蛇の乙女の憧憬   作:八千草

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第六暦 ミキストリ

 

テスカトリポカ神が第一の太陽から下ろされ

第二の時代 第二の太陽「ナウイ・エエカトル」が始まった

テスカトリポカ神はケツァルコアトルに世界の引継ぎをし終えた後も

怒り収まらず宮殿内で暴れ回っていた

だがそのままではテスカトリポカ神の役割は果たせないと思い

直接会いに行ったがまぁ~っ何にも出来ずに終わった

狩りでも蹂躙でも遊びでもないあれは躾だった

悪戯をし過ぎた子供に対するただの躾だった

最初から最後まで立場は下だと思い知らせるための

暴力とお仕置にすぎなかったのだ

 

そんな躾をテスカトリポカ神に受けた私は今どこにいるかって?

テスカトリポカ神の部屋の中です

何なら筋肉質の右腕枕が後頭部にあり

顔を横に向ければテスカトリポカ神の胸が見えます

私はもう情報処理が追い付かず思考停止状態ですが

身体は何にも触らぬよう両腕で

腕を組み、足は真っすぐと延ばしています

 

もうテスカトリポカ神が起きるまで一切動きません

天井のしみでも数えて待っていましょう

視線を少しだけずらし外の様子を確認する

変わらず太陽は登り朝日が照っていた

どうやらもうお昼のようだ、後宮にいる皆は無事かな

と他人事だけを考える

 

「ん・・・起きてたのかシロネン」

 

えぇ目が覚めればもう寝れませんよこの状況

テスカトリポカ神は瞳を瞬きしまだ寝たりないのか

名残惜しそうに顔を左手でこすり大きく欠伸をした

 

「胸と背中に違和感はないか?機構に損傷は?」

「気を抜けば痛いですが特に違和感はありません」

 

昨日あれほど激痛をおった体は今は集中すれば痛い程に

痛みが引いて身体はどうやら手当されていた

そういえば誰が私の体の手当てをしたんだろう

損傷個所が多かったから服は脱がす必要があったはずだ

それに今着ている黒色の貫頭衣も誰が着替えさせたのか

髪も顔も身体も地面につけられたとき泥にまみれたが

今はどこもかしこも綺麗な状態だ、。とてもさっぱりしている

もしやアトラナンに頼んだのか?ならば礼をしないといけない

 

「テスカトリポカ神」

「なんだシロネン」

「アトラトナンにお礼をしたいんですが」

「何の礼だ?」

「私の怪我の手当てと服や身綺麗にしていただいた礼を」

「あぁそれ俺だ」

 

本能でテスカトリポカ神の胸に渾身の頭突きをする

餌付いたような声が聞こえたが無視をして話す

 

「・・・私の服を脱がせたんですか?」

「そうしなきゃ手当ても体も更けなかったからな」

「じゃあ着替えさせたのは」

「着替えさせたのも俺だ」

「私の裸はあまり見てませんよね!?」

「いやじっくり見た」

「はっーーーーーー!!?」

 

はぁーーーーーっ!!?何言ってんだこの暴君!!

そこは「いや治療も兼ねたから見てない」でしょうが!!

何の悪びれもなくむしろ当然のように見たっていったぞ!!

人の機体を見たって!!丸裸を!じっくりって!!

じっくりって言ったよね!!今!!

あんまりな返答に顔を真っ赤にし不動の誓いを終わったので

思う存分テスカトリポカ神の胸を殴る

 

「これから嫌って言ってもみるんだから

 今堪能しておいても良いとテスカトリポカ思うワケ」

 

堪能するのは当然だという顔で返したぞ!!

・・・・あれ?今聞き間違いじゃなければ

嫌って言ってもって言った?嫌というほどではなく

私が嫌って言っても見るって言わなかったか???

 

「ちなみに私の拒否権は?」

 

私の質問にテスカトリポカは何も答えなかった

ただとても笑っていた

テスカトリポカは笑うだけだった

笑ってない目で笑うだけだった

ーーーあるとでも?

