せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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1週間ブゥリデスネ!

お待たせしました。


大抵の物事は終わらせる方が難しい

 後になって――本当に後になってから、セシリアは私にあの時の背景とか気持ちを教えてくれた。

 

 本国召還や代表候補生から外される、というのは可能性こそ低いが決してありえない話ではなかったこと。

 だからこそ私との戦闘で得た(ことにした)各種データは彼女の評価をそれなりに上げる事につながり、最終的に彼女が英国代表になれた要因の1つになったこと。

 そして彼女自身としては、

 

「レオさんに想像できまして? あの時の私がどんな気持ちだったか。あなたの思いやりがどれだけ暖かく感じられたのか。私が――どれほど嬉しかったか」

 

 きっとできないでしょうと微笑む彼女に、私は今度こそ降参するしかなかった。

 

 ※※※※※

 

 社会人にとって大切な事。それは報告・連絡・相談の報連相なのは毎年4月くらいに多くの若者に叩き込まれている(たぶん)不変の事実である。

 

 スパァン!!

 

「事前に相談をしろ、馬鹿者」

「申し訳ありませんでした」

 

 一応社会人でもあった私は、織斑先生からその事を文字通り頭に叩き込まれていた。食らってみて分かったけど織斑先生の出席簿アタックはガチで痛い。なんというか、防御を抜いてくるタイプのダメージだ。

 セシリアさんと別れた後、私は寮監室の織斑先生の元に行き、軽い脳震盪だったこと、セシリアさんの本国召還や代表候補生解任を防ぐため、私情も込みでシュライクの情報を一部渡したことなどを告げた。

 機密漏洩でマズい事にもなりかねない話ではあったが、『国連常任理事国であり、欧州でも主要な地位にある英国の代表候補生とパイプを作り、将来のうんぬん(意訳)』とか公的に使えなくもない言い訳をでっちあげたのに加え、私が渡したのは『模擬戦の時の』シュライクの速度データや武装の詳細であり、『今』となっては古いデータである。なぜなら――

 

「使用可能な武装が増えた? どういう事だ?」

「武装が増えたのは確かですが、戦闘スタイルの変化があった。が正確な表現になります」

 

 私自身セシリアさんにデータを渡そうとして気がついたのだが、どうやら私が意識を失っている間にISコアがアップデートを行ったらしく、いくつか報告しなければいけないことができてしまったのだ。

 それは――

 

1 兵装の解放

 さっきまで私は支援兵装のみで戦っていたが、『ボーダーブレイク』では本来『強襲』『重火力』『支援』『遊撃』の4つの兵装から好きなスタイルを選んで戦うのだ。縛りプレイで格上と戦えとか鬼かよと。それがついに、『遊撃』兵装が解禁されたのである! ……私、狙撃の腕は絶望的だったから遊撃兵装ほとんど使ってなかったんだけどどうしろと?

 

2 武装の解放

 初期武器のみだった支援兵装の武器だが、これについてもアップグレードと新武器の追加があった。

主武器  ワイドスマック(スマックショットの上位派生武器・散弾の拡散率は大きくなったが、1粒あたりの威力が上昇している)

     アッパーネイル(ネイルガンの上位派生武器・重量とリロード時間の増加と引き換えに射撃精度、マガジン弾数が改良されている)

     ハガードM50(高精度・高威力・低連射の大型リボルバー拳銃。ヘッドショット『さえ』決められれば相手の機体をひるませてハメ殺せる)←NEW!

副武器  ヘヴィマインS(初期のヘヴィマインより威力が低下したが、その分軽量になった)

     リムペットボムS(ヘヴィマインSと同じ)

     44型浮遊機雷(空中に浮いている爆弾。敵機が近くを通ると近づいて爆発する)←NEW!

補助武器 小型索敵センター(索敵可能半径が短くなったが所持できる数が1つ増えた)

     スタナーJ(変化なし)

     弾薬ボックス(変化なし)    

特殊武器 リペアユニットβ(重量増、連続使用時間の短縮と引き換えに射程距離とSPのリチャージ時間が改良されている)

     リペアショット(散弾の代わりにリペア弾を発射するショットガン)←NEW!

 

 これがあればセシリアさんとの模擬戦ももう少し楽だったし、自爆でダブルノックダウンにならなくて済んだかもしれないなぁというのが正直な気持ちです。

 

(ん? 待てよ?)

 

 ふと気が付いてしまった。射撃型機体のブルー・ティアーズと戦って狙撃もこなせる遊撃兵装がアンロックされた、ということは、一撃必殺も狙える近接武器が売りの強襲兵装を解放するには同じく近接に強いISと、ランチャーなどの重火器で武装した重火力兵装を解放するには、ハリネズミのごとく武装を揃えたISと戦わなければいけないのでは?

 ブラスト・ランナーは基本的には遅い。人型だからできることは確かに多いが、武装や装甲の重量は関節の寿命に直結するし、そもそもヒトのフォルムは高速で移動するようにできていないのだ。対してISは宇宙での活動を前提につくられているため、大口径砲を複数装備した固定砲台のような機体でもない限り、高速でビュンビュン飛び回る。

 

 救いはないのですか?

