ドマイナー地方でチャンピオンやってるけど質問ある?   作:鯖村

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メキシコサラマンダーがいるからにはウパーの近縁種がいるはずなんですよジュラ、知らんけど。


お散歩行こうよソーンくん・ストロング編

 

 配信画面上では既にお馴染みの少年、ジュラ地方のチャンピオンソーンとホログラムウィンドウの中で楽しそうにソーンを眺めているセキエイリーグチャンピオンのワタルが映っている。

 二人の背後に見える木々は紅葉しており燃え上がるような鮮やかさの中で樹上や木陰にはチラチラとポケモン達の姿が見える。

 

『ところでソーンくん』

「はい?」

『いつもの自己紹介がまだじゃないかな?』

「…………????????」

 

・wwwwwwwwwwww

・wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

・草はえる

・ファーーーーーwwwwwwwwwwww

・ワタルさんがお望みだぞソーンくんwwww

・い つ も の

・挨拶しようかソーンくんwwwwwwwww

・ネタ振りしてくるチャンピオン・・・

・おは……おは………

・騙し討ちで予防注射に連れてった時のワンパチと同じ顔してる

・この人マジだわwwwww

・マジで動画見てるんだな

・良い笑顔でそんなw

・いつの間に固定挨拶になったんだ…w

 

「…………お、おは蛮族ぅ、ジュラリーグチャンピオンのソーンです……!」

 

・おは蛮族!

・おは蛮族!

・おは蛮族!!

・おは蛮族~

・おは蛮族ー!!

・ノ ル マ 達 成

・ワタルさんニッコニコやんけ

・悪魔かアンタww

・これはいつものですわ

・おは蛮族ガチ勢

・やめてやれよw

・ワタル様超楽しそう

・かわいそう(かわいそう)

・ソーンがしわしわピカチュウにwwwwwww

 

『おは蛮族! 改めまして先ほど紹介にあずかりました、セキエイリーグチャンピオンのワタルです、今日はよろしく』

 

・クッソwwwwwwwwwwwwwwwwww

・wwwwwwwwww

・ふざけんなwwwwwwwwwwwww

・お前も言うんかい

・良い笑顔でwww

・こんな面白い人だったかな

・普段見てるのはお仕事の姿、今見てるのは推し事の姿

・ノリノリだなぁ。。。

・無理wwwww

・ソーンくん可哀想wwwww

・これは挨拶固定化しましたわ

・次回も蛮族蛮族ゥ!

 

「うっそこれ挨拶固定なの……?」

 

・似合ってるよ

・ソーンくんwwww

・可哀想wwwwwwwwwww

・固定ッスね・・・・

・ショタの絶望顔良いぞぉ

・蛮族をやめればいいのでは?

・ヤベータイプのファンがいるな

・お隣にいるのもヤベータイプのファンだぞ

 

「……まぁいっか、ワタルさんが良いって言ってるし」

 

・ええんかい!!!!

・あまりにも早い切り替え

・そうだねワタルさんが言ってるもんね

・ガバガバかお前

・忘れてたけどソーンもワタルさんのファンだったわ

・そういえばワタルさんが会議で圧かけたとはいえ最終ゲスト決定権持ってたのソーンくんだった

・やさしいせかい

・互いのファンやってんのかこの二人

・ワタルが思いの外強火だったせいで忘れてた

・でも幸せならOKです???

・OKか?

 

「それで、散歩なんですけどね」

『うん、どこに行くんだい?』

「とりあえずジュラ大密林で良いかなって、それで折角ワタルさん来てくれたからジュラのドラゴンと一緒に散歩はどうですか!」

 

・まずジュラ大密林とかいうホラースポットについてkwsk

・即ホラースポット扱いは草

・大密林・・・ガラルのWA的な?

・ジュラなんて全域ワイルドエリアじゃないですか

・WAへの風評被害止めてもらっていいですか

・そんな風評被害でもないだろ

・ドラゴン!いいね!

・ジュラ大密林ってなんぞ

・ドラゴンとワタルさんは良いよね分かってるね

・ドラゴンと一緒に散歩?

・木しか見えないんですけどどっからどこまでが密林???

