仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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風の精霊chapter①

 森の洋館を離れて1週間が経ち、馬車は色鮮やかな花々の咲く草原を進んでいた。

「もうすぐにエアリアにつきますわ」とネレイスは馬車を加速させる。

 町が近づいてきたので、馬車や冒険者も増え、空には飛行する人も見えた。

 

「いい風が吹くなー、ここ」

 イニシオ村やセイレンタウンでは感じることができないとても気持ちの良い風が

僕らを歓迎するように馬車を吹き抜けた。

 

「エアリアは周囲を美しい山々に囲まれた渓谷に位置していますわ。その地形が風の通り道を作って山々からの風が集まって町全体を包み込むように吹いているからこのような風を生み出しているってことですわ」

 

「へー」

 ネレイスの話に聞き入っていると、興奮したセレステが「見て!」と言って僕の服を引っ張ってきた。

 呆れた僕が周りを見ると、大きな木と鉄で作られた四枚の翼を持つ風車が数十台も静かに回転していた。

 

「すごい素敵な町~」

セレステは今まで見たことないの光景に興奮を隠せないのだろう、それにしても綺麗に咲く花々、そして木と鉄でできた四枚羽の風車……、そういえば現実世界にもこんな場所があったような……?

 

 

 

 エアリアの入り口の門をくぐると、街中にも何十機もの風車が静かに回っていた。

 建物は、イニシオ村とセイレンタウンの中間、もしくはそれ以上の年代に感じられた。

 空を飛ぶ種族が多く住んでいる影響だろうか?建物の玄関が一階ではなく二階にある建物が多かった。

 町の風景や建物の作りなどを見ていると、そこに住んでいる種族や人がどのような者達なのかわかってとても面白い。

 

 

「お二人とも少し待っててくださまし、馬車を止めてきますわ」

 僕らを降ろしたのを確認すると、馬に縄でムチのように打ち付けて、街中を駆け抜けた。

 

「ソゲンくん、少し待ってようか」

 セレステは近くにあったベンチに座った、精霊だからなのかリッチーにやられた右足はほとんど直ってきていており、もう歩けるようになっていた。

 

「もう包帯取っても大丈夫そうだな」

 僕がそういってベンチに座りかけると、セレステは少し顔を顔を赤らめながらベンチに座ろうとする僕をちょっと待ってと言わんばかりに手で制止した。

 

「ソ、ソゲン君に包帯を取ってほしいな」

 

「いいけど」

 僕はセレステの右足の前に座ると、靴とソックスを脱がせる。

 あれ?ただ包帯を取るだけなのにめっちゃドキドキする、僕は胸の鼓動を抑えながらそっと養生テープを剝がし巻かれている包帯をほどいていく。

 

「大丈夫か?痛くないか?」

 顔を上げると、顔が少し赤くなって「ううん、平気」と囁いた。

 そして、もう一度右足に視線を向ける途中、それは突然の出来事だった。

 突如として強風が吹き、セレステのスカートがふわりと捲れ中にあったピンク色の布が見た。

 

「……みた?」

 顔を真っ赤にして口に手を当てて僕を睨みつけている、なんかちょっとかわいい

 

「みてない」

 

「嘘、絶対見た」

 

「見てません」

 

「正直に言わないと、ネレイスさんにチクる」

 それはいけない!とあわてて僕は「見ました!見ました!」と率直に話した。何をしてるんだ自分はと自分に叱咤し、包帯ほどく。

 セレステと僕は無言のままで、辺りには気まずい空気が漂っていた。エアリスさんの風よ、何てことしてくれたんだ、お前のせいだぞ。

 

「今日は見られてもいい下着でよかった……」

 また森の洋館にいた時のようにセレステは僕にギリギリ聞こえるような声で呟いた。

 

「へ?」

 

「ううん、何でもない……」

 見られてもいい下着ってなんだよセレステさん、貴方そんな事言うキャラなの?僕は聞こえたセリフを聞かなかったことにした。

 

