転生した先がfate世界だった話   作:なゆさん

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思い付きで書きました。


メソポタミア
転生して人助けした話


 突然だが、今私こと【花咲紅奈】は、真っ白な空間で、球体になってプカプカ浮いている。

何を言っているのか分からないと思うが、私にも分からない。

何故ここに居るのか、どうやってここに来たのか、自分がどんな状態なのか、何故こんなにも訳の分からない状態で自分の精神が安定しているのか。

何も分からなかった。

 

 私の最後の記憶は、土砂降りの雨の中、前もよく見らずに走っていたら突然浮遊感に襲われ、足も踏み出せないまま視界が暗転。

そして、目が覚めたらこうなってた。

 

 何も感じないし、体は動かせないし、声も出せない。そもそも体がただの球体と化している。俗に言う火の玉みたいな状態だ。

現実的に考えると意味が分からない状態だが、私はただ無駄な思考をすることしか出来なかった。

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 この状態になってからどれくらい経っただろう? 結構経った気がするが、何もないここでは時間感覚が狂う。本格的に一生このままなのではないかと思い始めていた時、頭の中で声が聞こえた。

 

『アーアー。君、聞こえるかい?』

 

私に言っているのだろうか?

 

『そうそう。君だよ。確か名前はクレナだっけ?』

 

ナチュラルに心を読んできた。名前も知られている。

私のプライバシーを完全に無視だ。この声の主は余程性格が悪いのだろう。

 

『オイオイ。そんなに心からディスられたら傷つくぜ。僕は君を素敵な場所に転生させてあげようと思っているのに。』

 

転生?

 

『そうさ。今時のなろう系といえば分かるかな? もちろんチートもやるよ。俺は君に頑張って欲しいからさ。』

 

そんな事にわかには信じられないが、実際この状態からしてもう異常だ。

とりあえずは信じる他ない。というか、この声の主は神様とかなのだろうか?

 

『僕の正体は控えさせてもらうよ。並行世界とはいえ、今から君を送る世界に僕のことがバレれば、抑止力が総力を上げて僕を殺そうとしてくるだろうしね。』

 

そんなヤバい存在に転生させられたくないんですけど!?

 

『ざーんねん。君に拒否権はありません。でも安心して。僕が転生させたからと言って、君の敵が増えるとかそんなことは無いから。』

 

信用出来ない。第一、私は死んだ記憶も無いのに、拒否権もなく転生させられるのだ。やはり性格が終わっているらしい。

 

『まあまあ。そんなことはどうでもいいじゃない。っと、そろそろ転生させるよ。』

 

展開が速い!しかも雑!

 

『じゃあ、頑張りなよ。応援してるから。』

 

その言葉を聞いた途端、私の意識は途絶えた。

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 目が覚めた。今度はしっかり体の感覚がある。布が巻き付けてあるだけの格好で結構危ないけど。何でこんな格好させてんだ。アイツ変態か?

……胸が結構大きいな。寝っ転がったまま自分の体を見ようとしたら胸に隠れて見えなかった。前世とは大違いだ。アイツの趣味だとしたらやはり変態である可能性が高い。

 

「ここは?」

 

起き上がり、辺りを見渡す。

――荒野である。遠くに川が見えるが、それ以外何もない。

本当に何も無い。やはりアイツは性格が悪いのだろう。転生最初に見る景色が荒野なんて最悪だ。

 

「アイツ、どんな場所に転生させたの?」

 

心の奥からどんどんアイツへの文句が溜まっていくが、当のアイツは姿すら分からない。

……アイツはいつか殴るとして、とりあえずさっき見えた川に向かおう。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 川に着いた。大きな川だ。水は澄んでいて、随分生きの良い魚がたくさん泳いでいる。

とりあえずは、ここらを拠点にしようかな。

 ――そういえば、私って今どんな顔してるんだろ? 思い立ったら即行動。水面を見て確認する事にする。

 長い白髪、蒼い瞳、整った顔立ち。

 

「おぉぅ……めちゃくちゃ美人。スゴイな」

 

アイツ、少しはやるじゃん。

私が自分の顔に見惚れていると、

 

「うっ…! 何、これ…!?」

 

急に頭の中に何かが流れ込んできた。まるで頭の中を針で刺されているかのような酷い頭痛だ。

 

「これは……アイツの言ってた転生特典のチート?」

 

流れ込んできたのは、私の能力の詳細だった。チートというだけあり、中々に使えそうな能力だ。

 

 