そう決定しているようで何も返せなかった

 

 

結局身体に出来た傷跡は消えなかった

怪我が酷過ぎたのか治療した時の火傷が酷過ぎたのか

身体に出来た傷が完全になることはなく

胸と背中には大きな傷跡ができた。だが私は嬉しかった

テスカトリポカ神に挑めたのが嬉しかった

あちらは度が過ぎた悪戯への躾であったが

何にも怯まずテスカトリポカ神に挑んだ結果だった

 

思わず鏡で何度も確認してしまう

挑んだ結果がしっかりと機構に刻まれている

それが溜まらなく嬉しかった

どこか薄暗いような気もしたが

喜びの前には考えさえもよぎらなかった

 

第一の太陽としての仕事の引継ぎも完全に終わり

ミクトランパや戦神としての役割が主となった

テスカトリポカ神は宮殿に入れる間は必ず

アトラナンと私を部屋に呼んでいるといっても

私もアトラナンも宮殿での仕事があるから

1日中テスカトリポカ神の部屋にいるという訳ではなく

休憩や仕事が終わり次第テスカトリポカの部屋で過ごし

夜はまた後宮に戻って就寝する。今までの日常の中に

テスカトリポカと交流することがよく増えた

 

ただアトラナンがいない時にテスカトリポカ神は必ず

私の首を片手で撫でる。ジャガーが毛づくろいをするように

ただ撫でる。その時の目はどこか遠くを見ていた

私は見ていなかった、一体どこを見ていたのだろう

きっと聞けば答えてくれただろうだけど

 

私はテスカトリポカに聞かなかった

 

この答えを聞くのも穏やかな時間を過ごすのも

これからずっとずっと後のことになる

 

この後宮殿で起こる一騒動の後

私はテスカトリポカの宮殿から逃げ出した

テスカトリポカ神と話すのもこれが最後だった

テスカトリポカと話が出来たのは神にとっては一時の時代。

私が第四の太陽として時代を担い、テスカトリポカ神に裏切られた時代。

 

第四の太陽の時代「ナウイ・アトル」の後である。

 

 

今日は全員の仕事が早く終わり誰も用事がないというので

テスカトリポカ神、アトラトナン、私の三人一緒に

料理を作ろうという話になり、全員で食材を用意する為

食糧庫に向かい足を進めていると先頭に立っていた

テスカトリポカ神が私の位置に避難したその直後

テスカトリポカ神がいた位置が廊下ごと削れた

廊下が削れた衝撃で発生した瓦礫には当たらなかったものの

テスカトリポカ神がその位置にいれば重傷は免れなかったことは

一瞬で削り壊れたその位置の惨状が物語っていた

 

テスカトリポカ神が衝撃で生じた

土煙の中にいた人影を睨みつける

それは見知った忌々しい相手をみる目だった

土煙の中から声がする。一度後宮で聞いた声だった

土煙がから出てきたのはマカナを持ったケツァルコアトル神

ケツァルコアトル神はマカナをもったまま私達を見る

 

「ごめんなさいねお嬢さん方急に怖がらせてしまって」

「トリ公先頭を歩くのは俺意外とは考えなかったのか?」

 

もし自分やアトラトナンに当たっていれば

どうなっていたかとは想像したくない惨劇である

おそらくそこに誰かいたという結果

肉片のかけらと血の跡しか残らないだろう

最悪な惨状を想像をしたアトラトナン

私を抱きしめる腕はとても震えていた

怖くないよと落ち着かせるように私は

アトラトナンの腕をさすった。

 

一体何の為にケツァルコアトル神が、今の時代の太陽が

テスカトリポカ神の宮殿に重傷確定の攻撃をしたのか

今は全くわからない。このままでは二人は戦いを始め

この宮殿は後宮も何もかも更地になってしまう

それではいけないと両者を何とかいさめ

部屋の中で決着をつけましょう。ただし言葉でと

その廊下から近い空き部屋に向かい

部屋に入りお互い向き合って床に座れば

 

両者口論の嵐(フセジ・エエカトル)

 

二人の口論は長くなりそうなので

私は先にケツァルコアトル神からのお土産である

ケツァル産のトウモロコシをいただく。

だって晩御飯前だったのでお腹が空いていたのだ

まだまだ神としても育ちざかりな私であった。

 