 

「もう直ってるぞ?セレステ?」

 包帯をほどいた右足は美しい素肌の色に元通りになっていた。

 

「よかったー」

 僕が足を凝視している途中、後ろから美しい凛とした音色のような声が唐突に響いた。

 

「あら、もう直ってるじゃない良かったですわね」

 

「ネレイス!?」

 僕はびっくりして立ち上がると、それと入れ替わるようにしてネレイスはセレステの右足の前に座り込んだ。

 

「ありがとう、ネレイスさんのおかげです」

 

「別に私は何にもしてないですわ」

 僕は仲良くお礼を言いあってる二人を背に街を改めて見渡していた。

 本当にいい場所だ、人間と背中に羽が生えた種族が仲良く交流している。セイレンタウンと同じような光景だが、建物や風車があるだけでこうも景色や景観、そして見え方が変わるのだなと感じた。

 

「いい景色よねー本当にー、さっきみたいに強風が吹いたらもっといい景色が見れるでしょうねー」

 ネレイスは立ち上がり、僕の方を見てニヤニヤと笑い、小ばかにするようにしゃべりかけてきた。こいつまさかさっきの出来事全部見てたんじゃないだろうな?と考えていたその時だった

 

うわあああああああ!!!!

 

 突如として平和な町中に大勢の種族の悲鳴が響き渡った。

 

「な、なんだ?」

 僕らは悲鳴が聞こえた場所へと急いで向かうと、大勢の人々が上半身が鷲、下半身がライオンの生き物が人間やイカロスやハーピー等の民衆を襲っている悲惨な光景があった。

 

「あれ、グリフォンか?」

 

「そんな、グリフォンはあまり人を襲うような魔物じゃないのに……」

 ネレイスは動揺した様子だった。まさかグリフォンはドレイクが言っていた謎の光を浴びたのか?いや、今はそんな事考えてる暇はない……‼

 

「セレステ、いくぞ!」

≪driver starting≫

 僕はドライバー腰に装着し、カードホルダーからカードを取り出しベルトを操作する。

 

「変身!」

 

≪ignis!metamorphosis!≫

 エアリスの町に赤い鎧を身にまとったディーパ イグニスフォームが現れる。

 

「煌天翔鳴!!」

 ネレイスも天高く手を上げ叫ぶと、天高くから流れる滝のようなドレスの霊服へと早変わりしアクエルシューターを構え、グリフォンに水でできたエネルギー弾を浴びせると、びっくりしたグリフォンは空へ逃げようとする。

 そうさせまいと、僕はイグニスブレードで斬りかかりグリフォンの体を真っ二つに斬り裂く。

 

「皆、大丈夫か?」

 僕の異様な姿にその場にいた全員は困惑している様子だったが、ネレイスの姿をみて

 安心したのか、「ネレイス様」~といって僕らに助けを乞うようにしがみついてきた。

 

「ネレイス様、数日前に変な光が森に差し込んでて……そしたら急にグリフォンの群れが人々を襲うようになって……」

 

「なんですって!?」

 やはりセイレンタウンのバスコの件と同じだったか……

(ソゲン君上!!)

 セレステの言葉に上を見上げると、何十匹ものグリフォンが上空で鋭い目を光らせながら僕らを見ていた。

 

「なんて数だ……皆ここは僕達に任せて逃げてください」

 僕らは民衆に逃げるように促すと、それをチャンスと見たかグリフォンが逃げる種族に襲い掛かる。

 

「危ない!!」

 僕はグリフォンに斬りかかろうとするが、ひらりと上空に舞い上がり攻撃を避けたそして僕達を挑発するかのように、僕らの真上をくるくると円を描くように飛行している。

 

「ちょこまかと!」

 ネレイスは銃弾を何発も上空に乱射するがそれもヒラリと全員避けてしまう。

 

「くそぉ、僕達も空を飛べれば……」

 

「アウリスが来てくれれば」

 ないものをねだってもしょうがない、今ここにあるもので作戦を考えないと

 

