綾小路がAクラス卒業ではなく童貞卒業を目指す話 作:ファウストの劫罰
『一之瀬帆波は南雲副会長と付き合っている』
その認識はこの日、嫌というほど出回った。
夏休みの課題も特にないこの高度育成高等学校の夏休みは生徒にとって暇を持て余す時間そのもので、彼らは常に遊び場を求めていた。
そのタイミングで1日限定で開放されたこのプール施設。
そんな場所で男女二人でいる姿は嫌でも目立った。
それも、生徒会副会長かつ2年を牛耳る男と1年でもトップクラスの人気を誇る一之瀬の色恋沙汰となれば格別だ。
…南雲がこの状況を狙って作ったことは看破するまでもなく分かる事実。
だったらそれは何の為に?
俺への当て付け?
いや、まだ本格的に敵対視されているわけじゃないためそれは考えにくい。
俺は思考の果てに一つの答えに辿り着く。
…一之瀬を壊す為に……か。
一之瀬にはまだ明かされていないブラックボックスがある。
非の打ちどころない彼女がBクラスである理由が…。
今は、それを一番効果を発揮する時と場所を整えている段階ということか。
「……ねぇ、聞いてる?」
先程、無事合流できた櫛田の声が遠くから反響するかのように聞こえてきた。
「ああ、なんだっけ?」
「…綾小路君。この状況で考え事に耽ってることに対しても文句が言いたいところだけど、その前に、今はどうするのか決めてからにして欲しいな。」
真鍋達がいるからか、櫛田は柔和な口ぶりで俺に話しかけてくる。
「そうだな。…じゃあ、諸藤にする。」
諸藤は指名されたことで肩を大きく跳ねさせた。
表情筋が生まれたての子鹿のようにプルプルと震えている。
「…リカちゃん?…綾小路君は初対面みたいなものだよね?今日もほとんど話してなかったし、二人で大丈夫?」
「問題ない。」
諸藤は観念したように少し距離をあけつつも、俺の隣に来る。俺に従うという意思表示だ。
不安そうな諸藤を見て、櫛田は決意する。
「…やっぱり私も残る。別に問題はないよね?」
「櫛田がそうしたいならそうしてくれ」
櫛田が残ると分かった諸藤の表情は少しばかりか晴れたようだ。
「すいません。早くお願いしても良いですか?」
バスの運転手の怒気の含んだ催促で、真鍋を含む他三人は焦ったようにバスに乗車した。
「もう乗らないんですか?」
「出発して結構です。遅くなってすいませんでした」
櫛田の素直に謝る姿勢を見て、運転手は怒ることを止めて、残り1席を残した満席のバスは扉を閉めて発車していった。
プール施設を後にして、俺達がこのバスターミナルに来た時、既に残り4席を残して満席だった。
必然的に俺達6人中2人はこの場に残ることになる。
俺はレディファーストの精神を発動して譲ると、櫛田が含みのある笑顔で『じゃあ、もう一人道連れにする人、綾小路君が選んでもいいよ?』なんて言ってきたのだ。
迷惑極まりない…。
今日1日を通して、既に櫛田の意見は真鍋達を含めて全体の総意となるくらいには地位を築いていた。
「ご、ごめんね。桔梗ちゃん」
「全然気にしないで?お風呂に入らなくても死ぬわけじゃないしね。それにちょっと気になるし、私が残りたかっただけだから。」
あくまで、ここに残ることを決めたのは自分の意志であることを強く主張する。上手いやり方だ。
そして、『お風呂』というワードが出てきたが、プール施設を出た後、女子は皆一刻も早くお風呂に入りたがっていた。
