せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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引っ越しの準備でクソ忙しいので初投稿です。
日中仕事で帰ってから日付変わるくらいまで準備とか涙がで、出ますよ……


IS二次で般若心経唱えるのは多分ここだけだろ

 青い空!

 輝く太陽!

 

 

「白い砂浜って熱っつ!? やべ熱っつ!?」

「バカだ、バカがいる」

 

 

 浜辺に着いた瞬間ノータイムで突撃をかました織斑が熱さに悲鳴をあげながら飛び跳ねている。そら(太陽光線を全反射してる砂浜に突撃したら)そう(もなる)よ。

 

 

「これ思ったより熱いわ! 早く海入らねぇと!」

「準備運動はしっかりしろよ?」

「お、そうだなって熱ぃい!」

 

 

 つま先立ちでピョンピョンしていた織斑に呼びかけるとあっけない程素直にラジオ体操を始めようとし、コンマ2秒で悲鳴をあげていた。学習って知ってる……?

 

 結局、篠ノ之博士の事は織斑先生にも報告した。生徒には不審者への注意喚起がされ教職員によるパトロールも行われたが、あの天才を我々一般人がそう簡単に見つけられる筈もなく、博士は行方不明になってしまい、私たち生徒には『見かけたら教員に通報してね』くらいの呼びかけがされたのだった。

 

 私も準備運動はしておく。泳ぎはからっきしだがせっかくの海なんだ、膝がつかるくらいの水位で水遊びしたい。

 

 

「ってやば、日焼け止め塗らなきゃ」

 

 

 日焼け止め忘れた場所の痛みは地味に効く上に見た目にも悪いからね。男子校ならいざ知らずIS学園はほぼ女子高だ。身だしなみには気を遣いすぎるくらいでちょうどいい。

 

 

「織斑ぁ、日焼け止め塗ったかー?」

「やべ、塗ってなかったわ!」

 

 

 旅館の人がセッティングしてくれたのか、砂浜には多くのパラソルと椅子が並び、生徒が自由に休憩できるようになっている。その1つをありがたく使わせてもらう事にして、私と織斑は日焼け止めをあちこちに塗りたくるのだった。

 

 

「しっかし、女子誰もいないな」

「準備に時間がかかるんでしょ。私たちみたいに海パン履いてハイ終わりって訳じゃないし日焼け止めとか男には想像できないくらいに気を遣うだろうし」

「あぁ、そういう手間もあったな。その点男は楽でいいな」

「気を遣わなければの話だけどね。気にする人は気にするだろうし」

「それもそうか。レオも上に羽織ってるしな」

「そうそう。焼いた所で誰かに見せる訳でもないしね」

「俺はともかく、レオはどうなんだ……?」

「いや見せないよ。……見られるかもしれないけど」

「あ、織斑君にシキシマ君もう来てる!」

 

 

 ほぼ女子高に放り込まれた悲哀を織斑と語っていると、陸側から黄色い声があがった。もう見ないでも分かるね、女子たちが準備を終えてこちらに着き始めたのだ。

 だが、振り返ってみると複数の女子生徒が一定のラインからこちらへ来ない。いや何故?

 ごめん何故とか言ったけど見当ついてるわ。だってさっきからこっちチラ見しながらヒソヒソ話してるんだもの。ハイパーセンサーが無くても話の中身予想ができちゃうんだもの……

 

 ……はい。それじゃあハイパーセンサーオンにしますねー。

 

 

「お、織斑君の身体ヤバくない!?」

「分かる、普段から筋肉しっかりしてるなって思ってたけど脱いだら予想以上にヤバかった」

「胸筋とかもうえっちでしょ」

「わたくし的にはレオさんが刺さりますわ。第一上着を着ているのに前が開いているのは最早わたくしを誘っていると言っても過言ではありませんわ」

「過言だぞ」

「ですがラウラさん!」

「あの状態の嫁の良さは何といっても鎖骨だろう。普段あまり見る事の出来ない彼の鎖骨を堪能できるのだ、これをチャンスと言わずに何というのか」

 

 

 ハイパーセンサーオフ。俺は海へと駆け出した。

 

 

「あれ、レオも泳ぐのか?」

「そうだよチクショウ! こんな所にいられるか! 俺は泳がせてもらう!」

 

 

 散々太陽に照らされた砂が熱い。でもそんな事海に入ってしまえば関係ない。バカ野郎俺は逃げるぞ。さぁ行くぞ、俺たちの夏はこれからだ――!

