せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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誤字報告に感謝ですわ〜!
筆が乗ったので連日投稿でしてよ!


上手いスナイパーはそもそも外さない

 夜遅めの時間に女子生徒の部屋で夕食をごちそうになるとかいうとんでもイベントが私の身に起こったってマジで言ってる?

 

 冗談みたいな本当の話が起こった翌日、学年別トーナメントまで残り3日ということで、授業は軒並み自習になった。トーナメントに出る生徒も出ない生徒も教室で勉強するかアリーナに行くか好きな方を選べるが、教室に残る生徒は少数派のようだった。

 

 銃声、爆音、金属音。

 

 ありとあらゆる轟音がアリーナ中に響いている。外部の声はシャットアウトされるが、もし聞こえているなら女子生徒の歓声もプラスされるだろう。

 

 

「来ますわ!」

「ッ!」

 

 

 向かってくる2機のIS、せっかくアリーナにたくさんの生徒がいるんだからと模擬戦をする事になった2組の子たちだ。

 

 相手はラファールと打鉄、ラファールが射撃で援護し、打鉄が盾と近接ブレードで突っ込んでくる。

 ラファールの子の狙いは分断か。私とセシリアさんの間を引き裂くように弾幕が張られるが、それは想定の範疇だ。

 

 

「レオさん!」

「大丈夫!」

 

 

 こっちは任せてという意味を込めて頷くと、セシリアさんも頷きを返してラファールの方に向かっていった。

 

 

「君のことは調べたよ。悪いけど、男子だからって手加減しないからね!」

「それ本来私のセリフだと思うんだよなぁ!?」

 

 

 ――コール、M90サブマシンガン

 

 とにかく突撃の勢いを殺すため、サブマシンガンで弾幕を張る。

 が、銃弾のほとんどが盾に弾かれ、少しもスピードが落ちる様子がない。

 瞬く間に距離を詰められた。相手が近接ブレードを振りかぶる。

 

 

「もらったぁ!」

「って思いますよね」

 

 

 盾を構えたままシールドバッシュでもされれば正直危なかった。でも、剣を持っているなら使いたくなってしまうのが人情ってやつで。

 

 剣を使う時に盾を構えるのは不可能。その瞬間、全ての攻撃が通る。

 

 

 ――コール、ワイドスマック

 

 

 至近距離で放たれた子弾は、そのほとんどが打鉄に吸い込まれた。

 

 

「きゃあああ!?」

 

 

 軽量機なら下手したらワンパンできてしまう火力を叩き込まれた打鉄がきりもみしながら吹き飛ぶ。

 

 ペアがやられて動揺したのだろう。ラファールの硬直を見逃すセシリアさんではなかった。

 

 

『そこまで! はいはーい、次がつかえてるから撤収は早くね』

 

 

 結局の所、私たちのペアは完勝。というよりも、これは相手の戦術が悪かったような気がする。実際セシリアさんの方に行ったラファールはよく見ていなかったけれど、私の方に来た打鉄が射撃戦を挑んでいたら、蜂の巣になっていたのは私だったかもしれない。

 

 

「レオさん、お疲れ様ですわ」

「セシリアさんも。最後の一撃ナイスショットでした」

「レオさんこそ、あのタイミングでのショットガンへの切り替えは中々できませんわ」

「……そろそろ行きましょうか」

 

 

 褒め合いはどうも私の分が悪い。推しに褒められて照れない人間など存在しないのだ。

 ――あと2組の2人は放置しちゃって本当にごめんなさい。

 

 

 ※※※※※

 

 

「しかし、セオリーでいうならまず2機がかりの速攻で私を潰しに来ると思いましたが、流石にセシリアさんを警戒しましたか」

「おそらくは」

「正直上空から爆撃されると詰むので、正直に向かってきてくれるのはありがたいんですよねぇ」

「とはいえ、弱点を放置するのは下策ですわ。

 ……飛行ユニットについて、何か話はありましたか?」

「今回のトーナメントにはまず間に合いませんね。まぁ仮に完成しても慣熟訓練が追いつかないのですが」

「そうでしたわね。まぁこの夏には合宿もあると聞いていますし、そこで集中的に機体制御などの訓練を行うというのもよろしいですね」

 

