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骨河三途は讃州中学校の三年生である。
日本人のものとは思えない白髪に、瞳孔が白い黒色の眼を持った日本人である。
いや、正確には完璧な日本人ではない。曰く、父親が外国人で母親が日本人のハーフ、だと言う。
神世紀という、ある意味では隔離されてしまった日本が舞台であるこの世界で、ハーフなどという希少な人種の彼だが、しかしそれをどう思う訳ではない。
日本人であれ外国人であれ、結局は同じ人間なのだから一々そんな事は気にしない。
骨河三途はそう言って、笑いながら今日も眠りという大仕事に就いていた。
「―――い」
何かが呼んでいる。
「―――なさい!」
何かが叫んでいる。
「さっさと起きなさい、居眠り三途!」
一つの怒号が耳から脳に流れ込む。それと同時に、強い衝撃が一気に頭の中を駆け巡る。
ぐふっ…なんて言いながら、クラスメイトであり腐れ縁である“犬吠埼風”に引っ叩かれた三途は再び机に顔を伏した。
だが、犬吠埼はそれを許さなかった。というかそれに腹立っていた。
起こすつもりで引っ叩いたにも関わらず、反応したにも関わらず、再び眠ろうとする馬鹿に、犬吠埼は再び大きく怒鳴った。
「また寝るな! さっさと起きろー!」
制服の襟を掴み、無理矢理にぐいっと後ろへ引っ張って犬吠埼は三途の体を起こし上げる。
「よぉ、イヌボウザキ。朝から元気だな?」
「もう昼だから! アンタいつまで寝てんの!?」
「おぉ、もう昼か。hehe…悪い悪い、日差しが心地良かったもんだから、つい“寝ボーン”しちまったぜ」ツクテーン
「寝起きだからギャグも雑になってるじゃない…あと、アンタのそれは寝坊じゃなくて寝ぼけるよ、馬鹿。」
ツンとした様に言い放つ犬吠埼に、hehe…手厳しいこった。と、三途はへらへらと笑う。
此処は讃州中学校の三年生の教室の一つ。そして骨河三途の席。
その眼の前に立つは、犬吠埼風。改めて、彼女の紹介をしよう。
骨河三途のクラスメイトであり、中学一年の時から共に居る腐れ縁である。
「昼ならご飯を食べないとな。」
「残念だけど、もう給食も無いわよ。」
「Oh…マジかよ。オイラは随分と長く眠ってた訳だ。」
給食を食べる時間すら眠り通していた事に、三途は驚いていた。自分の事であるにも関わらず。
だが、「hehe…手持ちが有って良かったぜ」とも続けた。
片目を閉じて笑うという、彼独特の笑い方を浮かべながら。
「手持ちって…アンタ、学校に食べ物持ってきてたの?」
「あぁ。オイラ、これでも対策を考えるのは得意なんだ。」
そう言いながら、三途は机に掛けたバッグのジッパーを降ろし、中身を開いて見せた。
「ニャア」
其処には、可愛らしい猫が居た。
「…………」
「あれ、おかしいな。オイラはホットドッグを入れた筈なんだが…“ホットキャット”を入れちまったかな?」
hehe…と、三途は笑う。
この後、担任に怒られたのは言うまでもない。
「これは、何回目だったけ…」