仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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森の洋館chapter①

エアリアにいる精霊に会うために僕とセレステはネレイスの操縦する馬車に揺られていた。

 出発してから数時間経っただろうか?もう湖は見えなくなっており、整備された森の中を走っている木々を揺らすそよ風が荷台に入ってきて、僕らの肌を優しく触ってとても心地がいい。

 

「エアリアの精霊ってどんな娘なんですか?」

セレステは操縦席のにいるネレイスの近くに寄って話しかける。

 

「風の精霊アウリス エアリアの森の奥にある小さな小屋で静かに

動物たちと暮らしているとても落ち着いた性格の精霊ですわ」

 

「風の精霊……てことは空を飛べたりするのか?」

 

「えぇ、一応お母様がハーピィという種族だからその系譜で背中に羽が生えてますので飛べるはずですわ」

ハーピィといえば僕の中での姿は半人半鳥の女性という姿だ、だけどセイレーンのように地上にいるときは羽が生えてないとかあるのか?と考えていると、自分が湖に沈んだ時のことを思い出した。

 

「ネレイスたしか、俺が湖に沈んだ時お前の足セイレーンみたいになってたよな?

てことは、親がセイレーンなのか?」

 

「お父様がセイレーンですわ、そういえば私もアウリスも片方が人間なんですのよね」

ネレイスがそういうとセレステも何かに気づいたように口を開く。

 

「てことは、私のお母さんかお父さんは別の種族ってことなのかな?」

 

「うーん、火を使う種族と言えばサラマンドっていう種族がいますわねもし、私もアウリスも片方が別の種族ということはセレステさんも片方がサラマンドの可能性がありますわね」

セレステは少し複雑な表情をして、顔を下に向けた。

 

「大丈夫か?セレステ」

 

「うん、大丈夫自分の親の手がかりがわかっただけでも、嬉しいから」

セレステは頬をぱんぱんと叩くと、さっきまで沈んでいた表情が明るくなった。

親のどちらかが人間でもう片一方が人間ではなく別の種族、これが精霊であることと何かが関係あるんだろうか?

 

「ところで、二人は馬車の操縦をできますか?」

僕たち二人は首を横にぶんぶんと振る、車の運転ならしたことはあるが馬車の操縦なんて人生で一度もしたことがない。その様子を見たネレイスはがっくしと肩を落とす。

 

「はぁ、ソゲンはともかく、セレステさんがしたことがないなんて……

わかりました、エアリアまでは私が操縦しますわ」

 

「ごめんなさい、私に操縦できる技術があれば……」

 

「い、いえ別に構いませんわ、元からその気でしたし」

僕は申し訳ない気持ちになりながらもネレイスにありがとうと一言いうとネレイスは、ふんとそっぽを向いてしまったのだった。

 

 

 

森の中を進む馬車は木々がない開けた場所を進んでいた

 

「それにしても、曇ってきましたわね……」

先ほどまで青空だった空が急に黒い雲に覆われ今にも雨が降りそうな天気となっている。

 

「雨降らないといいですけど……」

 

「もし降ってきたら、貴方方はいいですけど私は困りますわ、それにこの服お気に入りの服なので濡らしたくないですわ」

ネレイスがそう呟くと、ぽつぽつとネレイスの願いとは裏腹に無慈悲に雨が降り始める。

 

「最悪」

ネレイスが打ちひしがれたような顔をしていると、空は冷酷無情にも雷鳴が鳴り響く。

セレステとネレイスは恐れをなして悲鳴を上げ、セレステは顔を下向きにし、ネレイスは

屋根のある座席に凄まじい速さで避難した。

 

「か、か、雷怖い……」

 

「か、か、か、雷如き、こ、こ、怖くないですわー」

 

「声震えてるけど大丈夫かー?」

そんなことを言っていると空では再び雷鳴が鳴り響き、二人はまたさっきと同じく悲鳴を上げて顔を伏せた。

 

「ソゲン君は大丈夫なの?」

 

「ま、まぁね……」

僕はまた現実世界での嫌な思い出を思い出していた、そうそれは土砂降りの日営業周りで雷鳴も鳴り響く中何時間も走らされたのだ。雨の日は在宅率が高いんだとか言われたが結局あまり晴れの日の時との違いが分からなかった、そんなこともありどんだけ近くに雷が落ちようが慣れっこになってしまっていたのだ。