 

 

「レオよ」

「少々よろしいでしょうか?」

「なん、だと……?」

 

 

 両肩に置かれる手。誰の手かなんてもう声で分かる。というか待て、2人と俺の距離は10メートルはあったはず、その上に先にスタートした俺に、どうやって後から動き出した2人が『一瞬で追いついた』?

 

 

「使ったな? ISを……!」

「何の事だ?」

「記憶にございませんわ?」

 

 

 おい誰だコイツらを代表候補生にした奴は! 責任者出てこい!

 

 

「お、お織斑、助けてくれ」

「俺はなんて無力なんだッ!」

「諦めんなよ! どうしてそこで諦めちゃうんだよ!」

「お話は済みましたか?」

「や、やめるんだ。話せば分かる」

「問答無用だ」

「ああああぁぁぁぁ……」

 

 

 そして俺は、のほほんさんが携帯で流し始めたドナドナをBGMに、2人のパラソルまで連行されるのであった。

いやドナドナはやめてくれよ。

 

 

 ※※※※※

 

 

「さてレオさん。覚悟はよろしいでしょうか?」

「良くないって言ったらやめてくれますかねぇ?」

「その場合レオさんの覚悟ができるまで待って差し上げますわ。ちなみにわたくしは覚悟できていますわ」

「カッコ良いなぁチクショウ!

 ……ちなみにラウラさんは何故に棒立ち?」

「私の順番は次だからな」

「スゥ……アッハイ」

 

 

 もういいヤケだ。こうなったらとことんまで付き合ってやろうじゃねぇか1

 

 

「それで? 私はセシリアさんに何をすればいいんでしょうか?」

「実は、日焼け止めクリームを塗りたいのですがわたくし一人では背中まで手が届かないもので……レオさんに塗って頂きたいのです」

「更衣室で!! 女子に!! やってもらえばいいでしょうが!!」

 

 

 思わず飛び出る魂のツッコミ。仕方ないだろう? いくらなんでも乙女の柔肌に野郎が触れるのはラインを越えてる。

 

 

「先ほどの騒動で着替えるのが遅れてしまったもので」

「しれっと言うけどセシリアさん浜に着いたの相当速かったからね?」

「あーあー海風で聞こえませんわー」

「……やっぱり逃げようかな」

「そのための私だ」

「退路がない!?」

「こうしている間もわたくし日焼けしてしまいますわ……レオさんが塗ってくれないばかりにわたくしの背中は真っ赤になってしまうのですわ……」

「……ムラが出ても知りませんよ?」

「構いませんわ。

 では、お願いしますね?」

「ウ゛ッ」

 

 

 うつぶせになったセシリアさんは何を思ったのか背中で留められていた水着の紐を外し――これR15じゃ済まねぇだろ。

 そして俺の脳内に流れる――存在しない記憶。

 

 

 ※※※※※

 

 

「煩悩第7梯団消滅、機雷原の損耗率90%!」

「振動センサーに感有り、煩悩第8、第9梯団です!」

「機雷原突破されます!」

 

 

 シキシマ島への上陸を目論む煩悩集団と戦闘が開始されてから3時間。敵の圧倒的な物量に3重の機雷原が突破された。無論この事を予期して海岸線には地雷原や対戦車壕といった障害、そして我が持ちうる全ての火力を指向させてある。

 

 

「駆逐艦隊による爆雷攻撃が開始されました。煩悩第8梯団、50%が消滅」

「振動センサー反応なおも増大! 推定個体数、2万以上! 計測不能です!」

「何だと!?」

 

 

 しかし敵の持つ最大の武器はその物量だ。ヤツらには恐れも何もない。目の前で仲間が地雷を踏みぬこうが、後続がその死体を踏み越えてこちらに向かってくる。

 

 

「織斑に応援を要請しろ!」

「織斑も煩悩による襲撃を受けており、対処不可とのことです!」

「先生は!?」

「……未だに旅館から出てきていません」

「何のための引率だ……!!」

 

 

 思わず机を叩く。手の痛みで思考は晴れるがこの状況を何とかする名案など浮かぶはずもない。

 

 

「……最悪の場合『アレ』を使う。諸君らは脱出の用意を」

「ですが司令!」

「全責任は私が負う! ……領土は取り戻せるが経験を積んだ兵士は替えが効かない。ここは私のワガママを聞いてはくれまいか?」

「……ッ! 承知いたしましたッ!!」

 

 

 瞳に涙を湛えながらも私の目をまっすぐ見つめて敬礼する副司令に答礼を返す。大丈夫、彼も優秀な男だ。きっと皆を無事に避難させてくれる。

 

 元々この島には大した戦力もなかった。敵がやってくると判明した時、島民の避難後に運び込まれて基地の地下格納庫に搬入されたとある兵器がある。起動コードは基地司令にのみ伝達され、基地の放棄といった緊急事態にのみ使用が許可されている忌み嫌われし兵器。

 よもや私が『アレ』を使う日が来ようとは……

 

 司令部要員が脱出し、ガランとした司令室で、私は一人自嘲するのだった。

 

 

 ※※※※※

 

 

「では、始めますよ……!」

「えぇ、来てください……」

 

 

 何かそれっぽい言い方やめよ? 日焼け止め塗るだけだからね?

