ドマイナー地方でチャンピオンやってるけど質問ある?   作:鯖村

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まだ!!!!!夏!!!!!!!
つまりセーフですね、でももう季節ネタは書かない方が良いと思うよハム太郎。

活動報告の方にジュラリーグ宛ての質問ボックスを設置しましたので良ければご協力お願いいたします。



大きくなって新登場!

 

 ある日。

 予告なし、突然の配信。

 

 普段の配信画面とは違う縦長の画面。

 ロトムのカメラ撮影特有のゆっくりと小さく揺れる画面には生い茂る草木と青空が映っている、そして木陰に隠れているのであろう虫ポケモン達の鳴き声が重なりジィジィと大きな一つの音のように響いている。

 

「ルンパッパ!!」

 

 そんな中で謎のチョイスでポケモンの名前を発しながら縦長の画面の下部からぴょんと顔を覗かせたのはジュラ地方チャンピオンのソーン。視聴者の予想通りの配信主は笑顔でカメラへ手を振りながら適当な高さの岩の上に腰かけて落ち着いた。

 

・なに???

・ルン

・ルンパッパ

・るんぱっぱ

・急にどうした

・ルンパッパ!

・ご機嫌じゃん

・突発生配信とかするんだ君

・急に通知きてビックリした

・どんどん同接増えてく

・突発生とかやっぱりジュラリーグ公式は個人チャンネルなのでは???

 

「おー、何のお知らせもしなかったけど意外と人来るね。おは蛮~」

 

 普段の配信よりも小さなサイズで浮かぶコメント確認用のホログラムを指でなぞり、視聴者がいることを確認しふむふむと頷いたソーンが雑に略した挨拶らしきものを行う。

 

・おは蛮族~

・おは蛮族!

・おはよ~

・おばはん?

・おは蛮族

・略すなや

・略すとおはこんばんにちは的な挨拶に聞こえるな

・おはこんハロチャオ?!

・ナニモンナンジャさんはパルデアに帰ってもろて

・おはばんぞく~

・ちゃんとおは蛮族って言え

・んで、どうしたん?

・ルンパッパはなに?

・テンション高いなぁ

・何かあったの?

・緊急配信って感じではないのか

 

「え、ごめん何もないです。暇だったから来た人を話し相手にしようと思って」

 

・何もないんかい

・えぇ・・・・

・素直~~~~!

・話し相手w

・そんだけ!?

・普通の雑談生か

・暇なら仕方無い

・雑談生?

・そんな配信者みたいなことを

・配信者じゃん

・配信者か?

・人気Poketuberだろ?

・再生数も同接数もトップ層やぞ

・本職ポケモンリーグチャンピオンなんすよこの子

・配信者でしょ?

・こんな若いのに配信者としてもトレーナーとしても成功してるのか

・投げ銭解禁する?

・投げ銭解禁したら配信者みたいじゃん

・配信者だよ

・チャンピオンだよ

 

「わはは、オレの配信も板についてきたってことで。いま見に来てるのは暇だった人ってことで良いんかな、みんな何してました?」

 

・まぁ暇人ですけど

・休みだからゴロゴロしてた

・仕事中だけど見てる

・時差あるからなー、こっちは夜だよ

・私は今日お休み!

・トレーナーは自由業なので、ね

・バトルしようとしたけど自分と相手のスマホから同時に配信通知来て今一緒に見てる

・ちょうどキャンプ中だったので

・急遽ピクニックを開始したので問題ないですね

・ポケトレニキたちは自由やな

・自習中だけどこっそり見てる

・俺は仕事だけど堂々と見てます

・講義中です

・時差組なので夜更かし中

・通勤なう

・社会人???

・開き直り社会人が多すぎる

・まだこっそり見てる学生の方がマシなんだよなぁ

・講義中の奴はちゃんと講義受けろ

・教える側だから大丈夫

・何も大丈夫じゃなくて草

・教授=サン!?

 

 配信主に似始めたのか自由なコメント欄にソーンから失笑が漏れる。

 

「仕事中の人はホントに大丈夫か?」

 

・大丈夫大丈夫

・どうだろ

・大丈夫だよ~

・ソーンくんの配信見逃す方が大丈夫じゃない

・仕事時間だけど業務なくて暇だから

・教授ニキ以外は大丈夫だろ

・自己責任だから気にしなくていいと思う

・ちなこれアーカイブ残る?

