せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

39 / 85
UA50,000オーバー、お気に入り登録500オーバーに感謝ですわ!
この土日でいきなり伸びたので作者もビビり散らかしてますの。



今回な話を読むのに必要なもの
・ブラックコーヒー
・サンドバック
・ごっすん釘

大体7000字ですわ。


第3巻
流石はイギリス人、恋愛には手段を選ばない


 7月に入ったばかりの日曜日。

 IS学園からモノレールで数分揺られた場所にある駅の改札口に、私はいた。

 

 今さらな話ではあるけれど、実は私は電車にあまり縁がなかった。というのも私が暮らしていた県はそこまで電車やバスの交通網が発達しているわけでもない典型的なクルマ社会で、市内の通勤も車(おまけに無駄に坂道が多くて自転車だと軽く死ぬ)、離れた市への通勤も車、買い物もレジャーも車だったのだ。茨城ダッシュも名古屋走りも道交法違反だからな?

 電車に乗る機会は、都内に行く時くらいだろう。都内の駐車場ってバカみたいに高いし。

 

 そんな電車素人な私がなぜ日曜にここまで出てきたのかといえば。

 

 

(デート、だと……? この私が? あ、やばい実感が湧いてきて緊張してきた……)

 

 

 先日の戦いでセシリアさんに大きな借りを作った私だけれど、それに対するセシリアさんからの権利の行使が、今日のお出かけなのである。

 

 さて、女性とのお出かけの経験なんて前世を含めても縁のなかった私だが、一般知識程度にはこういった時の男がどのようにすれば良いのか知ってはいる。知っているのと行動できるかは別問題なのだが。

 という訳で私も待ち合わせ時間の30分前には到着し、携帯端末を眺めながら待っていたのだが、

 

 

 ところで、アニメやドラマなどで、イケメンや美女が登場するシーン。周囲の人がザワついて思わずひそひそ話をしてしまう。そんな場面があるだろう。架空の話だからできる演出、いくらなんでも現実では起こらないと10人いたらほとんど全員が考える描写。

 

 

 

 それが、『架空』が今、目の前で起こった。

 

 

 日曜日ともあって電車にはそれなりの人数が乗っていたらしい。この駅はショッピングモールのすぐ近くという事もあり、待ち合わせだったりで多くの人が改札から出てくる。

 

 その人垣が、割れた。

 

 

 彼女を見てまず頭に浮かぶのは、『白』だろう。純白のワンピースは裾の方に広がっていて、今も空に浮かぶ夏の雲のような印象を受ける。

 

 ワンピースとあっては肩や腕の辺りは見えているものだが、そこを淡い青のショールがカバーしている。流れる風のように、あるいは川の流れのように腕から肩を覆うそれは、視界に入る度に暑さを忘れさせてくれる。

 

 頭にはこれまた白いつば広の帽子が。セシリアさんの豊かなブロンドの髪を僅かにでも日差しに当ててなるものかという帽子の断固とした決意が聞こえてくるような気がするのはいくらなんでも私の幻聴だと信じたい。

 

 そして彼女の首元にはネックレスが控えめに輝く。決して派手な自己主張はせず、けれどもそこにある事でセシリアさん全体に華が生まれるようなサファイアのチョイスは上品な彼女らしくもある。

 

 

(……夏の妖精、か。

 

 いや待ってお清楚が過ぎませんこと? なんだこのお嬢様私を清楚の暴力で殺す気か? てかすげーよもう。全身からマイナスイオン出てるわ。あれ、冷房強くなった? なんかこの辺り涼しくなってない? あぁいけませんお嬢様、私と目が合った途端にそのような輝かしい笑顔を見せられては私が耐えられません! あ゛! 尊い、無理、死――)

 

 

 心の中の私が青白い光の奔流に消し飛ばされて尊みの中で死んだところで、セシリアさんが改札を抜けてやってきた。

 

 

 

「お待たせしてしまったようですわね? 目的地の前に喉を潤しに参りましょうか?」

「――いえ、私も少し前に来たばかりなので大丈夫ですよ。

 ここにいてもアレなので行きましょうか」

「分かりましたわ。

 

