せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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ピーマンしかり自転車しかり歯医者しかり。
そんな訳で初投稿です。

あとUA60,000越えました。ありがとうございます。


苦手意識を無理矢理克服させる方法はたまに上手く行ったりする

 違和感。

 

 

 いつも機体を展開した時とは何かが微かに違う。

 

 

 違和感。

 

 

 何だ、何が違う?

 機体のコンディション――オールグリーン。セシリアさんたちも整備科の人たちも慌てた様子はない。少なくとも今の所機体に異常はないはず。

 

 

 違和感。

 

 

(あぁ、そうか)

 

 

 気が付いてしまえば何のことはない。

 浮いているから、視点が高いんだ。

 

 

 

『左右飛行ユニット、目視で確認中。異常は見られません』

『計測データ来ました! ……全ての数値、正常値です!』

『こちらも異常はありませんわ。ラウラさんは?』

『異常なしだ』

『管制室よりシキシマ君。これから試験中の間、君のコールサインはテスター1です。確認し、復唱してください』

「テスター1、了解しました」

『オルコットさん、ボーデヴィッヒさんはそれぞれテスター2、テスター3です。よろしいですね?』

『テスター2、了解しましたわ』

『こちらテスター3、了解した』

『なお試験中、あなたたちをテスター臨時小隊と呼称します。

 テスター3を小隊長とし、不測の事態が発生した場合は小隊長の指示に従ってください』

「『『了解!』』」

 

 

 誘導路のように視界に矢印が投影される。管制室からの指示だ。

 

 

『テスター1からカタパルトへ移動し、発進体勢に入ってください』

「了解」

 

 

 いつもとは違う、浮かびながら飛行ユニットのノズルの向きを調整して前に進むという移動方法。慣れないからかどうにもモタついてしまう。

 機体を歩かせるよりさらに数秒遅いくらいの時間がかかってしまったが、なんとかカタパルトまでたどり着くことができた。

 

 

「――カタパルト、接続完了」

『了解、テスター1のカタパルト接続確認。発進を許可します』

 

 

 カタパルト発進自体は何度もやってきたから大丈夫。

 それでも今回はいつもより念入りに確認を行った。

 

 ――大丈夫。行こう。

 

 

「テスター1、レオ・シキシマ、発進します!」

 

 

 カタパルト上のライトがレッドからグリーンに変わった。

 シャトルが火花を散らし、急激な加速によって視野が狭まる。

 

 1秒にも満たない時間の後、機体の足の裏とシャトルの接続が解除され、加速しきった機体はアリーナに飛び出していった。

 

 

 ※※※※※

 

 

「っととと、よし……!」

 

 

 アリーナに飛び出した私がまず始めにしたことは、『その場に留まる』ことだった。

 今回の試験は補助兼緊急対応のセシリアさんたちの同行が前提になっている。発進こそ私が先行してはいるものの、1人では何も始められない。

 ボーダーブレイクでのカタパルト移動の感覚と言えばわかりやすいだろうか。カタパルトで大ジャンプし、放物線の頂点で後ろ方向にブースターを噴かす事でその場に留まるようなものだ。

 

 

(飛行ユニットは……大丈夫そうだな)

 

 

 整備科の人たちを信じていない訳ではない。彼女たちもまた、ISの整備を学ぶために世界中から集まったスペシャリスト集団だ。先生もいるし、出来上がった物についても試験をしている。

 

 

『お待たせいたしましたわ』

『こちらも到着した』

「私もさっき着いた所なので大丈夫ですよ」

『……クラリッサに聞いたことがある。日本ではデートの時の待ち合わせにこのようなやりとりをするのだろう?』

『まぁ! レオさんが女性2人をエスコートできるとは意外ですわね』

「待  っ  て」

 

 

 確かにそれっぽく聞こえなくもない発言だったかもしれないけれど今それ言う!?