・大丈夫ってことにしとく

・自己責任よこんなもん

・アーカイブ気になる

 

「大丈夫ならいいか。アーカイブはどうだろ、リーグがダメって言ったらダメかな」

 

・そっか

・なにが映ったらダメになるんだ?

・ジュラリーグのアウト判定、気になる

・ジュラ地方でお見せ出来ないものとは

・遭難者()とか?

・垢BAN待ったなしじゃん

・ガラルのWAでの配信とかも行方不明者が映ったりでアーカイブ残らないことあるしその辺じゃね?

・今回はロトムスマホの自撮りでしょ、画面サイズ的に早々映ることないと思うけど

・行方不明者()

・今日はポリゴンZいない?

・電波の関係でポリゴンZの方がいいんじゃなかったっけ?

 

「遭難者は大丈夫、もしいてもゴーストタイプのロトムはその辺察知してくれるから映さないよ。あとこの辺なら電波届くからロトムだけで配信できる」

 

・そういえばロトムそうだったな

・ロトムがゴーストタイプなのたまに忘れちゃう

・そういうの察知してくれるんだ?

・WA配信とかで映ったやつは…?

・ロトムに映さないでねって伝えてないんでしょ、多いよそういう人

・察知はするけどゴーストタイプだけあってそれがなんなの感覚で気にしないから言わないとダメ

・スマホ専門の子は特にそう

・当然スマホの設定とかじゃないのでロトム自身と約束しようね

 

 ここで遭難者、と濁されるのはすでに生きていない状態の方を表している。スマホロトムの普及により動画配信という行為のハードルは大きく下がりトレーナーによる旅動画やVlogが流行するにあたって付随しはじめた映像トラブルは、付き物といえば付き物だ。

 

「あと、ゼットさんは今日はちょっと戦闘あるかもだから留守番です」

 

・戦闘あるんですか!?

・バトル!?

・そういえば保護ポケだったなポリゴンZ

・保護ポケは戦闘出せないんだっけ

・だめだったと思う

・条件あったはず

・出せないってことはないよ運動兼ねてるし、ただ保護前提だから危険性が高い場合はもちろん公式戦なんかもダメ

 

「お、詳しい人いるね。コメントにもあったけど、運動やストレス発散でバトルすることはあるけどそれ以上は基本的にダメです。保護ポケモンって野生に帰すことの方が多いし、手持ちじゃないからトレーナーの指示に慣れさせちゃダメなんだよね」

 

・へー

・やっぱ手持ちとは距離感違うんだね

・失礼だけどちゃんとやってんだなーって思った

・ていうかポリゴンZいないけどホログラムは出てる?

・ホントだ

・コメ欄チェック板

・ホログラム(すごい板)

・今日も文明板活躍してんね

・文明板とかいう雑ネーミング

 

「この板はあれ、ゼットさんが独自に作ってたやつを解析してロトムが使えるようにアプリに改造した、らしい? オレはよく分かんないんだけど、なんかそんな感じ」

 

 コメントを見たソーンがすいと指を動かし配信画面にホログラムが映るように移動させながら説明する、ホログラム上では中々の速さでコメントが流れていく。

 曰く、ポリゴンZの使うホログラムでは自動的な速度変化やソーンが読むコメントの取捨選択、コメントの内容に合わせて細かな並べ替えやまとめ作業を行っているらしい。ロトム用の物は改良中で現状はまだある程度の並べ替えと悪質コメントを弾く機能しか追加されていないとのこと。

 なおこのアプリはソーンの使用する機械全般をカスタムしている人物が独断で作り上げ独断でロトムにインストールさせたものである。

 

・何気にこのすごい板マジですごいのがすごい

・地味に特許取れそうな気がするんだ・・・

・おれも文明板ほしー

・指ですいすい動かしたり便利そうなんだよな

・配信してる勢としてはかなり羨ましい

・アプリ配信してくださいマジで

・この明らか最先端がジュラ地方にあるのが違和感

・もっと石板とか使ってこ

・石板は草

・何千年遡る気だ

・1000年後に「おは蛮族~」ってコメが残るの嫌だなww

・千年残るおは蛮族は草

・そういえば暇とは言ってたけど外居るよね、今日何するん?

・ついにバトルするのか

・お?バトル?

