せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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 数多いIS二次創作の中でもゴーレム戦で空気な主人公は少ないだろうなぁという訳で初投稿です。


戦闘中、主人公は空気でした。

 突然の轟音と土煙は、その時アリーナにいた私を含むほとんどの人間から思考能力を根こそぎ奪い去るには十分なものだった。

 

 考えても見てほしい。白熱した試合を観戦中、突然天井から何かが落ちてきたら。大惨事だろうが、その瞬間に何が起きたのか理解できる人は一握りだろう。

 

 幸いというべきか、落下物はアリーナのコートに落ちたため、客席にはこれといって被害は出ていなさそうだ。

 

 しかし一体何が起きたというのだろう。そう思いながら未だ晴れない砂煙の辺りを注視して、

 

 

「伏せて!!」

 

 

 横からセシリアさんに飛びつくようにして押し倒された。

 

 

 直後。

 

 

 砂埃の中から飛び出した極光が、私の眼を灼いた。

 

 

 ※※※※※

 

 

 眩い光に閉じていた目を開けると、辺りは真っ暗になっていた。時折聞こえる衝撃砲の砲声やISの駆動音、聞きなれない射撃音からして、どうやら戦闘が起きているらしい。

 しかし息が苦しい。まるで何かに顔を覆われているようだ。

 自分が今どうなっているのか分からない。後頭部に硬い感触、仰向けになっているらしいが、目が見えないので状況が把握できない。

 違う、目が見えないんじゃなくて、何かが私の顔を覆っているんだ。

 

 何とか『それ』をどかそうと私は両手を振り回し、

 

 

「大丈夫ですか、レオさん?」

 

 

 自分がどうやらセシリアさんに抱きすくめられていたらしいと知って驚愕した。

 

 

「セシリアさん、何を」

「レオさん、緊急事態です。質問は後で聞きますわ」

 

 

 緊急事態って何だ。流れ弾がこの辺りに飛び込んだのかと思ったが、もしそうなら私たち全員あの世行きだし、今も戦闘音が聞こえる訳もない。

 

 

「未確認のISが乱入し織斑さんや鳳さんを攻撃しています。

 今、IS学園は襲撃されています」

 

 

 今度こそ私は絶句した。

 

 

「このアリーナのシールドはISと同じものが使われています。それをあの未確認機は突破して侵入してきましたわ。そして両手のビーム砲、おおよその分析しかしていませんが相当の威力です。おそらくはわたくしの主兵装を上回ると考えていいでしょう」

「それは……ここにいたらマズいのでは?」

「えぇ、その通りです。なのでレオさんも体調に異常がないのであれば避難誘導の手伝いをお願いしますわ」

「分かりました」

 

 

 立てる。身体を見渡すがケガ一つしていない。次に周りを見る、クラスメートを始め他の生徒たちはほとんどが座席から動いていない。

 

 

「皆さん! 緊急事態です。ここから離れましょう!」

「落ち着いて、近くのゲートから避難をお願いします! 周りを見て、誰かいないか注意してください!」

 

 

 織斑さん鳳さんの2人と今も戦っている未確認機、というひと目でわかる異常事態もあってか、全員スムーズに動き始めた。見ると、他のクラスでもリーダーシップを発揮した子が避難を主導している。

 

 客席から全員がいなくなるまで2分もかからなかったんじゃないだろうか。結果的に最後になった私とセシリアさんは、もう一度誰も残っていないか機体のセンサーも使って確認し、その場を離れた。

 

 

 ※※※※※

 

 

「レオさん。ここから私は別行動を取りますわ」

「セシリアさん?」

 

 

 警告音が鳴り、赤い非常灯が灯ったアリーナの廊下で、セシリアさんは突然切り出してきた。

 

 

「あの未確認機、織斑さんと鳳さんの2人がかりでもまだ余裕のある動きでしたわ。対してお2人は対抗戦の途中でシールドエネルギーも削れた状態。外部からの増援がいつになるか分からない以上、わたくしも戦力として戦います」

 

 

 理屈の上では間違っていないと思うし、彼女が代表候補生として研鑽を積んできたのも知っている。

 

 それでも行ってほしくないと、引き止めたいと思ってしまうのは、彼女に対する冒涜だろうか。

 

 何か言うべきなのだろう。でも、私の口から言葉が出る前に、私とセシリアさんそれぞれに織斑先生からの緊急連絡が入った。

 

 

『オルコット、シキシマ、大至急管制室まで来い。詳細は追って話す』

 

 

 私たちは一瞬顔を見合わせ、すぐに駆け出した。

 

 

 ※※※※※

 

 

 何度か来たことのあるはずの管制室は、別世界のような緊迫感に包まれていた。

 

 

「失礼します、レオ・シキシマおよびセシリア・オルコット。織斑先生の呼び出しを受けて来ました」

「入れ」

 

 

 管制室にいる教員は織斑先生と山田先生の2人のみ、その2人も手元のタブレットやら室内のコンソールやらで常に何かしらの作業をしていてとても忙しそうだ。

 

 

「織斑先生、客席の生徒たちは全員避難させました」

「よろしい。ではとりあえず今の状況を説明する。

 

 

 つい先ほど、当学園は正体不明のISによる襲撃を受けた。敵の正体、規模、増援の有無は不明。

 これが敵機のおおよそのスペックだ」

 

 

 織斑先生が渡してきたタブレットを2人で凝視する。

 

 

