綾小路がAクラス卒業ではなく童貞卒業を目指す話 作:ファウストの劫罰
読まなくても本編を読むのに支障はありません。
時系列的には、2学期の体育祭が始まる前の放課後です。
経済新聞を立ち読みしている朝比奈先輩は、これでもかというほど絵になっていない。
JKに経済新聞は流石に無理がある組み合わせか。
食べ合わせが微妙な定食を目の前にしたら食欲が失せるのと同じ。
こんな朝比奈先輩は見てられない。
朝比奈先輩にはプリクラのデコレーションタイムでテンアゲしてて欲しい。
少し目を逸らすと、その新聞の見出しに目が止まる。
『高円寺コンツェルン株価大暴落』とでかでかと書いてあった。不正・買収・脱税。不穏なワードが強調されている。
…あいつも、大変だろうな。
こういうので注目を浴びても気にしないだろうが気の毒ではある。
「へ、へえ~。ペコちゃんって液体化したロウに顔突っ込む人が好みなんだ~。」
俺たちが近付いていることを察知した朝比奈先輩がいかにも読んでます感を出して読み上げる。
三文芝居にもほどがあるな。
てか、ペコちゃんってキャンディのモチーフキャラだよな。
可愛い顔してそんなグロい癖あるのかよ。いやだなー。
…ていうか、それ経済新聞ですよね?
いつの間にそんなユニークな話題も取り扱うようになったんだよ。
「朝比奈先輩。お時間よろしいでしょうか」
「あ、綾小路君じゃん。全然気が付かなかったよ~。わ、私の力を借りたい気分になった?」
俺達二人が澄ましているからか、それに反比例するように朝比奈先輩が焦っている。
キャラがブレるほどに。
こんな機会もめったにない。楽しまきゃ損だろう。
「ええ。日経平均の今後の展望についてお聞きしたくて。」
「日系HEY金?ああ、あれね~…。日本人にこんにちわって挨拶したら実は給付金申請できるやつ。ラ、ライフハックだよね~。」
額に汗を浮かべて必死に紡ぎだした言い訳は支離滅裂なものだった。
医療品を一定額以上買うと給付金が出たり、住宅の改築なんかも一部は補助してもらえたりと、マイナーな制度は確かに存在する。
また、FXなんかをやっていると、確定申告で割となんでも経費として申請できる裏技みたいなライフハックもある。
だが、日本人に挨拶して金もらえるほど、社会は甘くない。
俺はひよりと目配せして、勢いよく朝比奈先輩を挟むように取り囲んだ。
「朝比奈先輩。20:00時ジャスト。現行犯逮捕です。」
「左腕失礼します。すいませんが署まで同行お願いします」
「え、ええ!?」
朝比奈先輩の持っていた経済新聞には、視界が通るように穴があいていた。
昭和の探偵なんかがやりそうなことだが、現実だとこんなにも無様に見えるものなんだな。
瞼の上から目を書いて、授業中に眠るやつくらい不自然だった。
それにしても、商品に穴をあけるのはどう考えてもやりすぎだ。
「すいません。これ買います」
「ああ、兄ちゃん。それ無料だよ、いくらでも好きに持ってちゃって」
…そんなラーメン屋のトッピングみたいなテンションで扱われてんの、これ。
ネットニュースの時代か。
こうして、また一つ業界が消えていくんだろう。
俺達は朝比奈先輩を拘束してケヤキモール3Fのカフェに連行した。
4人席で俺とひよりが並んで座り、対面に朝比奈先輩を座っている。
片手には経済新聞、右手にはアイスコーヒー、店内にはチルいBGM。
意識高い系社会人のような振る舞いだが、話題はカオスが極まるもの。
ひよりと朝比奈先輩はかつてないほどデットヒートしていた。
「…朝比奈先輩。江戸川乱歩が好きという割にエドガー・アラン・ポーを知らないってどういうことですか」
「エレン・イエガー?」
…この先輩、難聴系ヒロインなのか?