・バトルバトルバトル

・バトル廃人がにわかに沸き立ってきました

 

「やー……バトルは、どうかなぁ……?」

 

・何故濁す

・バトル見たいんだけど

・戦闘はあるけどバトルはない・・?

 

「色々あるんですよ、今日のは多分バトルって感じにはならないから」

 

・んー?よく分からん

・まーた言動ふわふわタイム

・それでも割と楽しみにしてるよ

・じゃあ今日は何してんの?

 

「一応調査かな。ちょっと変わったエネルギー反応があってソイツ探してる」

 

・新種?ってこと?

・新種のポケモン!?

 

「新種ではないです、それなりによくある珍事的な。で、今はオレが歩き回ってソイツが釣れるの待ってる」

 

・それなりによくある事

・ジュラ地方スタンダードってコト?

・世の例外を集めてスタンダード主張はちょっと

・外れ値地方…

・外れ値地方!?

・流石にそれは口が悪い

・こうして新たな地方ディス名言が生まれるのであった

・そういえばソーンくん全身甘いミツ装備みたいなもんだったね

・あぁ、腕試しポケモン全自動フィッシング・・・

・それで待機中か、暑いだろうに

・確かに、暑くないのかな

・イッシュ民だけど今年の夏もかなり暑い

・カントーとジョウトも地獄の様に暑い

・カロスもスタイリッシュを投げ捨てる暑さ

・最近はどの地方も暑いよね

・ジュラも密林で見るからに高温多湿ぽそうだし暑そう

・ソーンの格好も暑そうだしな

・暑くないの?

 

「いや全然暑くない、全然、少しも暑くない」

 

 それまで楽し気にコメント欄を見ていたソーンが急にスンとした表情で言い切る。

 

・急にハッキリと

・どうしたww

・頑なか?

・全否定するじゃん

・暑くないのいいなー

・なんで暑くないの?

・でも何かポケモントレーナーってわりと過酷環境で平然としてない?

・確かに

・トレーナーなぜその格好でそこにいる選手権

・水着であらゆる場所にいる水ポケ使いが優勝だろ

・水着は彼ら彼女らの性癖であって水ポケ使いでまとめられると困る

・気温とか天候とかの影響受けない奴たまに見る

・天候操作技で豪雨吹雪砂嵐吹き荒れても微動だにしないタイプのトレーナーいるもんな

・その手のトレーナーって大抵上澄み中の上澄みじゃね?

・各地方のチャンピオンとかその筆頭のイメージあるわ

・何故チャンピオン達はチャンピオンマント着用で天候大荒れ試合も乗り越えていくのか

・心配になるからガラルリーグくらい動きやすい格好してて欲しい

・バトル前にマント外すのかしこい(かしこい)

・ガラルはスポーツ色濃すぎないか?

・ソーンくんもマントのまま修羅地方歩き回ってるよな

・小さくてもチャンピオンってことか……

・ちっさいのにな

・小さいよね

・150ないだろ

 

「おい身長関係ないだろ。えーと、他のトレーナーは知らないけど、オレは暑さ対策してます。あとジュラって別にそこまで暑くはないんだよね、次の話のネタない?」

 

・暑さ対策??

・次の雑談ねぇ

・汗一つかかない暑さ対策が一番気になってるんだけど

・急に雑談て言われても

・雑談っつーか散歩企画どうなったの?

・確かに

・散歩のゲスト決まった?

・散歩どうなったん

・散歩企画の進捗は聞きたいな

・お散歩はしないんですか?

・一気にコメ欄が散歩で埋まってく・・・

 

 散歩企画、の文字を見たソーンの表情がみるみるうちに皺くちゃになっていく。

 

「おぉう……散歩……散歩ねぇ、オレ一人なら散歩自体はいつでも出来るんだけどゲストで大揉めしてるらしいよ?」

 

 実際、ワタルとの散歩配信を終えた後、著名なトレーナーをはじめとし、ポケモン学などを中心とした専門家やあらゆる分野の研究機関、各種業界の大物、その他挙げればきりがない程の人や企業から応募があった。

 ジュラリーグの簡素なホームページに設置されていたお問い合わせフォームは無事爆発四散しリーグ職員は試練挑戦後のような顔つきで今も返信・調整・会議を続けている、クソド田舎のまったり運営リーグの年間の事務仕事量を既に超えたと職員達の間では話題だ。

 

・他人事で草

・お前の散歩相手やぞ

・やっぱもめてんのね

・なんで伝聞調www

・リーグアカウントで参加希望者多すぎて選定無理って言ってたよ

・そりゃそうだろ

・どう決めてもどっかから文句出そうだしなぁ

・確かに揉めそうだし文句出そうだしゲスト選抜難しそう

・しばらく散歩なしかー

・最悪ワタルさん呼べばいいと思うよ!!

