せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!? 作:とある物書きMr.R
ナイスネイチャ……長い間本当にお疲れ様でした。競走馬の長寿ランキングでも3位なのはある意味君らいよ。
日曜〜火曜にかけて脳を焼かれまくった私ですが初投稿です。
あと次の話書きながら思ったんだけれど、レオ君ってチップも何もない素のシュライク1型で屈伸キャンセルもなしにセシリアやワンサマー倒してる……ってコト?
バケモノかな?
『ボーダーブレイク』はハイスピードロボットバトルが売りだが、ISのスピードはそれを上回ってくる。
こっちは軽量機のシュライクで結構速く動けるというのに、特に織斑のような高機動タイプを相手にするとまるでヘヴィガードのような重量機に乗っているかのようなスピードの差を感じるのだ。正直言って前世での経験と入学してから積んだ訓練が無ければ対応する事も出来ずに蜂の巣になるか両断されているだろう。
相手が視界から消えたとして、レーダーを見ていては間に合わない。直前の動きから、だいたいの位置を推測しないといけないのだ。(n敗)
「スピード……小回り……欲しいよぉ……」
「レオさんの機体はISと比べるとどうしても機動性に劣りますからね……」
ある日の放課後、セシリアさんに誘われ訓練を行っていた。
訓練の設定は防衛戦。私が護衛対象のVIPで、次々と現れるターゲットをセシリアさんが次々撃ち抜く。ターゲットはISの機動をベースに動き回るので、私は私で射撃訓練にもなる。
ちなみにセシリアさんは英国のガチな貴族家の当主で、時と場合によっては英国王家の護衛をしたりするらしく、こういった護衛訓練はロイヤルガードな方たち並みに行うのだそうだ。
最初は若干15、6歳で貴族の当主という所に違和感を覚えていたが、その答えはインターネットの海とうろ覚えな原作知識の中にあった。
数年前に英国で起こった大規模な列車の脱線事故。3桁を超す犠牲者の中に、セシリアさんの両親、先代オルコット家当主夫妻も含まれていたのだ。
『万が一が起きた時、王室の方々の剣となり盾となる。それが貴族に生まれた者の義務ですわ』
一切の躊躇もなくそう言い切って見せた彼女に、私は心からの尊敬の念を覚えると同時に、
分不相応ながらも、何とか支えてあげたいと。そう思ってしまったのだった。
「しかし、イギリスに中国、今度はフランスにドイツですか」
「代表候補生だらけですわね」
「本当に。しかもフランスの方は3人目の男性、ドイツの方は現役の軍人と。キャラが濃いなぁ」
「なぜそこでわたくしを見るんです?」
「第一印象が、ねぇ?」
「それを持ち出すのは卑怯ですわ……」
「すみません、冗談ですよ。
でもデュノアさんは兎も角、ボーデヴィッヒさんは大変そうだな……」
「全くですわ。 私が言うのも変な話ですが、立場がある人間が一般人にとって良い態度ではありませんでした」
「しかし、ドイツ軍では能力さえあれば15、6歳でも採用するのですかね……?」
「少なくともイギリス軍ではそのような話は聞いたことがありませんわ」
「なんだろう、あまり深入りしたくない匂いがするんですが」
「奇遇ですわね、わたくしもです」
「「ハァ……」」
深入りはしたくないけれど絶対に何かある案件。後で織斑先生に相談……いや、織斑先生はボーデヴィッヒさんに『教官』って呼ばれていたな。彼女と面識があるなら相談したところで最悪もみ消されるかもしれない。山田先生に相談してみよう。
「セシリアさんも相談先に心当たりがあるみたいですね」
「こういう時はある程度国とコネクションがある事に感謝したくなりますわね」
「私は微妙かな。肩が凝りそうなのであまり関わり合いにはなりたくないかもしれません」
「慣れればどうということはありませんわ。
ただ肩が凝るのは間違いないのでマッサージをお願いしてもよろしくて?」
「……今世紀中に検討しましょう」
「断り方が雑ですわね!?」
……流し目で言うのは勘弁してほしい。ちょっとドキドキするでしょうが。
※※※※※
転入初日から見事にやらかしてくれたボーデヴィッヒさんであったが、少なくとも生活態度『は』謹厳にして実直。流石は現役軍人というべきなのだろう。
だが生活態度と周囲への態度は全く別物な訳で……
おいドイツ軍! この全方位拒絶型堅物軍人クーリングオフしたいんだけどコールセンターどこだ! え、無い? そんなぁ……
ならコイツを指導したのはどこのドイツだ! え、織斑先生? あ、ハイそうですか……(長い物には巻かれる社会人ムーブ)
唯一織斑先生の言う事だけは素直どころか絶対に聞くのだか、それ以外の人に対してはまぁひどい。特に織斑が相手の時なんか、親の仇でも見るみたいな目をしてる。
織斑と彼女の間に何かがあったのは間違いないっぽいのだが、部外者が軽く踏み込んでいい話題ではなさそうだ。
いや待て、そういやこの前織斑先生は何て言ってたっけ?
