ドマイナー地方でチャンピオンやってるけど質問ある? 作:鯖村
・ライブ
【腕試し】あとびだせジュラの森あ【ポケモン】
XXX人が視聴中・XX分前に配信開始
快晴。
今にも何か飛び出してきそうな気配を漂わせる薄暗い森を背後に太陽に照らされた少年がカメラに向かって手を振っていた。
少年から少し離れた位置では相棒のジュラヘルガーが案の定森から顔を出したアーボックに蹴りを入れて追い返している、ドローンロトムが表示させたポップな「準備OK!」のサインが画面上で主張して配信が開始されチャット欄も賑わいだす。前回の配信同様ホログラムウィンドウを表示させたポリゴンZがバグって点滅しながら三か所に点在している以外は至って平和だ。
「おはようございまーす、なぜか蛮族と評判の素朴な田舎のチャンピオンです!」
・おはよ
・よぉ蛮族
・おは蛮族~
・おは蛮族!
・流れるような虚偽申告
・素朴な田舎(背後で蹴り飛ばされるアーボック)
・まるで心当たりなさそうな反応
・残念ながら当然です
・話題になっててよかったじゃん
・初手からお前の相棒がアーボック蹴ってたのは見えてない????
・今日もジュラがジュラで安心した
「えぇ……まぁいいか。今日は反応の多かった腕試しポケモンを簡単に紹介しようと思います」
アーボックを撃退したジュラヘルガーがプスンと小さく紫の火の粉を吐いて画面の端の方へ歩いていきそこでゆったりと伸びて休み始める。
・おっ
・待ってた
・わーい
・ヘルガーお疲れ様~
「えーと、まずはどっから説明しよう?」
・決めとけよ
・普通のポケモンとは違うの?
・なんでトレーナー狙いなのか
・見た目の特徴ある?
・分かりやすい特徴とか
「あー、基本的には他の個体よりデカい強いアグレッシブみたいなとこある」
・せやろな
・雑ぅ!
・早い安い旨いみたいな
「あ、説明の前に一個聞きたいんですけど、皆の住んでる所って伝説のポケモンいますか?」
・いるよ
・いるらしい
・いたとは聞いてる
・あくまで伝説って感じですね
・いるらしいけど伝説でしか知らない
・いるいる、たまに姿も見るよ
・地方によってバラバラだよなぁ
・伝説だと思ってたら普通にいっぱいいたでござる
・どっから伝説なのか難しいところですけどね
・やっぱり強いとかじゃないの?
・一匹しかいないとか?
・基本的には伝説があること、それを伝承されること、その地方でそれが認められていることが重要。だから最近ならガラルみたいに伝説が復活し伝承されれば伝説のポケモンが増えることもあるね。
・なるほどぉ
・基本的には、だけどね
・確かになんか本出てた!
・あぁ、あの豪華なワンちゃん
「おぉいっぱいきた。ありがとー、ジュラにもね、結構たくさんいます」
・でしょうとも
・だろうね
・そんな気はしてた
・なんなら登場も時間の問題だと思ってる
「ジュラでは伝説のポケモンじゃなくて神って呼んでる、クロの神とかヘビの神とかそういう呼び方が主流」
・へえー
・名前分かんない系?
・あえて呼ばない感じか
・うちも伝ポケに呼び名あるよ
・地方差やね
「まぁ神のこと自体は今は別に良いんだけどさ、多分そのうち配信に入ってくるからそん時紹介する」
・それでええんか
・伝ポケも乱入するんだ
・確信されてる神ェ…
「だって神の縄張りで配信やってるし」
・えっ
・すげー暴挙が暴露された?
・そこ縄張りかよ!?
「そうそう、Poketterや配信で映してる神殿とか祭壇とか殆どジュラの神の縄張りです」
・そうなん
・しれっと爆弾投下された感
・遺跡群あるだけでもすげーってなってたのに現役か
・その場合遺跡じゃなくないか
「現役の場合遺跡って言わないの? うーんオレこういうの詳しいわけじゃないからそのうち詳しい人連れ歩きたいね」
・専門家をポケモンみたいに言うな
・君だけの好きな専門家を連れ歩こう!
・学者勢アップ始めてそう
・絶対三歩ごとに立ち止まるから連れ歩きには向かない
「とりあえず今日はジュラには神がいるって前提だけあればいいよ」
・ぉk
・わかったー
「じゃあ改めて、腕試しポケモンは大きく分けて二種類存在します」
ピッと人差し指を立てたソーンが話し始めるとポリゴンZがカメラに映るようにいくつかの画像を空中に表示させる。
一枚目では祭壇と思われる場所で紫の炎を撃ち出しているジュラヘルガーと相対するポケモンのシルエットが爆炎の向こうに見える、二枚目は同じ場所で青い鎌に炎を纏わせたカブトプスが暴れる姿、三枚目は祭壇に向かってオムスターらしきポケモンを勢い良く投げているソーンの後ろ姿が写っている。
・いや写真チョイス
・すごいな何もわからん
・カブトプス?????
