仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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森の洋館chapter③

 暗黒の世界でこれほど恐怖を感じたことがあっただろうか、何も見えない、誰がいるかもわからないそしていつだれが襲ってくるかもわからない不安から来ているらしい、人間が暗闇の中で恐怖を感じるのごく普通ことである。

 発汗や吐き気、動悸などの症状が出て病的に恐怖するものがいるらしいが、僕はそこまでではない。

 

「本当にたいまつの火でも全然見えないな……」

 

「火を灯す場所なんてどこにも見当たらないけど」

 ネレイスはまるで壁を這う蜘蛛のようにピタピタと何も見えない壁を触っていた。

 おいおいそんなことしてたら手を怪我するぞと心配な目で見つめていると

急にセレステがあ!と大きな声を出した。

 

「ここそうじゃない?」

 そう言って彼女は、ほら!と言いながら僕らに指を見せつけると指は黒く煤けていた。

僕は彼女が触っていたであろう場所をたいまつで照らすと壁に底が浅いお皿のようなものが取り付けられていた。お皿の中を確認すると黒く煤けており、セレステが触ったであろう場所が少し綺麗になっている。

 ここか?と疑問に思いながらも松明の火をかざすと、まるで電気がついたように暗黒世界だった地下世界に光が宿る。それと同時に地下への恐怖も自ずと消え去って行った。3人ははぁーと安堵のため息を漏らした。

 

「とりあえず明かりは確保できましたわね」

 

「あぁ、だけどかなり広いな……」

 恐らく地上一階くらいの広さはあるだろうか?階段を降りた先は広い大広間となっていた。

 カーペットや天井から吊られていたカーテンのようなものは破れており、断片的に少し残っているだけだった。虫に食われたのだろうか?現実世界のように防虫剤なしで放っておけばこうなるのだが、それでも少し不自然な残り方だった、こんなに虫は布を食うものなのだろうか?と、そう思いながら一歩歩き出そうとすると靴の裏が急に重くなるの感じた、まるで何かに吸い付かれたかのように

 

「なんだこれ?」

 口の裏には緑の粘液のような物体がくっつきびよーんと伸びていた。

 まるでネズミ捕りの粘着シートのような感覚でなかなか床と靴が離れなかった。するとその粘液のような物体がいきなり動き出しぽーんぽーんとなんとも軽やかな音を立てながら逃げて行った。

 

「まさか、あれスライムか?」

 そういうと二人はいやあああああ‼と恐ろしい魔物に出会ったかのような悲鳴を上げて後ろへと下がった。

 

「お、おいどうしたんだよ?あんな雑魚早くケチらそうぜ」

 僕はそう言ってカードを二枚取り出してこっちこっちと手招きするが、二人は手を取りあって強風で舞う扇風機のように首を横になんども振っている。

 やれやれあんな雑魚如きになんであそこまで怖がっているか僕には到底理解できなかったはぁと大きくため息をついて早くしろーっと叫ぶ。

 

「貴方スライムの恐ろしさを知らないわね?」

 

「はぁ?スライムって一番弱い敵なんだろ?」

 

「ソゲン君、スライムは人間に襲い掛かって粘液で布とか生地を溶かしちゃうんだよ?」

 なるほどーだから床に敷いてあったカーペットや天井から垂らされていたカーテンが

不自然に破れていたのか、納得納得!!え?布とか生地?僕は恐る恐る靴の裏を見ると

先ほどスライムを踏んづけた場所が若干溶けている。

 でもスライム逃げて行ったぞ?襲い掛かってくる雰囲気は全くない……

 

「でも俺には襲い掛かって来ないけど?」

 とか言ってるとスライムの集団がゾロゾロと僕の周りに取り囲むように集まってきた。

 

「おいおい、踏んづけた仕返しをするために仲間呼びに言ったのかよ

 このまま俺の服を溶かされるのもしゃくだ!変身!!」

 

≪empty Transform≫

 

 僕はベルトを操作し、ディーパ エンプティフォームへと変身する。

 スライムくらいなら精霊の力がなくても!!僕は渾身の力を込めてスライムに殴りかかった。

 だが、数には勝てず僕は集団リンチのごとくスライムにぼこぼこにされていた。

 

「うわああああああ!!!なんでぇ!!!」

 それを遠くで見ていた精霊二人はこそこそと相談を始めた。

 

「ねぇセレステさんが行きなさいよ」

 

「ネレイスさんどうぞ」

 

「いやいやセレステさんどうぞ」

 

「いえいえネレイスさんどうぞ」

 コソコソと譲り合いをする二人の精霊についに爆発した僕は叫ぶ。

 

「お前ら、じゃんけんでもなんでもいいから早く決めろ!!」

 僕が叫ぶと二人ははーいとやさぐれた返事をしてじゃんけんを始める。じゃーんけーん、ぽーん!!