 私の能力は主に5つ

・一つ、私が【未来ノ書】と詠唱すると、私が生きていた時代までに人間が積み上げてきた知識の中から、私が欲しい知識を自動で提示する本が出せる。

・二つ、私は肉体が全盛期になると成長が止まる。つまり不老である。だが、筋力や知能は増加させられるらしい。ちなみに今の肉体年齢は前世と同じ18歳。

・三つ、私には魔力が相当な量あり、魔術回路もあって相当強力なものだ。魔術刻印も基盤のみある。

・四つ、私の眼は魔眼である。右眼は【剥奪の魔眼】といって、見た相手の何かを強制的に奪う能力だ。私よりも圧倒的格上にも、少しは効く。左眼は、千里眼。見たい所を視れる能力だ。魔力を消費すればするほど遠くを視れる。現在地の過去や未来も視れるようだ。ただ、現在以外を見れば代償として一週間は寝たきりになる。

・五つ、どんな言語も一回見たり聞いたりすれば読み書き出来る。

 

 

 

 能力を確認して思った事。確かに良さそうだけどそれより魔術回路とか魔眼とか、此処って型月世界かも?って事。

まだ確定じゃないけど、もし型月世界なんだったら、今はいつで、私はどこにいるのかが気になるところだ。そこまでガチってた訳ではないけれど、私は型月ファンである。ファンとして色々会いたいキャラがいるので、現在地は早めに把握しておきたい。

 そんな事を思っていると、私と同じような格好の人が数人来た。初めての人!! チートのお陰でコミュニケーションには問題ない……筈!! 早速話しかけよう!!

 

「貴方達は誰なの? ここで何をしているのかな?」

「貴方様は……いえ、なんでもありません。私達は――」

 

 事情を聞くと、なんでも旅をしてたらなんか光を見つけて、その発生源に向かったところ私がいたという事らしい。

どうやら私を神だと勘違いしたらしく、平服してきた。

――そして、

 

「女神様。私達の村が災いにより滅びの危機に瀕しているのです。私達はそれを治す為に旅をしていました。どうか、助けてくださらないでしょうか? 供物も満足に用意できませぬ愚か者ですが、村の皆を助けるためならばなんでもいたします。――どうかお願いします! 我々に御慈悲を!」

 

 何の災いかは知らないけど、助けてあげたい。人助けは、いつか自分の為になるものだから。

 

「――いいよ。私の名前はクレナ。村に案内してくれる?」

 

 私は笑みを浮かべながら、優しくその人達に言った。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 村に着いた。昼夜ぶっ通しで歩き続け5日程かかったが、特に疲れを感じない。便利な体だ。

 村は、家が壊されている訳でも、畑が荒れている訳でも無かった。災いと言っても地震や台風の類ではないようだ。

 

「災いに遭った者たちはこちらです。」 

 

 男に案内されて比較的大きな建物に向かう。

中に入ると、何人もの人が床に横たわって苦しんでいた。

 

「――なるほど、そういうことね。」

 

多分、疫病だ。医療も発達していないこの村では、確かに災いと呼べる被害をもたらすだろう。

転生前なら途方に暮れていただろうけど、今なら、

 

「【未来ノ書】」

 

私の手に黒い本が出現する。

ページをめくると、この疫病に関する処置の方法が、魔術的な物と医学的な物とに分かれて記載されていた。どうやらこの本は魔術についての知識も知れるらしい。Wikipediaかな?

ついでにここがどこか、いや今がいつの時代かが分かった。

紀元前のメソポタミア文明の時代だ。

 

――why? 推しがほぼ生まれてないやん。推し達見るまでに何千年待つの?

 

とりあえず病は簡単な魔術で治してあげて、次にこの疫病が流行ってもいいように薬の製造方法を教えてあげた。神代なだけあり、一瞬で病の治る薬なんてものが作れた。

 

「おお…! 皆が! ――ありがとうございます! これでこの村は救われました!」

 

村の住民皆が泣いて感謝してきた。何かむず痒い。こんなにも感謝されるとは。

 

「きっとこの方は、この地に舞い降りた神に違いない! 女神クレナ様だ!」

 

「きっとそうだ! この方にこの村の信仰を捧げるぞ!」

 

「今日からこの村はクレナ村じゃ!」

 

あれ? 私が照れている隙に話が変な方向に――

 

「クレナ様の神殿を作るぞー!」

 

「「「おー!!」」」

 

なんかもう皆私を崇める気満々じゃん。

――この団結力を邪魔するのももったいない気がするな。

別に実害があるわけでもないし、すぐ飽きるだろうし、村人の熱が冷めるまではほっといていいかな。

私は未来の私に面倒事を丸投げしたのだった。

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