(その合宿が鬼門なんだよなぁ)

 

 

 とは、言葉にも顔にも出さないように。

 実際、学校案内とか年間行事予定表とかで確認してみたけれど、臨海合宿が行われるのは7~8月としか書かれていなかった。過去の実績とかも書かれていたが、7月に行ったり8月になったりとまちまちで、おそらくは諸々の調整とかの事情があるんだろう。

 考えてもみたら、IS学園には各国から代表候補生が通っている訳で、代表候補生たちだけでなく、彼女たちの母国やそこの企業(しかも各国を代表するようなISメーカー)とのスケジュール調整した上に、合宿所周辺や行き帰りの移動ルートの警備については公安委員会どころか防衛省とも協議が必要だろうし……

 

 

(先生は激務って聞くけれどIS学園の先生とか過労死待ったなしじゃないか?

 いくら翻訳機の精度が向上しているとはいえ相手の裏の意図も読み取るにはネイティブレベルの語学も必要そうだし。

 あぁやだやだ。IS学園教師陣のブラックさもそうだけれど、何が悲しくて転生してまで社会人な思考に染まらなきゃいけないんだ)

 

 

 去れ社畜根性よ。ここに貴様の居場所はない!

 

 

 

「聞いていますか?」

「……すみません、考え事をしていて」

「レディとの会話中に考え事だなんて感心しませんよ?」

「大変失礼しました」

 

 

 これは私が全面的に悪い。両手を上げて降参のポーズ。

 

 

「では改めて。今回のように相手が1対1を挑んできた時も、基本的な対応は変わりませんわ。レオさんには持久に努めていただき、その間にわたくしが1機目を撃破。しかる後に相手を挟撃いたします」

「相手が代表候補生クラスの相手だった場合は?

 2組の鳳さんは少し戦闘の様子を見たけれど、アレは相当やるよ。

 そして4組の更識さんは、そもそも情報が無い」

 

 

 入学から2か月もあれば学年の有名人の情報は少しずつ入ってくる。さすがに代表候補生が何人もいるようなクラスはウチの1組くらいのものだけれど、2組の鳳さんや4組の更識さんなど、他のクラスにも代表候補生に選ばれるような実力者はいる。

 

 

「代表候補生とぶつかった場合はわたくしが相手しますわ。レオさんにはそのペアの相手をお願いします」

「そうなると高度を取られると厄介だなぁ。セシリアさん、悪いけれど」

「えぇ、可能な限り地表付近で戦いますわ」

「では私は、セシリアさんが上空に釣り上げられた場合に備えて狙撃銃での対空射撃を磨くとしましょう」

「よろしければお手伝いしましょうか?」

「こちらからお願いしたいくらいですよ」

 

 

 ※※※※※

 

 

 狙撃を行うにあたって一番大事なのは、最初の1発で相手を仕留める事だ。

 相手の知覚の範囲外から、致命の一撃を見舞う。もしも外せば、相手は狙撃手の存在に気が付き、回避行動を取るばかりか、熟練の相手ならば反撃も行ってくるだろう。

 

 

 ――初弾装填。

 

 

 特にISには高性能なセンサーがしこたま搭載されている上に非常に高速だ。その上に私の持っている狙撃銃2丁の内片方はボルトアクション式。1発目を外して、ボルトアクションを行い、銃を構え、機体が射撃準備を完了させるまでにたっぷり数秒はかかってしまう。狙撃時の彼我の距離にもよるが、場合によっては近距離での射撃戦を行うレベルまで近づかれるかもしれない。

 

 

 ――ターゲットを確認。

 

 

 しかし最初の一撃が綺麗に決まった場合。例え相手を撃破できなかったとしても、相手に与える動揺は相当な大きさになるし、『初撃を当ててくる=腕の良い狙撃手がいる』という事実はかなりのプレッシャーにもなる。