 わたくし、今日を楽しみにしていました。エスコートをお願いしても?」

「喜んで、お嬢様」

 

 

 差し出された手にまたも心の中の私が昇天したが、身体は正常に動いて彼女の手を取った。その手の柔らかさに起き攻め即死コンボを食らうが、そんなの無視だ無視。

 開幕からクライマックスを迎えつつあるが、このデートはまだ始まったばかりなのだ。

 私、この先生きのこれるかなぁ……

 

 

 ※※※※※

 

 

 10秒おきに心の中で尊死しているレオと余裕ぶっていながら手を握られた途端思考がパニック状態に陥ったセシリアは気づく余地もないが、実は2人を後方から見つめる影があった。

 

 

「見せつけてくれちゃってまぁ」

「しかし何というか……あの2人、もう自分たちの世界を作っていないか?」

「違うわね、アタシが知る限りあの2人はまだ付き合ってない筈。あの雰囲気は天然モノよ」

「馬鹿な……!? そんな事がありえるのか!?」

「現に目の前にいるでしょうよ。そして、種類が違えど天然は天然」

 

 

 誰であろう一夏のファーストおよびセカンド幼馴染、箒と鈴であった。

 既に砂糖水を口に含んだような錯覚に陥っていた箒だったが、鈴の「天然」という言葉にハッと我に返る。

 

 

「あの天然を知る事は、ヤツの天然の攻略に繋がる!

 ……しかし良いのか? 今回の件は敵に塩を送るようなもの。鈴にとってメリットがあるわけでもないだろう?」

「お生憎様、いくら箒が手ごわい相手だからって、この程度の情報も隠さないとアイツを落とせないほどアタシは安い女じゃないわ」

「鈴……」

「もう、行くわよ。見失っちゃう」

「……あぁ、そうしよう」

 

 

 速足で歩いてく鈴。微かに赤く染まった彼女の耳たぶに軽く笑みを浮かべ、箒もまた後に続くのだった。

 

 

 ※※※※※

 

 

「これなんてどうでしょう……うーん、ですがこちらも捨てがたい……この値段なら両方買うのもアリですわね……」

「値札の桁見てから言ってます?」

「当然ですわ。散財はよろしくはありませんが、この程度、わたくしが毎月自由に使えるお金で十分賄えますし」

「これが『本物』かぁ……」

 

 

 凄いよね、安いもので5桁前半の服や靴をポンポン買っていくんだよこのお嬢様。店員さんなんて揉み手のしすぎでそろそろ指紋が消えるんじゃないだろうか。

 買ったものは後日郵便で送ってもらうんだそうな。観光地のお土産じゃないんだぞと。

 

 

「フゥン……とりあえずこれくらいですわね。店員さん、お会計を」

「はい♪」

 

 

 あぁ、店員さんの瞳が¥マークになってるよ。まぁ仕方ない。だれだってそうなる。

 

 

「次はあちらのお店に行ってみましょうか」

「まだ買うの!?」

「わたくしのものではありませんわ、レオさんのお洋服です」

「え、いやいいよ。私はそういうの面倒になっちゃって結局同じブランドで統一する人だし」

 

 

 その言葉がセシリアさんの何かに触れてしまったらしい。

 

 

「とんでもありませんわ! レオさんも紳士なのですからお洋服の10セットや20セット持っていてもおかしくありません」

「いやその数はおかしい」

「レオさんはカッコ良いのですから、その素材を活かす服を着ないと!」

 

 

 しれっと褒めてくるのやめません? 心臓が破裂するんだが?

 どうやらテンションが上がっている状態で無意識に出た言葉らしい。特に変わった様子もなくセシリアさんは続ける。

 

 

「とりあえずあのお店にいたしましょう」

「待  っ  て」

「どうかされましたか?」

 

 

 いやどうかされましたかじゃないんだよ。

 彼女が指さしたのはバー〇〇〇……もとい、英国のガチな紳士服ブランドである。

 私もIS関連企業のテストパイロットとして給料をもらったりする身で稼ぎと呼べるものもある。あるが、海外のガチなブランドで紳士服を買う度胸はないかなぁって!