「シロネンちゃんに大怪我させたようですね!!」

「何でお前と関係がある!?そもそも誰から聞いた!」

「ショチピリですよ!マクイルショチトルが

 次に商売に行ったとき大怪我していて

 気になる品物は全部運んで見せていたってね!」

「確かに怪我をさせたのは俺だ!だがそれと

 シロネンお前に何の関係がある!!」

 

二人の口論は益々燃え盛っていき

もはやただの喧嘩である

手がまだ出ていないのが不思議だ

声も段々と大きくなっていき

一声一語までも聞き取れてしまう

アトラトナンは喧嘩する二人が怖いのか少し怯えている

私は変わらずトウモロコシを食べ進める

 

「私と間違えたでしょう!!いくらこの子が私の化身だからって私本人ではありません!!」

「あぁ!?シロネンがお前が元だと!!?此奴は俺のものだ!!」

「えぇ!!お前は認めたくありませんけど!この子は白のテスカトリポカたる

 私ケツァルコアトルの化身です!!その子に八つ当たりをするなんて!!」

 

    え

 

「俺だって認めたかねぇがな!だから此奴は俺のものだ!テスカトリポカのものだ」

 

私とアトラナンが硬直する

ここだけ世界が止まったかのように

静かに二人の声だけが響き渡るように

 

「白のテスカトリポカの化身のシロネンはいらないんだ!!」

 

「テスカトリポカっ!!貴方いい加減に・・・っ!!」

 

 

「シロネン!?」

 

アトラトナンが私の顔を見て声を張り上げる

どうしたの?アトラナン私の顔が何かついてる?

トウモロコシが顔にでもついていた?

自分の口の周りを触るとなぜか濡れていた

トウモロコシの果汁かと考えたが

どうやら違う、次々に私の手が濡れていく

 

ぽろぽろとはらはらと

 

なにかがながれていく

 

目からなにかおちていく

 

へやが前回のテスカトリポカ神が暴れた原因で歪んだのかな

それとも今回のお二人の争い(未遂)が原因か

天井から水がしみ込んでいる。ぽつぽつと流れる

私の瞼に落ちて頬を伝って雫が落ちていく

室内にいるのにまるで雨の中にいるように

頬がだんだん濡れていく。

いつの間にか二人の口論は止み

部屋には静寂が訪れていた

 

ケツァルコアトル神もーーーずるい。

テスカトリポカ神もーーーずるい。

私を見ている二人を見てーーーずるい。

戦いを辞めたケツァルコアトル神を見てーーずるい。

口論をやめたテスカトリポカ神をみてーーずるい。

流れ続ける何かを考えずーずるい。

ついに口に出して言ったーずるい。

 

ずるい。

 

ずるい!ずるいっ!!

 

「私もテスカトリポカと戦いたいぃいいいいいいっ!!」

 

言葉の勢いのままテスカトリポカ神に抱き着く

もうどうにもならない

私が戦おうとするだけで手も足も出ないのに

この二人は戦いを辞めた、いつでも戦えるからだ

いつでも戦えない私じゃない

私だって戦えないわけじゃないのに

止めることが出来るなんて

ずるい!!ずるいと!

テスカトリポカ神を殴る殴る

 

何のことかわからない私の言葉に

三者三様の反応を見せる

困惑、困惑、とても困惑

テスカトリポカ神は抱き着いた

私の方に向き直りどうした

どうした落ち着けと

 

「戦いたい!!一指報いたい!!遊んでほしくない!!戦いたい!」

 

機構を止めてもいい!神としてのシステムを失ってもいい!

私を見て!私と戦って!遊ばないで!躾ないで!

ちゃんと私と戦って!とどめさして

・・・私今テスカトリポカ神と戦いたい?って考えた?

私がなりたいのはテスカトリポカでーーー。

私は自分の言葉に混乱した。だって私は憧れてーーー。

 

「いやお前戦士の体にはなれないぞ?そう細工したし」

「細工ですって!!?この野郎なんてコトを!表でやがれ!!」

「望むところだトリ公!!決着つけてやる!!」

 

二人が表に出ようとするので

私も行きたいと駄々を捏ねるように

腰に抱き着いたまま動かない

 

「私もしたい!!戦う!ケツァルコアトルの化身だもん!」

「駄目に決まってるだろシロネン!今のお前は此奴の化身などではない!!」

「お前の所為ですけどね!シロネンちゃん危ないから下がってて!!」

「アトラナン!シロネンと一緒に後宮に戻ってろ!!」

 

私はアトラナンに預けられ逃げだそうとしたが

思いのほかアトラナンは腕力が強く逃げ出すことはできなかった。

 

「家出してやる!出ってやる!!」

 

私は最後の手段を大声で叫んだ。

ここにいてもテスカトリポカになれないなら

私は宮殿から出てテスカトリポカ神になる為の

武者修行に行きます!!行って!テスカトリポカになります!