 

『先に大密林について教えてくれるかな?』

「はい! って言ってもそのままの意味ですけどジュラ地方を上から見て森とか密林っぽいなーってとこ大体全部まとめてジュラ大密林です」

『うーん大雑把……』

 

・雑ぅ・・・

・これにはワタルさんも苦笑い

・まあワイルドエリアとかも割と壁ないとこの判定は雑だから

・いやでもこの雑さは解釈一致

・ジュラっぽいのでよし

・たまにいるジュラ地方ガチ勢みたいなの何????

・地図見たけどほぼ全域ジュラ大密林では?

・なんなら多分中に村が紛れてんだよなぁ

・ジュラ大密林地方に改名しろ

 

「今オレ達がいる所が緋火(ヒビ)の森って呼ばれてるエリアで、そっから森を突っ切ったら河があるんでそこを目指そうかなって思ってます」

『お任せするよ、ところで一緒に散歩するドラゴンは?』

 

・待ってた

・手持ちのトゲリップかな?

・他にも手持ちにドラゴンいるとか?

・そろそろ手持ちをまた紹介して欲しい

・手持ち新情報?

 

「手持ちじゃないよ、友達!」

 

 コメント欄を見たソーンが疑問に答え、背後の木から千切って持ってきた赤い葉を口に当て音を出す。ピィィと草笛の高い音が鳴るのと同時にパチパチと火の弾けるような音が混じる。

 

「おいでー! ガッちゃん!!」

 

 十秒ほど草笛を吹いた後にソーンがそう呼ぶと、答えるように緋火の森の奥からドシン、ドシンと大きな生き物が走る音が絶え間なく重なる。

 森の木々が揺れ小さなポケモン達がそそくさと姿を隠してしばし。緋色の森から顔を出したのは黒い傷だらけの鱗で体を覆い首周りの赤く燃え盛る体毛から火花を散らす巨大な恐竜だった。

 

・デッッッッッ

・待ってそいつ何mある???

・ガッちゃん?????

・ガチゴラス!!!!!!

・普通のガチゴラスより大きいよな?

・かっけー!!

・ウロコの感じ違う?

・首回りブースターみたい

・黒い鱗?でも赤っぽさもある?

・黒い水晶に赤い光当ててるみたいな感じ

・マジでけー、何mだよ

・首回り燃えてるんだ……復元不可能なはずだよ

・強そう

・熱そー

・今すぐ調査しに行きたいけど一般研究者がこのガチゴラスの群れに突っ込んだ結末が見えすぎてる・・・!!!!!!

・森で会ったら死を覚悟するレベル

・でっか!

 

「おはようガッちゃん、一緒に散歩してくれる?」

 

 ソーンが手を伸ばすとガチゴラスは大人しく首を下げ顎の下をガシガシと撫で回される、体高だけでもソーンの倍はある巨体をゆっくりと動かして子供に頬を擦りつける姿は親愛の情を感じさせる。その間もパチパチと首周りの炎は弾けているが両者とも気にした様子は無い。

 

『……体高が3m、全長が6m強……古傷が多いが逃げ傷はない、戦いに積極的で勇敢なポケモンだ。トレーナー無しでここまで育ったということは相当に戦ってきたな』

 

 そして戯れるソーンとガチゴラスの背後でワタルは先ほどまでの気の良いお兄さん然とした表情から一転鋭い目つきでガチゴラスを観察していた。

 

・竜王ジャッジ

・急に目つきが鋭くなってビビる

・さっきまでニコニコお兄さんだったのに

・あだ名可愛いなぁ

・毎回ニックネームが可愛い

・仲良いね

・ガッちゃんって顔か????????

・ガッちゃん(歴戦の猛者)

・ガッちゃん(王者の風格)

・仲良さそうだな

 

『このガチゴラスはどういうポケモンなんだい?』

 

 ワタルの問いにガチゴラスを掻き回すのを止めたソーンが答える。

 

「ジュラのガチゴラスは炎・ドラゴン複合で、力自慢な感じです!その中でもガッちゃんは正式な腕試しポケモンなんですよ!」

 

・やっぱ炎タイプか

・正式な方の腕試しポケモン!