 

 

「? わたくしがレオさんのお洋服を見繕いたいだけですのでお代は気にしないで大丈夫ですわよ?」

「それはそれで私の男としての矜持が死んじゃうかなぁ」

 

 

 財政の死orプライドの死である。救いはないのですか……?

 

 

「と、とりあえず! 似合う似合わないもあるし、入ってみてダメそうなら他のお店に行くってことでどう?」

「お店にある分で足りなければオーダーメイドも検討しますが?」

「や  め  て」

 

 

 たぶんそれ私の給料貫通する。

 

 結局、お店では服ではなくネクタイとネクタイピンのセットを購入することになったのだった。代金についても、セシリアさんが払うならオルコット家のネームバリューで若干割引してもらえるということだったので、素直に甘える事にした。

 

 男の甲斐性? ネクタイ1本で3万円とかいう値札を見たら裸足で逃げ出したわ。

 

 

「お買い上げありがとうございます。

 失礼ながらオルコット様、今回のご用件はこちらでよろしいのでしょうか?」

「まぁ、今はこれで我慢するといたしましょう。レオさんにはいずれ、この程度のお洋服は普段着として着こなしていただくつもりですし」

「かしこまりました。私どももその時をお待ちしております」

 

 

 幸か不幸か、セシリアと店員との不穏な会話は、ブルジョアな世界にビビり散らかしていたレオの耳には入らなかった。

 

 

 ※※※※※

 

 

「……ねぇ箒」

「……なんだ」

「アタシの目の錯覚じゃなければ、今2人が出てきたお店ってバーバ○○よね?」

「そうか、鈴にも同じ幻覚が見えていたか」

 

 

 場面変わって覗き中のアフォ……もとい、将来における懸念の払拭のための行動を行っていた2人もまた、レオとセシリアがいわゆる『高級ブティック』から出てきたことに戦慄を禁じえなかった。

 

 

「あれが、本物のブルジョアという奴なのだな」

「アタシも一応代表候補生として色々と仕事はしてるけど、さっきあれだけ服買ってからまた買おうって気にはなれないわね……」

「だが見てみろ鈴、セシリアはどうやらまだ買う気みたいだぞ?」

「嘘でしょ……? あ、シキシマが別方面に連れていく気ね」

「あっちは確か……フードコートか」

「ナイス判断よ。いい加減アタシもお腹空いてたしこれ以上は精神衛生的にもギリギリだったわ」

 

 

 2人が付いてきているとも知らずにセシリアとレオはフードコートへと向かう。

 だがレオ(とオマケ2人)は知らない。この先で更なるカルチャーギャップに遭遇する事を。

 レオの心の平穏がいつ訪れるのか、それは、誰にもわからない。

 

 

 ※※※※※

 

 

「ふふ、もうこんな時間だなんて。楽しい時間はあっという間ですわね」

「全くです。けれども身体は正直なもので、恥ずかしい話ですがお腹の音が鳴り止みませんよ」

「あらあら」

 

 

 口元を手で抑えて笑うセシリアさん。「コロコロと笑う」という表現が実在した事を、今日初めて知った。

 

 

「セシリアさんのお口に合うと良いのですが、せっかくなのでフードコートで食べてみませんか?」

「まぁ! わたくし、前から気になっていたんですの」

 

 

 ガチ上流階級のお嬢様なセシリアさんにファストフード、はともかく庶民向けの(比較的)安い食べ物を食べさせるのって大丈夫だろうか。お家のイメージとか気になっちゃう。

 

 いや待て、迂闊にご飯とか言っちゃったけど、激混みが確定している日曜のお昼時、小さい子どもが走り回っていても何らおかしくない。

 もし、事故で汁物がセシリアさんに撥ねたら? まず間違いなく高級品であろう今のセシリアさんの服装、間違っても汚せない……!

 かといって今からレストランに変更するか? いやダメだ、セシリアさん自身も普段来ることのないフードコートにワクワクしているし、そもそもフードコートがもうすぐ近くだ。もう分水嶺は過ぎている……!