帰り際の更衣室にあるシャワールームが混雑していたため、まともにシャワーを浴びれていないようだ。
「それで何でリカちゃんを選んだの?」
「一番、適任だったからだ。それに心も痛まないしな」
「え?」
櫛田は解せないといったはてな顔を浮かべているのを見て、諸藤から情報が漏れていないのを確信する。
相当仲良しであることが見て取れたので不安要素だったが、口は硬い方らしい。
これでもう、最低限の目的は果たせた。
「それじゃ、行くか。」
「え、行くって何処に?バスは30分後だよね?」
「予想以上の混雑で少し遅延しているらしい。45〜50分くらいかかると思った方がいいだろうな」
「…結構待ち時間あるね。あっ。その間に何処か行くって感じ?」
「ああ。寮まで帰ろうと思ってる」
「「え?」」
櫛田と俺の会話を黙って聞いていた諸藤も重ねて困惑の声をあげる。
「ここから寮までバスで片道約15分。距離は7.8キロしかないんだ。待つよりも早く帰れる」
バスが再びこの地に帰ってくるまで45〜50分。そっから片道15分。低く見積もっても1時間はかかるわけだ。
なら、己の足で帰った方が早いことは明確だ。
「…綾小路君。冗談だよね?」
「無論。本気だ。諸藤。問題ないよな?」
「は、はいぃ!問題ないです」
俺がジョギングペースで走り出すと諸藤は無言で従うようについてきた。
「…いつから、そんなパワハラ上司と部下みたいな関係にーっ???!!!」
櫛田も文句は言いつつも俺達の後ろを追いかけてきた。
――――――――――――――――――――――――
「はぁっ。はぁっ。もうっ。むりっ。」
諸藤は勢いよく、膝に手をついて、分かりやすく肩で息をする。
荒い呼吸と共にお団子頭を揺らしている。ずれた眼鏡を直す余裕も無いようだ。
距離としてはまだ半分も通過していないし、経過した時間も時計半周りにも満たないだろう。
「私もちょっとこれ以上は走れないかも。」
櫛田は額の汗を拭って、これ以上は無理だと俺の目を見て猛アピールしてきた。櫛田はここでも諸藤に責任を一人に背負わせないように立ち回る。
「じゃあ、そこで少し休憩にするか」
そこには喫茶店があった。
ここが寮からも学校から遠い絶妙な立地なこともあり、人は余り入っていないようだ。
どちらからも反対の声が上がらなかった(諸藤は声をあげることすら無理)ため、俺達3人はスムーズに入店した。
「あ〜生き返る〜」
冷房の効いた店内の風を浴びて、温泉に浸かっている老人みたいなことをいう櫛田。
一方、疲れきった様子でこの快適空間の恩恵を喜ぶ余裕もない諸藤は致死量かと思えるくらい汗を流していた。
綺麗に揃えられた前髪も汗で額に貼り付いている。
「諸藤。タオル持ってないのか?汗拭いた方がいい。風邪の原因になる」
諸藤は無言で首を振った。櫛田も貸さない様子を見るに、余りはないらしい。
「俺ので良ければ使うか?流石に新品とはいかないが未使用だ。」
遠慮が前面に出たのか、諸藤は息を落ち着かせて喋り出す。
「そ、そんなわけには…。」
俺はバックから未使用のタオルを取り出して、諸藤の顔に勢いよく押し付けた。
「洗って返してくれればいい」
諸藤は押し付けられたタオルを手で掴む。
もう、自分の汗が染み込んだタオルを俺に返す気にはなれなかったようだ。
「す、すいません。」
「別にいい。風邪をひかれる方が困る」
その後、物腰の低そうな女性の店員がやってきた。
「すいません。今は満席でして…。」
「え?」
どういうことだ?