・奥の手過ぎるwww

・最悪言うなセキエイリーグチャンピオンやぞ

・呼んだら数日内にきてくれそう

・なんなら奥の手のほうから積極的にやってきそうなんだよな

・それは奥の手なのか?

・でももうそのレベルの人じゃないと呼べない気はする

 

「あ、ワタルさんで思い出した。話変わるんだけどさ、なんかこの前ダイゴさんとシロナさんがバトルしたってワタルさんから聞いたんだよね、見たかったなー、どっちが勝ったんだろ?」

 

・っあー…

・草

・あーね

・それ話変わってないわ

・話変わってないですソーンくん!

・完全プラベバトルのはずが各所から話が漏れすぎな全力私情バトル

・各所(各地方チャンピオンズ+α)

・いったい何を巡って争ったんだろうね・・・

・世間話で流されていいレベルのバトルではない

・ワタルさんの会話デッキに使われるチャンピオンVS元チャンピオン

・草枯れる

・チャンピオンワタルの会話デッキ

 ・「天気」

 ・「好きなポケモン」

 →「ダイゴVSシロナのバトル」

・会話デッキつよ・・

・いやむしろ前二つチャンピオンのわりに弱すぎでは

・この一大対戦カードが実際は小競り合いっていう現実

・そうはならんやろ

・なっとるやろがい!

・周囲はどんな気持ちで見てたんだろうな

・暫定原因が勝敗すら知らないのは草

・その話聞いてソーンくんはどう思いました?

 

「んー? やっぱ都会って凄いなぁって、あと情報入るのも早くて良いよね」

 

・wwwwwww

・違う、そうじゃない

・これだよ

・なんかおかしいんだよね感想が

・都会に全責任を押し付けるな

・都会に対するハードルを上げていくぅ!

・キミ微妙に個人に興味薄いよね

・ソーンくんそういうとこある

・もしかして頭おかしい=都会の人だと思ってる?

・都会に対する風評被害がww

・都会のチャンピオンの奇行は都会で責任とってもろて…

・じゃあ田舎民はド田舎のチャンピオンの奇行の責任を取れるんですね????

・う、うちのチャンピオンは健やかなだけなんで・・・

・奇行じゃないです通常運転です

・泥沼になりそうだからやめよう

 

「はは、じゃあ次は何の話しよっか」

 

・流すじゃん

・何笑ってんだお前の話だぞ

・次はソーンくんから話題振ってほしいな

・別に好きに喋っててくれていいけどね

・ソーンの会話デッキ気になるから何か喋ってみて

 

「んー、そうだなぁ……あ、皆はルンパッパのソングスタイル何が好きですか?」

 

・?

・?

・????

・ソン、なに?

・??

・ソングスタイル?

・?????

・何の話?

・?

・??

・なに??

・??

・はい?

・なんて?

・???

・?

 

「オレはねぇ……え、なに? コメント欄バグった?」

 

・こっちの台詞かな

・ソングスタイルってなに?

・何か急に言葉通じなくなったみたいな空気流れてて草

・コミュニケーションエラーがw

・ジュラ地方の方言には対応してねんだわ

・またジュラ地方案件か

・ルンパッパはルンパッパではないのか

・ソングスタイルis何

 

「いや、え? ルンパッパのソングスタイル……あ、もしかして表現が違う? 外ではなんて言うの?」

 

・ソングスタイルが何かは知らんが多分それジュラだけや

・お外のルンパッパは1種類だけですよ

 

「……んぇ?」

 

 コメント欄との齟齬に首を傾げた姿勢で固まる。

 

・宇宙ニャースじゃん

 

「え、いないの? マジで? ルンパッパいない?」

 

・いるが?