 

 ええいもうヤケだ。何かあったら私が弁償するくらいの覚悟で行くしかない。……10万円くらいで済めば良いなぁ。

 

 

 ※※※※※

 

 

「凄いですわね、IS学園の食堂みたいですわ」

「言われてみればそれに近いかもしれませんね。あそこほど各国の料理を楽しめる訳ではありませんが」

 

 

 はいやってきましたフードコート。広さとお店の多さにセシリアさんは驚いているようだが、私はそれどころではなかったりする。トレーを持った人が近くを通る度に目で追ってしまうくらいだ。

 

 

「これだけお店があると、どこにしようか迷ってしまいますわ」

「ですよね。でもそうやって迷う時間も楽しみの1つと考えれば、悪くないと思いませんか?」

「確かにそうですわね」

 

 

 そうやって2人してお店の一覧が表示された看板の前で迷う事少々。

 

 

「うーん、悩ましいですが、こちらにしますわ」

「……Oh」

 

 

 よりにもよって彼女が選んだのは、そこそこ安いのに美味しいと評判のラーメン屋だった。

 

 

「ら、ラーメンですか」

「えぇ! 日本のラーメン業界は競争が激しく、その分どのお店もレベルが高いと聞きます。実を言いますと前から楽しみにしていましたの」

「なるほど」

 

 

 ひ、否定できない……!

 確かに日本のラーメンは海外の人にも人気って話だ。セシリアさんが食べたいと思っても何も問題はない。今の服装以外はな!

 

 

「ラーメンとなると結構スープが撥ねますが、大丈夫ですかね?」

「わたくしも英国貴族の一員。テーブルマナーについては物心つく前から教えられていますわ」

 

 

 なら行ける、か……?

 貴族のテーブルマナーVS撥ねやすいラーメン。ラーメンが勝った場合私の胃と財布が死ぬ。

 

 

「なら私もそこにしましょう。そのお店の天津飯が前から気になっていたんですよね」

 

 

 レンゲで食べるからまず撥ねる心配のない天津飯をチョイスしつつ、私たちはお店へと向かうのだった。

 

 

 ※※※※※

 

 

「美味しかったですわ! ぜひまた食べてみたいものです」

「満足したようで何よりですよ。

 ちなみにここのようなフードコートでは、食後に自分で食器をお店に返すのがマナーなんです」

「そうでしたか。ではわたくしも」

 

 

 結論から言うと、ラーメンと貴族のテーブルマナーの勝負は、テーブルマナーに軍配が上がった。

 これまでの人生でトップクラスに緊張したお食事タイムを終え、汁の残った丼を運ぶセシリアさんの後ろをおっかなびっくり追い、無事に食器をお店に返却したところでようやく私は肩の荷が下ろせたのだった。

 

 と、緊張が解けたのがいけなかったのかもしれない。

 

 通路の角、柱の影から飛び出してきた小さなシルエットに私が気が付いたのは、全てが手遅れになった後だった。

 

 

「うわっ!?」

「キャッ!?」

「セシリアさん!」

 

 

 突然聞こえた小さな悲鳴。よろけた彼女の肩をとっさに掴み、倒れるのを防ぐ。

 

 

「大丈夫ですか!?」

「わたくしは大丈夫です。それよりもあなたは大丈夫ですか?」

 

 

 見ると、小学校低学年くらいの男の子が尻もちをついていた。おおかた、テンションの上がった子どもが飛び出してきたといったところだろう。

 セシリアさんにも男の子にもケガをした様子はない。ラーメンを運んでいた時でなくてよかったと安堵しかけて、セシリアさんの服を見た私は絶句した。

 

 セシリアさんのワンピース、その裾の辺りに、ベッタリとソフトクリームが付着していたのである。

 

 血の気が引くとはこの事か。男の子を追ってきた親御さんらしき男女も顔を真っ青にしている。

 

 

「すっすすすすみません! クリーニング代は出しますので!!」

 

 

 土下座せんばかりの勢いで謝り倒す親御さん。気持ちは分かる。黒塗りの高級車に擦ってしまったようなものだ。

 

 

「謝罪とお気持ちだけ受け取りますわ。子どものすることですもの、気にしていませんわ

 わたくしよりも、そちらの男の子にケガがなくて何よりですわ。

 

