綾小路がAクラス卒業ではなく童貞卒業を目指す話 作:ファウストの劫罰
耳から入ってきた『おめでとう』の五文字が頭の中でゲシュタルト崩壊して処理できない。
神経を逆撫でされた気分で、胃から何かが逆流しそうだった。
胸焼け?いや、もしかしなくても、これはノイローゼでは?
今まで、誕生日イベントとは無縁だった俺だ。
それに対して憧憬に近い感情を持っていたことも認めよう。
でも結局、憧れなんてものは夢を見ている感覚に近いわけでして。
蓋を開けてみれば、悍ましいとしか感じられないわけでして。
例えるなら、好きでもない相手から好意を押し付けられてる感じでして。
早く今日が終われとこれほど念じた日はなかった。
「ほんと羨ましいわね。さぞ綺麗なんでしょう?貴方の目に映ったその展望は。祝福するわ。おめでとう」
6限目の授業が終わって早々に、皮肉マシマシの言葉が脳に直送される。
だが、当のお届け人は俺の方を見向きもせず帰り支度を着々と進めていた。
届けるだけで満足って、ウーバーイーツの置き配かよ。
商品には細心の注意を払え。生産者のリスペクト忘れるな。カスハラすんぞ。
だが不思議とその言葉はすっと俺の中に入り、溜飲が下がっていく。
「そこまで言うならお裾分けしてやろうか?」
「結構よ。他人からの施しは受けないタイプなの」
「謙虚が美徳か?シェアハピって言葉を知らないのか?」
シェアハピ。share&happy。
シェアした方もされた方も嬉しいというwin-winな関係性を差す言葉。
その説明を終えると、お届け人こと鈴音は手をピタリと止めて、見定めるような目で俺を射止めた。
「そのシェアとやらで本当にハッピーになれるなら…、それは本当に…、本当に幸せなことね。」
「含みを感じるな。何のことを言っている?」
「そう?私に含みなどはないから、額面通りに受け取ってもらって構わないわ」
鈴音はケロリと表情を変えて、再び帰り支度の手が動き出す。
彼女は含みがないことだけは答えたが、それが何のことを指しているかは答えていない。
「面倒臭いよな。鈴音って」
「世間知らずね。今後の参考に教えておくけど、人間ってそういう生き物よ」
「友達の一人もいない鈴音に言われても説得力がないな」
「私には必要ないもの。けれど、私だって最初からそうだった訳じゃない」
「へぇ。意外だな。幼稚園の頃から周りを馬鹿にしてそうだが?」
「それは否定しないわね」
…否定しないのかよ。
「けれど、その時の私は相手と関わって、相手を知った上で馬鹿にしてたわ」
「むしろ、たちが悪くないか、それ」
「当時の私はそのくらい未熟だったのよ。相手と関わった時間も相手を知るための会話も全て徒労だと気付くのに随分時間がかかったわ」
鈴音が人と積極的に関わらない理由はこれだろう。
彼女が語っているのは失敗談。その時の経験が今の彼女を形成している。
「私がこれだけ多くの時間を消費して得られたのは一つだけ。それは人を見る目。」
「ここから先は私的な見解。確かに貴方の方が友達も多いし、支持もある。でも、今まで関わってきた人間の数という一点においては私の方が圧倒的に上だと思っているわ。違う?」
珍しく語った身の上話はこれを言うためか。
俺の言葉を寄せ付けない説得力が確かにあった。
無論、鈴音より経験則が上な櫛田や洋介には通用しない隙だらけの理論だ。
だが、こと俺に限っては返せる言葉もない。対俺専用と言っていいだろう。
普通の人間が小学校や中学校に通う時間も、一家団欒を楽しむ瞬間も、鈴音の言った徒労とやらも。
ホワイトルームの教育論でいえば、それら全ては若さにかまけてドブに捨てている無価値な時間だ。
確信を持って言える。俺はこのクラス…いや、学校内でも断トツで人間と関わった経験が希薄だと。
それを改めて思い知らされた。
俺が構築してきた人間関係は、いつ崩れてもおかしくない、ペラペラの紙でできたトランプタワーのようなものかもしれない。
「そうかもな。」
「…貴方が殊勝だと調子狂うわね。私の話をちゃんと聞いてた?」
「聞いてたよ。言われた通り、今後の参考にさせてもらうよ。見くびって悪かったな」
「はぁ。貴方の耳は本当に飾りのようね。」
「は?だから、全部ちゃんと聞いてたって…」
反論しながらも、俺の頭は高速に回転して、鈴音の話を再度組み立てていた。
彼女は言った。相手と関わり知る時間が徒労だと。
なら彼女にとって、俺と舌戦を繰り広げている今は徒労か?
