第一の太陽は主宰テスカトリポカの手によって終わる。
※今回暴力シーンあります
この挨拶もおなじみになってきましたね
どうもシロネンです
昨日は色々とありすぎました
料理だったり、新しい嫁さんだったり、保管庫の血の付いた袋だったり
・・・保管庫のものについてはテスカトリポカに聞こうと思います
今すぐは無理ですが私も考えて落ち着いて聞きたいので
とまぁ何はともあれ昨日テスカトリポカが言った通りなら
今日は宮殿に一日中いて、商人を呼んで買物をする段取りだ
起きたアトラトナンにもその事を伝えると昨日の今日なのか
喜べばいいのか感謝するべきなのか
テスカトリポカが他者にものを買うという絵図が想像できず
お互いに混乱しつつも宮殿に朝食を作りに向かう
「おはようさん朝飯出来てるぞ」
へぁあ?
食卓に向かえば料理が乗った皿を敷物の上に置いている全能神がいた
戦神テスカトリポカが料理を用意して配膳してる
「えっ!!?貴方何してるんですか!?」
「そんなに驚いた顔するなシロネン、アトラトナン」
いやだって料理できたんですか?意外過ぎる
しかもしっかりと美味しい
もぐもぐ もぐもぐ もぐもぐ
誰も何も発せないまま食事の時間は過ぎていく
「・・・・・美味くなかったか?」
「え」
「へ?」
テスカトリポカのしゅんとした一言に食事の手が止まる
作ってもらったのだから感想によって性格が変わるのは大変かと
考えて美味しい料理に夢中になっていた
ジャガーの内側に折れた獣耳がテスカトリポカの頭部に見える
少し意地悪をしてみたくなってしまった
「テスカトリポカでも傷つくんですね」
「いくら俺でもその言葉は・・傷つくぞ」
意地悪はやっぱり逆効果だ次はやめておこう
結局三人とも無言のままに食事終えた
商人が来るまで時間があると言われ
アトラトナンと一緒にジャガー保育所で幼獣達と一緒に戯れる
私は長い紐を垂らし、紐の先を捕られぬよう幼獣達をじゃらす
アトラトナンは初めて見る幼獣達にどう接すればいいかわからず
ジャガーマンに抱え方を聞いているようだった
と余所見に集中していると紐がとても重くなっていた
紐を捕らえた幼獣達を紐から離し、またじゃらす
捕らえて、離す、それを繰り返す
これはテスカトリポカが来るまで続いた
迎えに来られた私達が一室に入ると
すでに布、糸、工芸品、織物、宝飾品、服、植物の苗
調理器具、香木、花、靴、まだまだあった
持ち込まれた品々の多さに怯み、一歩下がる
「どうしたシロネン」
「品々の多さに思わず怯んでしまって」
「臆するなシロネン、自分の欲しいものを見極めるのもまた戦いだ」
欲しいものを見極めるのも戦いか
品々を持ち込んできたマクイルショチトルは商売の神ではなく
宮廷の人々の守護神、ゲームと賭博の神であり余り商売に関係は無さそうだが
賭博は品物と金品の流れを動かせる。つまり商売にも関わりがあり
数々の品物を取り扱えることができ、良い品か悪い品かに巡り合えるかも
気に入った物を買うために金を賭けるのも賭博の範囲ってワケ
品物を手に入れる為に金品を失う
ただし本当に自分にとっての必要なものかはわからない
なるほど確かに賭博の範囲内なのか
となるとますます私の欲しいものがわからなくなってきた
私の望みはテスカトリポカになりたい
でもテスカトリポカが欲しいという訳ではない
自分の衣服を確認する為ゆっくり一回転する
服と靴はほつれも汚れも傷もない
手首と二の腕と耳につけた装飾品も傷がない
私自身は新しい服と宝飾品は別にいらない
それに服も靴もまだ保管庫にある、今着ている白の貫頭衣も問題はない
靴も紐がほつれていないし問題はない、化粧は皮膚が痒くなるので出来ない
宝飾品も無くすと悲しいのでつけたくない、調理器具もまだある
植物の苗も花もあまり興味がない・・・何もないな私
改めて自分が欲しいものが何もないとため息をつく
だがテスカトリポカが欲しいものを見極めろと言った以上
もしかしてこの中に私の本当に欲しいものがあったりするのか
テスカトリポカの憧れ以上に私が欲しいもの あるのか?