 でも、今度からはこのような場所で走り回ってはいけませんよ? あなたより小さい子どもだっているかもしれないのですから。良いですね?」

「うん……お姉ちゃん、ごめんなさい」

「よろしい、あなたを許しますわ」

 

 

 しかしセシリアさんはあっさりと許すと、むしろ男の子の方にケガがなくて良かったと告げ、その場を去った。私自身セシリアさんが少年やその保護者を許さず騒ぐ、なんて事はしないと確信してはいたものの、それにしたってあっさりすぎて驚いてしまった。

 

 

「セシリアさん、その服」

「バニラのアイスだったのは幸いでしたわね、すぐ拭きましたしそこまで気になりませんわ。

 ……ですがこのまま歩き回るのも問題なのも事実。少し早いですが、学園に戻りましょうか」

 

 

 確かに服のシミはよく見ないとそれとは気が付かないレベルだ。でも、気にしていない訳ではないだろう。

 だってセシリアさん、寂しそうな顔しているんだもの。

 

 

「……それなら帰る前に、一か所だけ寄り道しても良いですか?」

「え?」

 

 

 ※※※※※

 

 

「お、これなんてどうです? セシリアさんに似合いそうな色だ」

 

 

 ショッピングモールの一角にある少し小さなお店。学生向けのそのお店が取り扱っているのは、ビーズ細工やミサンガといった小さめのアクセサリーだ。

 値段で言えばセシリアさんがバンバン買っていた服とは比べるのもバカみたいな差がある。でも、私的にはどうしてもここでないといけない理由があった。

 

 

「むむむ……」

 

 

 真剣な顔つきで何本かのミサンガを手に取るセシリアさん。ブティックよりも真剣に選んでいるようにも見えるのは私の気のせいだろうか?

 

 

「セシリアさん、あくまで都市伝説なのでそんな悩まなくても……」

「ええそうですわね。ですがジンクスにも理由があってのこと。ないがしろにはできませんわ」

 

 

『○○ショッピングモールにあるアクセサリーショップで売っているミサンガを付けると、人間関係が良くなるらしい』

 

 

 私が聞いたウワサ。周りを見るといかにもこの手のジンクスが好きそうな同世代の男女が似たり寄ったりの表情で商品を選んでいる。

 

 

「こちらの色も良いのですが、こちらはよりレオさんに似合いそうですし……」

 

 

 セシリアさんが何かつぶやいているみたいだけれど、お店のBGMと周囲の人の喧騒に紛れてほとんど聞き取れない。それでも、かなり悩んでいる事だけは分かった。

 

「セシリアさん、これはどうでしょう。セシリアさんによく似合う色だと思いますよ」

 

 

 私が差し出した1組のミサンガ。見た瞬間にブルー・ティアーズを連想するほどよく似た色だったので思わず手に取った品だった。

 

 

「ペッ、ペアのミサンガですの!?」

「? えぇ、私もこの色が気に入りましたので」

「そそそそうでしたか、ならこちらにしましょうそうしましょう」

「???」

 

 

 やたら動揺しているセシリアさんを疑問に思いつつ会計を済ませ(流石に私が払った)、お店を出た所で早速セシリアさんに渡す。

 彼女は随分と恥ずかしそうにしながらも、それでも満面の笑みでミサンガを付けてくれたのだった。

 

 

 ※※※※※

 

 

 後になって。本当にずっと後になってから彼女に聞いたのだが、実はセシリアさんもこのお店のジンクスを聞いたことがあり、ただし私が知っていたものとはかなり違っていたのだそうだ。

 

 

『○○ショッピングモールにあるアクセサリーショップのミサンガを好きな人とペアで付けている男女は結ばれる』

 

 

 ご利益はありましたわと笑う彼女の机に、古くなったミサンガが大切に保管されているのは、私と彼女だけの秘密だ。




凄いよな、これでまだ付き合ってないんだぜ……?

ちなみにバー〇〇ーのネクタイはガチで三万円くらいします。(伊勢丹のオンラインショップでの価格)

あと、プレゼントに贈る物にも色々と意味があるらしく、ネクタイの場合、『あなたに首ったけ』『束縛させて』といった意味になるそうです。なんか急に湿度上がってきたな。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。