せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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お待たせしました。
年度末って奴が悪いんだ……っ!

投稿ペースが落ちない作者ニキネキはどんな生活をしているんだ……ちゃんと寝てる?


よく考えなくても校内で襲撃事件が起こるのはおかしい

『さて、今月中旬に控えた一大イベントである学園祭なのだけれど、今回に限り特別ルールを導入しようと思います。

 

それは』

 

 

 会長がどこからか取り出した扇子を勢いよく開いた直後、空中投影ディスプレイが展開され、デカデカと『特別ルール』とやらが発表された。

 

 

『題して、【各部活対抗、男子生徒争奪戦】!』

 

 

「は?」

「はあああああ!?」

 

 

 隣で織斑が大声を出している。良かった、おかしいと感じたのは私だけではなかったみたいだ。

 

 

『これまでの学園祭だと、部活ごとに催し物を出し、それに対して投票を行い、上位の部活動には部費に特別助成金を上乗せしていました。

 でも、今年はそれじゃあちょっとつまらないわよね? なので……

 

 今年入学した2人の男子生徒のどちらかを、1位の部活動に強制入部させましょう!』

 

 

 もうこの時点で私は察したよね。ラブコメ時空なこの学園の女子たちが、イベントが始まろうものならどんなリアクションを取るのか、なんてさ。

 

 

「おぉ……やるわよぉぉぉぉ!!」

「最低でも1位、最高で1位よ!」

「副部長、会議の準備をして! 秋季大会? 放っとけ! あんなの」

 

 

 哀れ秋季大会。というか男子の獲得>これまでの努力、な部活はちょっとどうかと思うぞ……?

 とはいえ勢いのついた女子たちはもう止まらない。かくして当事者たる私と織斑に一切の承諾を得ないまま、男子生徒争奪戦が始まった。

 

 

 ※※※※※

 

 

・『織斑一夏とホストクラブ』

・『織斑一夏とポッキーゲーム』

・『レオ・シキシマと王様ゲーム』

・『レオ・シキシマとツイスター』

 

 これ、なーんだ?

 正解は『学園祭での我がクラスの出し物候補』でしたー!

 

 地獄か? ここは……?

 

 

「却下だ却下! こんなのやれる訳ないだろ!? だいたい誰が喜ぶんだよこんなもん!」

 

 

 流石の織斑も不味いと思ったのか、挙がった候補に片っ端からダメ出しをしている。いいぞもっとやれ。

 

 

「わたくしは嬉しいですが?」

「そうだそうだ! 女子を喜ばせる義務を全うせよ!」

「男子生徒は共有財産である!」

「そんな義務があってたまるか、あとこの学校で私たちに価値があるのは否定しないけどそれを本人の前で言うか?」

 

 

 とりあえず最初に発言したOルコットさんとはあとでお話しするとして。

 (一応)学級委員長である織斑の仕切りに従っているとはいえ、このままではいつクラスの出し物が決まるか分かったもんじゃない。ちなみに担任の織斑先生は「時間がかかりそうだから職員室に戻る。決まったら呼べ」と山田先生に任せてさっさと離脱してしまった。それでも担任か。

 

 

「あの、山田先生は何か意見があったりしますか?」

 

 

 頼むぞ山田先生、ここは大人の意見ってやつを見せてくれ。

 

 

「わ、私はそうですね……ポッキーゲームなんて、どうでしょうか……?」

「チクショウめぇ! ツッコミ役が少なすぎる!」

 

 

 シュタイナーはどこにいるんだアンポンタン。

 

 

 ストッパー不在の中、会議は踊り、とんでもない案と比較的マシなろくでもない案が飛び交う。昨日セシリアさんに言われた台詞じゃないけれど、「女の人っていつもそうですよね!?」とか言いたくなる。

 

 

「発言、いいだろうか?」

 

 

 混沌とした教室をラウラさんの声が貫いた。

 自然と集中したみんなの視線の先で、ラウラさんは周囲を見渡しながら自分の意見を述べる。

 

 

「メイド喫茶などは、どうだろうか?」

「えっ?」

 

 

 メイド喫茶。メイド喫茶って、アレか? あの秋葉原とかにあるアットホームなカフェとか、そういうアレの事?

