チート貰って転生した先がfate世界だった話   作:なゆさん

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面倒事から逃げて旅に出たら、旅先で面倒事に遭った話

 ギルの突然の告白があった後も、私達の日々はそんなに変わらなかった。いつも通り私の神殿にギルとエルキドゥが凸ってきて、一緒に色々遊ぶか酒を飲みながら雑談する。ただ、

 

「おいクレナよ。そろそろ我が妃となれ。」

「イヤって言ってんでしょ!!」

 

『ドコ』

 

時々今のように結婚をせまってくる。その度に拒絶と暴力で黙らせてるけど、懲りずに何度も何度も言ってくるのだ。

 

「ハハハ。拳でギルを地面にめり込ませるなんて、君じゃなきゃ出来ないな。」

 

エルキドゥは相変わらず他人事だし。助けを求めても、

 

「ボクは兵器だ。残念ながら人間の恋愛というものはよく分からない。それに、ギルが一度決めた事を説得されて覆すなんて、あり得ないからね。すまないが、ボクにできる事はないよ。」

 

と言って断られた。エルキドゥの言い分も分かるけどさぁ。今のところ結婚なんてするつもりないのに諦めないギルから迫られる私の苦労も分かって欲しい。ホントにしつこいのだ。

ギルがこんなにも諦めないなんて、正直思ってなかった。どうせすぐ飽きて言わなくなるだろうと高を括っていた。

実際は、こうしていつまで経っても言い寄ってくるのだが。

 

「……旅にでも出る?」

 

殆ど無意識に出た言葉。だが、いい考えかもしれない。この問題を、旅で成長した私が解決すると信じて先送りにする。旅に出ればなにか思いつくかもしれない。旅先でいいアイデアを手に入れられるかもしれない。あれ? 旅行く以外選択肢なくない?

 

「よし行こう!!」

 

 

――後から思えば私は、ギルの精神攻撃(自覚なし)に本気でまいってしまっていたのだろう。思考もテンションも変にぶっ飛んでいた。

……いつもはこんなんじゃないからね? 違うからね!?

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

そしてその数分後、旅に出た。とりあえず村には情報共有のできる分身体を置き、何かあれば村に戻れるようにはしておいた。

 

「さてさてさーて、何処に行こうかなー?」

 

まだハイテンションな私は、とりあえずウルクとクレナの反対側にある村に向かって歩き出したのだった。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

結論――旅、楽しい。

 

転生してから今まで、あの村からろくに出てないのもあり、私は見たこともない景色に心踊った。

あの村近辺にはいない、知識でしか知らなかった花や草木、獣に魚、魔獣でさえ、私の目には新鮮でキラキラして見えた。

また、別の旅人との出会いやクレナとは違う村々とそこに住む人々との交流。その地特有の食べ物や飲み物。神としての暮らしとは違う、人間としての日々。久しく忘れていた感覚。私には心底心地よかった。

もはや、ギルのしつこい告白の事もどうでもよくなり、私の心は転生してから一番幸福を感じていた。

それと同時に、ハイテンションも治まってきて、そろそろ帰ったほうがいいかもな、なんて思ったりもしていた。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

そして今、私は……

 

「ここ何処…?」

 

盛大に迷っていた。

いや、迷うと言うには語弊がある。私は旅先の行ったら帰ってこれないといういわくつきの洞窟に、面白半分で入ったのだ。そしたら、意識が突然なくなって、気付いたらここにいた。

薄暗く、ジメジメしているが、かなり天井が高く洞窟ではない気がする。地面も壁も、辺り一面同じ色の岩ばかりで、生物の気配は感じられない。

 

「ん?」

 

遠くに小さな光。私の視界に薄っすらと入るレベルだったが、確かに一瞬見えた。

すぐさま光があった場所へ走る。

すると、

 

「え!?」

 

そこにあったのは、あちこちにある鳥籠のようなものに囚われた青白い光の玉だった。

光の玉は鳥籠から出られないようだが、微かに動いており、更に光は強くなったり弱くなったりを繰り返している。

あの光の玉は何なのだろう? 何故囚われているのだろう? この場所の謎は深まるばかりだ。

 

