ドマイナー地方でチャンピオンやってるけど質問ある?   作:鯖村

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個人的な趣味により作中でワタル・シロナ・ダイゴはチャンピオン内で同年代という繋がりから遠慮なく仲が良いという設定です。


レッツお散歩ソーンくん・トライアタック編

 燃え盛るように赤い緋火の森を抜けた先、地上に夜が広がっていた。

 

「ここが星映しの河です!」

 

 広く悠々と流れる河。

 昼間の太陽に照らされているにも関わらず水面は光を反射することは無く深く暗い夜の色、そして河の中では小さな星の光がいくつも揺れていた。

 

「昼間でも夜を映したみたいに見えるんです、綺麗だしここがゴールで良いかなって!」

『とても綺麗だね、凄いな……本当に夜空そのものだ……』

 

 その名の通り星空を映した河へと歩を進めたソーンが河辺で少し何かを探すような素振りを見せた後落ちている石を拾って見せた、水の流れで角を削られた丸い透明な石が太陽の光を反射している。

 

「この河面白くて、底に進化の石とかがゴロゴロ転がってるんですよ!」

『うーん、今ホウエンで誰かが荷物をまとめる気配がしたな』

「はい?」

『ううん、何でもないよ気にしないでね』

 

・???「ガタッ」

・ステイ!!!!

・あの人予定フリーっぽいしな

・数年前ならリーグがあるでしょ!って止めれたんだけどね

・来てもなんとかなりそうな実力あるのがまた

 

『河だし水の石とかがあるのかな』

「水の石もありますし、なんでもありますよー」

『なんでも?』

 

・いまなんでもって言った?

 

 えーと、と呟きながらソーンが指折り数えていく。

 

「水の石、炎の石、雷の石、リーフ、月太陽光闇……あとなんだっけ?」

『流れ的には目覚め石と氷の石かな……凄いな、本当に何でもあるんだね』

 

・綺麗なだけじゃないんだなぁ

・何でそんなとんでもリバーが存在するの

・やべーなジュラ

・イーブイが泳いだらバグりそう

・すげー

・とんでもないこと思い付いてるやつがいる・・・

・なんで水のエネルギーが貯まる場所で炎の石が発生するの……なんで……なんで……

・学者くん頭抱えちゃった!

 ジュラ地方のせいです

 あ~あ

・草

 

「ジュラの昔話ですけど、かつて進化の力は星がくれるものだったんです。強く強く願うと天が応えて流れ星が降ってきて、力を望むモノが河を渡ると新しい姿を与える……だからここは星映しの河、夜空の星に呼応して新しい力をくれる場所」

『……ジュラ地方は、良い所だね』

 

・浪漫感じる

・ずっと眺めてられるわ

・ロマンチックな話もあるじゃん

・ジュラの大自然凝縮感

・地方丸ごとパワースポット

・マジで綺麗な場所だな

・死ぬまでに一回は行きたい

 

「星映しの河の昔話って面白い話もあって、進化の石で進化しないポケモンが進化したって話とか全く別の姿に進化したとかいう話があるんですよ」

『それは興味深いね、どんな姿になったんだろうか……うん、次の会議も荒れそうだな』

「昔話とか似た話がいっぱいあって、同じ内容でも昔じゃない話とかも、最近もあったし、あとここで渡りの試練っていうのもあって!」

 

・前から思ってたけどソーンくん説明ヘッタクソだな

・ド直球は草

・話したいこといっぱいあって話が散らかっていくんだろうね

・ワタルさんが話し終わるまで笑顔で待っててくれるのがまた

・ママか?

・wwwww

・うちの子の小さい頃思い出すわ

・五歳の姪っ子こんな感じだよ

・15歳なんだよなぁ

・えー、見えなーい!

・それはご婦人に言って差し上げろw

・煽り散らかしてて草

 

「あ、そうだワタルさんワタルさん! ここ正式な腕試し個体のスゲーでっかいミロカロスいるんですよ!」

『さっきからダイゴポイントとシロナポイントが無限に貯まっていくんだよな……』

 

・草

・言いぐさよwwwww

・分かるけどwww

・旧知で謎のポイント制度を作るなww

・ソーンくんきょとんとしとるw

・めちゃくちゃ分かりやすい謎の単語

・知らないけど知ってる言葉

 

「えーっと。それで、ミロカロスが、あいつホント凄い長い、本当に、何mだっけ……長くて、超デカいんですマジで」

 

・どうしたどうした

・長いしか言ってないぞ

・うーんこれは説明下手!!