 

「負けた……」

 

「ネレイスさん後は任せました」

鼻 歌を歌ってご機嫌なセレステを見たネレイスはさぞやイラっと感じた事だろう私がいくわーと叫ぼうとしたが、いや待てよ?どうせソゲンはどっちが勝ったのかわからないのだから、ここはちょっといじわるしてやるか。

 

「ソゲンー、セレステが行きますわー」

 

「えぇ!!!??」

 

「わかった!!」

 僕はセレステのカードをホルダーから取り出しベルトに挿入した。

 

「炎の力解放せよ!」

 

≪ignis!metamorphosis!≫

 

「ちょ、ちょ、ネレイスさんのいじわるううう!!!」

 ネレイスを断末魔のような叫び声を上げて粒子化して、僕と一体化しディーパ イグニスフォームへと変身する。

 

「イグニスブレード!はぁ!!!!」

 僕は炎を纏ったイグニスブレードを円を描くように回転しながらスライムを切り裂くと

周りにいたスライム真っ二つになって、液体化しその場でぽたぽたと水が天井から滴り落ちるような音を立て消滅した。

 

「おーお見事ー!!」

 

(ネレイスさん!絶対許さない!)

 セレステは僕の手を動かし拳を握りしめた。

 相当ご立腹なようで体の中が燃えるように熱かった。

 

「あの、ネレイスと喧嘩したの?」

(ううん、大丈夫だよー、あははー)

 そう笑うセレステは優しい笑い声ではなく、怒りに満ちた笑い声だった。

 

「それにしても、屋敷の地下にスライムがいるなんてな」

 

「多分、長年使われていなかったから地下が迷宮化してるのですわ」

 辺りを見渡しながらネレイスがこちらへと歩いてきた。

 足取りがぷるぷると震えていたのでまだスライムに怯えているようだ。

 

「まぁスライムだけだといいのですが……」

 

「とりあえず、このまま変身してた方が身のためだな」

そういうとネレイスがえッとビビった表情で僕の手を掴む

 

「あのー、30分交代で変わりませんか?セレステさん?」

 

「だってよ、セレステ」

 セレステは僕の両腕を使って胸で手を交差して×印を作った。

 

「さっきの事は謝りますから、ね?セレステさん?」

それでも尚×印を崩さないセレステ、それを見たネレイスは上目遣いでお願いしますと

僕に向かって迫ってくるのだ。

 くそ可愛い……いつもわがままな娘がこんな可愛い顔をするなんて僕の負けだ!ベルトに左手を伸ばそうとした時だった、右側からギラと光る刃先が僕の左腕に迫った。

 

(ソゲン君、わかってるよね?)

 

「は、はい!!!!」

 ネレイスはそのやりとりをみてガクガクと震えながら見てこう思った。

 セレステを本気で怒らせちゃダメだと

 

「とりあえず奥へいきましょう!」

ディーパとネレイスは大広間を抜け、その先に続く廊下を歩いていった。

 

 

 

 

「ここがエアリアね」

 闇の精霊フォンセは僕達よりも先に風の町 エアリアへと到着していた。

 フォンセは瞬間移動テレポートを使えるため、どこへでもすぐに行き放題なのである。

 

「さて、風の精霊はどこかなー」

 フォンセは男からもらった写真を片手に街を歩き出す。

 

「それにしても風が気持ちいいなー」黒い髪の毛が優しく靡く、エアリアに吹く風はほかの地域とは違い周囲を美しい山々に囲まれた渓谷に位置している。

 この地形は風の通り道を作り、山々からの風が集まって町全体を包み込むように吹くことで、気持ちよい風が生まれるということだ。

 