・ルンパッパはいる

・ルンパッパはいるよ

・勝手に絶滅さすな

・クソwww

 

「意味が分からん……」

 

・それはこっちの台詞かな・・・

・多分ルンパッパに何か種類があるんだろうけどだいたいの地方ではそんな個体差はないよ

・ジュラ外のルンパッパは一種類しかいないよ

 

「えー、そうなの?」

 

・とりあえずソングスタイルなるものについて説明してくれ

 

「ジュラにはねー、音楽性の違うルンバ、ボレロ、ジャズ、ワルツスタイルのルンパッパがいます」

 

 気を取り直し、ソーンがロトムに指示を出して小さな画面を4つ表示させる。見慣れたルンパッパが一匹と、それぞれ顔つきや色味、その他細部が違うルンパッパ三匹が映っている。

 

・おぉー!

・4種類か

・ワルツめっちゃ優雅そう

・タイプとか住処じゃなくて音楽性なんだ違い

・色違い感あっていいなぁ

・ジュラにはっていうかジュラにしかいないんだよな…

・俺のルンパッパパーティーに更なるメンバーが!?

・パが多い

・ルンパッパパとかあるんだ

・パが多い

・ルンパッパパw

・パが多い

・オメェ同じことギギギアルにも言えんのかよォ!!

・急な流れ弾がギギギアルを襲う――!!

・あれは名付けた博士が有罪

 

「それぞれルンバスタイルのルンパッパはみず・くさタイプ、ボレロスタイルはほのお・くさタイプ、ジャズスタイルはあく・くさタイプ、ワルツスタイルはフェアリー・くさタイプなんだ……一気に言ったけど大丈夫?」

 

・だ、だいじょうぶ

・あとで解説ほしいです

・どのスタイルでもベースはくさタイプなんだね

・ワルツ気になる!

・オドリドリみたいな感じ?

・あー、なるほどオドリドリ

・じゃあオドリドリみたいにミツによってスタイル変わったりする?

・楽器とか?

・いいね面白そう、戦略の幅が広がる

 

「や、あいつら何かやたら音楽にうるさいから自分のスタイル変えることはないよ」

 

・バッサリーー!!

・言い草よ

・やたらうるさいは草

・オドリドリさんは4種の踊りを修めているというのに

・陽キャだが芯はブレないルンパッパさん

・意外と融通が利かないの良いね

・まぁ確かにそこはこだわり強くても普通だよな

 

「因みにこのルンパッパの縄張り争いはフリースタイルの……っと、来たみたいだな」

 

 

 

 ソーンの声を遮るように木を薙ぎ倒す音が響き、その奥から低く唸る声が真っ直ぐに近付いてくる。

 

「じゃあ皆、ちょっとこっからはロトムに撮影だけしてもらうから雑談でもしといて」

 

 青い鱗を目視したところで視聴者へと声をかけながらロトムを奥へ下がらせ、ソーンは腰かけていた岩からひょいと飛ぶように降りる。

 

「おっ、やっぱりガブくん。試練受かったんだ?」

 

 親し気にあだ名を呼ぶ。しかし、ガブくんと呼ばれた存在は見覚えのある姿では無かった。

 鱗を内側から裂いて露出している幾つもの角と、同じ様に抉れた腹を起点に広がる禍々しく捻じれた赤い刺青。

 

「試練を制覇すれば新しい力を授かる、ポケモンに合わせて言うなら進化だよな」

 

 淡々と言葉を続けるソーンに対し、頭を下げ低い姿勢で唸り呻くガブリアスの眼は焦点があっておらず正気を保っているようには見えない。威嚇の為にガチガチと鳴らされる歯は赤黒く変色し長さもバラつき口を閉じることが出来なくなっている様子であった。

 

「普通なら神と眷属、もしくはキズナを繋いだニンゲンとポケモンが揃った時に起きる現象なんだけど……ま、神の力の一端を得るだけなら一人でも一匹でも出来ないことはないわけで」

 

 一直線に飛び掛かるガブリアスを避ける。力の加減が出来ていないガブリアスの前肢は地面に深く突き刺さるが力任せに引き抜き、苛立ちを露に振り返る。

 対するソーンは変わらず、場違いな程に楽し気な表情だった。

 

「祝福を受け入れろ、捧げることを厭うな。我らに知恵と勇気とその命の輝きを示せ」

 

