで負けたら承知しないぞ? 学食の一番高いメニュー奢らせるからな」

「げっ、それは負けらんねぇな」

「クラス全員に」

「それはふっかけ過ぎだろ!?」

「ふふ、ならわたくしは――」

「オルコットさんが言うとマジで高そうで怖い!」

 

 

 ふざけながらも夜は更けていく。

 クラス代表対抗戦は、明日だ。




戦闘描写は筆が乗るッピ!

お気に入り登録が100を超えてて震え上がったッピよ! ありがとうございますですわ〜〜!
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