「あれ?なにあれ?」

 フォンセはエアリアの森の方に怪しげな光が天から注がれているのが見えた。

 

「本当に、派手にやってくれるねぇ……」

 フォンセはニコっと不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 フォンセがエアリアに到着していたその頃僕らは、ずっと先が暗闇で見えない廊下を松明の火を灯しながら歩いていた。

 

「これどこまで続いてるんだ?」ビビりながら歩いていると突然ネレイスが僕の背中をぽんぽんと叩いてくる、僕はびくっとなりながら振り向くと、ネレイスはとても気分が悪そうだった。

 

「ねぇ、ソゲンなんか匂わない?」

 

 たしかに、なんだこの悪臭は?まるで血が腐ったような……ディーパのマスクの中にまでもその匂いは伝わってきていた。

 ネレイスが両手で鼻を覆いながらゲホゲホと今にも吐いてしまいそうな咳をしている。

 

「大丈夫か?」

 

「はい、平気ですわ」

 僕がネレイスを気遣っていると、まだ火を灯していない廊下の奥の方から気味の悪い呻き声が聞こえた。

 

「なんだ?この気味の悪い声?」

 

「迷宮化しているから、もしかするとアンデットが住み着いてるかも」

 僕がネレイスの方を向きながら「まじかよ?」と言っていると突然無音で暗闇の中から火の球体がこちらに飛んできた。

 それに気づいたネレイスは煌天翔鳴と発し霊服にはやがわりし、まるで滝のような壁を僕の前に張り炎の球体から守ってくれていた。

 

「助かった……ありがとうネレイス」

 

「ソゲン、油断しないで!何か来ますわ!」

 暗闇の中ら気味の悪い呻き声を上げ、ピタピタと足音を立ててこちらに何かが近づいてくる。得体のしれない敵を向かい打つべく、僕ら二人はそれぞれ武器を構えた。

 足音がだんだんと大きくなってきた僕らの心臓の鼓動が最高潮にたっした時、その足音の主は現れた。ボロく破れまくったローブ、そしてどくろのついた杖全身は腐った肉体でところどころ白い骨が見えていて、顔も今にも朽ちそうな見るも無残な姿をしていた。

 

「な……なんだよあれ……」

(あれってもしかして……)

 

「あれはアンデッドの魔法使いリッチーですわ」

 リッチーは僕らの姿を確認すると目の奥を赤く光らせて、杖の先の方のカバーを外し鋭利な槍のようにし、ネレイスに飛び掛かる。

 

「危ない!!」

 僕はネレイスに襲い掛かるリッチーの攻撃を刀の刀身で受け止め、さらに拳に炎を宿らせリッチーの腹に思い切り殴りこむと、ふらつきをみせる。

 

「ネレイス今だ!頭を狙え!」

 

「この!!」

 ネレイスはアクエルシューターでリッチーの頭を狙って打つと、見事命中。リッチーは悲鳴のような呻き声を上げながらその場に倒れこんだ。

 

「やったか?」

 そう簡単にはいかなかった。

 リッチーは何事もなかったかのように起き上がり杖を天高くかざし呪文を唱えると、辺り一面に暗雲が立ち込めた。

 

「まずい!!あれ雷の魔法じゃないか!?」

 

「あんなのに打たれたら、私死んでしまいますわ!いったん撤退よ!」

 僕ら二人は廊下を走った。

 リッチーもこちらに向かって追いかけてこようとするが走れなくないみたいだが、ノロノロと歩き走りのように追ってきた。

 

「あいつ、そこまで速く走れないみたいだな、とりあえず大広間に誘導しよう

あそこなら自由に動き回れるはずだ。」

 

「で、でも大広間にはスライムが……」

 

「今はスライムより、リッチー倒すことが大事だろ!?」

 

「そ、そうね大広間で決着をつけましょうか!!」

 ネレイスの顔はあまり乗り気ではなかった。こんな状況でもスライムの事を気にするんのか……

 大広間に到着すると、もうスライムの姿はなかった。ネレイスは辺りを見渡してほっと胸をなでおろす。

 

「あいつ、どうするんだよ頭を打ちぬいてもだめだったぞ普通はゾンビは頭を打ちぬいたら死ぬんじゃないのか?」

(ソゲンくん、それは間違ってるよ……)