俺達があの本のこと知っているかと問い詰めると、朝比奈先輩はミステリー好きだと供述した。
ひよりは読書仲間を見つけたことに喜び、例の本よりも先に朝比奈先輩のミステリー知識を掘り下げていく。
ボロボロと付け焼き刃の知識がひよりの熱弁にはがされていき、今に至る。
ひよりは作品だけでなく、作者の出生や背景まで調べて、どうしてこの作者からこの言葉が生まれたのかまで楽しむトップオタ。
せいぜい、映像作品になった江戸川乱歩の代表作を知ったくらいのミリしら知識でひよりに挑むのは無理があったのだ。
「単刀直入に聞きます。この本は朝比奈先輩のものですか?」
朝比奈先輩はもう冷や汗すら出ていない。
これ以上、ひよりにオーバーキルされると聞きたいことが聞けなくなる。
ひよりは今、死体撃ちしているようなものだ。勿論、彼女にその自覚はないだろうが。
「やっぱり!!」
「…清隆君、いつの間に隠し持っていたんですか、それ。」
ひよりにはバレないように取ったからな。
たとえ、図書室のものでないとしても、無断で持ち出すような真似をひよりは許してくれないだろう。
俺が机の上に本を置くと、猫が魚に飛びつくように朝比奈先輩が全身を使って掴みかかってくる。
俺はひょいと持ち上げて、直前で本を取り上げた。
勢いを殺しきれなかった朝比奈先輩がびたんと机に突っ伏す形になった。
…やっぱこの人、スタイルいいな。
「…清隆君?」
俺の目線に素早く気付いたひよりにじろりと睨まれるが、俺はコホンと咳払いして続ける。
「綾小路君、図書室の本を無断で持ち出すのはルール違反って知ってるよね」
顔をあげた朝比奈先輩が最後に無駄な抵抗をみせた。
「朝比奈先輩。これは図書室の本ではなく、誰かの落し物です。持ち主の下に返したいという親切心で持ち出してしまった俺を誰が責めれるでしょうか。」
「清隆君、海老で鯛を釣った人みたいな顔してますよ。それ、親切心じゃない…」
「ひよりさん。お静かに。今は朝比奈先輩と話していてのことよ」
この本の真相を一緒に紐解く仲間のはずのひよりが、天然を発動して俺の邪魔をするものだから口調が変になってしまった。
「もし、持ち主が名乗り出るなら今すぐにでも返したいんですけどね、いないなら一人一人生徒に聞いて回るしかないですね」
俺の悪魔の囁きを聞き、目の色が変わる。
この本が朝比奈先輩のものであると確信している故の行動だが、流石に胸が痛んできた。
朝比奈先輩もそれも、未だにテーブルに押さえつけられていて、痛そうだ。
「…綾小路君ってそういう性格してんだ。雅が鼻につくって言ってたわけが分かったよ」
「そういう性格とは?」
「外堀を埋めて選択肢を限定してくるかんじ」
「それはそうかもしれません。」
便乗するように正面からひよりに同意される。
…ひよりはいつの間に朝比奈先輩サイドに移動したんだ。戻ってこい。
てか、言語化されると物凄く性格が悪いやつに聞こえるな、俺。
「…いいよ。認める。それは私のもの。だから、返して」
「いいですよ。」
俺は即答し、あっさりと朝比奈先輩の前に例の本を差し出す。
取り戻すのために、俺達を張ったり、聞き込み調査したりと苦労したであろう朝比奈先輩にとっては拍子抜けする展開だろう。
「いいんですか?綾小路君」
いつの間にか隣に戻ってきていたひよりが名残惜しそうに耳元で囁く。
「落し物を届けた時、もらえるものって何だと思う?」
「…はっ。謝礼が貰えるケースが多いです。」
