仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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森の洋館chapter②

 僕らはネレイスの悲鳴が上がった場所へと急行すると、そこは食堂だった。

 長い机に何個も並べられた椅子そして机の上には綺麗に整えられた白いテーブルクロスがかかっていた。おそらくネレイスが綺麗に掃除したのであろうそしてその奥ではネレイスがガクガクと震えながら、床に女の子座りで座っていた。

 

「おい、どうしたんだよいきなり悲鳴をあげて」

 

「い、今く、黒い髪の女の子幽霊が……」

 ネレイスは震えた手で指を指したが、そこには誰もいなかった。

 

「いませんよ?」

 セレステと僕は部屋中をくまなく探したがやはり誰もいなかった。

 

「セレステさん、申し訳ないんですが食堂に一緒にいてくださいませんか?」

 ネレイスがセレステに助けを求めると、セレステは笑顔で了解し、食堂に残留する。

 僕は再び風呂場へ向かい、あの少女の声は幽霊だったんだろうかと思考しつつ戻る途中、突如説いて目の前に幽霊が立ちはだかる。

 長い黒髪のお下げでで黒いメイド服のようなドレスを身にまとい、18歳ほどの端正な顔立ちをしている。

 僕は突然の出来事に声を出すことができなかった、少女は僕の顔を見て手招きをすると、瞬時に姿を消し去った。

 

「あの幽霊、どうしたんだ?」

 僕は手招きをする幽霊を探そうと辺りを見渡たすと、少し離れた奥まった場所にある一つの部屋の前に立っていた。

 それをみて僕は追いかけるように部屋の前まで走ると、部屋の中に吸い込まれるようにまた消えてしまう。この部屋を開けたらまさか襲われるのでは?と考えた僕は一瞬開けるのに戸惑ったが、いやもしかしたら助けを求めているかもしれないと考えを改めた。

 意を決した僕はドアを開ける、すると……。

 

「何もないじゃないか……」

中は独房のように何もない寂しい部屋だった。

 だがよくみると端の方には不自然に置かれた本棚がある。とりあえず襲われなくて良かったとほっと一息つき、ドアを閉めた。

 

「何だったんだ?」

 僕はもう一度ドアを開けるが、それでも中には何もなかった。不自然に置かれた本棚がとても気になるが……、部屋を後にし、お風呂掃除に戻った。

 

 

 

「はぁ、やっと終わったぁ」

 お風呂場を見渡すと、まるでまばゆい宝石のように輝くシャワーのようなものとそしてピカピカに輝く浴槽があった。

 そして僕は蛇口のような取っ手を引き浴槽に水を張った、さーて二人を呼んでくるかーと僕はルンルン気分で呼び行こうとするが、いや待てよ?これどうやってお湯にするんだ?そうだ水を沸かす装置がないじゃないか!僕の家ではボタンをポチっと押して待ってると、お風呂が沸きました!って言って勝手に沸かしてくれるものだがこの世界ではどうやって沸かすんだ??僕がそう考えてると

 

外から入れる部屋で薪を使って沸かすんです。

 

「あぁそうか!ありがとう!」

 僕はお礼を言いながら声がしたに方向を向くと、先ほど僕を奥まった部屋に案内した黒い髪の少女が目の前に立っていた。

 

「うわああああああ!!!!」

 僕の叫び声を聞いた二人の精霊がお風呂場にどうしたの!?と言いながら入ってくると

僕の目の前に立っていた黒い髪の少女の幽霊に驚き二人が女性特有の悲鳴をあげた。

 その様子を見た黒い髪の少女は慌てた様子で「ごめんなさい!ごめんなさい!」といい僕ら3人に頭を下げた。

 

「「「え?」」」

 僕ら3人は少女の幽霊の様子に困惑した、あれ?幽霊ってこんな行儀正しいっけ?とお互いに顔を見合わせた。

 

「本当にごめんなさい!驚かせるつもりはなかったんです!!ただこの屋敷に来てくれた ことを歓迎したかったんです!!」

 どうやら彼女は悪い幽霊ではないようだ、僕ら3人は彼女に近づいた。

 

「勝手に屋敷を使ってごめんなさい、申し遅れました私精霊のネレイスと申しますわ

そしてこの赤い髪の娘は私と同じ精霊セレステ」

 紹介されたセレステは黒い髪の少女の幽霊に頭を下げた。

 