…いや、それが徒労だったと気付くのは数年後、俺達が卒業した後の話だ。
音信不通の俺が思い出の中だけの人になった時、あれは徒労だったと嘆くのだ。
私には人を見る目があるだぁ?馬鹿も休み休み言え。
説得力だって、これっぽちもありゃしない。
鈴音がどれだけ、俺との関係性の存続を願ったって、それが徒労に終わることは確定しているのだから。
「…お前、面倒臭すぎだろ」
「当たり前でしょう?私だって、人間だもの。」
その中でも格別だけどな。
人類皆、鈴音みたいなやつだと国の歴史は1年と持たずに崩壊するだろう。
「面倒ついでに一ついいかしら?」
「よくな…ぅぁむっ。」
きめ細かなまでに白い手が顔に飛んできたと思った数秒後には、口の中に甘い何かが放り込まれていた。
口の中で広がるちょっとBitterなショコラみたいな刺激。
その中にも確かな甘みと柔らかな舌触りがあった。…生チョコか?これ。
俺はそれが完全に溶けてしまう前に、飲み込んだ。
「…なんだ急に。」
鈴音は自分の手のひらをじーっと見つめていた。俺の唇に当たった右手だ。
「貴方が言ったんじゃない」
「会話下手か?何をだよ」
「シェアハピよ。…約束は守ったから。」
とっくに帰り支度は終わっていたのだろう。
鈴音は俺に背を向けてクラスメイトと雑談している櫛田の元へ向かっていった。
ほんと、素直じゃない。
これが誕生日プレゼントだとも、最初の嫌味混じりな祝福が俺の誕生日に対してであったことも。
この舌に残る甘美な風味だけが匂わせてきていた。
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誕生日。それはただの平日だ。
学校の授業も粛々と行われ、放課後になれば、恵筆頭とした皆に教鞭を振るうことも変わらない。
国民の祝日やクリスマスや正月にも汗水を垂らして命を削っている方々がいるのだ。
当然といえば当然のこと。でも、今日くらいは帰って寝たかった。
俺は恵達に強制連行されるように教室を出て玄関へと移動する。
バラバラに帰って俺の部屋に再集合するという手筈はもう彼女達にとって無かったことになっているらしい。
存在感を消して金魚の糞のようにしれっとついてきている佐倉の様子が気になって声をかけた。
「眠くないか?」
「…え、う、うんっ。大丈夫っ。ほら、目パキパキ。」
「よし、大丈夫じゃなさそうだな」
明らかに無理している。パキパキって擬音、今日日聞かないぞ…。
だが、挙動が変なだけで、目の下にクマらしきものは見当たらかった。
眼鏡とコンシーラーで上手く誤魔化しているだけかもしれないが。
まあ、瞳孔が開いていたり、白目が純血している訳でもないから大事には至らないだろう。
それにしても、ソワソワと落ち着かない様子だが…。
彼女の挙動が変なのは今更だった。そういえば、昨日、全裸でアイドル踊ってた奴だったわ。
「あ、あの綾小路君…。」
「なんだ?おしっこにでも行きたいのか?」
「おっ…。ち、違うよっ。ば、ばかっ。」
おぉ…。佐倉に馬鹿と罵られる日が来るとは。
だが、言い慣れていない彼女の言葉を真に受けるわけもなく、ただただ少し嬉しかった。
睡眠不足による判断力低下も悪いことばかりではない。
ちなみにおしっこに関しては君の言葉を借りただけですよ?