・マジで貫禄あるなぁ

・仲良さそう

・友達って言ってるしね

・そういや今までの腕試しポケモンには言ってなかったもんな

・おっそうだなガブ上!!

・www

・急な名指しやめーや

・友達自慢いいぞ

 

「ガッちゃんとはね、仲良いよ、試練でいっぱい戦ったり共闘したりしたからさ。お願いしたら背中に乗せてくれるんだ」

『腕試しポケモンは試練を制覇した相手とは友誼を結んでくれるのかな』

「試練制覇してても腕試しポケモンと性格合わない人もいたし皆が皆ってワケじゃないっぽいですけど、そんな感じです!」

『ソーンくんは、ジュラのポケモンと相性が良さそうだね』

 

・遠回しに蛮族って言ってる????

・遠回しか?

・ワタルさんからの純粋な賛辞だゾ

・それ賛辞じゃないパターン

・ソーンは嬉しそうだから・・・

 

「じゃあガッちゃんの背中に乗って緋火の森散歩です!」

 

・恐竜ポケに乗って恐竜の森を散歩!!いいなぁ!!!!

・めちゃロマン・・・・・

・太古のロマンじゃん!!

・いいなー!

 

「よーしゼットさんはどうする?抱っこ?」

『“バールノヨウナモノ!!”』

「背中に引っ付くの? いいよ」

 

 ぎゅるるるんという効果音と共に謎の音声を発しソーンの背に張り付いたポリゴンZを確認し、ガチゴラスの背に飛び乗る。

 

・?????????

・バールのようなもの…?

・いや鳴き声??

・暫定凶器じゃん

・鳴き声か・・・・?

・何で伝わるんだそれ

・何が伝わったんだそれ

・つか軽々乗ったけどそのガチゴラスめっちゃデカかったよな????

・今さらこのくらいの身体能力では驚かんぞ俺は

・ぴょんっていったね3mに

 

「ワタルさん視界どうですか?」

『大丈夫だよ』

「じゃあしゅっぱーつ!!」

 

 ソーンの掛け声に合わせガチゴラスが低い声で吠え、ゆっくりと歩き始める。

 紅葉した木々の葉が太陽の光を受け赤く輝く森は緋火の名の通り炎の中を歩いているように感じさせる。

 

・綺麗だなぁ…

・森が真っ赤だ

・ガチゴラスに乗って赤い森を歩く、いいなぁ

・のっしのっし歩いてて良い感じに揺れが伝わる・・・・

・デカい恐竜ポケに乗りたい俺、限界まで鍛えてジュラに行くことを決意

・ここの切り抜き欲しい永遠に見れる

 

「普段は走り回ってる方が多いんですけど、今日はゆっくりです」

『走り回るのも楽しそうだね』

「楽しいですよ!でも多分配信画面が大変な事になるから……」

 

・えらい

・暴走族だったか

・確かに走ったら画面見えないだろうな

・その辺のポケモン轢いてそう

・お気遣いありがとうね

・この巨体のガチゴラスが走ってくるの恐怖しかない

 

「緋火の森は炎タイプのポケモンが多いんですよ、神も炎タイプだし」

『森なのに炎ポケモンが多いのか、変わってるね』

「あー、それはですね、この辺の木が特殊なんです」

 

 近くに生えていた赤い葉を千切って画面に映るように見せるとそれをおもむろにガチゴラスの首の炎に突っ込む、数秒の後に取り出した葉は燃えることなく赤々と輝いていた。

 

「じゃーん、炎無効!!」

『ちょっと意味が解らないな?』

 

・ええええええええ

・何それ

・この辺の木全部燃えないってことか?

・待って待って待って

・ワタルさんもびっくり

・そら炎タイプが生息してても大丈夫だわ…

・植物学者ワイ次回会議参加を決意

・どういう植物なんだ

・見た感じ一種じゃないよね?その辺りの植物全部同じ特性持ちってことなの!?