 定型のように言葉を発したソーンがガブリアスに対面するように歩き出すとパキ、と霜を踏む小さな音が不思議と耳に届いた。風に揺れていた木々の葉は次々と凍り付いていく。

 

 そして、空を見る。

 

 竜がいる。太陽を背に歪な竜が空にあった、煌々と輝きを放ち静かにそこに佇んでいる。

 

「ダイナ」

 

 名前を呼んだソーンの頭上でそれまで沈黙を保っていた巨大な白骨の竜、ダイナテイルが吼える。

 

「手本だ!」

 

 風に煽られるマントを翻しソーンが指を鳴らす、同時にガラスの砕けるような高い音が響き、太陽を閉じ込めたぎらつく瞳が主と眷属を繋げる。

 共鳴を起こした巨大な竜を形作る白骨のような外殻に灼けつく様に黒い刺青が浮かび上がる、模様にも文字にも見える刺青が巨体をのたうち竜が二度吼える。

 頸椎の骨が二重三重に増え花が咲く様に複雑化し、肋骨内部のエネルギー体はいくつもの強い光を放つ宇宙を模したものになり煌々と輝いている、脊椎から伸びる尾骨は地に引き摺るほどに肥大化しその姿は完成された。

 色彩を失くした太陽の化身となったダイナテイルが一度大きく首を振り動かし、弾丸のように一息で空高く飛び上がる。

 

「ウルトラダイブ!!」

 

 主の声と同時に光を反射し輝く氷の礫を幾つも纏った彗星が落ちる。

 圧倒的な質量のそれにガブリアスは回避行動を選ばず迎撃の構えをとった。プライドからくる問題かそれとも思考能力が制限されているのか定かではないがギャリギャリと歯を鳴らし棘を震わせ大きく口を開けてエネルギーを収束させる、タイプエネルギーの乗っていない高密度のそれはそのまま「はかいこうせん」として撃ち出された。

 彗星と光線がぶつかり激しい衝突音と同時に爆風で土煙が上がる、撮影を続けていたロトムのカメラが遮られ映像がブラックアウトする。

 

 数秒の暗転の後、再び映された画面にはぐったりと地に臥せているガブリアスがいた、先程までの命を削るような歪さは鳴りを潜め見覚えのある姿に戻っている。

 

 ぐっと体を伸ばしてリラックスしたソーンがポケットからボールを取り出す。手の中で投げれる大きさに戻すとそれを目を回しているガブリアスにぶつける。振りかぶりもせずに投げたにしては大きめの鱗を打つ音がしたが、とにかく抵抗もなく三度揺れたボールはその場で動きを止めた。

 

「薄明の姿、自力で制御出来るようになるまで特訓かな」

 

 ソーンは地面に転がっている頂点に小さな石が埋め込まれ紫から下に向かい黒になっていくグラデーションのかかったそのボールを拾い、縮小させるとポケットに詰め込みロトムのいる方へと戻ってきた。

 

 頭上には元の姿へと戻ったダイナテイルが変わらず静かに待機しており主の為に日陰を作っている。

 

「じゃ、予定済んだので切りまーす、またね!」

 

 いつもの子供っぽい笑顔で言い切ったソーンがロトムのカメラに向かって手を振る、完全に配信を終える空気を出しており混乱と絶叫に満ちたコメント欄を確認する様子はない。

 

 嗚呼お願い待ってソーンくん、そう必死の懇願で溢れるコメントに気づくこともなく最近配信にも慣れてきたなどと宣ったチャンピオンの配信は潔くブチッと切られた。

 

 

 


 

・おまけ

 

「ジュラ地方覚書」より抜粋

 

◇モンスターボール(1)

 

ポケモントレーナーであるならば、いやトレーナーでなくともモンスターボールに触れたことのない者は殆どいないだろう。

当然ジュラ地方でもモンスターボールは販売されている、しかし地方内にボール工場がない為にそれらは大半がイッシュ地方、そしてパルデア地方からの輸入品である。

輸入しているのはモンスターボールが少しと、あとはハイパーボールだけの二種類のみであり、中間に位置するスーパーボールやその他の特殊な効果を持ったボール類はジュラ地方では取り扱いがない。