「そういうことだ。朝比奈先輩は俺に借りを作りたくないだろうし、それなりに期待していいだろう」
「綾小路君。やはり、それは親切心と呼べないのでは?」
「小さいことを気にするな。」
俺が親切心だと言ったことに再度ツッコまれる。
正論を浴びせられるあまり、ついついゆってぃみたいになってしまった。
ひよりは知らないことだが、朝比奈先輩は俺に借りが既にある。その状況を利用して何が悪いというんだ。
「ありがとう……。って言いたいはずなのに、この複雑な気持ちはなんなんだろ」
「恥ずかしい気持ちと感謝の気持ちを混在した結果でしょう。」
「…人の感情に名前を付けるのが上手いね。君は。そう思えてきちゃうよ」
絶妙な褒め方。手放しに喜べない含みがあった。
それに、実際は言いくるめているだけだしな。
俺が戸惑う朝比奈先輩にスラスラと言葉を返したのに勝手に凄みを感じて、呑まれているだけにすぎない。
主導権は完全に俺にある。いや、主導というよりは誘導だ。
後は時間がたてば、朝比奈先輩から勝手に話してくるだろう。
俺達はもうそれを待つだけでいい。
「朝比奈先輩。その本について教えてくれませんか」
「…彼女さんの方は君と違って真っ直ぐだね。」
「…っすね」
ひよりの好奇心と探求心は待つことをよしとしない。
あとは性格もあるか。朝比奈先輩が申し訳なさそうに語る展開よりもグイグイと直球に聞いて聞き出すほうがひより好みだろう。
そこまでひよりが自己分析しているわけじゃなく、ただやりたいことに真っ直ぐ突き進んでいるだけだろうが。
「…場所変えよっか。」
「…カラオケって部屋も時間も変わらないのに人数分の料金が必要なのおかしくないですか?これ何の代金なんでしょう」
「…言いたいことは分かるけど、そういうものだよ」
「私、初めて来ましたカラオケ。結構狭いんですね。でもソファはフカフカです。あ、声が反響してます。なるほど、狭い空間なのは声を反響させやすくする意味もあるんですね」
カラオケの料金システムにケチをつける俺とそれに呆れ気味の朝比奈先輩。
初めてのカラオケに感動しているひより。
こら、ひよりちゃん。ミラーボールに触ってはいけません。
普段大人のような落ち着きを見せるひよりだが、童心を忘れてるわけじゃない。
テーマパークではしゃぐ大人のように、時折こういった微笑ましい姿も見せる。
「カラオケ初めてなんてことあるんだ…。せっかくだし歌う?」
かくいう俺だって、カラオケに来るのは二回目だ。
社会勉強として、休日に一人で利用したことがある。
だが、その時はランキングに入っている曲がどれも知らないもので絶望した。
ドリンクバーだけを時間いっぱい堪能して帰ったから、元は取れていると思うが…。
今の俺はあの時とは違う。
失敗から学び、いつカラオケに来ても困らないようにカラオケ定番曲からちょっとマイナーな曲まで網羅している。
「い、いいんですか!?」
「ふふ、可愛いなひよちゃんは。何でもお姉さんに聞きなさい」
…さっき、ひよりが真っ正面から本について聞きたいと頼んだ時から、朝比奈先輩とひよりの距離が急接近してるんだよな。
朝比奈先輩はストレートに弱いタイプか…。
「ありがとうございます。でも、私、曲あまり知らなくて…」
「なんでもいいんだよ~。なんでも、そうだ、リクエストくれたらお姉さんがお手本として歌ってあげようか?」
朝比奈先輩は相当歌に自信がありそうだ。
声がどことなく声優の雨宮天に似ていると思ったが、まさか歌唱力まであるというのか?