 まさかラウラさんの口からメイド喫茶という単語が出てくるとは思わなかった。クラスのみんなもそうなんだろう、山田先生もポカーンとした顔をしている。

 

 

「な、なんだ? 私はそれなりに利点があると思うのだが……

 客受けは良いだろうし経費の回収も行える。確か当日は外部の人間も客として学園に入れるのだろう? であれば休憩所としての需要も見込めるはずだ」

 

 

 急に注目を集めたからか、少し恥ずかしそうなラウラさんがメイド喫茶の利点を挙げる。違うんだラウラさん、賛成反対以前に貴女からそんな意見が出てきたことにみんなめちゃくちゃ驚いているだけなんだ……

 

 

「みんなはどう思う?」

「いいんじゃないかな? 一夏とシキシマ君には執事とか、厨房を担当してもらえばオーケーだと思うよ」

 

 

 執事、だと……?

 執事ってあれでしょ? 貴族のお付きの人でモノクルとかかけてて基本有能なあの人の事でしょ?(偏見)

 しかし色めき立ったのは私よりもクラスのみんなの方だった。

 

 

「織斑君とシキシマ君が執事!? いい!」

「決定ッ! それで行こう!」

「メイド服はどうする? 私演劇部の衣装係だから縫えるけど!」

 

 

 いや、普通の衣装係はメイド服は縫えないと思うの。さては君裁縫ガチ勢だな?

 

 

「メイド服ならツテがある。執事服も含めて貸してもらえるか訊いてみよう。

 ――シャルロットが、な?」

「えっ、ボク? ……訊いてみるだけ訊いてみるけど、無理でもみんな怒らないでね?」

「「「怒りませんとも!」」」

 

 

 ラウラさん、夏休みの間に何があったというのか。デュノアさんも関係しているっぽいし、メイド喫茶でバイトでもしたのだろうか? いや、デュノアさんだけならともかくラウラさんまで? デュノアさんのノリに押し切られたのならワンチャンありえるか。

 何はともあれ、こうして我がクラスの出し物はメイド喫茶改め『ご奉仕喫茶』に決定したのであった。

 

 

 ※※※※※

 

 

「じゃあ俺はちふ……もとい、織斑先生に報告してくるから!」

 

 

 ラウラさんの意見でクラスがまとまり、私たちはご奉仕喫茶を行う事になった。織斑先生はこれから保健所への申請とか色々とやる事が増えるだろうけれど、副担任の山田先生と頑張ってほしい。

 ……そういえばこういう学園祭って、普通の学校であれば生徒が近くの業務用スーパーとかへ買い出しに行ったりするのだろうけれど、IS学園ではどうなるんだろう?

一応本土との間に橋も架かっているしモノレールも通っているけれど、自転車で行き来するのは厳しい。そうなると、学校が必要物品を一括購入して、トラックなり何なりでまとめて配送してもらう、みたいな形になるのかもしれない。

 

 なんて事を考えていたら、突然教室のドアが開かれた。

 

 

「お邪魔するわよー」

「「!?」」

 

 

 一瞬の静寂、その後にざわめきが教室を覆った。それも無理ないだろう。私だってめっちゃ驚いている。

 

 

「あの人って……」

「生徒会長? なんでうちのクラスに?」

 

 

 どよめくクラスメートたちを他所に教壇に立った更識先輩は、ずびし、と私に扇を差し向けた。

 

 

「そこの子、シキシマ君を生徒会で借りてもいい?」

「え?」

 

 

 生徒会? 何で?

 

 

「会長、それは一体どういう……」

「ごめんね、ちょっと今スケジュール押しててさ。できれば移動しながらの説明でも良いかな?

 あぁ、織斑先生には許可取ってあるから、授業の心配はしなくてもいいよ?」

 

 

 有無を言わせぬ、という程ではない。けれど押し切られる。会話の主導権を握れない、というか、握ったと思ってもブラフを掴まされるだけ、のような。この人本当に高校生か? どこかの企業の上役ですと言われても納得するレベルで口が(というか頭が)回る。

 幸いと言ってはなんだが、思ったより早く出し物が決まった関係で次の授業までの時間的余裕もある。ならば素直についていくのが一番か。

 

 

「分かりました。ついて行きますよ」

「よしよし、物分かりの良い子はおねーさん好みよ」

「「!?」」

「あら、嫉妬させちゃったかしら?」

「後で苦労するのはこっちなんだからやめてくれませんかねぇ!?」

 

 

 時限爆弾のタイマーが作動したような恐怖を覚えながらも、私は教室を後にした。

 

 

 ※※※※※

 

 