 

 ※※※※※

 

 夜のアリーナで、私は先生方と特殊な訓練を行っていた。って書くとR18的な方面に見えるが、何のことはない、新しい武装や兵装の確認を行っているのである。

 

「シキシマ。お前に狙撃の適正は無いな」

「知ってました」

 

 デデドン!(絶望) しかし織斑先生からそう言われるのも納得の腕なのである。今回新たに使えるようになった遊撃兵装で装備できる狙撃銃だが、その売りは一撃必殺も狙える大火力と高い精度だ。シューティングゲームを遊ぶ人なら、上手な狙撃手の恐ろしさは身に染みて分かっていると思う。

 一方で私の狙撃の腕前は酷いものだった。『狙撃』ではなく『粗撃』といった方が良いかもしれない。

 流石に動かない目標ならそう外すことはないが、動体目標だとそれはもう外す。敵機に接近された事も想定してクイックショットの練習もしてみたが、自分も相手も激しく動き回る状況で単発の狙撃銃を当てられる筈もなく、結果織斑先生から上記のお言葉をいただく羽目になったのだ。

 もしかしたら支援兵装以前に酷いことになるかもしれない遊撃兵装だが、その武装はというと、

 

・主武器  レヴェラーMP20(2丁持ちフルオートハンドガン)

      マーゲイM40(2丁持ちセミオートハンドガン)

・副武器  38式狙撃銃(単射の狙撃銃。なお威力が恐ろしく低い)

      イーグルアイV44(威力は控えめながら連射性能が高い狙撃銃)

・補助武器 ラーク偵察機(偵察用ドローン。自身が向いている方向へ飛んでいき、偵察可能半径内の敵機や索敵装置の位置を浮かび上がらせる)

      セントリーガンSMG(サブマシンガンを搭載した自動砲座)

      高振動ブレード(ナイフ。残念ながら産業廃棄物)

・特殊武器 シールド発生装置(設置することで2~3機の機体が隠れられるシールドを展開する。効果時間は最大100秒だが、攻撃を受けることで減少する)

 

 となっている。

 はっきり言ってしまうと、今の時点で実用に耐えられるとは思えない。特殊武器がシールド発生装置しかないため遠距離の高台から狙撃しようにも大したダメージを与えられず、接近戦をしようものなら2丁拳銃とセントリーガンくらいしかダメージソースが無い。それなら支援兵装でショットガンやネイルガンを使った方がまだ戦えると思う。唯一良いと思えるのは偵察機くらいだろうか。

 

「しかし……頼みの狙撃がこのザマではどうにもならんな?」

「全くです。一応この上位武器もあるのですが……セシリアさんのような格上と戦ってようやく新しい武器や兵装を使えるようになるのであれば、今後どれだけ戦闘経験を積めば良いのやら見当もつきません」

「まぁそこは経験を積むしかあるまい。だが今日はこの辺にしておこう」

「私はまだやれますが……」

「お前は一応病み上がりの身だ。今日くらいはゆっくりしておけ」

 

 そう言われて、ようやく私は今日の戦闘で結構なダメージを負っていた事を思いだした。

 

「そういえばそうでした。それでは失礼します」

 

 機体を待機状態に戻し、私は更衣室へと向かった。

 

 ※※※※※

 

 さて、IS学園の寮において門限はあくまで寮の建物に入る期限であるため、門限を過ぎた後であっても寮内であれば移動はできる。大浴場で1日の疲れを取るのも良し、逆にトレーニングルームで汗を流すのも良し、友達の部屋で就寝時間までおしゃべりするのだって良い。

 だから。

 

「……セシリアさん?」

 

 私の部屋の近くをセシリアさんがウロウロしていたとしても、それは別におかしい事ではない……いや、普通におかしいわ。

 どうかしたのかと私が声をかけるより早く、セシリアさんは話しがあると切り出してきたのだった。

 

「良いですよ、それでは談話室にでも」

「いえ、出来ればあまり周りには聞かせたくない類の話でして……できれば、レオさんのお部屋などで……」

「いやその発想はおかしい」

 

 思わず素の反応しちゃったんだが? まだそこまで遅くないとはいえ夜に男の部屋に上がり込もうとかちょっとはしたなくてよ?

 

「は、はしたないのは分かっているのですが……レオさんの連絡先が分からなかったものでして」

 

 少し顔を赤らめながらうつむき加減にそんな事を言ってくるセシリアさん。ええい、美人がその態度を取るのは反則だぞ! ――めちゃくちゃ可愛く見えるからなおのこと困るんだよ。

 

「分かった、なら携帯とISそれぞれの連絡先送るから、とりあえず後で話しましょうか――廊下で騒ぎすぎちゃったみたいですし、ね?」

 

 チラと横目で見ただけでもあちこちの部屋のドアが半開きになっている。断言してもいいけどめっちゃ聞き耳立ててるよね。

 

 そしてそんな状況で自分が何を言ったのか思い至ったセシリアさんはさっきよりも更に顔を染め、私の提案に乗ってくれたのだった。




14話書いたウマ娘の二次創作にお気に入り登録並ぶってマ?

ほぇぇIS好きなんっすねぇ
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