・長さに拘るソーンくん

・ミロカロスの特徴は美しさだと思うんですよ

・そんな長いんか

・美しさはこの際おいとくけどせめて強さに拘れ

・長いポケモン好きなのかな

・ソーンくんミミズズ好きそう

・ミミズズは平均2.5m、平均6m前後のミロカロスの方が長いんだ

・長さの問題なんか???

・アローラナッシー好きそう

・それは好きそう

 

「アローラナッシー好きだよオレ」

『俺も好きだよ』

 

・せやろな

・wwwwwwwww

・貫禄の10mだからな

・アローラナッシー嫌いな奴この世にいない説

・ドラゴンまで入ってお得だし

・ワタルさんもお好きなんすね

・アローラナッシーだからな

・何この流れ

 

「それで、そのミロカロスにお願いしたら河底から石拾ってきてくれるんです!」

 

・謎のポイントが貯まっていく音が聞こえた

・私も聞こえたよ

・不思議な事に自分もです

・シロナ「ピロン!1シロナP!」

・ダイゴ「ピロンピロリンピロロロロロロロロ」

・ダイゴPバグってて草

・シロナPもうちょいありそう

・なんか知らんけどダイゴPシロナPって字見てると面白い

・アイドル育成しそう

・プロデューサーさん!

・ソーンくんのPさんはワタルさんでは?

・草

・一応言っとくけどシロナさん配信見てるからな??

・そうだった

・何ならダイゴも見てる気がする

・まぁあそこ仲良いしな

 

「うーん、いつもなら顔出してくれるんだけど……寝てんのかな」

『無理に呼ばなくても大丈夫だからね』

「はい、でもとりあえず一回声かけときます。ミロさーん!!」

 

 ソーンの呼びかけから十数秒後、水飛沫と共に水面から飛び出す存在があった。

 黒く巨大な体に幾重にも走る青い稲妻型の傷跡、尻尾にあたる部分を覆う金と銀の鋭い鱗。原種のミロカロスを優に超える巨体がソーンを巻き着くように囲いながらずるりと河辺に這い上がる、それでも川に沈んだままの巨体の全貌は見えない。

 

・!!!!!!!!!!!!!!!!

・でtt

・やば

・みろ

・かっっっっっっっっっっこよ!?!?!?!

・でっか!!!!!!!!!!

・やばい

・長い!!!!!!!

・めっちゃながい!!!!!!!!

・なにそれーーーー!!!!!!!!

・待ってやばい

・いやまじ長いわ

・ヤバすぎるめっちゃ格好良いじゃん!!

 

「ミロさんおはよー、何かちょうだい」

 

・いや軽い!!!!!!!

・軽いんだよ反応が!!!!!!!!!

・後ろでワタルさん吹いてて草

・この圧巻の巨体を前に何かちょうだいは笑う

 

 ミロカロスはソーンの言葉に数瞬思考した後、一度潜水し再び顔を出すとプッと小さな石を吐き出す。割と攻撃的な勢いで吐き出された石を難なくキャッチして手の中の石を眺めたソーンが首をかしげる。

 

「うわ何これ、水の石と雷の石が融けて混ざってんのかな?」

 

 ツルリとした丸い水晶が二つ融解しながらくっついたような奇妙な形の石、青い雫型のエネルギーと黄色い稲妻型のエネルギーが互いに反応しあいながらゆらゆらと光を放っている。

 

・なにそれ?!!???!??