そうこうしているうちに下駄箱がある昇降口にたどり着く。
下駄箱は男女が別エリアになっている。恐らくはトラブル防止のためだろう。
佐倉との会話は半ばだったが、俺と女子連中はほんの暫しの別れが余儀なくされた。
「…勘弁してくれ。」
自分の名前の書かれた靴箱を開けると、手前に透明な袋があった。袋の中には無機質な鍵が佇んでいる。
証拠品のように扱われているそれは全くもって身に覚えのないもの。
それにタグや刻印もなく何の鍵か見当もつかなかった。
何これ?年末にやる笑ったら尻をはたかれる系のバラエティーのパクリ?
もしそうなら、君は放送作家にはなれないからきっぱり諦めて欲しい。
…分からん。
何がトラブル防止だ。男女隔離も防犯カメラも何の意味も成していないじゃないか。
飾りかっ!?政治家の建前かっ!?
「綾小路君。まだ~?」
「今行く」
佐藤に声をかけられて、俺は急いで靴を履き替えた。
とりあえず、鍵は上着のポケットに突っ込んでおいた。
俺が彼女達のもとに合流すると、恵がずいっと前に出てくる。
嫌な予感がして一歩後ずさることを選択する。…しかしまわりこまれてしまった。
かごめの大群に取り囲まれた俺は質問攻めを受ける覚悟を決めた。
「遅かったじゃん、ラブレターでも入ってた?」
「えぇっ。誰から誰からっ!??」
「篠原、少し声のボリューム落としてくれ。うっかり逝ってしまいそうだ。」
寝不足の頭を振るが、女子の甲高い声は脳にこびりついて中々離れてくれない。
それにしても、恵は油断するとすぐに爆弾を落としてくれる。処理するのは俺なんだからな。
「そもそも何も入ってなかったよ」
「え、なんだ。つまんない」
「篠原さん。騙されてるよ。そんなの噓に決まってるじゃん。」
「え、そうなの?って、もしかして、私、騙されやすい??」
一同一斉にコクリと首肯した。佐倉まで頷いている。
俺一人、あれだけ下駄箱前で滞在していたんだ。疑うのが普通というやつだろう。
「別に悪いようにはしないし、話してみればいいじゃん。」
恵の言葉にも、これまた一同が頷く。
取り囲れた状態でそれをされると中々のホラーだ。
多分、俺じゃなかったら同調圧力に負けて泣いてる。
別に彼女達を信頼していないわけでも、彼女達に会話のネタを提供することに拒絶感があるわけでもない。
ただ、見せてどうなるんだという疑念があるのみだ。
「別に大したものじゃないぞ?」
「いいからいいから」
「…分かったよ。見せたら納得して帰るんだぞ」
俺は約束を取り付けて、見せることにする。
どうせ、彼女達に見せたところで頭にクエスチョンマークが浮かぶだけだしな。
それにこの圧迫感からはやく解放されたい。
俺は上着のポケットに手を入れて、袋を掴み取り出した。
あれ、心なしか軽いような…
「えっ…、それって…」
「あ、アレだよね、アレ…」
「絶対そうっ。中学の時にお兄ちゃんの部屋にっ…」
「あわわわわわわわわわわ…」
「ブクブクブクブク…」
彼女達の熱気溢れる興奮で、この場の温度は3℃あがった。
エロ本を読んで弾道が成長するパワプロ君みたいな冗談だが、これはマジだ。なんか汗かいてきたし。
漫画でしか聞かないような慌てた声を出す奴に実際に泡を吹いてそうな奴に反応は様々。