 

「か、か、か、雷如きで震えるなんておこちゃまですわねー」

 

「ネ、ネレイスさん震えた顔で何を言ってるんですか?」

 

とはいえ、雷が全く慣れていない精霊もいるわけでどうしたものかと僕は辺りを見渡した。辺り一面緑の木々に覆われていている、流石にこんな森の中に建物なんてあるわけがないかと、あきらめかけていると風に揺られている木々の間から尖がった教会の屋根のようなものが見えた、その風景はまるでこちらにおいでと誘っているかのようにも思えた。

 

「あそこに、建物が見えるぞ」

木々の隙間から見える建物を二人に指さすと、ネレイスは台風の風のように素早く操縦席に戻った。

 馬をつなぐ縄を使って馬の体に痛烈な一撃を加え、疾速で建物への進行を始めた。

 

「ネレイスさん?」

 

「い、い、い、急いで向かいますわよ!!!」

あーネレイス、水の精霊だから雷が怖いんですねとからかってやろうかと思ったが馬車から蹴り落とされるのが嫌だったので、ぐっと堪えた。

 

 

 

 

 

「イチゴのショートケーキだぁ!!」

フォンセは目の前にある、イチゴがぎっしり詰まったホールサイズのショートケーキに目を輝かせ、息も荒くなりながら見入っていた。

 

「持ってくるのに、相当苦労したぞ……」

男は呆れた顔でフォンセを見つめていた。

 

「ありがとね、ダーリン♡いただきまーす!」

ナイフとフォークでホールサイズのケーキを丁寧に切り分け口へと運ぶ。

 

「ところで、本当に私を元の姿に戻せるの?」

 

「食いながら喋るな、それに関しては問題ないお前を元に戻す方法は既に準備済みだ」

 

「へー、どうするの?」

フォンセがケーキを頬張りながら聞くと、男は立ち上がり机の前に立ち,

引き出しを開けると、ディーパが使っているドライパーと酷似したドライバーが姿を現した。

 そして、もう一つの引き出しを開けるとそこからはドライバーと同じく黒い小型掃除機のような形をした銃が転がった。

 

「それなーに?」

 

「今まだ秘密だ、ディーパが4人の精霊と契約し終わった時に説明をしよう」

 

「ふーん……」

フォンセは男の手にあるドライバーと武器に目を向け、疑問に思った。

 いったいいつから彼がこんなものを作れるようになったのだろうか。記憶の中の彼がそんな能力を持っていたかとしかし、フォンセは男が手に持っていたドライバーに懐かしさを感じた。あれは恐らく……。

 

「さて、ケーキも食べ終えたしそろそろエアリアにいってくるねーダーリン」

 

「あぁ」

黒い靄のように消えるフォンセを見送った後、ドライバーを装着しようとした、だがドライバーは全く微動だにしない

 

「やはり、今の俺では使えないか……」

 男はため息をついてドライバーと武器を引き出しにしまうと、机の上に置いてあった注射器を手に持った

 

「こちらも急がなくてはいけない……」

 

 

 

 

「近くに来たはいいが……」

 僕ら3人は木々から見えた協会のような屋根を目標に建物を目指し、現在その建物の目の前にいるが想像以上の大きさだった。

 木々から見えた屋根の一部は朽ちた時計塔の一部でその全貌は豪邸とまではいかないが例えるなら洋館と言った方がいいのだろうか?建物全体は白い壁と青い屋根でできていた。

 所々壁が崩れ落ちていたり、屋根が剝がれていたりと、かなりの年月放置されているようだった。

 

「とりあえず、今日はここで夜を明かすことにしましょうか」

 ネレイスはそういうと馬車から木でできた荷物が入ってるであろう木箱を降ろし、馬を繋いでいる縄を木に結んだ。

 

「ソゲン、この荷物を洋館へと運んで」

 

「わかったよ」

 僕がそういうと再び空に雷鳴が轟き、二人は悲鳴を上げながら急いで洋館の大きな扉を開け、中へと避難をする。

 ネレイスは本能的に怖い、セレステは苦手意識があって怖いのかな?と頭の中で想像しながら少し顔が緩んでしまった。

 