外の窓から見た限り、席はまばらにしか埋まってなかった。
「綾小路君。これ。」
櫛田が示した先には、立て掛け式の看板が置いてあり、『現在、改装中のため、一部の席は使用できません』と注意書きされていた。
「ついてないな…。」
立地が悪いこの辺りでは、まともに休憩できる飲食店はここしかない。
諸藤の絶望したような表情を見た店員は、何か策は無いかと必死に考えている。
「…少々、お待ちいただいててもかまいませんか?」
「ええ。それはいいですけど。」
俺の了承を得て、店員は店内に戻っていった。
「大変そう…」
店内を駆け回る店員を見て、諸藤は他人事のように呟くが、あの物腰の低そうな店員が必死にアクシデントに対応しようとしている行動力の発端は、貴方が暗に『なんとかしろ』と言わんばかりの絶望を見せたせいですが…。
「あはは。」
諸藤のこれには、流石の櫛田さんも乾いた声と苦笑いで対応していた。
「お待たせしました。お客様。…相席でよろしければご案内できますがどうしましょう?」
命からがら風に戻ってきた店員はそんな提案をしてきた。
どうやら、既に店内にいる客にそれを聞き回ってたらしい。
慣れないことをしたのが丸見えで疲れ切った表情だ。
「すいません。わざわざ。それでお願いします。」
そんな店員の努力を無下にも出来ないため、了承する。
失礼だが、相席する人が変な人でありませんようにと心で祈った。
「かしこまりました。ご案内いたします。」
案内された席には茶髪でウェーブがかかった後ろ姿が見えた。
すごく、見覚えがあるぞ…。
「星之宮先生!」
櫛田がその正体に気付いて、声をかけると勢いよく彼女は振り返る。
「ん?櫛田さんに諸藤さんか。…あれ、若い男もいるって聞いてたけど…まさか綾小路君だったとはね〜。こんにちは〜」
櫛田の後ろで背を向けて隠れる俺に、笑顔で手を振ってきた。
てか、店員さん?若い男云々の話について詳しく聞いても?
その店員を目で探すが、一仕事終えたと言わんばかりにバックヤードに向かって足速に去っていった。
そこは4人掛けの席だった。
櫛田と諸藤が戸惑う俺を置いて、一足先に星之宮先生の正面に並んで腰掛けた。
残る席は……
「…隣、いいですか?」
「ええ?そんなにお姉さんの隣がいいの?」
「まあ、もうそこしか席がないので」
「そんな理由じゃ、私の隣はあげられないなぁ」
「…ホシノミヤセンセイノ、トナリニスワリタイデス」
「ふふふっ。素直な子は好きだよ。はい、どうぞ。」
星之宮先生は隣に置いてたブランド物のバックを避けて、俺の席を開けてくれる。
てか、この人、バックでわざと席を限定させてただろ。
隣に座るという行動には星之宮先生に尋ねるというワンアクションを挟まないとならないというハードル高めのものに設定するために。
かくして、俺はレディファーストの精神を発揮してるが故に(戸惑ってただけ)、貧乏くじを引くことになった。
「あれ?メニュー見当たらないね」
「このお店は全部スマホで注文するんだよ」
テーブルに乗り出すようにして、正面の櫛田と諸藤に注文の仕方を分かりやすくレクチャーする先生。
…大きな胸がすんごいことになってます(報連相)
俺は目を逸らして、店内の様子を見渡す。店内はお洒落で雰囲気良いんだよなぁ。そう、問題なのは立地だけ…。
正面の櫛田と諸藤が星之宮先生に教えてもらったやり方で注文し始める。
「綾小路君も教えてあげよっか?」
完璧に作り込まれた笑顔には年季を感じた。
…この感想を言ったら怒られそうだな。
「教えてくれるんですか?」
この人が身を乗り出すように櫛田達に説明したのも、俺にはタダで教えないという意図があったからだろう。
「当たり前じゃない。私の仕事は教えることだしね。」
…裏があるな。それに、こういった注文形式を店側が取るなら、その説明がされているものがあるべきだろう。それが見当たらないということは……。
周囲を目だけで観察すると、星之宮先生のバックの下にそれらしき物が見えた。
…この人。何が目的なんだ、いったい。
「諸藤。俺はアイスコーヒーで頼む。」
「う、うん。分かった」
いきなり、話を振ったことに驚いたものの、素直に対応する。体力も回復しつつあるようだ。
「ほほう…」
「なんですか。そのおじさんみたいな声は」
星之宮先生は腕を組んで、目を瞑り、低い声で察したような声を出す。
…胸を持ち上げるように腕を組んでるせいで、大きな胸がすごいことになっていた(報連相)
これが巷に聞く後方腕組みおじさんというやつだろうか…?