「そしてこの男の人は精霊の変態ムッツリスケベ騎士のソゲンですわ」

 

「おい!!」

 

「精霊?騎士?それは一体?」

 少女は精霊や騎士など聞いたことがない言葉に困惑している様子だった。

 

「まぁ、簡潔に言えば特別な力を持った女の子とその力を使って戦う騎士みたいな感じだ」

 僕が説明を終えると彼女は何かをひらいめいた様子だった、その後改まった様子で僕らに話しかける。

 

「貴方が3人にやってもらいたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

 

「まぁ屋敷を使わせてもらってるからな、出来ることやってやる」

 

「お父さんを探していただけませんか?」

 

「お父さん?」

 僕らがそういうと黒い髪の少女の幽霊は数十年前この屋敷であった残虐な出来事を語り始めた。

 彼女の名前はクロエというらしく、父と母と妹で長年の夢であった。

 森に屋敷を建て静かに暮らすという夢をついに叶えた。

 森で食材を取ったり、水鏡の湖で魚を釣ったりと悠々自適な毎日を送っていた。

 だがその平和な暮らしは長くは続かなかった。

 マーマン族とセイレーンの種族間の紛争が勃発したのだ。

 紛争は激しくこの森にまで紛争の音が響き、毎日怯えながら過ごしてたという、そしてある夜中だった。

 大勢のマーマン族の兵士が食料を求めてこの屋敷に訪れたという、だが紛争で長い間なかなか外に出られなかったクロエの屋敷には、もうあまり食料はなかった。

 その事をクロエが兵士たちに伝えると兵士たちは激昂しクロエ達に殴る、蹴るなど暴行を何時間にも渡って加えた。

 マーマン族の仕打ちに我慢できなくなった一家はこの屋敷で自らの手で息絶えたという事だ。

 

「なんて惨い……」

 セレステは口を覆い、まるで目の前で起こったかのような表情を浮かべた。

 

「マーマン族はかなり狂暴な種族だということは知っていましたが、まさかここまでとは思いませんでしたわ……」

 ネレイスも神妙な面持ちでその話を聞き、涙を浮かべた。

 

「やっぱりバスコを倒したことは間違いじゃなかった」

 僕はバスコを倒してしまったことを少し後悔していた、話し合えば少しは分かり合えるんじゃないかと、だがそれは無意味なことだった。

 生きていればまたこのクロエのような犠牲者が増えていたことだろう、話を戻して、今の話を聞いて僕の中で一つ疑問が浮かんだ。

 

「それでお父さんを探してほしいというのは?」

 

「実は、あの事件のあと父がこちら側の世界に来てなくて……

もしかしてアンデッドになってるんじゃ?と思ってこの屋敷を探したのですが見つからず

それで最後に残った地下を探そうと思ったんですが、ゴーストが近寄れない結界が張られていていけなくなってるんです」

 

「結界?」

 

「まぁ一種のバリアみたいなものですわ、でもおかしいですわねその魔法を使えるのは上位の魔法使いだけのはず……」

 

「地下に上位の魔法使いかそれを使える魔物がいるってことか」

まさか、目の前にいるクロエがわざと自分で張ったのか?そして

僕達を騙して地下で上位の何かの餌食にさせようとしているってことか?いやでも、彼女は噓を言ってるようにも思えない、だけど本当に信用していいのか?僕が悩んでいると、ネレイスが僕の肩をポンと叩く。

 

「彼女の言ってることを信じてあげた方がいいと思いますわ、彼女の顔を見ていればわかる」

ネレイスの言葉に、セレステも何度も頷いた。

 

「ソゲン、引き受けてあげようよ、彼女のお父様探しを!」

 僕は再度クロエの顔を見ると、彼女はとても淋しげな表情を見せていた。

 まるで親の帰りを待つ子犬のような顔だ。その顔を見た僕は、父を探し出し、あちらの世界へ導く決心をする。

 

「わかった、かならず君の父を探し出してそちらの世界へ連れて行く」

 

「本当ですか?!ありがとうございます!!」

 僕がそういうと、クロエの曇っていた表情が雲から出てきた太陽のように明るくなった。

 

「あの、ところで地下へはどうやっていくんですか?」

 静かに聞いてた、セレステがクロエに質問をする。するとクロエはこちらですと言って、先ほど僕を案内した奥まった場所にある部屋に僕らを案内した。

 

「何もないが?」

 僕がそういうと、クロエは本棚を指差した。

 