・化石の状態とあんま変わんないのか?
・でもカブトプスってあんな炎技覚えないぞ
・それよりオムスターよ
・オムスター投げ選手権?
・そんな選手権ない定期
・なんでオムスター投げてんの???????
・モンスターボールと間違えたか
・ボールじゃなくてモンスター投げるトレーナーか・・・・・
「まずは古代から続く神に捧げる闘いの儀式に関係するもの。さっき言った神と交わした約束がずーっと続いてて、これは祭事? 神事? えっと、まぁそういうもんとして明確に時期が決まってたり、あとポケモンの方から事前に申し入れみたいなものがあったりする」
・めっちゃ律儀じゃん
・事前申請w
・思ってたより蛮族じゃない
・どんな時申し入れ来るの?
・神に捧げるなら神事かな
・一応神事も祭事の内に入るから、分からない時は祭事で良いと思いますよ
・まぁ細かいとこはいいでしょ解説動画でもないし
・いやーいうてこの配信結構ガチ勢見てるからな…
「申し込み来るのは神殿を守る役目を貰った群れのリーダーの代替わりとかの時かな」
・なるほど
・ヒトとポケモンが協力してやってるんだな
・どっちが勝たなきゃいけないとかある?
「勝敗はどっちでも、捧げるのは闘いそのものだから神が内容に満足いけばヨシ!」
・そこは雑なんだw
・アローラにも似たようなのあるよ~
・意外と共通項あるね
・今はやってなくても過去にはわりとそういう神事の記録あるぞ
「因みにこれ大抵お祭りとセットになっててね、美味しいもの食べれるからオレはとても積極的に参加してます」
・現金w
・10代なら普通普通
・みんなで楽しむイベント事でもあると
・美味いモンで釣れるチャンピオン
「これが一つ目の、というか本来の意味で腕試しのポケモンです」
そこまで言うと宙に浮いていた画像を手で払って消す。
・本来の、なんだ
・はいはい
・もう一つは?
「もう一つが文字通り強い奴相手に腕試しがしたい野生ポケモン、こっちのが多いですめっちゃ多い」
・ハイ出た
・修羅地方の修羅部分
・初手トレーナー狙いは基本
・ポケットモンスター修羅/蛮族
・キミは暴力が得意なフレンズなんだね!
・やばんなちほー
・ポケットモンスターアマゾンズ
・腕試しポケモンのHPは1万!
・ここぞとばかりに大喜利始まったwwww
・さっきまで命だったものはマズいですよ!!
「皆そのネタ好きだな、ちょっと待っててね」
コメント欄を読んで笑ったソーンが手を振って画面外へと走っていく。
ガサガサと草木を掻き分ける音が小さく聞こえ、その後何かがギャアギャアと鳴く声が聞こえる。
・ジュラ民も笑うジュラ大喜利
・アマゾンズはアカン
・走ってったけど、どこまでいってんだろ
・また何か来たのかな
・ヘルガー寝たままだから大丈夫じゃね?
・何か引きずってる音聞こえる
「折角だから実物連れてきた!」
・えぇぇ
・おぉぉぉ????
・おぉう……
・ガブリアス!ガブリアスじゃないか!!
・ジュラでもそのまんまのガブリアスいいぞ
・普通に引き摺られてて草
・両手の爪地面に刺して抵抗してるのが物悲しいな
・そいつ100kgくらいなかったっけ
・子供に引きずられていくガブリアスからしか得られない栄養がある
・上級者おって草
・いや100キロ+爪立てて抵抗を平気で引きずってけるのなに?????
「はい、こちら今日の朝にのこのこやってきた腕試しガブリアスくんです」
・朝からやってたの
・やっぱ蛮族じゃん
・ノコノコってw
・飛んで火にいるジュラのガブ
「ちゃんと負けたら配信出ろって言って勝ったから」
・負け姿晒したくなくて抵抗してたんだ・・・
・お労しやガブ上……
・それはもうボクは朝一で負けましたって言わせてるのと同義では
・ガブ上の悲しそうな顔よ
・大人しくしてるのがまた悲し気で
「腕試しポケモン達は周りのポケモンより腕に覚えがあるとか、群れに馴染めなかったとか、自分より強い奴に会いに行くとか、負けた相手を覚えて勝つまで追いかけるとかポケモンによって挑んでくる理由がいろいろあります。共通項はプライドがバカ高いくらい?」
・途中はちゃめちゃに悲しい奴いなかった?