 セレステは呆れたような声で、僕の手を違う違うという風に動かした。

 

「セレステさんの言う通りですわ、頭を打ちぬいても、首を切ってもダメに決まってるでしょ!?人じゃないんだから!」

 なるほど、僕の中のゾンビの常識はこの世界では違うみたいだ。

 

「じゃあどうすればいいんだよ」

 

「アンデッドには、動力源の核となる秘石がどこかに埋め込まれてるのですわ

それを破壊しない限り、奴らは再生し続けますわ」

 

「それはぶっ壊せばいいって事か……」

 僕は考えた。

 奴は今のところ炎、雷の魔法を使えることがわかっている。だけど後何属性の魔法を持っているのかもわからない、水や雷の魔法を使われればセレステやネレイスに致命を与えられる可能性もなくはない……

 

どうする?

 

「ソゲン!リッチーが来るわ!」

 作戦を練っていた僕はネレイスの言葉で振り向くとリッチーが大広間に入ろうとしていた。

 

「とりあえず、核を探せばいいんだな?」

 僕が武器を構えると、リッチーの動きが突然止まる、そしてもっていた杖の鋭利な先端部分をあろうことか自分の胸の部分に刺したのだ。そして声にもならないような悲痛を上げてその場にしゃがみこむ。だが、その叫び声とは裏腹にさらに何度も、何度も胸に杖の鋭利な先端部分を突き刺し続けた。

 

「何やってるんだよ、あいつ?」

 

 自分で自分を痛め続けている様子に僕らは困惑しながら見ていた。そしてリッチーは再び目を赤く光らせるとこちらに向かって鋭利な先端部分を光らせ再び襲い掛かってくる。

 

「くそ!なんなんだよこいつ!!わけがわからねえぞこの敵!」

 僕は左に避け、そしてネレイスは右に華麗なジャンプをしながら避けた。そして、リッチーは再び杖を天にかざすと今度は光の剣が屋敷内の降り注ぐ。

 

「光の魔法も使えますの!?」

 ネレイスは驚きながら降り注ぐ、光の剣を華麗なジャンプで全て避けた。一方僕はそんな華麗なジャンプもできるわけなく、避けきれず何本か被弾してしまい倒れこんでしまう。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

「ソゲン!?」

 リッチーはまた叫び声を上げて、胸に鋭利な先端部分を再び突き刺し始めた。

 

「なんなんだよ、あいつ魔法打つたんび自傷しやがって……」

 まるで意味の分からない行動に僕はイライラしていた。

 何が目的なんだあのリッチー?

こう言ってる間にもまた自分の胸に鋭利な先端部分を突き刺して叫び声を上げている。

ならばこちらから攻撃して楽にしてやろうか?そう思いながら斬りかかろうとすると

セレステがちょっと待って!と叫び僕の体を制止する。

 

(ソゲン君、あのリッチーの叫び声クロエって聞こえない?)

 

 そんな馬鹿なと思いつつも耳にすべてを集中させ目を閉じて叫び声を研ぎ澄ました。

 悲しい叫び声だ、本当に誰かを読んでいるかのように、ん?今?空耳かもしれないが、「ク、、、クロエぇぇぇ」と確かにそう聞こえる。

 

「てことは、あのリッチーがクロエのお父さんなのか?」

 

「もしかして、胸に杖の先端を突き刺し続けていたのって自殺してクロエさんのもとにいこうとしたから?でもアンデッドだから死ぬことができない、だからああやって何十年も自分の胸に突き刺していたのですわ」

 もしあれがクロエのお父さんだと仮定するなら、何十年の間一人寂しくここを彷徨って何度も、何度も自分の胸に突き刺して、苦しんでそれでも死ねずに家族の元へ行けずに苦しんでいた。

 そんなことを考えていると胸が張り裂けそうな思いだった。そんなことを考えている間にもリッチーは胸に何度も、何度も鋭利な先端部分を突き刺し、悲痛な叫び声を上げていた。

 

 

「ソゲン!核は恐らく体のどこかにありますわ!、恐らくあの先端じゃ格のある場所まで届いていませんわ、私たちの手で壊してあげないと」

 

「壊してあげないとって、簡単に言ってくれるなお前!魔法ばっか使ってきて近づけないんだぞ」

 