「そこに置いてある黒い本を動かしてください」

 そう言われ僕は黒い本を引き出すように動かすと、突然地震が起きたように床が揺れ出した。そしてなんと、床がスライドし地下へと続く階段が現れたのだ。

 

「こんな仕掛けが、とりあえず行ってくる」

 

「気を付けてね」

 ネレイスからランプを受け取り、地下へ降りようと試みたが、ランプの光でさえもさえぎられるような暗さで、地下への降下は難しかった。

 

「ダメだ、ランプの明るさじゃ見えない」

それを聞いた3人はえーと落胆した表情を見せた。

 

「ソゲン君、どうするの?」

 

「とりあえず朝になるまで待つしかないか」

 そうすると、クロエが申し訳なさそうにソゲンに告げる。

 

「実はここ朝になっても薄暗くて……どこかに火を灯すところがあるはずなんですけど……」

 僕らがうーんと唸り声を上げながら考えているとネレイスがあっと思いついたように話す。

 

「太い枝に火を灯したらちょっとはマシになるんじゃない?」

 その手があったか!と僕とセレステは納得するように同時に手のひらの上を拳でポンと叩いた。

 

「クロエ、この屋敷に薪とかあるか?」

 

「確か、屋敷の裏の小屋にあるはずですけど」

 

「じゃあ誰か取ってきてもらっていいか?」

 そういうと3人の女の子たちは僕を蔑んだ目でにらみつける。

 

「ソゲン君……」

 

「ソゲン?まさか、女の子をこんな暗い中一人で外へ行かせる気?」

 3人は不機嫌な顔で僕ををじーっと見つめている、そんなに見つめないでくれ!わかった、わかったから!

 

「僕が言ってくる」

 僕は3人から逃げるように急いで屋敷の裏にある小屋へと向かって全力ダッシュで取りに行った。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……見つけてきた」

 

「あら、早かったじゃない」

 息を切らしながら大きく細長い薪を持って戻ってくると、床に座り3人で仲良く談笑しながらビーフシチューを食べていた。

 

「お、お前ら俺が全速力で外いって薪を探してる間に!!」

 

「まぁまぁソゲン君、貴方の分もちゃんとあるから、ね?」

 セレステは僕の口に無理やりビーフシチューが乗ったスプーンを突っ込んだ。

 

「ん!!」

 口の中にじっくりと煮込まれた牛肉の旨味と野菜の絶妙に調和された味が口の中に広がった。

 ほどよい食べ応えとどこか懐かしい味が怒りが浸透していた心をいつの間にか沈めてくれる。

 

「どう?おいしい?」

 

「おいしい」

 

「よかったー」

 セレステは僕の感想を聞いて笑顔でビーフシチューをお皿に盛りつけて僕に渡した。

 その仲睦まじい様子を見て、クロエは僕ら二人に問う。

 

「あの、お二人は付き合ってるんですか?」

 それを聞いたセレステは飲んでいた水を吹き出してしまう。

 そして僕も気管にビーフシチューの具材が入りかけてむせてしまった。

 

「そういえば、私の家でもベッドで二人でイチャイチャしてましたわよね?」

 

「「は!?」」

 僕ら二人はネレイスからのいきなりの告白に同時に声が出てしまった。

 

「ベ、べ、べ、ベッド!!??」

 クロエは頭からまるで蒸気機関車のように湯気が吹きあがり、目をくるくると回した。

 

「勘違いしないでくれ!ベッドに座って話してただけだから!」

 

「そ、そうだよ!」

 セレステも顔を真っ赤にしてとても焦った?様子だった。

 

「しょ、しょうですよね!!」

 クロエもオーバヒート寸前だ。

 

「ふ~ん」

 ネレイスはニヤニヤとしながら僕らを二人を交互に見ている。僕は急いでビーフシチューを口に掻き込み、水をぐいっと飲んで立ち上がった。

 

「とりあえずそろそろ地下へ行こう!!」

 僕はドライバー腰に装着して薪を手にもった。

 それを見たセレステとネレイスも気を引き締めた表情となった。

 

「セレステ火を頼む」

 僕が薪をセレステに向けると、手をかざし薪の先端に火をつけた。

 

「よしいくぞ……」

 

「お気をつけて」

 僕と二人の精霊はクロエの父を見つけ出すべく屋敷の地下へと続く階段を降りて行った。

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