「では、清隆君をオトせそうな曲をお願いしますっ」
朝比奈先輩が笑顔のまま固まる。
そして、ギギギと壊れかけのロボットのようにぎこちなく俺の方を向いた。
ひよりは「楽しみです」なんて呟きながら、貧乏ゆすりをして待ちきれない感を出している。
…マイクを持って、朝比奈先輩が選んだ曲は…。
「ご利益は当然不可避。こみ上げる有難み。お気楽に休み休み…」
まさかの○reepy ○uts。
確かにHIPHOP好き男子ならイチコロ…。いや、賛否両論か。
もっとアングラチックでいなたい曲を好む層は逆に気嫌いする傾向があるし。
「か、かっこいいです、朝比奈先輩!!」
絶賛するひよりをひとまずおいて、朝比奈先輩は俺に感触確かめるように聞いてきた。
「…ど、どうかな、綾小路君が高校初日の自己紹介でラップしてたって聞いたからやってみたんだけど…」
…それ、誰から聞いた?櫛田か?櫛田だな。よし、櫛田を今すぐ退学させよう。
そして、俺の朝比奈先輩への好感度が地まで落ちた瞬間だった。
…恥ずかしそうに、俯きがちにで聞かれても全然可愛いと思えないんだからねっ。
「惚れました。俺からもリクエストいいですか?○reepy ○utsの阿婆擦れお願いします。」
俺の黒歴史一つで雨宮天激似の声で○reepy ○utsの阿婆擦れが聞けるのは普通に考えてお得だろう。
「う、歌うわけないでしょ、バカ」
ええ、ダメなのかよ。流石に蛙になっちゃうよ?
さっき、オーガズムとかしみけんとかビルゲイツとか言ってた癖に…。
…いや、ビルゲイツは問題ないな。
「わ、わたし、それ歌いたいです!!」
「ええっ、ひよりちゃん知ってるの?」
「し、知らないです…。朝比奈先輩。よろしければお手本お願いできませんか?」
ひよりもわるよのう。
朝比奈先輩、そういう歌詞だからと割り切るのに時間はかからなかった。
「阿婆擦れ先輩お疲れ様です。かっこよかったですよ」
俺はドリンクバーで汲んできた水を朝比奈先輩に渡す。
「…綾小路君、今なんて言ったかな?」
「あれ、俺変なこと言いました?」
受け取った水が入ったグラスがプルプルと震えている。寒いのかな?上着貸そか?
「やはり異常なリビドー、また…。うぅ。これ以上は私には無理です」
「無理しないでいいんだぞ、ひより。」
照れて言葉に詰まり、途中でマイクをおいたひより。
ひよりの姿と、下品な歌詞を歌い切った朝比奈先輩との対比が面白い。
朝比奈先輩の顔がどんどん赤くなっていくことで、羞恥心がこれでもかと刺激されていることが分かった。
ひよりがお手洗いに向かっていない今、一旦爆発させておくか…。
「朝比奈先輩って叩かれるのが好きなんですか?」
即座に俺に向かって水の塊が飛んでくる。
麦茶とか匂いが残るやつにしなくて正解だったな。
「歌詞だって言ってるでしょっ!!?」
「すいません。冗談がすぎました。」
「…も、もうっ。」
「ほんとすいません。」
「…」
素直に謝る俺に朝比奈先輩はやりすぎたと感じたのか、鞄からタオルを取り出して近づいてくる。
無言で俺の濡れた制服と髪にタオルをトントンと優しくあてて水分をふき取っていく。
「朝比奈先輩、怒ってます?」
「怒ってない。けど、拗ねてる。私、これでも先輩だからね?分かってる?」
「分かってます。ノリがよくてつい…すいません。」
「…しおらしくならないでよ。後輩に勢いで水かけた私が惨めになるから」
…このタイミングで阿婆擦れ先輩っていうのは流石にまずいな?まずいよな。やめておこう。
この後、本の真相を聞く時間に影響が出るのも面倒だしな。
「脱いで」
「朝比奈先輩、それは…」
「ち、違う。上着乾かすからってこと!!」
墓穴を掘った朝比奈先輩は誤魔化すように俺の上着を強引に脱がして部屋にあったハンガーを取る。
そして…
「朝比奈先輩、そこにかけるのはやめておいた方がいいかと…」
「え?ここにかけるのが普通って雅言ってたけど…」
南雲、やってんなあ!?