 

 

『んんッ! こちら管制室。テスター1~3の目標空域到達を確認しました。これより試作型飛行ユニットの実機試験を開始します。

 テスター1、これから表示する地点に指定した出力で移動してください』

「アッハイ」

 

 

 水平で10時の方向に50メートル、出力は30%

 同じく水平に1時方向、100メートル、出力70%

 今度は水平に6時方向、垂直に11時の方向、距離200メートル、出力50%

 

 

『良い感じですね、数値も誤差の範囲内です。テスター1、パイロットとして何かありますか?』

「そうですね、もう少し反応速度を上げてもいいかもしれません」

『了解しました』

 

 

 これはもしかしたら初期クーガーだから遅く感じるのかもしれないな。いや、でも私的には本当にもう少しカリカリした反応速度の方がやりやすいし……

 後でシュライク辺りの軽量機で試すか。

 

 

『それでは次の試験項目に移ります。武装を展開してください』

「了解!」

 

 

 ※※※※※

 

 

 空中で静止した状態での停止目標・動体目標への射撃試験。

 一定速度で移動しながらの停止目標・動体目標への射撃試験。

 速度を変更しながらの射撃試験。

 近接戦闘、爆発物の投擲、変わり種では移動しながらの榴弾砲の発射までやった。

 

 ボーダーブレイクのゲームでは榴弾砲の発射は静止して行わなければいけなかったが、こうしてISのカスタムのようになった事で、本来なら静止しながら行わなければいけなかった動作――榴弾砲等大口径砲の発射、偵察機の射出、レーダーユニットの展開等だ――を移動しながらでも行えるようになった。当然、精度の低下といったデメリットもあるが、兵は拙速を尊ぶの格言もある。スピードはかなりレベルの高い優先事項なのだ。

 

 そして、それらの最後に。

 

 

『それでは、最高出力での連続稼働試験を行います。

 テスター2、3はいつでも援護を行えるよう待機してください』

『『了解!』』

「2人とも、もしもの時はお願いします。

 

 テスター1より管制室、試験を開始します……!」

 

 

 本日最大の山場が、やってきた。

 

 

 ※※※※※

 

 

 IS学園近傍の訓練空域。

 管制室から指示された座標で滞空しながら、私は大きく深呼吸をした。

 

 緊張は、もちろんある。

 信頼できる2人がバックアップについていてくれるのは分かっているけれど、恐怖心はやっぱり消えてはくれない。紐があるからバンジーが怖くない訳ではないのと同じようなものだ。

 

 

「それでは、――行きます」

 

 

 静から動へ。ゆっくりと、滑るように機体を動かす。

 だんだんと出力を上げていく飛行ユニットにブレーキをかけたくなるのを根性で抑え込み、逆にアクセルを踏み込む。

 チラと後方を確認すれば、私の斜め後方、左右それぞれにセシリアさんとラウラさんの姿があって、それが私の心を少し落ち着かせてくれた。

 

 

『飛行ユニットの圧力上昇中。正常の範囲内です』

「了解」

 

 

 まだまだ出力の限界ではないが、既にスピードはかなり出ている。

 

 

(それも当然か)

 

 

 そもそもがISは広大な宇宙で活動するのが目的の物だ。大気圏内ではマッハのスピードでもかなりの高速だが、それでは重力の軛から抜け出す事もできやしない。

 マッハ24。秒速8キロメートル。バカみたいなスピードだが、それだけ出してようやく物体は大気圏外に飛び立つことを許される。

 

 

 

「出力上昇中……75、80、85」

 

 

 速度計を見たらたぶん怖気づく。それでも私は出力を上げ続けた。

 

 

『90……95……最大出力!』

「ッ!」

 

 

 一瞬速度計に目をやってしまい――チビるかと思うような速度が出ていた。今なら対空ミサイルが相手でも直線勝負で振り切れる。

 

 

『現在の出力を維持してください』

「了ッ……解!」

 

 

 雲が出ている分速度感が分かりやすい。というか今のスピードだと東京―サンフランシスコ間の8800キロを3時間くらいで飛べちゃうんだよね。そりゃこれまでの兵器が屑鉄になる訳だ。

 

 

