「まさに戦場真っ只中、でありますな!」
そう叫びながら、ザクセンの後を追って階段を駆け上がる。
「全クダ!サッキヨリ酷イマデ…」
ザクセンの言葉を遮るように、何処かから怒鳴り声が響いてくる。
「あの
どがどがどがと機関砲が火を噴き、がらがらと地面に空薬莢が転がり落ちる音が響く。空に曳光弾が軌跡を描き、
「ボーットスルナ!死ニタイノカ⁈」
ぼぅと機体を見送っていると、ザクセンに腕を引っ張られて物陰に引き摺り込まれる。
ついさっきまで立っていた甲板に銃弾が叩き込まれる。
「間一髪ダッタナ…」
「…ここは?」
きょろきょろと周りを見回す。防盾の付いた艦砲らしいものが見える。どうやらさっきの甲板から1段下がった場所らしい。
「後部艦橋、対艦砲セクション…今回ノ襲撃デ、真ッ先ニ狙われた場所ダ。見ロ。」
ザクセンが海を指さす。
「何でありますか…本当にアレは何なんでありますか、うえっ…」
一目見ただけで吐き気を催した。
艦娘の胴に人間の腕、深海棲艦の艤装をごちゃごちゃとつなぎ合わせた化け物が海の上に浮いていた。
ざぁ、ざぁとこの艦に同航して、生えている火砲をこちらに向かってやたらめったらに撃ち込んでいる。
「ドウヤラ、サッキノ砲撃ニ反応シテイルミタイダナ…コッチニハ微塵モ気ガ付イテ無イラシイ。」
「…どうするでありますか?」
ザクセンが歯を見せて笑う。
「一発、アノ忌々シイ奴ニ…酬イテヤラナイカ?」
「そう来なければ、乗ったであります!」
防盾らしい金属壁を支えに立ち上がる。
「
「
がちゃりと音を立てて解放された単装砲から、がらりと空薬莢がデッキに転がる。
「役ニ立ッタ試シハ無イガ。」
「砲手殿は?」
ザクセンに促され、すぐそばに転がっていた140mm砲弾を拾い上げ、砲尾にあてがう。
「ソコニ。」
ザクセンが端を指さす。手すりのロープに係るように死体が倒れている。
「…コーヒーガ好キナ奴ダッタ。」
「…本当に、ここは地獄でありますな。尾栓閉鎖。」
砲弾を押し込み、がしゃりとレバーを戻す。
「閉鎖確認、目標...前方ノクソッタレ!」
「ぶちかましてやるのであります!」
ザクセンが旋回装置をぐるぐると回し始める。
「オ前、弾着飛バセルカ?」
「あと1機だけ、残ってるであります。」
艤装を展開し、走馬灯を巻物に翳す。影が実体化して化け物のほうへ向かう。
モールス信号による通信が頭に流れ込んでくる。
「…推定21kt、距離変わらずであります。」
「左ニ5度。」
自分が口に出した情報を基に、ザクセンが砲を左に回す。
「……撃つのであります。」
そう呟いた瞬間、自分たちは轟音に満たされた。