「侵入してきた敵機はアリーナだけでしょうか」

「そうだ。少なくともレーダーの探知圏内に未確認機の反応はない」

「政府への応援要請は?」

「済ませてある。が、敵機からと思われるシステムへのハッキングによりこのアリーナは重防御状態にあり、外から入る事も中から出ることも不可能だ。

 現在も3年の精鋭がシステムクラックを行っているが、どれだけかかるかは不明だ」

「織斑先生、わたくしにも出撃許可を。ビットを使用した連携は不十分ですが、狙撃による援護は可能です」

「良いだろう。だが相手の主兵装は推計値だけでも強力だ。織斑、鳳との連携を密にしろ」

「了解しましたわ」

「そうなると私は足手まといですね……他の生徒に付き添うくらいでしょうか」

「それでいい。今のお前の機体状況では壁にもなれん」

 

 

 そうなんだよなぁ。

 墜落事故の影響が地味に長引いていて、私の機体はロクに修理もできていない。部分展開がせいぜいで、しかも反動とかで死ねるから射撃も難しい。

 織斑先生の言う通り、足手まといもいい所なのだ。

 

 

 

 

「しかし、よりにもよってここに襲撃をかけてくるとは……ただのアホではないでしょうね」

「あぁ、あれだけのISを使い捨てにできるような相手だ。迂闊に突けば何を出すか分からん」

「ですが……先ほどから、何か違和感がありますわ」

 

 

 違和感? タブレットに表示された敵機の画像をよく見てみる。

 

 相手はISとしてはまずいないフルスキンタイプ。

 やたら腕が長いのはビーム砲絡みか?

 

 

 画像の次は動画だ。織斑と鳳さん、それぞれのメインカメラやガンカメラの映像を確認する。

 

 相手の操縦の腕はかなりのものだ、2人の連携をかなりうまくいなしているし、織斑の必殺の一撃も、凄まじい反応で何度も離脱している。

 

 ていうか君たち、戦闘中に会話とか余裕か。いや、注意は怠っていないか。

 

 

 ん? 会話?

 

 

「会話中は、攻撃してこない……?」

「それですわ! 明らかに隙を見せているというのに、攻撃してこない。いくらなんでも変です」

「織斑先生、相手への呼びかけはしているんですよね?」

「当然だ。一切の応答がないがな」

「んー…… 確かに言われてみれば何かおかしいような……」

 

 

 と言うか、どこかで見たような動きだ。

 

 記憶の奥に引っかかっている『何か』を思い出そうとウンウン唸っている内に、『答え』が織斑から報告された。

 

「なぁ、コイツもしかしたら無人機なんじゃないか?」

「いきなり何言い出すのよアンタは。……ありえないわ。ISは人が乗らないと動かせない。そういうモノなのよ」

 

 

 鳳さんが言う事はもっともなのだが、私は一つものすごーく嫌な可能性に思い当たってしまった。

 

 実は『ボーダーブレイク』には書籍もあり、それに登場する敵武装勢力の機体を主人公たちが撃破するが、何故か敵機は再び動き始める。やむを得ず完全に破壊し、主人公がコックピットを確認すると、敵パイロットはケーブルやら何やらで機体と一体化した生体パーツのようになっていた……なんて下りがあったのだ。

 

 思い過ごしならそれでいい。むしろそうであってくれ。

 でも可能性として出てきてしまった以上、織斑先生に伝えない訳にもいかないだろう。

 

 

「織斑先生、少し、良いですか?」

「……手短にな」

 

 

 私の不安を感じ取ったのか、確実に忙しいにも関わらず織斑先生は話を聞いてくれた。

 

 

「なるほどな。ちなみにこの話は他にはしたか?」

「いいえ」

「ならば誰にも話すな。下手をしたらお前がその『生体パーツ』にされる可能性すらある」

「分かりました。ちなみに今回はどう思います?」

「今回は違うだろう。だが無人機というのは恐らくそうだろうな。

 ある程度経験を積めば何となく分かってくるが、戦闘中の相手の行動には全て相手の意思が絡む。

 あっちの方へ誘導しようとか、牽制して時間を稼ごうとか、そんな感じだ」

 

 

 それが分かるのはあなた位じゃないかなぁ……

 

 

「だが今回の相手はそれが無い。薄いとかじゃない、全く感じ取れない。これは普通ありえない」

「だから無人機だと?」

「そうだ。そして無人機となればアイツも本気で攻撃できる」

「……なるほど! 織斑の『零落白夜』なら!」

「相手の動きを止める必要があるがな」

 

 

 ならやっぱりセシリアさんの狙撃に頼るしかないか。

 ……私も動けたらなぁ。

 

 

「焦るな。今のシキシマは戦闘には耐えられん。他の生徒を無事に逃がす事を第一に考えろ。

 今回悔しい思いをした分は今後に活かせ。いいな?」

「……はい」

 

 

 かくして、私はクラスメートたちの方へと向かい、

 

 

「レオさん! 今すぐアリーナへ来てください!!」

「え、敵は?」

「無力化しましたが、織斑さんが!」

「……は?」

 

 

 10分もかからずに織斑が大ダメージを受けたと聞いてアリーナへ飛んでいくことになった。




ここまで読んでくださりありがとうございます。

先日、当二次創作小説の元ネタの一つである『ボーダーブレイク』について、サービス終了がアナウンスされました。
作者はPS4などの据え置き機を持っていないためプレイできていなかったのですが、アーケード版はかなりやりこんでいました。サービス終了後も一部のプレイはできるようですが、やはり寂しいですね。

『ボーダーブレイク』の名前を残すためにも、今後も書いていきますので、引き続き拙作をよろしくお願いします。


あと1件の評価でバーに色が付くんや……
ウマ娘の二次創作もあと1件がなかなか付かないんや……
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