「ホントにここ何処―――っ!?」

 

いきなり気配と殺気を感じ、直感で回避する。見ると、何体もの霊や見たことのない獣が私に続々と群がってきていた。

数十体はいるだろうか? 全て私を狙っているようだ。そして、そこらの霊や魔獣とは違う、かなりの強い気配を感じる。―――丁度いい。試すか。

 

「「Aaaaaaーー!!」」

 

それらが一斉に襲いかかってくる。

私はすぐさま霊体に特攻のある剣を取り出し、構える。

 

「はあああ!!」

 

そして、一刀で何体もの霊を斬り裂いた。

それも気にせず襲いかかってくる残りの敵。どうやら普通の獣や霊とは思考回路も異なっているらしい。

 

「■■■■■■!!」

 

迫りくる獣の牙や爪を、躱す、躱す、躱す。

 

「フッ!!」

 

そして、連撃で数体の首を落とす。

確かに強いが、流石に私が遅れを取る程のヤツはいないようだ。油断は禁物だが、次々と数を減らしていった。

 

 

そして、だいぶ敵の数が減ってきた頃、

 

「Graaaaaaa!!」

 

一際デカい狼のような獣が吠える。どうやら、こいつが一番強そうだ。

 

『キン』

 

速い。首を断つつもりで繰り出した一刀を、やすやすと爪で受け止めた。ただデカいだけじゃなさそうだ。

そのまま噛みつこうとする獣を飛び退いて躱し、即座に斬りかかる。

完全に隙をついた形の斬撃だったが、思いの外獣の毛皮は硬く、浅い傷で済ませてしまう。

 

「■■■■■!!」

 

普通の人間であれば即座に鼓膜が破れ、脳に衝撃が達して死んでしまう程の、獣の雄叫び。

私が一瞬怯んだ隙に、私の背後に回り、爪で攻撃してくる。それをジャンプで躱すものの、ジャンプした場所にも爪の攻撃。

 

「ぐっ!!」

 

完全に動きを読まれ、もろに攻撃を食らってしまう。身体はひしゃげて、内臓はボロボロになった。……もう、ここまでか。

 

「―――あーあ。しょうがないか。」

 

治癒魔術を自分の肉体に掛け、回復していく。それと同時に、強化魔術で肉体を強化していく。

 

「Gr―――」

 

次の瞬間には、獣の首は綺麗に落とされており、そのまま首のなくなった巨体は地に伏した。

 

「うーん。魔力なしでの戦闘、ちょっとはマシになってきたかな。」

 

私はこの戦闘において、先程まで魔力を使っていなかった。魔力なしの戦闘というものを試していた。理由は至って単純なもの。私は、ギル達との組手などを通して私が魔力に頼り過ぎなのを実感した。魔力を使わない私は、普通のホムンクルス程度の身体能力しかなかった。だから地道に(多少自作の薬などにも頼りつつ)鍛えていたのだ。今回はそれを試すいい機会だった。結果、そこそこ戦えるようにはなっていた。この調子で鍛えていけば、いずれ合格点まで達するだろう。

 

「ああっ!?」

 

叫び声がして振り返る。

 

「私のガルラ霊達が……私の冥界の獣(ペット)達が……」

 

見ると、見覚えのある顔立ちをした金髪の女性が、私がやった霊やら獣やらの山を見て、唖然としていた。

そして私はというと、此処がどういう場所なのか、ようやく理解できた。

太陽が届かない場所。そして、閉じ込められた魂達、大量のガルラ霊、地上では見ない獣、()()()()()()()()()()()()()()()がいる所。

 

「―――覚悟しなさい!!」

 

何故かは分からないが、私は冥府に迷い込んだらしい。それも生きたまま。

生者に霊が群がるのは、ある意味当然。あの数の霊も、操られていたのではなく、私が呼び寄せていたのだろう。そして現在私は冥府で、冥界の女主人たるエレシュキガルを怒らせてしまっている。

 

「なんでまた面倒事になってるのよ!!!」

 

私は、そう叫ばずにはいられなかった。

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