この言葉にも何も反応見せないまま

テスカトリポカ神はケツァルコアトル神と宮殿の外に行った

 

後宮に戻った私はまだアトラトナンに抱っこされたままだった

私とアトラトナンは今後宮にある

アトラナンも私も何も言わない。いや言えない方が正しい

同じ配偶神かと思えば、実はケツァルコアトル神の化身だった

笑えないにも程がある。何を考えてテスカトリポカ神は

ケツァルコアトル神の化身を妻の座を与え、配偶神としているのか

テスカトリポカ神は一体何を考えているのかーーー。

その思案に夢中になっていると。アトラトナンが私を椅子に下ろし

私と向き合うように地べたに座り、私にお辞儀をした

まるで自分より上の神に拝謁するような丁寧さで

 

「まずは今までのご無礼をお許しくださいシロネン様」

「シロネン様!?」

 

私に様付け!?同じ立場である妻同士で様付けなんて

本当にやめてほしい!敬語も嫌だ!距離を感じてしまう!!

 

「アトラトナン!私に敬語も様付けもやめて!」

「しかし白のテスカトリポカ。ケツァルコアトルの化身

 である貴方様を呼び捨てなどとてもできません」

「私が嫌だからやめてください」

「しかし・・・」

 

テスカトリポカ神の口から語られた私の正体。

ケツァルコアトル神は最高神の一人その化身であった私

今は何もない私を畏まっていても、それは私じゃない

ケツァルコアトル神に畏敬の念があってのことだ

私の何もなくなったシロネンを見ていったことじゃない

その悔しさの感情に流れる涙が止められない

涙にあんなにも焦がれたのに今は出る涙が邪魔だった

出るたび出るたび何もなくなって渇いていく気がした

目から水が出続けて結局私は何もないままだーーーー。

でもアトラトナンが私をそう扱うってことは

そんなにケツァルコアトルの化身の方がいいのか?

何も無い私は嫌なのか……「豊穣」の女神は嫌なのかな

嫌な考えしかできない。それでも聞くしか無い

アトラトナンに聞くしか無い

「アトラトナンは……私がケツァルコアトルの化身じゃなくて嫌だった?」

 

異質な「豊穣」は嫌だった?通例の「豊饒」じゃなく

いれいの

 

 

 

ばちんっ!!

 

アトラトナンが自分の両頬を両手で同時に叩いた音だった。

両頬に手形がくっきりと残っている。私は突然のことに泣き止んだ

一息ついたアトラナンは立ち上がり私の隣に座った。

身体は私のほうをむき、私の目を見て話し始めた

 

「・・・・・・シロネン」

「・・・・」

 

アトラトナンは私を見ている

私を見据えている

 

「私は今貴方をシロネンではなく、ケツァルコアトルの化身

 として接しようとした。でも今の貴方はシロネン」

「・・・・」

 

私はアトラトナンを見た

アトラトナンは私を見ている

最高神の化身ではなくーーーーー。

かつてあった虚空ではなく

今目の前にいるシロネンをーーーー。

 

「貴方はシロネン。私と同じテスカトリポカ神の妻」

「うん」

「貴方は貴方。白のテスカトリポカの化身なんかじゃない」

「うん」

「貴方はシロネン。私の小さな先輩、そして大きな友人」

「うん」

 

アトラトナンは自分にも私にも言い聞かせるように

私の名前を呼び続けた。シロネンの名前を読んでくれた

さっきの涙はもう出なかった。でもとても機構が暖かった

アトラトナンが私を見て話してくれている

私のことを見て話している。私の神名を読んでくれてる

今まで通りなのにとても嬉しくて、嬉しすぎて

さっきの熱さとは違う熱さの涙が流れてきた

さっきよりも熱い涙。私が潤うような。

暖かい涙私の中にしみ込んでいく私の涙。

 