アトラトナンは何やらマクイルショチトルと話をしている
欲しいものが最初から決まっていたようだ
私も欲しいもの、欲しいものと品々を右往左往と見つめ
移動しながら品々を見る、探す、考える
ふと花と緑の美しい羽根飾りが目に止まる
金盞花と大きな鳥の羽飾り?
その二つの品物前に近づき観察する為にしゃがむ
花籠いっぱいに収穫された金盞花
近づくたびに独特な匂いが鼻をくすぐる。不思議な香り
香りという言葉にひらめいた私は籠を手に持ち
ジャガーと戯れるテスカトリポカの元に急ぐ
テスカトリポカは選んだ品物を持った私を見て笑い
「シロネンそれが欲しいのか」
「違います」
「違う?じゃあ何で持ってきた」
私のあんまりな返答にテスカトリポカは目を開く
じゃあなんで持ってきたといわんばかりの態度だ
ではこの回答もきっと驚くでしょう
「テスカトリポカと同じ香りが欲しい」
私が欲しいもの 私が憧れるのはテスカトリポカ
でもすぐには叶わないのがテスカトリポカになるということ
なら香りからテスカトリポカでもいいんじゃないか
今の私が一番欲しいもの
「他にも香木があるのに態々俺の香りがいいのか」
「はい私テスカトリポカの事大好きですから」
今の私が今一番好きなもの
好きでなければ憧れないはずだ
だからテスカトリポカが大好きと言っても良い筈だ
私はテスカトリポカが大好きでテスカトリポカになりたいんだ
それが今私が考えて、欲しがった答えだった
どうだ!驚いたでしょう!!凄く考えたんですからね!
だというのに・・・
ジャガーマン急に「若いわね!!お姉さんそういうの大好物!!!」
アトラトナンどうして口元を両手で抑え、顔を真っ赤にしているの?
マクイルショチトルは頬に両手を当て黄色悲鳴をあげた
テスカトリポカは天を見上げている
なんなんだもう!!
「シロネン」
はいなんでしょう
テスカトリポカと同じ匂い買っていただけるんですか?
私の前まで顔を近づけたテスカトリポカは
「俺以外には絶対に言うなよ」
「駄目?」
「絶対駄目」
真剣な目をしてそういった
わかりました 言いません
買い物が終わり、夕食もテスカトリポカが作るというので
私は赤子達の部屋とトウモロコシ畑の確認をしに
アトラナンは宮殿に新しく作った水園の確認に向かった
「今日は仕事するなと言った筈だが?」
とテスカトリポカに咎められたが見に行くだけと
無理やり押し切り確認しに行った
確認しに行く途中赤い袋があった保管庫の前を
通ったが目の前を通るだけにした
その後はいつもと何も変わらず
食事をし、後宮に戻り、眠りへとついた
今日は本当に楽しい一時だった
それから暫くして 第一の太陽が終わった
本当に唐突に終わってしまった原因は何かと聞けば
”ケツァルコアトル神がテスカトリポカ神を海に叩き落した”
絶句
驚きのあまりに表情も顔に出せない
仮にも第一の太陽を後ろから海面まで叩き落す
なんという蛮行!!無策!!考えなしにも程がある
誰からそんなことを聞いたかって?本人ですよ!!
ケツァルコアトル神が私の部屋に来たんです
少し時を戻して説明をします
テスカトリポカ神は嫌な予感がすると言って
私達が起きる前に宮殿を出て行ったのです
そして私が目を覚ますと窓枠には見知らぬ男神
農耕と水の神テスカトリポカの兄弟にして最高神
ケツァルコアトルその神がいました、姿身は知らなかったけれど
自ら自己紹介をしたので名前が判明しました
「あのケツァルコアトル神?なぜここに?」
テスカトリポカの宮殿に用があるなら
宮殿に行くはずだ何故私の部屋、しかも後宮にいるんだ
ジャガーマンに言ってテスカトリポカを呼んでもらうべきか?
「あの陰湿野郎でしたら暫くは帰ってきませんよ」
「帰ってこない!?」
「私が海面にあの野郎を叩き付けたので!」
何をやっただって?今の時代を担う神を叩き落した!?
暴力的な言葉に機構が停止しかける
でもどうしてテスカトリポカが帰ってこないんだ?