・自信家・陰キャ・スト2・ストーカー?
・蛮族・蛮族・蛮族・蛮族だろ
・プライド高い陰キャか・・・
・誇り高き蛮族だと思えば
・思ったところでよ
・ガブ上はどれなん?
・定着させるな
「ガブくんは全部乗せかな!」
・欲張りセットかよ
・コミュ障ストーカーww
・自信家で陰キャでストーカーなストリートファイター系蛮族???
・キャラの玉突き事故
・ひでぇや!
「あと見た目としては、やっぱ他より大きい奴が多いかな。それと色違いもいる、ポケモンによっては色違いって群れに入れなかったりするから」
・色違いか
・あーそれは確かに群れに馴染めない子もいるね
・こればっかりは
・見てもガブ上がデカいんかソーンがチビなんか分からん
・どっちもでは?
「特徴はそんなもんかな、危ない存在ではあるんだけど狙う相手の優先順位はある程度決まってるから分かりやすくもあります」
・へーそうなん?
・確かに腕試しなら強い奴狙うか
・優先順位どう決まるのかってある?
「優先順位の印になるのが、これ!」
そう言うとソーンは耳につけたピアスを外してカメラに近付ける、配信画面には中に水を閉じ込めたような奇妙な光沢を放つポケモンの鱗を3つ連ねたピアスがゆらゆらと揺れている様子が映っている。
「これが証! ジュラの神の試練だか何だかをやり遂げるとそいつから貰えます、ヒトも証持ってるのがさっき言った本来の腕試しを務められる条件なんだ。神ごとに違う証があって……まぁそれはいいか」
・なるほど
・本来は神に認められた者同士の儀式だったわけか
・へ~
・よくないです教えてください
・ヤバ地方だと思ってたけどわりとルールは分かりやすいんだ
・ルールはあるけどそのルールに蛮族の流儀感があるんだよな・・・・
「強そうなら証なくても喧嘩売りに来るけどこれ持ってる方が優先的に狙われます、他にも順位に関係することは色々あるけど特に強い神の証持ってたり持ってる数が増えるとより集まってくる感じしたな」
・何個も持てるんだ
・物騒な甘いミツじゃん
・無くても来るには来るのか
・ポケモン版ジムバッジって感じか
・ソーンくん何個持ってんの?
・他のも見たい!
「オレは全部持ってるー、腕試しポケモンの相手も仕事だから。総数何個だっけ……うん、今は16個!」
ピアスを耳につけ直したソーンがドローンロトムに声をかけるとロトムが動き回り身に着けているいくつかのアイテムを映し出す。
微かに蠢く羽毛の珠
途中辺りから厄ネタの気配を漂わせていたが特に解説されるでもなく流された。コメント欄の一部有識者からは質問と悲鳴が上がっていたがそれも流された。
「こんな感じかな、身に着けてると証の気配をポケモン達が察知するし「いつでもかかってこいよ」の意思表示みたいに取られるからジュラで類似品見つけても触っちゃ駄目だったりします」
・そんな危険物全身に着けてるんか
・さすがチャンピオン……さすが……??
・いや見た目から厄ネタ臭がすごい
・禍々しくない?????
・触ったら強制バトルとか罠過ぎる
・蛮族が蛮族を呼ぶアイテム
「腕試しポケモンの概要はこんな感じです、どうかな」
・だいたい分かった
・なんとなくは
・完全に理解した
・分かってないやつ
・ルール無用のヤバイ奴じゃなくルールありきでヤバイ奴であったか
・修羅地方なのには変わりなかった
「実際には腕試しっていうより腕試しポケモンの複雑怪奇な縄張り事情のがヤバいよ、腕試しで襲われるより縄張りに足突っ込んだ事故のが断然多いしプライド高い高いしてるから神を筆頭に縄張りに入られると秒でキレるもんコイツら」
・これだよ
・これだよ!!(歓喜)
・これだよ(後方彼氏面)
・突然のジュラ(概念)に喜ぶオタクたち
・これだよ勢何?????