・すぐクソヤバ情報で殴ってくるじゃん

・専門機関に送っていただきたい

・きれー

・えええええもっと見せてよおおお

・ダイゴPが凄まじい勢いで貯まってそう

・ダイゴなら荷造りしているよ

・マジでしてそうだからダメ

 

「……変なの。ワタルさんこれあげます!」

『ありがとうソーンくん。記念に貰うけど、ただ持ってるとうるっさそうなのがいるんだよな』

 

・本人の中では好意100%なんだろうけどいらないからあげるは笑う

・ダイゴさん超羨ましがってそう

・研究機関各位も羨ましがってそう

・ダイゴさんうるさそう

・変なの→あげます!!wwwwwwwww

・言い方考えろwww

・ソーンくん5才だから

・五歳なら仕方無い

・蛮族(5さい)か……

 

・シロナ:ぴろりん

・ダイゴ:ぴろぴろぴろろろろ

 

・!?!?

・ええええwwwwwwww

・wwwwwww

・くっそwwwwwwwwwww

・うわ出た

・ノリノリで草

・ポイント貯まっとるwwwwwww

 

『うわ……ソーンくん、ちょっとミロさんと遊んでてくれるかい?』

「え? はーい。ミロさーんあーそーぼー」

 

 河辺にいるポリゴンZの護衛にヘルガーをボールから出しながらソーンは河に入っていく、じっとりとした目付きのミロカロスは面倒そうにも見えるがそれでも無視することはなく尻尾の先にソーンを乗せて上下に動かし構ってやっている。

 

・シロナ:うわ、はこっちの台詞なのよ

・ダイゴ:僕ら君よりマシだと思う

 

『は?』

 

・タネボーの背比べ

・こいつぁひでぇや

・後輩チャンピオンの配信で好き放題するチャンピオンがいるってマ?

・ワタルさん後輩いなくなった瞬間くそガラ悪くて草

・昔は常にこんな感じだったよ

・ドラゴンヤンキーじゃん

・ワタルさん四天王の頃はオラついてたから・・・

・配信主差し置いてPoketterトレンド入りおめでとう

・全員名前がトレンド入りしてるwww

・誰も配信画面にいないんだけどこれ放送事故だろ

・放送事故ノルマ達成

・そんなノルマはない

 

 ソーンが河でミロカロスと遊びワタルがウィンドウ上から消えて生放送の配信画面に誰も映っていないという事態が起きているがそれもまたネタと捉えているコメント欄はのんびりと各々好きなことを言っていた。

 

・放送事故ノルマでトレンド入りしてるし

・おーい放送事故してるぞ~

・ソーンくん普通に川入って遊んでるもんなぁ

・ミロさんもガッちゃんみたいに乗せてくれるんだね

・ジュラミロカロス綺麗…………

・お前はお前で配信主なんよ

・超素直にワタルの言うこと聞いてて草

・その裏でいま確実に通話で喧嘩してるであろう三人よ

・温度差で風邪ひくわ

 

『ただいま、理性のない同期を持つと苦労するね』

 

・おかえりワタルさん

・ワタルさんも大概定期

・すげーしれっと自分を棚に上げてこの台詞

・理性蒸発トリオ・・・

・おもしれー男だわこの人

・めちゃくちゃ言うじゃん

・これ多分ダイゴシロナ黙らせてきたなこの人

・彼らの中ではワタルさんが平時は一番常識人なんだと思ってた時期がありました

・推し活中は平時じゃないんだろ

 

『ソーンくん、もう良いよ』

「はーい!!」

 

・変わらない蛮族に癒される

・うーんびっちゃびちゃ!!!!

・そりゃ川辺どころか中に入って遊んでたらね?

・潜水してたからなぁ

・水も滴る良い蛮族

・しっかり遊んでて草

 

 ワタルに呼ばれボタボタと水を垂らしながら河から上がって来たソーンがぶるぶると頭や手足を振って水滴を落とす。

 

・犬ポケかお前はwww

・うちのポチエナが水遊びした後にそっくり

・目を離した隙に泥まみれになって満足そうに帰って来た俺のジグザグマ思い出した

・なんでニンゲンよりポケモンに寄ってんのかなこの子

・今日ずっとワタルさんの手持ちだったよコイツは

 

『風邪引くから、今日はこのくらいにしておこうか』

「はい!じゃあ皆さん見てくれてありがとー!!好評だったらまたやると思います!!ばいばーい!!」

『今日はお招きありがとう、またね』

 

・お疲れ様です!!