 

 そして私は無駄に緊張しながらクリームを手に取り、冷たくなり過ぎないように軽く揉んで温め、そして無駄に緊張しながらセシリアさんの背に手を伸ばし……

 

 

「んっ……」

 

 

 彼女の肌に触れた瞬間聞こえてきた艶っぽい声に、再び存在しない記憶が脳内に溢れるのだった。

 

 

 ※※※※※

 

 

『地雷原消滅』

『自動防衛システム、第1~第9まで反応ロスト』

『敵、なおも反応増大中』

 

 

 モニターに映るのは絶望的な状況ばかりだ。いや、一つだけ良い報告ださっきあったな。

 

 

『味方輸送船、脱出完了』

 

 

 ……大丈夫だ。彼らならきっと、この先も戦い抜いてくれる。

 

 

『基地ゲートが突破されました。防衛部隊は至急当該箇所に――』

「ふ……もう誰も残っていないさ」

 

 

 自動音声に苦笑を返し、私は滅びの詩を唱える。

 

 

「基地司令レオ・シキシマの権限で秘匿コード入力。

 HA―NNYA―SIN―GYO」

『秘匿コードを受け付けました。秘匿兵器、起爆します』

 

 

 覚悟は決まっている。あとはどれだけの敵を巻き込めるか、楽しみにさせてもらおう

 

 

 次の瞬間、衝撃と共に私は床に投げ出された。

 

 

「グッ……!? 何だ!?」

 

 

 いや、つい言ってしまっただけで何が起きたかなど分かり切っている。

 司令室の分厚い隔壁を文字通り「食い破って」、煩悩がやってきたのだ。

 これから私を殺すであろう煩悩の醜悪な姿を前にしても、不思議と私は穏やかな気持ちでいられた。

 それでもただこれだけは言っておきたくて、私は大きく息を吸う。

 

 

「残念だったな! さぁかかってこい、私が相手になってやる!!」

 

 

 刹那、光と共に私は無に還った。

 

 

 ※※※※※

 

 

「仏 説 摩 訶 般 若 波 羅 蜜 多 心 経

観 自 在 菩 薩 行 深 般 若 波 羅 蜜 多

時 照 見 五 蘊 皆 空 度 一 切 苦 厄

舎 利 子 色 不 異 空 空 不 異 色 色 即 是

空 空 即 是 色 受 想 行 識 亦 復 如 是

舎 利 子 是 諸 法 空 相 不 生 不 滅 不 垢 不 浄

不 増 不 減 是 故 空 中 無 色 無 受 想 行 識 無 眼 耳

鼻 舌 身 意 無 色 声 香 味 触 法 無 眼 界 乃 至

無 意 識 界 無 無 明 亦 無 無 明 尽 乃 至 無 老 死 亦

無 老 死 尽 無 苦 集 滅 道 無 智 亦 無 得 以

無 所 得 故 菩 提 薩 埵 依 般 若 波 羅 蜜 多

故 心 無 罣 礙 無 罣 礙 故 無 有 恐 怖 遠 離 一 切 顛 倒

夢 想 究 竟 涅 槃 三 世 諸 仏 依 般 若 波 羅 蜜 多

故 得 阿 耨 多 羅 三 藐 三 菩 提 故 知 般 若 波 羅 蜜 多

是 大 神 呪 是 大 明 呪 是 無 上 呪 是 無 等 等 呪

能 除 一 切 苦 真 実 不 虚 故 説 般 若 波 羅 蜜 多

呪 即 説 呪 曰 羯 諦 羯 諦 波 羅 羯 諦 波 羅 僧 羯 諦

菩 提 薩 婆 訶 般 若 心 経」

 

「レオさん!? 急に呪文を!?」

「もしかしたら熱中症かもしれん、至急救護を」

 

 

その後、私はやって来た織斑先生にぶっ叩かれて正気に戻った。




存在しない記憶はマブラヴ準拠

とうとう明日、9/9をもってPS版のボーダーブレイクもサービス終了です。
ブラスト乗りの皆さんは最後に戦場を駆け抜けられましたか?
悔いのない最期をお迎えください
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