アトラトナンが私の名前を言い終わるまで

私も知らない渇きを潤してくれるまで

私は暖かい涙で機構を潤わせ続けた。

焼け焦げたあの場所から渇いてきたシロネン(生まれた私)

テスカトリポカになりたいという憧れの思いに近い

何もないシロネンの渇きを満たす。何もわからない

でも私が求めてやまない何かがそこにあった

テスカトリポカになることで得られる何かがあった

それが何かは今はまだ何もわからなかったけれど

この一時が嬉しかった、嬉しかった

何も考えられないぐらい嬉しかったのだ。

 

私の名前を呼び続けたアトラトナンは声も枯れて

顔は真っ青になっていた。力がなく今にも倒れそうだった

いや倒れるそう確信した時アトラトナンの身体を支えようと

私は自分の両腕を伸ばし受け止めようとしたが

予想外の神が後宮に現れたのだ

 

「よっと」

 

見知らぬ神がアトラトナンの身体を受け止めた

その神は誰もが立ち止まる花のようで

受け止める姿は気品に満ちた貴公子のようで

優雅を花にしたような立振る舞いだ。

本当に誰なんだこの神は

アトラトナンの身体を支えている神は

私の方を向いて笑顔を見せる

花が周りに咲いたようなーーーー

あれ実際に周りに花が咲いてる

空中に花が咲いて浮いている

ショチピリは花に夢中な私を他所に話し出した

 

「初めまして 豊穣の女神 シロネン。ケツァルコアトルの化身よ」

「私は奔放な神々にして、娯楽の守護神ショチピリ。マクイルショチトルとは友達さ」

「いきなり突然で申し訳ないんだがね シロネン」

 

「シロネン。君には死んでほしい」

 

 

ーーーーーーーーーーーへっ?

考える暇もなく豊穣の女神シロネンは死んだ。

ショチピリ以外の誰にも分らず

ひっそりと息を引き取った。

 

そして後宮にいる女神の数は一柱になった

 

「また派手に怪我したにゃ~」

「あの野郎鼻を回転しやがった。シロネンとアトラトナンは?」

「後宮にいるはずよ、あそこはテスカんお手製の守りがかかってるから

 たとえ誰であっても中にいる人を連れだすことは不可能!!」

「だがトリ公との戦闘のお陰で後宮の守りが薄くなってしまった」

「だぁ~っ殺す気でくるからねククルンは」

「だがそれでなければいけないケツァルコアトルはそうでないと」

「シロネンちゃんは?」

「・・・・・・あいつは鳥頭の化身ではない。俺に意見か?」

「いんや~疑問。王に対しての疑問ですよ」

「そういうことにしておいてやる」

 

そうだそうだ今は確認したい

俺のものがそこにあるかを確認したい

後宮に歩く歩く。鳥頭の所為で体はきしむが

今は俺の所有するものの確認だ

と高ぶる自信を落ち着かせるように

後宮の扉を開ける。手の中に収めたいように

妻たちの部屋を見る、アトラトナンは部屋で眠っていたが

シロネンの姿はどこにもみえない、というより

 

「・・・・・シロネン?」

 

シロネンの気配がどこにもしない

先ほどまであったシロネンの存在がどこにもーーーない

シロネンが誰かの手を借りたのか、1人で逃げ出したのか

 

どちらかはわからないが、どちらにせよ許さない

興奮を抑えていた身体が高揚する。口が吊り上がるのを感じる

目が見開いていく、興奮を収めるようにシロネンの部屋をめちゃくちゃにした

今シロネンにつけられない傷のぶん部屋に傷を傷つけた。

もう壁が爪痕だらけで引っ掻く場所がないころになったころ

壁と同じ行いをシロネンに行う英気を養うため

アトラトナンの部屋に向かいそのまま眠りについた

 

シロネン。お前の願い叶えてやろう

ただし二度ともう二度と後宮の部屋から出さない

傷だらけにして二度と自分では何できないように

考えられないようにそうしてやる。

お前は戦士ではなく、俺の妻なのだからーーーーーー。

 




シロネンは眠った 死をもって 次なる神へと至る為眠った。
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