「あれ?まさかソゲン、ディーパは近接戦闘しかできない脳筋騎士でしたかしら?」

 こいつ俺を何も考えずに変身してるとバカにしやがって

 

「じゃあお前の力を貸せ」

ネレイスはよくできましたとばかりに僕に向けてニコっと笑った。

 

「水の力解放せよ」

 

≪ Aqueru!metamorphosis!≫

 赤い鎧が剥がれ、ネレイスが粒子化して青い鎧を形成しディーパ アクエルフォームが完成する。すかさず実体化したセレステが刀を構えてアクエルフォームの隣に並び立つ。

 

「ソゲン君!私があのぼろいローブを燃やすから、隙を作って!」

 

「わかった!」

 僕はアクエルシューターを構えリッチーの目線をこちらへと誘導させる。

 

「こっちだ!」

 リッチーにの体に何発もの銃弾を当て続けこちらへ意識を誘導させる。

 

「セレステ!今だ!!」

 

「はぁぁ!!」

 セレステは火のエネルギーを手に宿らせ、丸い球状に形成するとその火球をリッチーのローブめがけて、投げつけた。剛速球で向かう火球を見事ローブに命中。ローブは燃え落ちてリッチーの朽ち果てた肉体があらわになった。

 

(ソゲン!あれ見て!)

 僕の腕を勝手に動かして指を指した方向をみると胸にかすかだがギラりと光る赤い何かが見えた。恐らくあれが核だろう、僕はベルトを操作しようとするとまたリッチーが天に向かって杖を振りかざすとセレステに向かって、まるでジェットホースで出したかのような水流をセレステに向けて飛ばした。

 

「避けろ!!!」

 助けに行こうとするが、間に合わず僕はセレステに無我夢中で叫んだ。

 それに答えるようにセレステは、華麗に避けようとするが、少し間に合わず右足に水が直撃してしまった。

 

「きゃッ……」

 

「大丈夫か!?セレステ!?」

セレステは足を抑えてとても痛がっているようだが、僕の顔を見て叫んだ。

 

「ソゲン君!!私の事はいいから早くリッチーの核を打ち抜いて!!」

 で、でもと戸惑っている僕にネレイスが脳内に語り掛ける。

(セレステさんの言う通り、セレステさんに意識が言ってる今がチャンスですわ)

 

 たしかに今僕らディーパが核を狙っている事にはリッチーは気づいてない今がチャンスだ、僕は素早くベルト操作をした。

 

≪Aqueru! final attack!≫

 

「今、その苦しみから解放してやる!!」

 銃口にエネルギー集中させ、一発の大きな弾丸を形成する。

 そしてリッチーの胸元にある核に狙いの標準を定め、引き金を引いた。銃口から離れた弾丸は音もなく凄まじい速さで核のある胸元を貫きぱりーんという音を立て各派砕け散った、核を失ったリッチーの肉体は砂のように崩れ去り、跡形もなく消え去った。

 

「ふぅ……」

 僕はドライバー腰から外し変身解除をすると、どこからともなく年老いた男性の声が響いた。

 

 ありがとう、これでようやく家族の元へ行ける。

 

「やっぱり、今のリッチーはクロエさんのお父さんだったんですわね」

 

「とりあえずこれで一件落着だね」

 

 

 

 

 

 地下から帰った僕らは事の顛末を全てクロエに話した。

 そうすると、クロエはそんな……と言いながら涙を流した。

 

「私が殺してあげれば……何十年も苦しまず済んだのに……」

 

 

「クロエさん、お父さんは貴方にあんな変わり果てた自分の姿を見せたくなかったんだと思いますわだからゴーストになって助けに来ると予想してリッチーの力で結果を張ったんだと思いますわ、それが貴方に対する優しさだったのかも?」

 ネレイスはクロエに近づき、優しく慰めるように語り掛けた。

 そうすると、クロエはそうですよねときっとそうですよねと言いながら徐々に顔が笑顔に戻って行った。

 

「皆様にはお世話になりました」

 

「あぁ、お父さんには少し悪いことをしたな向こうに行ったら代わりに謝っといてくれ」

 僕がそういうとクロエはくすっと笑った。

 