「それで、一体生徒会長サマが何の用件があってイチ生徒でしかない私を呼び出すんですか?」

「あら、なんだか刺々しいわね? あんまりそういう態度だと女の子にモテないぞ?」

「はいはい、どうせ私はモテませんよっと」

 

 

 ……いや、言うほどモテない訳じゃないよな? 少なくともセシリアさんやラウラさんからは好意を持たれているって思うし。織斑? 比較対象が悪すぎるから却下。

 

 

「冗談はさておき、全校集会での発表がらみですかね?」

「やだ鋭い……って、私が来ている時点で今更か」

「まぁ、そうですね。今向かっている先も職員室ですし」

「そういう事。織斑君はシキシマ君みたいにすぐに――」

 

 

 カラン、と。

 曲がり角の向こうから会長の足元目掛けて転がってきたソレに、私は全く対応できなかった。前世も含めて、ゲームや映画、数々の動画で散々目にしてきたというのに。

 そして、ソレを脳みそが認識する頃には、会長は既に対応を完了していた。

 

 

「っ、閃光手榴弾≪フラッシュバン≫!?」

「そうそう、折角だからシキシマ君にはイイコトを教えてあげる」

 

 

 会長の脚が少し動き、それだけで蹴り返された閃光手榴弾はビデオの逆再生の如く辿ってきたルートを戻り――数瞬の後に、何か小さくて軽い物体がばら撒かれる音と共に女性のくぐもった悲鳴が聞こえてきた。

 コロコロと転がってくるそれは――BB弾だろうか?

 

 

「クッ、プランBよ!」

 

 

 その言葉の直後、ゴテゴテとしたプロテクターを各所に装備し、手に拳銃やらSMGを持った5人程度の集団が現れる。

 

 

「あら、サバゲー部には結構予算を付けてた筈だったのだけれど。

 まぁ良いわ。シキシマ君。このIS学園には一つの不文律があるわ」

 

 

 片手に盾、もう片方の手に拳銃を持った典型的なポイントマンに突っ込んだ会長は、相手が動揺から立ち返るよりも早く拳銃――ベレッタっぽい――を横に弾くと懐に潜り込み、

 

 

「くぺっ!?」

 

 

 ……うわ、鳩尾に良い一撃入ったぞ。

 とにかくポイントマンを制圧した会長は彼女が持っていた拳銃を奪い、その上で脱力したポイントマンの身体を盾にしながら発砲。

 なまじ練度が高そうな集団だっただけに彼女たちは味方撃ちを躊躇い――全く躊躇わなかった会長の拳銃が火を噴いた。

 

 私は未経験なのだが、サバゲー経験者の方いわく、ただのBB弾と侮る事なかれ。至近距離で直撃した場合の痛みはかなりのもので普通に青あざレベルだし、時に歯が欠ける事もあるため、サバゲーではフルフェイスマスクが推奨されているのだとか。

 では、そんな銃弾を至近距離から、素肌の晒されている手に喰らったサバゲー部員はどうなるのか?

 

 

「いっだァッ――!?」

「チッ、構わん! 撃て撃て!」

「ちょわっ!?」

 

 

 ポイントマンの次に狙われたSMGーーMP5Kだろうーー持ちが悶絶するのを見たサバゲー部指揮官は一斉射撃を指示した。問題はポイントマンの身体という盾を持たない私にもBB弾は襲ってくる訳で。私は慌てて、会長が放り出していたポイントマンがもともと持っていた盾を拾う羽目になった。

 

 

 電動ガンがうなりを上げ、BB弾がまき散らされる。

 

 が、その結果は一方的なモノとなった。――見ていて可哀そうなほどに。

 

 

「ちょ、待って待って撃たないで――! いだだだだだだだぁ!!」

「ぶ、部長、いくらなんでも撃てません!」

「貴様ら、織斑君やシキシマ君が欲しくないの――いったぁ!?」

「ぶ、部長!」

「さぁどうする? やめてほしいなら早いとこ降伏なさい?」

「あだっ! ――降伏しますぅ!」

 

 

 断言しても良いが、一番可哀そうだったのは盾にされたポイントマンの彼女だろう。

 

 

「さて、シキシマ君。途中だったけれど、この学園にはひとつの不文律があるわ。

 IS学園生徒会長たる者。――最強であれ」

 

 

 目の前で実証された私としては、首を縦に振るしかなかった。




 この後さらに襲撃される会長ぇ……
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