「綾小路君は凄いなぁって思っただけだよ」
どこから、それを感じたのかは分からないが、感心したように笑う。
「星之宮先生はここ、よく来るんですか?」
俺と星之宮先生に割って入るように、携帯から顔をあげた櫛田は話を振る。
「そうだね。ここは生徒と鉢合わせることなんて滅多にないからね。」
喫茶店に行くならここではなく、ケヤキモールに向かう生徒の方が多いだろう。そういう意味では星之宮先生にとって好都合な立地なのかもしれない。
「オススメのメニューありますか?」
「ん?オススメ。そうだねー。食べ物なら幸せのふわふわパンケーキ。飲み物ならチョコレートミルクセーキなんて甘くて最高だよ」
具体的かつ、この店の常連の貴重な意見だった。
「美味しそう…。」
諸藤もそのメニュー見て、ご満悦といった様子。
「私達はこれにしよっか。」
「うんっ」
二人は星之宮先生の助言の通りに、注文を終えた。
「先生ってたまにはまともなこと言うんですね。てっきり、アルコール飲料とか勧めるんじゃないかって思ってましたよ」
「ふふ。今度綾小路君に聞かれたら迷わずに、イカのマヨ辛子和えとハイボールって言うね?」
「生徒にアルコール飲料勧めるのって法的にアウトかと」
「うわーん。綾小路君が私を訴える気だ〜」
分かりやすく、目尻に手を当てて、泣く演技をする大の大人。
ええい、めんどくさい。
この人、まさかここでお酒を飲んでたわけじゃないよな?
俺は訝しむように、星之宮先生のグラスを覗く。
ステンレス製のグラスのため、中身が外から伺えないのだ。
中身は茶色い液体に見えた。そして、コーヒー豆をじっくり煎られたもの独特の良い香りがした。
「ふふ。お揃いだね。私もアイスコーヒーだよ」
「諸藤。やっぱり、さっきの注文はキャンセルしてくれ。俺はカルキ臭がする水道水で構わない」
「えぇ。もう無理だよ。キャンセル不可って書いてたし…。」
申し訳なさそうに諸藤は謝ってくる。
「綾小路君。さっきからこのアイスコーヒーよりも冷たい!そんなにクール気取ってもモテないゾ〜?」
「鬱陶しい…。」
俺の鬱陶しがる素振りすらも楽しむように笑う星之宮先生。
「綾小路君、星之宮先生と仲良いんだね」
含みのある笑顔を浮かべて、そんな風に評する櫛田。
先生と生徒の関係性で仲が良いと表現するのは果たして合っているのか。櫛田よ。
「まあ、サエちゃんのお気に入りだからね〜。綾小路君は。」
そして、それは答えになっているんですか。チエちゃんよ。
ロボットのウィーンという音と共に、ドリンクとパンケーキが運ばれてきた。
「え、こんなのあるんだ」
「この店では、店員と関わるのは入店時だけなんだ」
支払いも携帯で出来るらしい。
店員との会話を特別必要としない俺としては、ここは静かに珈琲を嗜むには最高の喫茶店だな。また来よう。
正面の二人は写真を撮って盛り上がり、食べて盛り上がり、楽しそうだ。
名前の通り、本当に幸せになれるのかもしれないな。
それにしても、パンケーキにミルクセーキか。
走って消費したカロリーは帳消しどころか余裕で負債として体にのしかかるだろうな。。
食べた後に残るはカロリーと後悔と思い出だけだな。
「綾小路君もパンケーキいりますか?」
アイスコーヒーをちびちびと嗜む俺に諸藤がそんなことを聞いてくる。
「え、俺?」
「は、はい。もしよければ、……タオルのこともありますし…」
最後の方はボソボソと言って何を言ってるか聞き取れなかった。
「そうだな。それじゃ、一口だけもらえるか?」
「は、はいぃ」
返答を聞いて、少し焦るような諸藤がお皿ごとパンケーキを差し出してきた。
だが、それを食べるはずのフォークは諸藤の手の中だ。
……手で食べろと?