「あいつ今いる人類全員滅ぼすのに忙しいですから」
機構停止
最高神クラスの規模が大きすぎてわからない
今ある時代を担った神が滅ぼしに行く?次の時代の引継ぎの為に
今ある時代を破滅させ新たな時代を再生させる
引継ぎの為にテスカトリポカは遅くなるのか
でもどうしてここに来たんだろうか
宮殿にテスカトリポカがいないことは一番知っているだろうに
「私がシロネンちゃんに会いたかったからデス!!」
「何言ってんだこの最高神」
無茶苦茶だ!!会いたかったから後宮に来た!?
よりよって家主がいない他人の妻の部屋に!!?
この自由さはテスカトリポカに似ているのか?一応兄弟神だし
「シロネンちゃん今とっても不愉快な事考えてませんカ?」
「いいえ!!それよりも何れは帰ってくるんですから!早めに出て行ってください!!」
こんな不貞現場のようなところテスカトリポカに見られたくない
見られでもすればどうなるか、先ず間違いなく私が悪いのだろう
何も言い返せない状況に顔を俯かせるこんな時どうすればいいかわからない
服を握りしめる、ふと足元に大きな影がかかる何だと前をみると
私の顔の前にケツァルコアトルの顔があった
「突然お邪魔して怖がらせてしまって申し訳ないね女神シロネン」
「へ?何を?」
ケツァルコアトルが私の前で膝をついて謝罪している
何が起きているんだ
「何故膝を折っているのですか!?」
「会いたかったとはいえ急に押しかけてしまったことは申し訳ない」
「いやそれは本当に怖いです」
「テスカトリポカがいない間に君に会いたかったんだよ」
「へ」
テスカトリポカがいない間に私に会いたかった?
それ一体どういうことなんですか
テスカトリポカが険悪だからとかいうわけではなく
いない間に会いたかった?
「このまま婦人の部屋に居続けるのもイケマセーンネ!では私は帰ります」
「いろいろと何もかもわからないんですが!!」
「ではこれだけは覚えていてくださいーーー私は貴方の味方ですと」
「・・味方?」
「何があっても貴方の味方ってことデス!!ではサヨナラ!!」
窓から一瞬で消えたケツァルコアトル神を見送るしかなかった
・・・私の味方?何があっても私の味方
起こした身体を寝台に戻す
「いったい何なんだあの神は」
噂通りの考えなし、噂通りの自由奔放さ
何も考えずにテスカトリポカを蹴り落した
何も考えないで行動できるその様は羨ましいと感じる
天井を見つめながら何も考えないでいると
誰かが走ってくる足音がする
「シロネンちゃん!!大変大変!!テスカンが!テスカンが!」
「どうかしたんですか?」
「第一の太陽からリストラされちゃったー!!」
少し違うけど大体あってる不当強制解雇といった方が当てはまるかもしれない
ジャガーマン急いで来てくれたんだろうけどごめんそれさっき聞いたんだ
蹴り落したご本人から
「だから今日のテスカン機嫌最悪だから宮殿内に来ちゃだめだよ!!」
「行ったら何かあるの?」
「テスカンがシロネンちゃんたちにDVする」
それは初耳だ?DV?やりそうだけどやるのかあの人
「お姉さんそんな愛は許しませんからねー!!!!」
そして現在
宮殿内のあちこちから物の壊れる音が聞こる
テスカトリポカが暴れまくっているの音です
ケツァルコアトルから一件を聞いた私は嫌な予感がして
宮殿内にあるもの全てを後宮内に避難させました
見回りをしている蛇やジャガー達はそのままに
ジャガーや蛇の赤子達を後宮内に避難させて
今はテスカトリポカの機嫌を様子見しています
後宮から宮殿に繋がる唯一の入口は
テスカトリポカが自身の機嫌の悪さを考慮してか
自ら入れぬようにに魔術で壁を作っていました
そして今何の気兼ねもなく暴れまわっているのです
機嫌が自然と治るのを待てばいいが
治るのは一体いつなんだ?テスカトリポカの役割は?
戦士たちの休息所の主としてはどうなるんだ
彼の機嫌が収まらない限り戦士たちは癒されない
それではテスカトリポカは満足しないだろう
いけない止めなくては、テスカトリポカに仕事をさせねば
私の仕事の意味がなくなってしまう!!
意を決して後宮から宮殿に向かう
壁は後宮側からはすんなり入れたようだった
テスカトリポカを探そうと暗闇の中目を凝らし
とある一か所に暗闇に光る瞳を見た
瞬間私は背を向けて走り出した
さっきの気合はどうしたって!?想定と違った
まだ正気のまま理性があるまま怒り狂ってると思った
対話できると考えた!だけどあれは普通の目じゃない!!!