『最初は環境に慣れないかもしれないが、まぁ目をかけてやってくれ』
担任がこれからやって来る転入生の素性を知らないなんて思えない。しかも過去に何かしらの面識があって――教官とか言われてたし織斑先生の実力的にもどこかの軍で教官やっていても何も不思議ではない――ある程度関係も構築されている様子だった。
つまり何だ、織斑先生はボーデヴィッヒさんが『あぁいうタイプ』だと知っていて言わなかったな?
どうしよう。入学から2か月あまりで既に担任に対する信頼度が地に落ちそう。もう結構下がっているのは秘密だ。
(はぁ……この件で頼れるのは山田先生だけか)
でも誰にも頼れないよりかはマシだ。明日早速声をかけさせてもらおう。
※※※※※
そして、翌日。
「山田先生、後で少しお時間よろしいですか?」
「シキシマ君でしたか。どうしました? 授業で何か分からない事でもありましたか?」
「そうなんです、この部分なんですけど」
と、見せたノートに書いておいた『ボーデヴィッヒさんについて。織斑先生は抜きで』のメモ書きを見た山田先生の顔つきがわずかに変わる。でもそれは一瞬で、彼女は普段と特に変わらない様子で話を続けた。
「……そこでしたら詳しく説明する必要がありますね。放課後になってしまいますが、職員室まで来てください」
「分かりました。ありがとうございます」
「いえいえ、先生として当然のことですから!」
……流石は元日本代表候補生。感情が表に出る時間がほとんどなかった。
あまりにぶっ飛んだ世界に生まれ直して、あまりにぶっ飛んだ環境にいたからかしばらく忘れていたけれど、そもそも『私』は大人だった。決して褒められるような人間じゃなかったけど、それでも私は大人だったんだ。
立場も力もある人間がそれを傘に他者を貶めようというなら、まして貶める相手が子どもだっていうのなら、大人としてそれは見過ごすわけにはいかないだろう?
もっとも、クソ雑魚な私としては喧嘩を売る前に多少小細工はするけどね。
※※※※※
「さて、お待たせしましたシキシマ君」
放課後、職員室に行ったら即座に空き教室に誘導されたでござる。
「お話というのはボーデヴィッヒさんの件についてでしたよね」
「はい。正直に言ってしまうと今後が心配だなぁと」
「そうなんですよねぇ。私も織斑先生と話してはいるんですが……」
「その事なんですけど、ボーデヴィッヒさんってドイツ軍の現役軍人だって話でしたよね? 織斑先生との繋がりがよく見えないんですが」
「シキシマ君が知らなくても無理はありませんね。織斑先生はかつてドイツ軍IS部隊の教導を行っていたんですよ」
「……そうだったんですか。
だとしても不思議です。ボーデヴィッヒさんの階級や部隊での地位は分かりませんが、少なくとも代表候補生な訳ですし士官クラスなはず。
『真っ当な士官教育を受けた人間』が、いくら因縁があろうと民間人相手にいきなり暴力をふるうなんておかしいです」
『軍の基準じゃ平手は暴力じゃない』なんて言い訳はまさかしない、よな……?