『試験時間終了まで10秒前……5、4、3、2、1、試験終了!』

 

 

 フッと気が緩みそうになり、慌てて首を振った。これからやる事を思い出せ、下手に飛行ユニットの運転を緩めたら危険だ。

 

 

『テスター2よりテスター1、出力の低下はもう少し大きくでも大丈夫ですわ』

「テスター1了解、ありがとうございます」

『管制室よりテスター臨時小隊、間もなくハワイ州の防空識別圏に接近します。米軍には今回の試験は通達してありますが、何かあればテスター3が対応してください』

『テスター3、了解した』

 

 

 それから30秒もしない内に、機体のセンサーが接近してくる機体を捉えた。

 

 

『あーあー、こちらはアメリカ太平洋空軍・第15航空団・第19戦闘飛行隊のハリス少佐よ。そちらの所属と官姓名を明かしなさい』

 

 

 見る間に私たちの近くにやってきた3機のIS。確認するまでもないがアメリカ軍のIS部隊だ。

 

 

『こちらはIS学園所属、テスター臨時小隊のラウラ・ボーデヴィッヒだ。そちらにもフライト・プランの提出は行われているはずだ』

『確認するわ……OK、一致した。

 Oh、ミスターセカンドもいるのね! ハィミスターシキシマ、ハワイへようこそ。君さえ良ければアメリカに移住とかどう? みんないい子ばっかりだから楽しめ――』

『ハリス少佐? 臨時とはいえ、彼は今私の部下だ。粉をかけるのはやめてもらおうか?』

「私としては観光で行くならハワイ行ってみたいんですがね、まぁ当分は日本人でいますよ」

『あら、振られちゃったわね。

 それじゃあお姉さんはこの辺りで失礼するわ。

 何かトラブルが起きた場合は国際共通チャンネルで発信してね。チャオ』

 

 

 最後に片手でビッと緩く敬礼を飛ばし、アメリカ軍機は去っていった。

 

 

「なんというか……実にアメリカンな方でしたね」

『テスター1としてはあの方のような女性がタイプなのでしょうか?』

「え」

『むぅ、確かにかなりのスタイルだったが、私がいるにも関わらず他の女性に目移りするには関心しないな』

「ちょ、まっ」

『帰ったら、お時間、くださいね?』

『なに、そこまで時間は取らせないぞ。

 嫁が素直に応じれば、の話だが』

 

 

 ひええええ、目が、目が欠片も笑ってないぃ!?

 

 両サイドを挟まれているというシチュエーションも相まって、まるで領空侵犯やらかして迎撃機に追尾されているパイロットのような気持ちになりながら、私は機体のスピードを巡航速度にまで落とすのだった。

 

 

 ※※※※※

 

 

 ハワイの防空識別圏から離れ、太平洋上でUターンする頃には、すっかり日も傾き、というか日没間近になっていた。

 

 

(ハワイの夕陽は格別って聞いたけど、これは確かに凄いかも)

 

 

 マジックアワーと呼ばれる時間がある。

 日の出、あるいは日の入りの前後、太陽の位置によって空の色がめくるめく変わりゆく1日に2度見られる天文ショー。

 水平線の彼方に太陽の最後の一片が沈んだ瞬間、空はオレンジのような紫のような、夕方と夜の狭間の色を映し出す。

 

 

「わぁ……ぁ……」

 

 

 無意識的に声が漏れた。

 自分という存在が解けて、空と一体化するような錯覚。

 ISの事も、試験の事も、これから訪れるであろう試練の事も、今だけは頭から消え去っていた。

 

 

『こちらIS学園管制室、テスター臨時小隊各機聞こえますか?』

『テスター1、大丈夫です』

『テスター2、聞こえますわ』

『テスター3、問題ない』

『先ほどの最大出力発揮試験で予定されていた試験項目は全て消化しました。

 ですが学園側としてはテスター1に行ってもらいたい訓練があります』

 

 

 ……何だ? 妙に前振りが長いというか、歯切れが悪いというか。

 私が内心訝しんでいる間にも管制官の話は続く。

 