 考えろ

 

 考えろ僕……

 

 考えろ須藤ソゲン……

 

「そうだ、思いついた!!」

 

「え、どうするんですの?」

 

「二人の精霊の共同作業だ!」

 僕はそう言って、ネレイスのカードとセレステのカードを入れ替える。

 

≪Aqueru!metamorphosis!≫

 

 赤い鎧が粒子状になって消えると、代わりにネレイスが青の粒子状となり青い鎧が形成され目が青く光ると ディーパ アクエルフォームもエアリアの町に現れる。

 

(どうする気ですの?)

 

「まぁ見てろ!」

 足に力を集約させ、渾身の力で空中へ飛び上がる。グリフォンは驚いた様子でこちらを見つめているそしてすかさず、もう一度セレステのカードに入れ替えた。

 

≪ignis!metamorphosis!≫

 

「え……??」

 再び赤い粒子となったセレステが空中にいるディーパを再びイグ二スフォームへ変身させる。空中から落下する前にすかさずもう一度ベルトを操作する。

 

≪ignis!final attack!≫

 

「はぁぁぁぁ!!おりゃあああ!!!」

 火の鳥となったディーパは逃げ惑うグリフォンを次々と火だるまにし、空中にいた全グリフォンを消し炭にするのだった。そして僕は空中から地面へとかっこよく着地する。

 

「ふぅ、決まったぜ二人の精霊を使った必殺コンボ」

かっこよくセリフを言いながら立ち上がる、決まったぜ必殺コンボ!!気持ちよくベルトを外そうとすると、セレステが驚いた様子で僕の体を真後ろへ動かす

 

「な、なんじゃこりゃあ!?」

 そこには潰れた果実のように地面に広がる青い液体があった。

 これ全部グリフォンの血か?え?てかグリフォンって血が青いの?そんなことを考えていると、突如として液体が「そんなわけないでしょ!」と怒りを表にしながら人の姿へと形を変えていった。

 

「よくもやってくれたわね?ソゲン?」

 

「ネ、ネレイスどういうことだ?今のはなんだよ?」

 

「わからないソゲンのために一から説明するわね?貴方がセレステに変えた後私は空中で実体化そのまま地面に落下するのは痛いから、体を液体化して地面への激突をやわらげたってわけ」

 

「へーすごいなー」

 僕は感心した様子で聞いていると、彼女はニコニコと笑いながら僕の近くへ歩み寄った。目は笑っていなかったが……

 

「ソゲン?体を液体化させるのめっちゃくちゃ体力使うの」

 

「は、はい……」

 

「さっきのやつ二度とやらないで」

 

「ま、まぁまぁあれやらないとダメな状況だったしネレイスさん今回は許してあげよーよ」

 セレステはネレイスをなだめるように言う、彼女はまぁ今回は許してあげますわと不貞腐れた様子でそっぽを向いた、

 

「はぁ……空を飛ぶ敵また対策考えないとなぁ……」

 僕はドライバを脱着し変身を解除したときだった。

 突如として後ろから何かにぶつかったような衝撃を感じ後ろを振り向こうとした瞬間、僕の体はもう空中を舞っていた。

 

「な、な、なんだこれ!?」

 下を見ると二人の精霊が慌てふためいた様子でこちらを見ている。上を見上げるとそこには先ほど倒したはずのグリフォンがにやりと僕を見下ろしていた。

 

「まだいたのかよ!」

 僕はドライバーをもう一度装着しようとするが、そうはさせまいとグリフォンは急旋回したまらず手に持っていたドライバーを落としてしまう。

 しまった!っと思った時にはもう手から離れていた。

 

「まじかよ……」

 ネレイスがグリフォンに銃弾を撃ち込もうとするも、私をつかんだままうまくそれをかわした。悔しそうなネレイスと心配そうに見つめるセレステを煽るように空をくるくると旋回した。

 そして満足したのか僕を森の奥へと運んで行ったのだった。

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