めがふつうじゃない
あれは歩くのと同じように
暴力を振るえる神だ
そうだどうして考えなかったんだ
いくら話せてもテスカトリポカの本質は戦神
戦いを巻き起こす混沌の神であるということを!!
叩き落された疲労なのか目が胡乱だった!
足音がする一歩一歩軽やかな足音が宮殿に響き渡り走っている
火も月明りもない完全な暗闇の中手探りで宮殿の中を逃げ回る
黒い蛇に飲み込まれぬよう黒いジャガーに引き裂かれぬよう
音が走るまま前に前へと考える間もなく逃げ回る
すると後ろに誰かの気配がした
「逃げんなよ」
笑ってる いや怒っているあれは獲物を狩るための笑みだ
見なくても納得する 振り向かなくても理解する
例えオセロメーの仮面をつけていてもわかる
いまジャガーが獲物を引き裂く為に噛みつくために
体力を消耗させようとしていることに
すぐに追い付けるだろうに、わざと距離を保っている
そうか遊んでいるのか!私で遊んでいるのか!!
遊びにしかならないのか遊びにもならないのか
腰に護身用にとつけた黒曜石の短剣を取る
余裕すらも動作されも許されず
無我夢中で走りながら追い立てられる
一瞬の油断もなかったが暗闇に目が慣れず
一瞬壁に手をついてしまった、油断を見逃す戦神ではなく
当然のように攻撃を行ってきた
ジャガーの爪をあしらった三本の太い針が風を裂き私の背後を撫でる
「い”っ!!ああああああああああああああああああああ!!!!」
爪が背中を舐める、浅くでも堪能するように力を込めて
三本の爪が背中を走りきる。熱い熱い舐められた背中が熱い
機構全体が本能で泣き喚き騒ぎはやしたてる
ー逃げろー
でも私の本能や考えは違った
ー死ぬ前に刺せー
私は私の機構より私の本能を優先した
左手で腰から黒曜石の短剣を持ちテスカトリポカの
義足ではない足に無我夢中で何度も刺す
何度も何度も必死で刺す、刺し続ける
刺しているのに
血が出ているのに
本人ははただ私を見て笑う 本当に愉快そうに
「はは!!俺に黒曜石刺してどうすんだよトリ公!!」
笑う 笑う 笑う 笑う 笑う 笑う 笑う 獲顔
テスカトリポカは私の左手の上に
黒曜石で出来た義足をゆっくりと乗せて
容赦なく黒曜石の短剣ごと左手を踏みつぶした
もう声は出ない 未知の感覚に声も感情も何も出せない
目の奥の熱さは何度も感じているが何も流れることはない
全身の痛み 踏みつぶされた箇所からの痛み 目の奥の痛み
何もかもが初めてで何もかも出来ない 何もかもが許されない
ガチャっと何かが外れる音が頭上でする
テスカトリポカに視線を動かす
仮面の下あご部分を外して口が見えるように
見せつけるように舌を出したと思えば地面に膝をつき
私の頭の位置に手をついた
四つん這いの体制で私に覆いかぶさったテスカトリポカは
背中の服を歯で嚙みちぎり、出来たばかりの傷口を舐め回す
傷口の血を止めるようになめとるよに舌で舐める
わけのわからない
すぐに頭を地面につけられ、首を軽く噛まれる
ー動くなー
踏みつぶされた左手も丁寧に丁寧に舐めとられていく
持っていた黒曜石は唇で丁寧に取り除かれる
そしてまた背中に戻り傷口を舐められる
もう血は止まったはずなのに舐め続ける
これではまるで・・・っまるでっ!!
度の過ぎた悪戯をした幼獣を懲らしめている成獣ではないか
きつく叱っているのか!遊んですらいなかった!!
これはただの躾だった!礼儀だった!遊んでもらえてすらいなかった!!
情けなさすぎる
口がわなわなと震え、目と鼻の奥が叫ぶ
目を強く閉じ眼に焼き付ける、唇を噛みしめ刻みるつける
今日の恥ずかしさと悔しさと熱さを忘れぬように
お前の立場はあくまでも下だと
言い聞かせているようで
一通り満足したのかテスカトリポカは覆いかぶさるのをやめた
私が抵抗しないことに気をよくしたのか満足したのかはわからない
次にテスカトリポカは私の頭を掴み強制的に膝を立たせるような姿勢にした
もう屈辱が終わるなら何でもいいと抵抗はしなかった
それを罰を受け取る覚悟だと思ったテスカトリポカは
私の背後に三本の太い針がついたものを押し当てた
丁度心臓ぐらいの位置に力を込めて押し続ける
肉が食い込んでる感覚に意識は飛び続けた
背中から骨を肉と骨を貫いて私に心臓を
焼いてる!!自分の指先を炎のように燃やして
心臓を取り出すのに邪魔な血管を焼き切っている!!!