・ガブくんコイツ呼ばわりにお顔くしゃくしゃで可愛い
・そのプライド高いヤベーやつの尻尾引きずって連れ回すヤベー奴がいるんですよ
・解説中ずっと大人しいガブ上すごい好き
・敗者の悲哀を感じる
「道から50cmくらい外れたら普通にポケモンの縄張りだったりします、特に空の縄張りなんか人間には判別不能かも」
・また修羅地方がジュラってる・・・
・そこがいい
・短い期間に変なファン層できとる
・空にも縄張りあるんだ
・そらをとぶ使えないじゃん
「ジュラも地方ルールみたいなのが独特なだけで理解すれば歩けないことはないんだけどなぁ」
・そんなことないよ
・そんなことないよが慰めじゃないのは笑う
・そんなことないよ(直球)
・地方ルールは差がデカいから
・目が合ったらバトルとか
・目の合った範囲に地方差あるよね
・そもそも目が合ったらバトルが地方ルールだよ
・ジュラの地方ルールって生存の掟って読むやつじゃん
「うーん、あ、実際にジュラを歩き回ってみるのとかどうですか?」
・いいね
・見たい見たい
・見たいけど印象は変わらん気がする
・いいと思うよ
・ぜひ遺跡群を散歩してもらいたく
・腕試しポケモンと戦ってほしい
・ジュラ散歩!
・修羅散歩(小声)
「なんか良さそうなとこないか考えてみる、じゃー今日はお終いです、ありがとうございました! またね!!」
最初の抵抗以降ずっと大人しいガブリアスの手を持って振らせ、配信は終了した。
・おまけコンテンツ
『ジュラ地方覚書』より抜粋
████氏による新書、『ジュラ地方覚書』
2.3年程前に発刊された新書。
筆者が専門家ではない為に当然ながら専門書としては取り扱われずまた地方随筆に近い内容でもあったためポケモン書としても扱われずジャンルのマイナーさから売り上げも芳しくはなかった、もちろん増刷などされておらず今この本を探すなら古本屋を巡るくらいしかないだろう。
ジュラ地方について、私が見たものを書き記したいと思う。
私は考古学者でもポケモンの研究者でもない故に、これはただの覚書であるということを念頭に置いて読んでほしい。
◇ジュラデルビル
ジュラの森で遠くに黒い群れを見かけた、私に同行してくれた少年に尋ねるとあれはデルビルとヘルガーの群れだと言われた。
ヘルガー達は縄張りのマーキングに罠を兼ねて自らの毒を用いるため本来は群れの縄張りには決して近付くべきではないとの説明を受けたが、少年が群れのヘルガー達と顔見知りだと言うので特別に群れの許可を得て近くで彼らの様子を見せてもらえることになった。
少年が群れのリーダー個体と話をつけ、私は少し離れた場所から群れのデルビルを観察した。
元気に走り回るデルビル達は群れのヘルガーに守られながら群れでの狩りを学び育つらしい、群れ全体で子育てに取り組むがそれでもヘルガーに進化するまで成長出来るものは少ないそうだ。
次に外見、ジュラのデルビルは原種よりも長い毛に覆われている。
尻尾は小さく丸い。元気に動く小さな尻尾を見ていると可愛らしいと感じるがあの尻尾を強く叩くと毒の粉が出てくるそうだ、油断はできない。
そして原種にも存在した額を覆う外殻部分がさらに大きくなりマズルの部分までも外殻で覆われている、外敵の脅威から身を守る為の進化だろうか。
顔の殆どを骸骨の様な外殻に覆われている姿を見ると、なんとなくカラカラやガラガラを思い出す。
そのことを少年に伝えるとこんな話を教えてくれた。
ジュラには死者の日と呼ばれる大きな祭りがある、後に私も参加したがとても賑やかで楽しい日だった。死者を偲び感謝するその日は街中を華やかに飾り付け人間も骸骨を模したメイクを施すのだが、この時デルビル達の外殻も骸骨を模した派手なペイントを施されるのだ。
多くのデルビル達もそれを受け入れており、気に入ったものなどは祭りの後も顔料が落ちるまでそのまま過ごすことすらあるという。
死者を偲び感謝するその祭りについては後述するとしよう。
ソーンが縄張りを気にせず好き勝手歩き回れる理由は野生達からの認識が自然災害なんかと同位だからです、同意ではないです。
本編に書かないところ→裏では大人がちゃんと働いておりますのでずっと応募がなかった外部からの追加人員募集に人が来たり有識者との提携計画が進んだり道らしきものだったところがちゃんと道路になっていったりと動きはあります。チャンピオンにおやつとカメラとスマホ持たせて遊んでてもらうだけで宣伝になるのでPR費用が抑えられて他に回せるのかな、知らんけど。
地域興し小説ではないのとまず自分の頭では楽しく面白く描写できる気がしないので、裏での動き描写はないです、すみません。領地経営とか会社運営とかあの手の小説書ける人最強過ぎるから多分人じゃないはずです。
あとポリゴンが出てくる理由はロトムでは電波を確保できないからとかそんな感じです、なんか多分衛星通信的なものだろうと考えてます。Zなのは好きだからです。
この度!!なんとジュラのリージョンフォームのイメージイラストをいただきました!!
やったー、活動報告にて掲載させていただいておりますので是非見て下さい解像度が高いです。