力強く握りしめるフォークを貸してなんて俺には言えなかった。
「あ、もし、よかったら…」
「綾小路君。はいどうぞ」
隣にいた星之宮先生が俺に押し付けるようにフォークを渡してくる。
「あ、ありがとうございます」
諸藤に早くパンケーキを返すべきだと思い、有り難く使わせてもらい一口分切り分けて口に運ぶ。
……確かに、これは幸せの味かもしれない。
それと同時にこの甘さ(糖質)は体にとって毒の味だったが。
「諸藤。ありがとう。美味しかった。」
「う、うん。どういたしまして」
俺がお皿ごと返すと、諸藤は無言でパンケーキをパクパクと食べ始めた。
その隣で櫛田も勢いよく、パンケーキを口に運んでいた。
食欲旺盛だな~。食べ盛りかな?
「2人とも、もう少しゆっくり食べてもいいんじゃないか?」
「なんで?」
櫛田はにっこりと笑い、語尾を上げて問いかけてくるが、確実に心は笑ってないだろう。
「なんでもないです。」
俺は答えに満足して、櫛田はまた、パンケーキを頬張り始めた。
諸藤は聞こえてないかのように意に留めていない。
「ふふ、やっぱり綾小路君は面白いね」
「どういう意味ですか。あ、あとこのフォークってどこのですか?」
「ああ、それ?それは私の私物なんだよね」
「え?」
星之宮先生は俺の手から回収したフォークをバックの中にしまった。
「私物?フォークが?」
「うん。よくあるでしょ?マイ〇〇ってやつ。それだよ。このステンレス製のグラスも私物だしね」
俺が何故そんなことをする意味が?と呆気に取られてると、星之宮先生はさらに続けた。
「綾小路君もいつか私の私物になって欲しいな〜なんてね」
ウインクしながら言う星之宮先生を見て、背筋にゾクゾクとした何かが走った気がした。
ダンッ。という音を立てて、櫛田と諸藤は立ち上がった。
見ると、あんなにボリューミーだったパンケーキとミルクセーキはお亡くなりになられている。
「星之宮先生。相席させてもらってありがとうございました。私達は急いでるのでこの辺でお暇させてもらいます」
「おっけ〜。また学校でね。みんな」
すっかり空気が解散モードになっていく。
「え、もう少し休憩していかないか?まだ、残ってる」
俺のアイスコーヒーはまだ7割近く残っている。
「別に残しても良いよ?私が飲んどいてあげる」
星之宮先生の提案を聞いて、俺の前にあったアイスコーヒーを手に取った櫛田は勢いよく飲み干した。
「じゃ、ありがとうございました!」
諸藤と櫛田に手を引かれて俺達は店内を後にした。
「ふふ、ほんと面白い子たち…」
という呟きだけが、静かな店内で静かに消えていった。
――――――――――――――――――――――――
店を出た後、想定以上に回復した2人はむしろ俺を先導するように走って、すぐに寮に辿り着いた。
それは、俺にとっても好都合な展開だが、明らかな変貌ぶり、少し怖さを覚えたものだ。
櫛田に理由を尋ねても、「あの空気に耐えられなかった」という抽象的な答えのみ帰ってきた。
確かに、星之宮先生は独特で面倒くさい雰囲気を持っているけど、いい人なのは間違い無いんだけどな。
それに、聞いたとこによると、注文した会計はすべて、星之宮先生が持ってくれたらしいしな。
…今度、お礼を言っておかないと。
俺は寮のエントランスで2人と別れて、自分の部屋に戻ってきていて、今に至る。
明日からは2学期。
生徒会活動。
茶柱先生の思惑。
南雲の策略。
敵クラスの動向。
ついに、色々と先延ばしにしていた課題と直面することになる。
「明日からもよろしく」
普段、余り連絡してくることのない堀北からそんな短くも、気持ちがこもったメッセージが届いていた。
やりたいことだけやっていけるなら人生は簡単だ。
やりたくないことの先に俺の目的があるなら、やりたくないこともやるしかない。
俺の長くも短くもあった人生初めての夏休みは色々な経験を経て、終わった。
部屋の窓に近付いて、暗くなった空を見る。
暗くなった窓に映っていたのは薄ら笑いを浮かべた自分の顔だった。
案外悪くない夏休みだったのかもしれない。
まあまあの更新速度。
7月の俺は本気出すよ
次回からやっと2学期です!!!!!!!!
ちなみに諸藤は攻略対象外です()