 

 

 ――安全装置解除。照準の最終補正、完了。

 

 

 では、狙撃手が2人いて、その内の片方が『とびきり』腕の良い狙撃手だったらどうなるのか。

 

 その好例が、今起きている事だった。

 

 

「命中。撃破までは至らず」

「充分ですわ」

 

 

 私の発砲から1秒後、セシリアさんの得物、『スターライトmkⅢ』がその輝きを放った。

 

 

「命中。1機撃破ですわ」

「お見事。残りの1機はどうします?」

「シールドエネルギーが残りわずかです。威力の強い狙撃では絶対防御が発動しかねませんので、降伏を勧告しましょう」

「……了解」

 

 

 戦闘中だったから、唖然としていたのは一瞬で済んだ。

 

 いや、私が撃った方に追撃をして撃破したなら分かるよ?

 でも、実際にセシリアさんが撃破したのは健在だった方の機体。ゲーム風に言うならHP満タンの相手を一撃で沈めた事になる。

 

 こうなると可哀そうなのは相手のチームだ。残った方の機体に乗っていた子は大人しく降伏した。

 

 

「あの、セシリアさん」

「どうかしましたか?」

「あぁいえ、先ほどの狙撃、素晴らしかったなぁと思いまして」

「レオさんの先制が上手い具合に決まったからというのもありますわ」

「とはいっても私は相手を撃破できていませんので……」

「無理に頭部を狙わず、確実に当てられる胴体を狙った結果です。

 弾を外すリスクを考えればむしろ当然の事ですわ」

「……そういうセシリアさんは当たり前のように頭部を撃ち抜いていましたけど?」

 

「当てられる確信がありましたので」

 

「言ってくれるなぁ」

 

 

 確かに相手はいきなりの狙撃に僚機の瀕死とかなり動揺していた。

 しかしセシリアさんの狙撃が頭に吸い込まれるまでに、少なくともこちらの方を向いていた。狙撃手のいる地点にあたりをつけ、制圧射撃でもしようとしていたのだろう。

 

 

「私、今度狙撃されるようなシチュエーションに出くわしたら、ひたすら回避するとしますよ」

「正解ですわ。もっとも、わたくしはそんな相手も狙えるよう訓練を積んでいますが」

 

 

 そう言ってセシリアさんは指鉄砲を作り、

 

 

「なのでレオさん、今度試合をする時はわたくしが勝ちますわ」

 

 

 バーンとウインクしながら笑う彼女に、別の意味で撃ち抜かれる私だった。

 

 

 ※※※※※

 

 

 3日間の準備期間で、私とセシリアさんはかなり密度の濃い時間を過ごせたと思う。模擬戦なんて両手の数じゃ効かないくらい行ったし、通常の訓練もかなりの時間を積んだ。もっとも、72時間の全てを共に過ごす事ができない以上、もっと前から連携を深めてきたであろう織斑・デュノアペアや、単独でも充分脅威になりえるボーデヴィッヒさんに届いているかは不透明だ。

 

 だからこそ、一点に全てを懸ける。

 

 どの道私が飛行できない以上戦術なんて練りようがないんだ。けれど、そんな私とペアを組んでくれたセシリアさんのためにも、そうやすやすと負けてやるつもりなんてない。いや、むしろ勝ってやる。

 

 

「それでは、学年別トーナメントを開催します!」

 

 

「それではレオさん。エスコートをお願いしても?」

「喜んで、セシリアお嬢様?」

 

 

 さぁ、私たちの戦闘≪デート≫を、始めよう。




戦闘描写はやっぱり筆が乗りますの。
早くレオ君に飛行ユニットを用意してあげたい、そして強敵も用意してあげたいですわ!

あと、今回の戦闘シーンでレオ君がSMGからショットガンに持ち替えていますが、そこは独自設定を持ち出させていただきましたわ。

ISの拡張領域で、特別装備等の重量物以外は他兵装の武器も持ち替えられるということにしてあります。

じゃないとブラストランナーでISに勝てませんわ!
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