もうなにもわからないむねからはりがみえる
ちがでて くちからもちがでて
きらきらひかるなにかがでてきた
しろく ひかる しんぞう
それを最後に私は意識を手放した
俺の宮殿でケツァルコアトルの匂いがした
腐れ縁の気配、しかし今回の事はいくら何でも度が過ぎている
今更奴の兄弟面をするつもりはない、そもそも何方が先などあまり関係がない
だが同僚として同じ最高神として今回の事は許しておけない
白く光るケツァルコアトルの心臓を見ながら
今回此奴に行った躾の数々を思い出す
これでこいつもしばらくは大人しくするだろうと溜息をはく
自由にするのはいい、奔放なのはいいだがそれも責任が取れての話だ
第二の太陽はトリ公に決まっているだろが主宰となる以上役目は果たしてもらう
にしても弱くなり過ぎじゃないか
いくら俺をけり落したペナルティがあるとは言え
弱すぎるまるで一度も戦ったことのない非力な幼獣の様だった
それでも足に刺し続けたのは戦士たる気概だった
だがこいつは神で戦士ではないだから俺の楽園には迎え入れない
それにしてもトリ公の遅すぎる起動時間に声をかける
「おいケツァル・・・」
自身に身体を預けて気絶した誰かが鮮明になる
この重さは戦士のそれではない、腕のしなやかさは戦士ではない
神の肉を育てる果報者のしなやかさと重さ
シロネン
じゃあこの白く光る心臓は
機構が鮮明さを取り戻し、一斉に冷静になる
シロネンの機構は無事だが体は損傷しすぎている
神であるシロネンが死ぬことはないが、俺の手で治せないと不味い
何の為にシロネンを自らの領土から出さず
他の神からも隠してきた意味がなくなってしまう
今ままでの努力が無になってしまう
俺の不運さのせいでこの事態を招いてしまったかと
自嘲する余裕は今はない
自らの神格を青へと変化させ
手首の皮膚を食いちぎり、出血させる
傷口から流れる血をシロネンの心臓に注ぐ
白かった心臓が青く青く浸食していく
「けっほっ」
シロネンが僅かながら息を吹き返した
吹き返したことに安心せず、神格を赤へと変え
指先に火をともしシロネンの胸元に近づける
胸の皮膚と皮膚を寄せ心臓を閉じるように指先の火で癒着させる
シロネンの皮膚が溶け心臓が閉じたのを確認し
背中も同じように溶かし同じように閉じたのを触診して一息をつく
「あの野郎俺がいない間にシロネンにあったのか」
シロネンからケツァルコアトルの匂いがしたということは
シロネンは俺のいない間にトリ公と接触したということか
匂いが移るような距離で話し合ったかと思うと
冷静さを取り戻した機構が本能のまま
ケツァルコアトルを殺しに行こうとする
だが今はシロネンの治療に専念しなくては
不本意だが主宰という仕事がなくなったので
シロネンの治療と回復には付き添えるだろう
今回ばかりは八つ当たりにも程があると
頭を抱えざる負えない
だが付き添うのは監視のためだ
シロネンはケツァルコアトルに接触してしまった
このままではシロネンはトリ公になる
渡さない渡すか
渡してなるものかこれは俺の物だ
シロネンは俺だけの物だ
神に備わっていない個への集約
執着か俺らしくもない
だがするとも、なぜならシロネンは
テスカトリポカ(俺)でもあるからだ
取りあえず意味なく暴力を振るった詫びは何が良いか
服は喰いちぎり引き裂き使い物にならなくなってしまった
・・・・そういえば脱がせた服は白色だったな
丁度良い買い揃えた服を贈ろう、新しい靴も装飾品も
贈った服を着たシロネンは、愛らしさを今以上に引き出すだろう
黒が良いか赤が良いか青が良いか白以外なら何でもいい
痛みでうなされる横たわるシロネンの額に自分の額をくっつけた
一言一言魔術をかけるよう優しい声で言い聞かせた
お前は
シロネンは
私は何も知らぬまま 第二の太陽を 迎えました