完全に展開を忘れてました。
とりあえず私の町から離れた荒野に来た。
眼の前には、やる気満々の金ピカ王。
「あのー、本当にやるんですか?理由とか聞きたいんですけど……」
「む? イシュタルめを随分と痛めつけたと聞くが、戦闘狂というわけではなかったか。――そうだな。理由を聞きたくば我を倒してみろ! フハハハハハ!!」
本当によく笑うなこの王様! 交渉失敗だけど、多分殺し合いはしなくてもいいだろう。
どうせなら最近造りまくってる武器の性能も確かめたいし、悪い事ばかりじゃない。
プラスに捉えようプラスに。……じゃないと精神が持たんわ。
「じゃあ二人共、準備はいいかい? 開始の合図はボクがとらせてもらう。」
「はい。大丈夫です。」
「何時でも良いぞ。」
私は集中を高め、魔術の発動準備を整えた。
「じゃあ、……始め!」
瞬間、私は置換魔術で剣を呼び寄せる。そして――
「ハァッ!!」
先手必勝。身体強化し、ギルガメッシュに凸る。
「フハハハハハ! 我の力の一端を見せてやろう。ゲート・オブ・バビロン!」
ギルガメッシュの回りに黄金の波紋か無数に浮かび上がる。そして、そこから一斉に様々な武器が放たれた。
「はああ!!」
それを一瞬で間合いに捉え、全て弾く。
「ほう、やるではないか!」
「フッ!!」
縮地で一瞬で距離を詰める。
「フハハハハハ! 面白い。趣味ではないが、偶には斬り合いに興じるとするか!」
黄金の波紋から黄金の剣を取り出し、私の斬撃を受け止めるギルガメッシュ。
「ハアアアア!!」
「おおおおお!!」
激しい斬り合いが繰り広げられる。この王様、近距離も全然イケるタイプか! でも、多分それは剣の効果によるところが大きい。最適解を選んではいるが、体捌きに少しムラがある。
――これなら、
「ハア!!」
「クッ!」
私の斬撃がギルガメッシュの頬を切り裂く。
「このまま!」
「舐めるな!!」
私とギルガメッシュの間に剣が突き刺さる。そして、
『ドォン!!』
なんと剣が爆発。
「クッ!」
何とか爆発の直撃は防いだが、爆風に吹き飛ばされ、距離を稼がれてしまった。
「フハハハハハ!! よく粘ったが、ここからはずっと我のターンよ!!」
さっきとは比にならない量の波紋が現れる。そこから、
「我が宝物への拝謁を許す。せいぜい足掻けよ!」
一つ一つがとんでもない威力を秘めた武器、それがまるでガトリングのように私に飛んでくる。
弾く、弾く、弾く、弾く……
――だが、あまりの物量に掠り傷のみが増えていく。
弾く、避ける、掠る、掠る、避ける、弾く……
(……このままじゃ押し切られるな。やるしか無いか――一か八か!)
「クッ!――仮想展開【
私は咄嗟に置換魔術で盾を呼び寄せ、魔力を開放する。
魔力を開放されたその盾は、緑色の光を展開し、迫りくる武器を全て防いでいく。どうやら成功したらしい。あの武器はまだ試したことがなかったんだが……。
(さて、どうしよう?)
置換魔術で背後にまわる? いや、置換魔術は既に見せている。警戒されているかもしれない。
さっきみたいに凸れる隙は無いし……試作段階だけど、
(今のままだと負けるし、やってみるしか無い、よね。)
置換魔術で試作品の鎧を召喚する。鎧といっても露出がかなりあり、際どいデザイン。だが、魔術的な効果で機能面はバッチリだ。
そして、この鎧の真の能力は、その防御性能ではない。
それは――
「右手、仮想展開。」
右手が輝く。その手に持った剣も、その光を纏う。そして、剣をそのまま縦に振るう。
『『『キン』』』
甲高い音が聞こえ、今まで鳴り響いていた盾に武器がぶつかる音が止んだ。
「何!?」
ギルガメッシュが驚いた一瞬の内に私は距離を詰め、剣を首筋に当てる。
「そこまで!」
エルキドゥの声が響いた。
◆◇◆◇◆
「文句はないよね?」
「……あぁ。我の負けよ。」
不満げにしながらも負けを認めるギルガメッシュ。
「それにしても、最後のアレは何だい? あんな現象、ボクも見たことがない。」
「あぁ、アレはこの鎧の力だよ。魔力をかなり持ってかれるけど、展開した部分を擬似的に
「あぁ。神々ですら、あんなことは容易では無いだろう。今は神性を持っているとはいえ、元はホムンクルスだった存在にこんな事が出来るなんて、驚きだ。」
「たまたま出来た鎧にそんな力が宿っただけなんだけどね。」
「フン。そんな技術を持つなら都市神などと名乗らず、鍛冶神とでも名乗れ。あんなもの、我が蔵にすら存在せぬわ。」
ギルガメッシュが不貞腐れている。ここは、フォローを入れるか。
「いやー。でも、王様も強かったなぁ。イシュタルの時は殆ど傷は負わなかったのに、こんなにボロボロになっちゃったよ。」
「フン! 当たり前よ! この我があのような性悪惰女神などよりも劣る筈がなかろう! ――フハハハハハ! あやつが貴様にまともにダメージを与えられずにうちのめされる様、この目でおがんでやりたかったわ! ……それにしても貴様急に馴れ馴れしくなったな?」
女神の醜態を思い出して元気回復とか、自分もかなり性悪じゃん。まぁそんなこと口が裂けても言わないけど。
「で? 王様達は何しに来たの?」
ずっと気になってた事を尋ねる。
「我の質問に先に――まあ良い。理由は簡単だ。最近かなりの勢いで成長している都市があると聞いてな。なんでも、その都市には新参者の女神が居ると言うではないか。故に暇つぶしに都市を見て、ついでにその女神とやらを見定め、気に入らなかったなら処断しようと思っただけの事よ。」
「そんな事で私死にかけたの!?」
「騒ぐな騒々しい! 我の裁定は下った。もはや貴様を害そうとは思わん。」
「あのさ。私、手合わせ勝ったよね?」
「ああ。腹立たしい事にな。」
「じゃあさ、勝ったご褒美にさ、私と友達になってくれない?」
「……我と貴様が、友だと?」
「ダメ?」
「フン。笑い話も程々に……」
「私の魔術でさっきの戦闘録画してるんだけど…ウルクで流していい?」
「――!! ……貴様、中々にいい性格をしているな?」
「まあねー……で? いい?」
「……形だけは友として認めてやろう。」
「ありがとう、ギル!」
「ギッ……まぁ良かろう。」
「エルキドゥは?」
「ボクは兵器だ。君と対等な関係にはなれ――」
「ギルと同じ感じで良いからさ。」
「分かったよ。それならよろこんで。」
こうして、私の神話がまた一つ増え、私はより多くの信仰と神性、そして友を手に入れた。