「よっと、ここに置いといていいか?」

 運んだ荷物が入った木箱を玄関近くに置くとネレイスは床や窓を調べていた。

 

「ええ、ありがとう、とりあえず雨風防ぐくらいには使えそうね」

 

「あれ?セレステは?」

 

「掃除道具を探しに行きましたわ」

  床に持ってきた荷物を置いて一休みしたら、ネレイスの方を見ると、彼女はずぶ濡れで「全身もうびしょびしょ」と言いながら小さなブレザーを脱いでいた。

 馬車を運転していたせいで濡れてしまっているらしい……あれ?もしかして透けてる?おいおいマジかよ……僕は胸の部分が透けていることに気づき、急いで目を避けた。

 

「ソゲン、どうかした?」

 

「い、いやなにもない!」

 僕は目を合わせないように洋館内を見渡した。

 恐らく彼女は僕がひどく動揺しているのを不思議がっている事であろう。

 動揺していながらも、僕は洋館内部を見渡した。うっすらほこりがあったが、掃除をするだけで寝泊まりに適した状況になりそうだ。しばらくして、セレステが奥で掃除用具を見つけ出して戻ってくる。

 

「ネレイスさん、掃除道具みつけたよ」

 

「ありがとう、これでとりあえず私たちが過ごす場所は掃除ができそうね」

「そうだね」とセレステが相槌を打つと、彼女もネレイスの異変に気付いた。

 

「ネレイスさん!ネレイスさん!透けてる!!」

 

「う、嘘!?」

 ネレイスは自分の胸元を確認すると、下につけている下着が透けていることにようやく気付いた

 

「さっきソゲンが私を見てたのって……」

 

「ダメだよ!ソゲン君ジロジロみたら」

 二人は僕をまるでゴミを見るような目でにらみつけた。

 

「見てねぇよ!!」

 

「ふん!どうだか!!」

 ネレイスは上着を羽織ると荷物からランプを取り出し、セレステに火をつけるように指示して、彼女が指を中に入れるとランプに火が点く。

 そして、その火が燃えているランプを僕に手渡した。

 

「これで洋館内を探索してこいと……」

 

「あら、呑み込みが早くて助かりましたわ~」

 彼女はニコニコと微笑んでいるが目は笑っていなかった。

 そんな彼女に恐怖を覚えながら、ランプを受け取り階段を上って洋館内部とへと入って行く

 

「てかランプ持ってていいのか?」

 そう聞こうと振り向くと、もう一つランプが置いてあるのがみえた。

 あぁ、もう一個あったのねと思いながらもう一度洋館内部へといこうとするとネレイスの叫び声が聞こえてくる。

 

「あ、後お風呂見つけたら、掃除しといてねー」

 

「わかったよ!!」

 それにしても広い洋館だ、一体どんな人が住んでたんだろう?そんなことを思いながら一部屋ずつ部屋をチェックしていく。

 子供部屋、仕事部屋、プライベートルーム、書斎といろいろな部屋があった。

 少し疲れたので一息付こうと書斎の椅子に座り休憩しようとすると机の上に写真立てがあるの気づいた。その写真立てには仲良く黒髪の父、母、娘二人の四人で新築であろう洋館の前に並ぶ家族の写真が入っていた。

 自然豊かな森の中で大きな洋館を建て、静かに暮らすことがこの家族の夢だったのだろう、だがどうしてこの豪華な洋館を捨てるのことになったのか?家族の身になにか起きた?急な用事で引っ越すことになった?いろいろとこの写真から想像出来ることはたくさんあるが……

 

「家族で仲いいな……」

 僕は4人で並ぶ家族の姿にうらやましさを感じていた。

 あまり家族とのいい思い出がなかった事をふと思い出して我慢ができず、少し目から涙が出てきてしまった、するとどこからともなく少女声が僕の耳に響いた。

 

どうして、泣いてるの?