・ジュラは植物も強いんだなぁ……

・そういえば虫除けスプレー無効にする草とかもあるって言ってたな

 

「この辺の木とか草とかは大体燃えないです。だからここの植物で作った糸? 布かな、なんか緋火の森の服とかあって愛用してる人結構いたはず」

『とんでも地方……』

「言い伝えだと神の流した血を吸って生えてきたとか神の炎がそのまま草木になったとか何か色々ありますけど、オレはその辺あんま詳しくないんで知らないです」

 

・その辺を詳しく知りたい学者勢が血涙流してそう

・もっとそこのワンダー植物について詳しく……!!!!

・耐火性ヤバい服が作れるのか~興味があります。

・このクソヤバ情報に対する雑な情報量が学者を狂わせていくんだな

・宇宙人に出会ったけど子供だったみたいな

・情報量が不足してるんだ…………

 

 その後、いまいち情報量の足りないソーンの解説にコメント欄からの嘆きが漏れ出しつつ暫く歩いた所でガチゴラスが歩く速度を落とす。

 

「さて。あとちょっとなんですけど、ガッちゃんはここまでだね」

 

 言ってソーンが背をトントンと叩くと心得たという風にガチゴラスがその場で立ち止まりその背からソーンが飛び降りる。

 

「ありがと、またねー」

 

 ソーンの言葉に頷いて短く吠えるとガチゴラスは再び緋火の森の奥へと戻っていった。

 

・えぇぇここまで!?

・ありがとうガッちゃん!

・後ろ姿もかっけぇよ・・・!

・あぁ~~~~まだ見てたい~~~~

・恐竜ポケまだ他にもいるんかな

・恐竜ポケ見る為だけでもジュラに行く価値はあるよな…

 

『あの子はどうしてここで?』

「緋火の森と目的地の星映しの河は縄張りにしてる神が違うんで、緋火の森の腕試し個体のガッちゃんはー、えーっと、うん、気を遣ってます!」

『あ、そういうのあるんだ』

 

・急に世知辛いな

・ガッちゃんさんは気遣いまで出来ると

・本物の腕試しポケモンさんは違うな

・出来る腕試しポケモンガッちゃんさん

 

「というわけで歩くんですけど、結構ギリギリまでガッちゃんが連れてきてくれたのでこっから三分も掛からないです」

 

 ソーンの言う通り、既に視界の先には森の終わりが見えており通り抜けるのには時間もかからなかった。

 

「着いたー!!ワタルさん! ここが星映しの河です!!」

『……!』

 

 


 

・おまけ

 

「ジュラ地方覚書」より抜粋

 

◇アーボ

 

スケッチの最中に村の端でアーボを見かけた、私が知るものよりは細く暗めの体色をしていたがタイプや好んで使う技などは変わらなかったからジュラのアーボも少々体長や色味の差異がある程度で姿としては世界中で広く分布しているものと同種とみていいだろう。

村の中を目指して這いずり移動するアーボを見て誰かに報告すべきだろうかと立ち上がった時、村の子供達がこちらにやってきた。

子供達はいくつかの小さな壺を持ってきてそれを森の方へと投げ、アーボはそれを追いかけて森へと戻っていった。

先ほど投げたものは何だったのか子供達に尋ねてみると、きのみ酒の絞り粕だと答えてくれた。

きのみ酒は村近くの祭壇で神に捧げる為に定期的に作る酒だと云う、薄めたものは村で飲まれているそうで私も飲ませてもらったがきのみの甘みと薬草のさわやかな苦みが混ざった非常に独特な味だった、私は気に入ったが人によるだろう。

アーボ達はきのみを熟成発酵させる際の匂いに釣られてやってくるのだそうだ。

アーボックが来ることはないのかと尋ねると、小さなアーボが酒の副産物をもらう程度だから許されるのであって供物に手を出し祭壇の神の怒りを買うのを避けたいアーボック達は進化するとすっかり来なくなるのだと説明を受けた。

姿を見せずとも影響あるジュラの神の恐ろしさというものを思わなくもないが、子供の頃だけに貰える特別なおやつだと思うとなるほどどこか郷愁を憶える姿と言えるだろう。

 

 

 




ソーンが腕試しポケモンや保護中のポケモンをあだ名で呼んでいるのは手持ちじゃないからです。普通は逆です。
次回で散歩は終わり。
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