そんな中、俺は数字が大きくかかれたピンク色のパッケージを片手に一人の女子の言葉を思い出していた。
『綾小路君。ささやかですが、ポケットにプレゼントを入れておきました。後で確認しておいてくださいね。』
あの女。マジで、何考えてやがる…。
「そ、そうだ。恵ちゃんっ。恵ちゃんなら、アレ使ったことあるんでしょっ!?」
「えぇーっっ。わ、わたし?」
「そ、そうだっ。それだっ!!」
「経験豊富な恵ちゃんならっ…!!」
「男子にも強気な軽井沢さんならっ…!!」
「50年後、ギャル文化が絶滅した後でも、ギャルやってそうな軽井沢さんならっ…!!」
もはや収拾がつかなくなった女子連中の標的はこのグループの顔、軽井沢恵(処女)に集中する。
どうしようもなくなった恵は俺に涙目を向けるが全力で無視する。
恵。元はと言えばお前が起爆した爆弾だ。今回ばかりは自分で処理してもらう。
「…つ、使ったことない。」
顔を赤面させて、目を伏せて、ぼそりと言う。
回りが耳をすましていたせいで小さい声も噓みたいに昇降口に響いた。
ここで知ったかぶりをすれば、どうなるかは目に見えていた。
軽井沢恵(処女)のありもしない経験談を根掘り葉掘り聞かれてしまえば絶対にボロが出る。
女子同士ってそういうの詳しく聞くっていうしな…。
この半年間でTHEギャル的立ち回りを徹底してきた軽井沢恵(処女)の初めての暴露だった。
これで、彼女が周囲より少し大人ぶる生活は終わりか…。
そう思っていたのは束の間、話は思わぬ方向へとシフトする。
「つ、つ、つ、つけない派ってことっ!!??」
「で、でも、それって…。それってえぇ!!」
「ち、ちがっ…。」
「そ、外ならせ、セーフってことぉっ!?」
「き、聞いたことある…。そっちのほうがイイみたいな…。」
「あわわわわわわわわわわ…」
「ブクブクブクブク…」
沸騰するんじゃないかというくらいヒートアップし続ける彼女達の声に恵の声は埋もれていく。
恵が半年間、彼女達にどう見られていたのか分かる一幕だった。
「恵。俺からのお布施だと思って受け取ってくれ。」
「い、いらないわよっ。ばかぁぁっ!!」
恵が差し出した俺の手をはたくと、手の上に乗せていたブツが地面にポトりと落ちた。
何、この質感と質量。キモイんだが…。
そう思っていたのは俺だけじゃないようで。
Gでも発見してしまったかのように女子達が悲鳴をあげて一歩二歩後ずさる。
実際にはGではなくHみたいなもんだが。
0.15mmの厚さにピンク色のパッケージ。
後ずさった彼女達には分からないだろうが、櫛田には分かるだろう。
これは箱ではなく個別に販売されている、極めて特殊なものであると。
…あの女、まじで何考えてやがる。
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今日の勉強会が始まってすぐ、俺は交換会を発案した。
単語だけ聞けば少しワクワクする。女子なら総出で両手をあげて喜んで然るべき。
しかし、発案者に向けられた目は疑心そのものだった。
自社で新作のスマホを作ることになり、プロジェクト内容を株主に向けてプレゼンしている気分だった。
『それ、iPhoneより凄いの?』って顔に書いてある。
黙っていて欲しい!!iPhoneの機能を全てフルに使いこなせてない分際で!!