 

「あぁ、ごめんちょっと嫌な思い出を思い出しちゃって……」

 僕は手で涙を拭き声がした方向を向くと誰もいなかった。

 今声が聞こえたはずだ、と思いながら部屋の周りを見渡すがどこにもいない。

え?まさか幽霊?僕の体の温度は一気に落ちた、カタカタと震えながら部屋を出ようとドアノブを持つと、なんと勝手にドアノブが動きドアが開いたのだ。

 

「うわああああああ!!!!」

 

「きゃあああああああああ!!」

ドアの前に立っていたのはネレイスだった、彼女も僕の悲鳴に驚いて同じように悲鳴を上げた。

 

「び、びっくりしましたわ……」

 

「そ、それはこっちのセリフだ」

 僕は深呼吸して落ち着くと、先ほどの声の事について聞こうとするが泣いてしまったのがバレてからかわれるのが嫌だったのでやめるとネレイスが口を開いた。

 

「それより、一階にお風呂を見つけましたわ、掃除してくださる?」

 

「え、俺まだ周ってない部屋があるんだが、ネレイスがやってくれよ」

 

「あら?そんなこと言える立場なのかしら?」

 ネレイスはニヤニヤとこちらをじーと見つめながら話す。

 

「言っての良いのかしら?アウリスに」

 

「何をだよ」

 

「私の透けた下着をまじまじと見つめて興奮してたって」

 

「はぁ!?誰がお前の黒の下着なんかに興味があるか!」

 やばい!僕はしまったと思い口を塞ぐがもう遅かった。

 ネレイスの顔はまるでトマトジュースがぶちまけられたように真っ赤になる、そしてネレイスは僕の両方の頬を一発ずつ両方の手でビンタした。

 

「早く風呂掃除に行きなさい!!この変態騎士!!」

 ネレイスはアウリスに絶対言いつけてやるんだからとぶつくさと言いながら一階に向かっていった。

 僕は両方の頬をすりすりと慰めるように触りながら、一階へと降りて行った。

 

 

 

「ここがお風呂場か……」

そこはまるでホテルのようなお風呂場だった。

 シャワーのようなものが横並びに何個も並んでおり桶も10個近く摘まれており、浴槽も何十人も入れる、家族四人で使うにはもったいないほどの広さの浴場だ。

 蛇口のような取ってを引くと水が勢いよく流れた。

 

「水は生きてるな、まさかこの世界にもシャワーがあるとはなー」

 僕は浴槽の中に入り、ブラシで床をごしごしとこすると、かなり汚れていたようで一瞬にして水が茶色く濁った。

 

「ソゲン君、何か手伝えることない?」

 セレステがお風呂場に入ってきて、浴槽の近くまで近づいた。

 

「いや、大丈夫だよそれよりセレステ水ダメなんだろ?」

 

「まぁそうだけど、ちょっと手や足で触るくらいならピリピリするくらいだから大丈夫だよ」

 

「そ、そうかとりあえずそこのブラシで床をこすってもらえると助かるんだが」

 そういうとセレステはおっけーと言いながらブラシを持って鼻歌を口づさ見ながら床を擦り始めた。

 

「ところで、ネレイスさんすっごく顔赤くして怒ってたけど喧嘩したの?」

 言えない、言えるわけがない馬鹿正直に透けていた下着の色を答えたなんて

 

「ま、まぁちょっとね……」

 そういうと、お風呂場の気温が一気に上がり、とても蒸し暑くなるのを感じた。

 まさかと思いながら僕はおそる、おそるセレステの方向を向くと赤く燃え上がった巫女服となったセレステが僕の近くに立っていた。

 

「精霊にセクハラしたら許さないからね?」

 メラメラと燃えるその姿はまさに燃え盛る竜サラマンダーを思い浮かばせるようだった。僕は声を震わせながらは、はいと返事をして浴槽勢いよくゴシゴシとこすった。

 その様子を見たセレステはくすっと笑いながら元の姿に戻り僕と同じように床をこすったそしてぽつりとつぶやいた。

 

「私にすればいいのに」

 

 え?僕はセレステの方を向くがこちらに背を向けてまた鼻歌を歌いながら床をゴシゴシとこすっていた。

 気のせいかと自分にいい聞かせた、セレステが変なことを言うはずないもんな僕は水を浴槽に出して洗いながらしたその刹那だった。

 「きゃああああ!!」と洋館中にネレイスの女性特有の悲鳴が響いた。

 

「なんだ!?今の?」

 

「行こう!ソゲン君!」

 

 僕とセレステはお風呂場から出るとネレイスの悲鳴が聞こえた場所へと走った。

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