 

『この訓練を実施するかどうかはテスター1の判断に一任します。もし訓練を行わなかったとしてもテスター1の不利益になるような事はないと保証します』

「あの、何か危険な事ですか?」

『……はい。緊急事態が発生した場合の対処訓練です。

 

 具体的には、テスター1の飛行ユニットを一時的に動作不良状態にします。

 

 緊急時でも冷静に対処するための訓練です』

 

 

 その言葉の意味を、すぐには理解できなかった。

 1か月ほど前の、あの事故の記憶がよみがえる。

 

 

(アレを、再現して、対処しろって?)

 

 

 激情が胸の中で吹き荒れると同時に、冷静な自分が指摘してくる。

 

 

(緊急事態への対処はどれだけ訓練したって良い。ましてや今はセシリアさんにラウラさん、2人の代表候補生がつきっきりでサポートしてくれるんだ。安全性はほぼ完璧に担保されていると言えるだろう。

 むしろこの機会に体験しておいた方が良い)

 

 

 理屈の上では理解できるが感情が追いつかない、の典型的な見本になりつつも、最終的に軍配が上がったのは理屈の方だった。

 

 

「――テスター1、了解しました。緊急事態対処訓練を行います」

『IS学園管制室了解。テスター2、3はサポートに当たってください』

 

 

 通信が切れ、それと同時に大きなため息が零れた。

 

 

『あの、レオさん』

「無理しないでって言葉は今は受け付けませんよ? 実際にこの訓練は大事なものだって分かってはいるんですから」

『ですが……!』

『まぁ待てセシリア。嫁もこう言っているし、そもそも私たちは非常時に嫁を支える為についてきたのだろう? 今は目的を果たす事だけを考えれば良い』

『……そう、ですわね。

 お見苦しい所を見せましたわ』

「大丈夫です。正直私だって本音としてはこんな事やりたくないって思ってますし」

『とはいえ軍ではこの手の訓練は最も重要と言っても良いものだぞ? 私も両手を縛った上で水中に沈んだ車両から脱出する訓練をしたものだ』

「それ何てネイビーシールズ?」

 

 

 下手すれば死人が出るんじゃないかなその訓練。あ、今から私がするヤツもその類か。

 でも大丈夫と思う事にする。セシリアさんの技量は私もよく知っているし、ラウラさんのAICやワイヤーブレードのレベルの高さは身をもって味わった。

 

 

(だから――そうか)

 

 

 彼女たちの技量の高さはよく知っている。

 セシリアさんの人柄も理解しているし、ラウラさんについても味方を見捨てるような人ではないだろう。

 

 

 だから――信じられる。

 

 

「テスター2――いえ、セシリアさん、ラウラさん。

 私は2人を信じます」

 

 

 状況が状況だからかもしれないけれど、『信じる』事の何と勇気のいることか。

 だからこそ、一度信じると決めたら、何があってもそれを貫こうと思えた。

 

 

「試験、開始」

 

 

 告げると同時に私は右側の飛行ユニットを停止させた。

 

 

(ッ! 思っていたよりも、コイツは!)

 

 

 瞬間、身体に襲い来る衝撃。推進力がいきなり半分になった上に大きくバランスが崩れたのだから当たり前か。

 機体の水平を保たなければ。生きている左側の推進器を吹かし、また機体を捻って最適なバランスを探る。

 それと同時に国際共通チャンネルでのダミー救難信号を発信。その後にIS学園管制室に訓練用の緊急通信を入れる。

 

 私の知る限り原作でのISで緊急脱出等の描写は無かった。単純に作者がそこまで考えていなかった説が私としては最有力だけれど、それを抜きにしてもPIC、慣性を無効化するシステムは物理法則に喧嘩を売るチートだ。PICが作動しているだけでISは「事故墜落」という可能性をゼロにできるのだから。

 しかし私の機体は今PIC無しで飛行ユニット――それも片方だけの――の推進力のみで浮かんでいる状態だ。飛行ユニットの燃料切れやバランスを崩すといった墜落の要素がいくらでもある。

 

 

「直近の飛行場または船舶による着陸等――不可。

 これより不時着水の手順に移ります」

 

 

 正直に言えば今の状態でもミッドウェー島の飛行場なら行けるのだが、まぁ今は訓練という事で太平洋のど真ん中で遭難した事にする。

 ここからの手順は私も座学と、学園での5メートルくらいの高さで1回だけやった実習でしか経験がない。もう今から怖いけれどやるしかない!