入り口の扉の窓が隠れるように上着かける意味なんて一つしかない。
会計の時に店員に白い目で見られたくない俺は即座に別の位置にかけなおした。
「ここのほうが空調当たるんでこっちで」
「確かにそれもそうだね。…今更だけどごめんね、水かけちゃって」
「気にしないでください。俺が悪いんで。それよりひよりが帰ってきたら、本の方の話を進めませんか?」
このタイミングなら断れないだろうと判断して、カラオケを切り上げることを提案する。
俺達はカラオケをしにきたわけじゃないからな。
「そうだね、そうしよっか。」
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机の上には例の本と入れ直してきた飲み物3つ。
カラオケのモニターも消して、3人の呼吸音が僅かに聞こえるだけ。
緊張感が張り詰めた中、朝比奈先輩は口を開いた。
「…ひよちゃんはこれ読んでどう思った?」
「悲惨な家庭環境の主人公がよくある論理を否定する話。ホラーな部分とミステリー部分の配分が絶妙で面白かったです。だからこそ、オチが気になるんです」
「綾小路君は?」
「概ね同じ意見です。謎が多くて考察が捗る構成でした。黒塗りされた箇所は無論、作者や本の名前がない点とかですね」
「なるほどね…。」
どこまでいったって全部妄想にすぎない。
作者がこの作品に込めた隠し味は本人しか分からない。
「これはね。純愛を書いた純文学なんだ。ミステリーでもホラーでもないの」
「朝比奈先輩は俺に問い詰められたとき、ミステリーが好きだと最初言いましたよね。」
「言ったかもしれないね。」
…大した叙述トリックだ。
この本は確かに純文学のコーナーにあった。
だが、ミステリーな内容と考察しがいのある謎にばかり目が行き、純文学であったことを忘れさせられる。
個人のもので、ジャンルなんてないというの固定観念もあった。
朝比奈先輩のミステリー好きの公言もミスリードだったのだ。
この本は最初から純愛を描く純文学だったのだ。
「もしかして、純愛の対象は黒い衝動ですか?」
「流石だね、ひよちゃん。その通りだよ」
「鍵括弧で唯一強調されてますから、でもそれくらいしか分からないですね。」
それ、普通に卍系の漫画の引用だと考えていた…。
そんな意味があるのかよ、分かるわけがないな。
だが、真面目に考えるなら主人公は性善説や性悪説を忌み嫌っていた。それに役を与えるならば恋のライバルといったところか?
全てをそんな風に主観一つで、概念や登場人物に役を当てはめてやっと物語を理解できる。
決まった定理や法則がある暗号じゃない。
自分だけのパスワードみたいなものだ。
これは他人に伝える気のない気持ちを他人に見せるために作った純文学。
「まさか、これラブレターですか?」
「…えっ」
「ふふ清隆君。私も今、そう思ってました。」
「ひ、ひよちゃんまで?」
朝比奈先輩の反応はもう答えを言っているようなものだった。
「俺が先ほど他人に見せると言った時、焦ってましたよね。あの時は自作小説が他人に見られるのが恥ずかしいという理由かと思いましたが違うんですね。」
俺が答えに辿り着いたのは朝比奈先輩の挙動から。
「私はそう思ったのは、この気持ちが分かるからです。好きっていうのは人にはバレたくなくて、でも気付いてはほしい。そんな中途半端な気持ちだと思いますから」
ひよりが辿り着いたのは作者の気持ちに共感したから。
朝比奈先輩の耐え切れなくなったように机に顔を伏せる。
顔が茹で上がっていることは言うまでもない。
「ひより、だとするなら気にならないか?」
「ええ、流石にそこまでは踏み込めないですよ。」
「好奇心丸出しの顔して何言ってんだ。」
fromは分かったが、だとするならtoは誰なのか。
俺とひよりは声を合わせる。
「「それで、相手は誰なんですか?」」
足をジタバタさせる朝比奈先輩だが、俺達に容赦はなく吐くまで帰さなかった。
…相手は南雲だった。
趣味悪すぎるよ……絶対騙されてるよ…。
これでサブストーリー完結です。
朝比奈先輩の恋は本編の綾小路も知っています。
関係ないけど、雨宮天さん好きです。