爆発音、機銃の音、砲撃の轟声が耳に飛び込んでくる。
閉じていた目を恐る恐る開ける。
…どこも痛くはない。
「12時方向に3機!中央の奴を…機銃手は⁉︎」
頭上で誰かが怒鳴っている。
「自分、は…」
「起きたな、アレ動かせるか⁈」
自分の呟きを遮り、怒鳴っていた将校らしい人物が機銃を指差す。
防盾のついた、機銃にしてはいくらか砲身が太い単装機銃だ。
「装填形式は…」
「10発一枚の保弾板、5枚まで保持できる。」
私の問いに将校が捲し立てるように答え、手を差し出してくる。
「弾種は何で?」
「曳光、着発の繰り返しだ。」
差し伸べられた手を取って起き上がり、機銃の方に駆け出す。
「肩押し型でありますか…‼︎」
「他所だとこの口径なら機械だけどな…こんなんでもうちの主力対空だ!」
苦々しげに苦笑し、機銃のすぐ後ろに立ってレバーを引き戻そうとする。
がきりと何かが噛み、途中で動きが止まる。
「っ…!壊れたのであります!」
「手ェ放しとけ、この…オンボロが!」
中途半端に撃ち出された保弾版を引き抜き、真新しい保弾板を脇に抱えた将校が機銃を殴る。勢いよくレバーが前へ進み、勢いのままばたりと倒れる。
「レバーを。」
「委細承知、であります!」
倒れたチャージングレバーを再び起こし、掴みなおして力一杯引っ張る。
がしゃりと機銃が音を立て、積み重ねられた保弾板ががちゃりと揺れた。
「見えるか?あの機体群からこっちに来る奴らを狙ってくれ。」
将校が空を指差す。先に黒い群らしいものが見える。
「距離はどのくらいでありますか…?」
「だいたい1400米で急降下に入る。そこを狙え。」
ちらと階下を見る。焼けこげてひしゃげた連装機銃と、壁と床に広がる人だったものを見てしまう。
「…ああはなりたくない、でありますな。」
「だな。とにかく来る奴らを落とす必要がある。」
何処からか手に入れた双眼鏡を首に下げ、半ば崩れた土嚢に腰掛けて空を睨みながら答える。
「もし、出来なかったら?」
「…皆仲良くお手々繋いで水底へ、それだけだ。」
ぶうん、と羽が風を切る音が耳に飛び込んでくる。
視線を空に向け、体をがくりと下げる。
銃口が天を仰ぐのとほぼ同時に、将校が叫んだ。
「奴さんら来やがった!撃て!」
彼の叫びを聞くか聞かないかのうちに、かちりとボタンを押していた。
がっ、がっ、がっと鈍い爆発音と共に機銃が揺れる。
銃口から煙と火を吐き出され、曳光弾が緑色の軌跡を空に描く。
がしゃがしゃがらんと音を立てて薬莢が地面を跳ね、保弾板が積み重なっていく。
ばちはちと地面に機銃弾が突き刺さり、ぎいんと防盾が金切り声をあげた。
「…捉えた、であります!」
放射状に広がった形をしている対空照準の中央に敵機が入った。
敵機がちらちらと光るたびに、防盾が盛んに声を上げる。
「補正なし!ここで決めろ!」
がちゃがちゃと保弾板を放り込んでいる将校が怒鳴った瞬間のことだった。
ごうっ、と爆音が耳をつんざき、眩いばかりの光が自分の視界を埋め尽くした。