いや待てよ、『真っ当な士官教育』? ドイツの軍学校(大学かもしれないが)が何年制かは知らないけれど、私(の肉体)と同い年の子が軍に入隊しているだけでも珍しいのに、
「……士官教育を受けていたのなら、彼女は何歳から軍人だったんだ?」
自分でも知らないうちに漏れていた声は、私と山田先生しかいなかったのもあってか案外大きく響いた。
「シキシマ君、それ以上はいけません。
そこからは地獄ですよ。厳しい言い方になりますが、今のシキシマ君では力が足りません。
降りかかる火の粉は私たち大人が払います。
君はまだ、こちら側に来なくても良いんです」
その言葉に、私は何も言えなかった。山田先生の真摯な瞳は、真剣に私を思いやってくれているのが伝わってくる。
でも、それ以上に今の私に何の力も無いことが一番『刺さった』。
山田先生の言う『こちら側』に、私の知っている人がどれだけいるのだろう。
少なくとも織斑先生は確実だ。『世界最強』があらゆる国からの干渉も受けないなんてありえない。
じゃあその弟の織斑は? 今は分からないが、将来的には分からない。第3世代機を任せられている時点で彼は日本の代表候補生に内定しているようなものだ。
篠ノ之さんは『あの』篠ノ之束の妹だ。ISの発表で彼女の家族は証人保護プログラムの対象となり一家離散。彼女は否応なしに巻き込まれている。
鳳さんは中国の代表候補生だ。世界でも指折りの人口を誇るかの国にはさぞ多くの高いIS適正を持った女性がいるだろう。その中で国家代表にまで上り詰めようと思ったら才能や努力だけでなく政治も必須スキルになるのは想像に難くない。
そして今の所私だけがその正体を知っているシャルルことシャルロット・デュノアさんもフランスの代表候補生にして欧州を代表するISメーカーの1つ、デュノア社の社長令嬢だ。生半可な理由でここに送り込まれた訳がない。
ボーデヴィッヒさんについては考えれば考えるほど闇が見えてくる。もう何を言われても驚かないかもしれない。もっとも、彼女にそうで在るよう強制したドイツ軍上層部には嫌悪感しかないが。
……そして、セシリアさん。
イギリスの国家代表候補生にして、名門オルコット家の当主。
一体どれだけの期間、どれほどの重圧を背負っているというのか。普通なら頼る両親も既にこの世になく、少し先も見えない闇の中、あるいは暴風吹き荒れる嵐の中、家の存続と誇りを胸に抱いて、彼女は戦ってきた。
いや、戦ってきたのは皆同じか。
でも私だけは違う。背負っているものなんて特になくて、仮にも前世での20年を超える経験があるっていうのに、
私が、力になってあげなくちゃいけないのに。
その私が、1番弱いなんて。
……悔しい。不甲斐ない。情けなくて涙が出そうだ。
あぁそうだ。今の私に何ができる。他のみんながISで空の彼方まで飛び去って行く間、私はブラストで地を這うしかできない。やっと飛べたと思ったら事故で叩き落される始末。
せめて。せめて飛べたら。戦術の幅だってぐっと広がる。罠や奇策に頼るしかない今とは文字通り雲泥の差なんだ。
「……悔しいです」
「教員として言うのなら、私としては皆さんに戦ってほしくはないです。15歳の子どもらしい人生を歩んでほしい。
日本の代表候補生だった身としてこんなことを言うのは筋違いかもしれませんが、ISなんて無かったらと思う事も、あります」
「それでも、皆と並んで歩いていきたい、力になりたいんです。今の自分に、その力が無かったとしても」
「……少なくとも、ボーデヴィッヒさんの件については下手に動かないでください。相手の姿も大きさも分からない中挑むのは余りにもリスクが大きいですから」
「分かりました」
結局私は、それ位しか言えなかった。
書き進めて行く内に文章量が伸びるマジック。
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あと、読者のボーダーの皆様におかれましては、今のレオ君の手持ち機体でどんなアセンを組むか参考に教えて欲しいですわ。
私はシュラゴンだったので現行の手持ちだとフル修羅一択なのですわ〜