「いえ、別にそれくらいなら怒ってないと思いますよ」

 僕はそ、そうかと苦笑いをしながら頭をかくと、二人の精霊もなにを言ってるの?と小ばかにするように笑い始めた。

 クロエもつられて子供のように笑い始め、会った時から想像できないようなくらい可愛らしい笑顔だった。僕も我慢できず吹き出すように笑い始める、4人で楽しく屋敷の中に響くくらいに笑っていた。いつでまで笑っていたかったがその楽しい時も終わりの時がやってきた。

 突然鈴のような音色が響くとクロエの体が徐々に薄くなっていっていたのだ。

 

「時間のようです、本当にお世話になりました!お礼ができないのが残念ですが……」

 

「いや、いいんだよ僕達は勝手に屋敷を使わせてもらってたわけだからこれくらいのことはさせてくれ」

 そういうとクロエはニコっと笑い、またどこかでお会いしましょうと言い、風に乗って消えていく、砂のようにその場から跡形もなく消えてなくなってしまった。

 

「行っちゃいましたわね」

 

「あぁ、あっちでは平和に暮らせるといいな」

 ネレイスと会話をしていると、セレステが入口の扉を開けて二人ともみて!と言いこちらに手招きをしている。僕らはセレステの元へと走っていくと、目のあたりにした外の光景に思わずおおっと声が出てしまった。

 そこには雨が上がり青空になった空の景色と、大きな虹が屋敷のすぐ真上にできていたのだ。

 それはまるで僕達にありがとうとお礼をするように。

 

「クロエちゃんの家族が作ってくれたのかな?」

 

「そうかもな」

 セレステがクロエちゃんまたどこかでと呟くと、彼女はその場でまるで積み上げた積み木が崩れるようにその場に倒れこんだ。

 痛い、痛いと言いながらセレステは右足を抑えている。

 

「お、おい!!大丈夫か!?」

 

「ちょっと失礼……」

 ネレイスは急いで右足の靴とソックスを脱がせると、セレステの足がまるで捻挫をしたかのように紫色に変色をしていたのだ

 

「やっぱり……」

 そうそこは、あのリッチーの戦闘の時ジェットホース—のように襲い掛かる水の魔法を避けようとしたが、避けきれずその水の魔法が直撃した場所だった。

 

「ごめんね、二人とも迷惑をかけて……」

 

「迷惑なんて、かけられてませんわ、貴方がいなければリッチーの核の場所もわからなかったわけですし」

 

「そうだよ、セレステ別に気に病む必要はないよ」

 

「二人とも……」

 

 ネレイスはセレステの右足に持ってきていた傷薬を塗り包帯をくるくるとなれた手付きで巻いて言った。

 

「慣れてるな」

 

「まぁ、昔お母様がお医者様をやっていたので、その関係でいろいろとお母様に叩きこまれたのですわ」ネレイスは包帯を巻き終わると、これでよしと養生テープを貼った。

 

「ありがとう、ネレイスさん」

 

「これくらいは大したことないですわ、さて疲れましたわーお風呂でも入ってゆっくりしたいですわー」

 ネレイスは僕にちらちらとアピールするように、何度も振り返った。

 

「なんだよ」

 

「ソゲンー、早くお風呂沸かしてほしいなあーって」

 

「何か態度が気にくわない、シャワーで済ませてくれ」

 それを聞いたネレイスはかっちーんとキレたような擬態語を自分の口で言うと、セレステにも聞こえるように叫んだ

 

「セレステさーん、ソゲンは私の透けた下着をご丁寧に色まではっきりと見ているようなスケベな方なんですよー!!」

 

「おい!!!!!!!!!」

 僕はネレイスの口を押えようと近寄ろうとすると側方から煮えたぎるような暑さを感じた。

 振り向くと、燃え盛る炎を滾らせ霊服となったセレステが刀を鞘から静かに抜きこちらへとじりじりと近寄って来ていた。その姿は怒り狂った阿修羅のようだった。

 

「ソゲンくん、どういうこと?説明してくれるかな?」

 

「あーあーソゲン、あーあーソゲン」

 

「ひ、ひぃ!!すいませんでしたーーーー!!!」

 

 僕はセレステの怒りに満ちた顔を見て、大急ぎで屋敷から飛び出した。

 

 

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