 

 水平飛行を行っている今の状態から、上昇する時のように頭を空へ向ける。当然機体は失速する――

 

 

「今、だッ!」

 

 

 ――失速する直前、地面または水面と機体がほぼ垂直になる状態で飛行ユニットの推進器を噴射! VTOL機のように下方向にアフターバーナーを出しながら、ゆっくりと高度が下がっていく。

 

 

(よし、これなら、行け、る――!?)

 

 

 気を緩めた訳ではなかった。

 突発的に吹いた強風、それによって私はバランスを崩し――

 

 

『――良し』

『捕まえ、ましたわ……!』

 

 

 ラウラさんのAICによって空中にピタリと静止し、またセシリアさんによって両手首をしっかり捕まれていたのだった。

 

 

 ※※※※※

 

 

『訓練完了です、お疲れさまでした』

「あ゛ぁー、怖かった……」

 

 

 管制室より訓練の終了が告げられると同時に、どっと疲れが押し寄せてきた。

 それも当然だろう。全力発揮訓練ではマッハ4近いスピードをかなりの時間出し続け、その後に米軍のナイスバディなお姉さんからヘッドハンティングがあり、トドメに疑似的な墜落体験だ。肉体的にもそうだけれど、精神的な疲労感がとんでもないことになっている。

 

 

「よし帰ろうそうしましょう、こんな時はさっさと帰ってご飯食べてお風呂入って寝るのが一番だきっとそうだ」

 

 

 私というお荷物の面倒を見ながらいざという時の対処人員でもあったセシリアさんやラウラさんも似たような感じなのか苦笑いだ。

 

 

『流石にお疲れのようですわね?』

「それはそうですよ。というか今さらですがこんなハードな内容の訓練なら夕方じゃなくて日中に行うべきなんじゃ……?」

『それもそうだな。いかにISのセンサーが優秀とはいえ日中と夜間では危険度に差があるのは当然だ』

『ま、まぁ最初に厳しい訓練を経験しておけば後が楽になるとも言いますし、ね?』

「表情が無理な事言ってるって物語っていますよ」

 

 

 と、既に夜になっているにしてはなんだか周囲が明るい気がして、

 ――夜空を見上げてその理由が判明した。

 

 

「わぁ……!」

『綺麗、ですわね……』

『そう、だな……』

 

 

 一番近い陸地から何百キロメートル以上も離れた海上では人口の光なんて全く無くて、だからこそ普段は街の光に隠されてしまう星々の輝きが空いっぱいに広がっていた。

 文字通り満天の星空。こんな夜空を見たのは生まれて初めて――いや、2回目か。

 でも今の方が間違いなく幸せな気持ちでこの絶景を見ていられる。

 

 

「まぁ何はともあれ、無事に終われてよかった。2人のおかげです。

 

 本当に、ありがとうございました」

『お礼を言うのは早いですわ。学園に戻るまでが訓練でしてよ?』

『む、そうだな。ひょっとしたら奇襲への対処訓練といっていきなり教師に襲い掛かられるかもしれん』

「いくらなんでもそれは無い……とも言い切れないのが怖い所か。

じゃあ道中もよろしくお願いしますね」

 

 

 結局道中何も起こる事もなく。私たちは無事に帰還し、

 

 私はついに、空を駆けるための翼を手に入れたのだった。




このお話を書いてて思い出したのが、東日本大震災の当日の夜の事でした。
非常用電源のある建物を除いたほぼ全ての建物が停電したあの日の夜、恐ろしいくらい星が綺麗だったのをよく覚えています。
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