理由は輸送コストや実際にジュラ地方で使用した際にどの程度効果を感じられるかといった面から二種類で良いと判断されたのだとフレンドリィショップの店員が話してくれた。

モンスターボールの等級とは大雑把に言ってしまえばボール開閉の強度だ。強度が一番下のモンスターボールなどは元気のいいポケモンであれば自力で内側から出てくることもある、レベルが高く強力なポケモンであれば開閉装置どころかモンスターボールを内側から破壊することもあるのだから。

勿論、開閉強度が弱ければ緊急時に自己判断で外へ出てきたりと悪い点ばかりではないが、基本的にはレベルが低いポケモンを捕まえるのに使用することを推奨されている。大人しいポケモンや人馴れしたポケモン以外であれば成長に合わせ等級の高いボールに移すのもよくある事だ。

そしてジュラのポケモンだが、ボール実験の段階でスーパーボールと付属効果のあるボール類は内側から破壊されたらしい。

ではジュラ地方にはモンスターボールとハイパーボールしかないのかと言われるとそれは違う。

彼らはジュラ地方の中では自作のボールを使うことが圧倒的に多い、公的職業に就いている者はポケモンの転送の関係でモンスターボールを利用しているがそれでも捕まえた時には自作のボールだったとはよく聞く。

 

 

 





オリ地方、オリポケときたらついでにオリボールも出しとけの精神。
実はしれっと最初から伝説のポケモンを出していた配信、この後ちょっと燃えた(学会が)。
コメントにいた教授ニキ(ポケモン生物学教授)は講義中断して学生たちと一緒に配信見てました。

モンスターボール事情→ゲームとは違い、ゲット後にポケモンと相談してボールを変更するのはよくある事。ジュラではヒスイ式が主流、素材の暴力とシンプルな暴力(投擲)でゲットだぜ。

ルンパッパ(○○スタイル)→リズムに合わせて踊り歌うポケモン。音楽に強いこだわりを持ち、時に方向性の違いでトレーナーのもとを去ることもあるという。

ロトムの凄い板→Zさんの凄い板(すごい)をロトム用のアプリにしてDL、ロトムの影が薄いことを気にしていたおじさんが頼んでないのに一晩でやってくれた。

ガブくん→緊急捕獲。もうちょっとで薄明の姿の負荷に耐えきれず皮膚が全部裏返って薄命の姿になるところだった。セーフ。 

野生のポケモンが技マシンの技を覚えてて良いの?→ポケモンは賢いし覚えれそうな技なら普通に覚えるんじゃないか?(技マシンは補助アイテムなのではないか?)、という自問自答の末、そしてレベルアップで覚える特殊技が「りゅうのいぶき」しかなかったので見映えで採用しました。レベル技と違い自然には覚えないけど手本を見て理解して覚えようと頑張れば覚えれる(ものもある)、そんなイメージです。

ソーン→暑さ対策=ダイナテイルを日陰兼クーラーにする
現在判明中の手持ち
・ヘルガー(リージョン)
・トゲリップ(分岐進化)
・トテテ(地方固有種)
・ダイナテイル(そっくりさん)
・???(???)

ダイナテイル→ジュラの神兼ソーンの舎弟。氷・ドラゴンタイプ。ソーンの固定手持ちでは一番新参者なので立場は低い、その場にいるだけで空気が冷えていくので頭上に放すと涼しい。何とかダイナのそっくりさん。自身も神のくせに神の力を借りる薄明の姿を持っている理由は一言でいえばソーンの舎弟だから。
ウルトラダイブは威力160の専用技。

未判明の固定手持ちはラスト1匹、当てても特に景品は無いです。
6匹目は不定枠です。ジュラで放し飼いしてる半手持ち達やたまにはポケモンバトルごっこがしたい神々などのために飛び入り参加枠として空けてます。

相変わらず長い後書きにお付き合いくださりありがとうございました。
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イッシュ地方出身の根暗少年が陽キャになる事を夢見て、ずっと陽キャ面をしてきたが本物の陽キャに差を見せつけられ夢を諦め、染めた髪も口調も表情も元に戻し趣味だったバトルに本腰を入れた所からはじまる話。▼なお陰キャ時代の少年を知らないパルデアの皆さんは陽キャのフリをした少年こそが元々の性格で、バトルで行き詰まった少年が闇堕ちして見た目を変えて強さだけを求めている様…


総合評価:26796/評価:8.72/連載:17話/更新日時:2025年09月18日(木) 22:30 小説情報


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