まあ見透かされている通り、嬉しくも楽しくもない交換会というのは事実だったから何も言うまい。
昨日、徹夜で完成させてもらったのは、単語帳という名の問題集。
各教科のテスト範囲から問題を作成してもらい、裏に答えはかかせていない。
察しがよほど悪くても分かることだった。
次は交換して回ってきた単語帳の答えを埋めるフェーズである。
「ちょっと、この問題作ったの誰!?」
「ど、ド・モルガン?何これぇ?歴史だよね!?人物名だよねっ!?」
交換会らしく最初の数分は騒がしくやっていたが、やっているのは400問の一問一答。
喋っている暇なんてないと、気付いたものから順番に黙っていった。
そして、4時間が経過した頃、驚くことに佐倉が一番乗りで課題を終わらせた。
睡眠不足のはずだが、逆に限界突破して覚醒状態に入っていたようだ。
俺は佐倉の横に座り、回答を添削していく。正答率は思ったよりも悪くない。
「ここ、計算式が間違っている。ここは…」
「すーすーすー」
「佐倉?」
下手くそな口笛みたいな寝息が聞こえたかと思うと、佐倉が俺の肩に寄りかかってきた。
彼女の全体重が俺の右肩に乗せられ、少しでも位置をずらすと床に頭を打ちそうだ。
課題が終わって糸が完全に切れたな。
「…え、もしかして、佐倉さん寝ちゃった?」
「そうらしいな。」
「綾小路君。起こさなくていいの?途中だったよね。」
「…いや、やめておく。課題は終わっているわけだしな。」
佐藤や篠原の質問に受け答えしながら、佐倉のメガネを外す。
なりふり構わず俺に体重をかけてきたことで、メガネが思いっきりずれていたからだ。
「なにその優しい手つきっ!!」
「うんうん、なんかエロかったよね!?」
「わかる-!!」
どうでもいいことに花を咲かせる女子達。
21時前か。彼女達の集中力ではこれ以上はもたないか。
「鼻当てがずれて痛そうだったから取っただけだ。変な跡がついても可哀想だろ」
「…あんたって、佐倉さんに優しいよね。」
「あたしも、そう思うっ!!」
「変な言い方だな。普通だろ。軽井沢や佐藤に厳しくした覚えはないが?」
いや、軽井沢に関しては厳しくした心当たりがありすぎる訳だが。
「そういう意味じゃないし」
「ならどういう意味だ?」
「いっつも気にかけてるじゃん。佐倉さんのこと。」
佐藤や篠原も恵の言葉にコクコクと頷く。
そういう風に見られているのか。
「要は俺が佐倉のことを好きなんじゃないか?もしくは、そこまでいかなくても弱くて守ってあげたくなる佐倉のようなタイプが好きなんじゃないかってことか?」
「…分かってんじゃん」
「みーちゃんもそういうタイプだしってか?」
「…分かりすぎててキモい」
俺は彼女達の疑問を的確に言葉にする。
概ね全員が同じ意見なようだ。だが、恵のキモいの部分に関しては、周囲の彼女達は同意しなかった。
恵が一人だけ、俺にも明け透けに物申せる肝が据わっている女子だと格付けした感じなっている。
これは当分、その鉄仮面は剝がれそうにもない。
「で、実際どうなの?」
恵のその言葉は女子達が目を輝かせるには十分すぎる贄だった。
だが答える義理はない。同調圧力に屈しない胆力が俺にはある。
佐倉やみーちゃんに抱く感想を恋バナとして消費されてしまうことに嫌悪感を覚えている俺がいる。
櫛田との逢瀬の詳細ならいくらでも語ってやろうという気分になるのに、この感情は何だ。
「何もないよ。」
確かに感じる心にあるモヤモヤ。
だがその靄が晴れた時に何かある保証はない。
何かあってほしいと思う自分と、何もないと諦めている自分。
答えがどうであれ、この感情にケリをつけることができるのは俺だけだ。
彼女達に教えることはー
「本当に何もない。」
「ふぅん。そっか。」
「悪いな。面白いこと言えなくて。『俺は軽井沢のことが好きだよ』とか言えれば良かったんだけど。俺は噓はつけないからな。」
「はい。キレた。あんた、一発殴らせて?課題の景気づけに。」
「景気?恵だけにってことか?」
「軽井沢さん。今のは本気で殴っていいと思うっ!!」
俺が恵を利用して、冗談めかした声が自分でもおどけていたと感じた。
そして、同時にその前の言葉がどれだけ突き放すような声色だったかを理解する。
俺の別の一面を垣間見せてしまったんだと、必死に場を明るくさせようとする恵を見て思った。
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今回短め(?)です。
70話辺りで、綾小路と現段階で既出のヒロイン達の攻略段階についてまとめようかなと思ってます。
ほぼ自分用ですが。
なんせ、一年も書いているせいで、昔の話全然覚えてないのです。
長谷部とかほとんど出してないし。
個人的推しキャラの伊吹も最近ご無沙汰ですし。