・乙~

・ノシ

・ばーい

・乙

・お疲れ様ー

 

 


 

 

「ありがとうございました!!この後はどうしますか?」

『今日は予定入れてないから、良ければ暫くこのままでもいいかな?』

「勿論です!!」

 

 強いトレーナーで良かった。

 摩訶不思議な大自然の中で楽しそうに遊んでいる少年からの尊敬と好意の眼差しを受けながらワタルは安堵する。

 チャンピオン候補として情報に目を通した時から多分この子供の好感度に最も影響するのは強さだという確信はあったが、それでも実際に対話するまでは好かれるかどうか緊張していたのだ。

 

 誰かの存在を知った時、受け止めきれない程の衝撃に襲われたのは人生で二度目だったと思う。

 一度目は苦く重い敗北と共に、歓喜と怒りでどうにかなってしまいそうだった程の衝撃。当時ポケモンバトルの世界で熱狂の渦を巻き起こし今も生きるレジェンドと称えられるかつての少年達、だが他の者達と同じ様に盲目的に彼らを賛美するにはワタルはあまりにも当事者で彼らに近過ぎた。

 そして昇華しきれない複雑な感情を抱えたまま、それでもチャンピオンとして大人にならざるをえなかったワタルが今見つけたのがソーンだった。

 強大な相手にも怯まず血塗れで咆哮した小さな太陽の、目を焼くように鮮烈な命の輝きは、あの日の少年達を讃え上げた民衆を見つめるしか出来なかったワタルをしがらみのない熱狂へ誘った。

 

「ワタルさんワタルさん!服乾かしついでに空飛んでプテラと遊びませんか!!」

『いいね!!』

 

 視界の先では数年前のあの日、食い入るように見つめた映像と全く変わらない姿(・・・・・・・・)の少年が笑っている。

 

 


 

・おまけ

 

「ジュラ地方覚書」より抜粋

 

 

◇ジュラヒンバス・ジュラミロカロス

 

ミロカロス、というポケモンのことは知っていた。

見た目の美しいポケモンとして有名であり、判明した進化前の姿が軽視されがちなポケモンであるヒンバスだという点でも有名になったことがある。

ジュラにもヒンバスは生息している。捕食しても全くうま味がないことから積極的に狩られることはないが、お世辞にも強くはないため他のポケモンの幼体の狩りの練習相手にされたり縄張り争いの余波などに巻き込まれるなんとも不憫な理由で簡単に数を減らしては繁殖期に増えるを繰り返している。

以上が一般的に知られるヒンバスとミロカロスで、ジュラに生息しているのも殆どが原種と同じヒンバス・ミロカロスだ。

ジュラ地方には二種類のヒンバスが生息している。

片方は前述の通りの原種。もう一種類はジュラヒンバスと呼んで良いだろう変わった個体だ。特徴としては星映しの河にのみ突然変異的に生まれ、黒っぽい鱗を持ちとにかく気性が荒くやたら元気が良い。

原種よりも攻撃的な生態と能力を持っているとはいえそこはヒンバス、考えなしに喧嘩を売ってはあっさりやられ水場の養分になっているのだが極々稀に進化まで辿り着く個体が存在する。

ヒンバス時代に散々つけられた傷はジュラミロカロスになっても癒えることはなく、負傷と再生を繰り返したジュラミロカロスの黒い体表は古傷で歪になっている。

歪な黒い皮膚に残る傷跡が裂けてその下に現れる青い皮膚が体に走る稲妻の様に見え、ジュラ地方ではジュラミロカロスを星映しの河に落ちた"稲妻がポケモンへ進化した"姿だとする言い伝えも多く残っている。

尻尾の方は原種に比べ固く尖った金と銀の鱗が並び、尻尾の鱗を使い攻撃する際には鱗が棘の様に変化し相手を裂傷状態にする。

いつくしみポケモンと呼ばれる原種のミロカロスとはかけ離れた荒々しい気性と闘争心に満ちたポケモンだ、唯一の共通点は人々が争いを始めると姿を現す点だろう。その後の行動は真逆だが。

 

 




【速報】ミロカロス、慈しみを捨てる。
【悲報】ワタルさん、拗らせガチ勢。
【朗報】ソーン、今も見た目は10歳。

当然一番貯まってるのはソーンが息してるだけで加点されていくワタルポイントです、ダンブルドア先生もびっくり。
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