「はぁ!!!」
最後の一匹のグリフォンを仕留め終えると、広げていた翼をたたみ地面に降りた。
アウリスの勇士を隠れて見ていたアルラウネ達は周りが安全であることを確認しアウリスの元へと駆け寄っていた。
「皆、無事か?」
「はい!ありがとうございます!アウリスさん」
「いつもありがとうアウリス先生!」
アルラウネの皆が無事であったことに安堵するアウリス、そして何よりも子供たちの笑顔を守れたことが一番だ。この子達の笑顔を守るためなら、自分の命も惜しく無い……。
「アウリス!」
聞きなれた声が辺りに響いた、アウリスは振り向くとそこにいたのは
「ネレイス……」
久しぶりに会う親友の姿だった、アウリスの顔を見たネレイスは駆け寄って抱き合い
久しぶりにの再開を分かち合った。
「元気だったか?」
「うん!アウリスも元気そうでなによりですわ」
二人が仲良く話し合ってる中、セレステとレイナは周りに散らばっているグリフォンの屍の多さに驚いていた。
「こんなにもたくさんのグリフォンが狂暴化していたなんて……」
「解呪が間に合ってよかった、あのままだともっとグリフォンが狂暴化してこれの比じゃなかったでしょうね……」
そんなことを話している二人に気づいたアウリスは「あちらの二人は?」とネレイスに聞いた。
「この娘は火の精霊のセレステ、私の仲間よ」
ネレイスが紹介すると、セレステとアウリスはお互いに自己紹介して固い握手を交わした。
「それとこの方は、ブライトガーディアンズのレイナさん」
同じくレイナも同じようにお互いに自己紹介して、固い握手を交わした。
「それにしても、王都アヴァロン公認の騎士団がなぜここに?」
先ほどのネレイスのように疑問をもっているアウリスに、ネレイスはすべてを説明した。各地で魔物や種族が呪縛の光によって狂暴化し、民衆を襲っているという事を。
「なるほど、エアリアだけじゃなかったのか……しかしここまで大量の魔物をコントロールできるのは並み大抵のやつじゃないな」
「多分私達の持つ霊力を悪用しているやつがいると思いますわ」
「呪縛を使うやつに精霊が味方しているのか?」
「おそらくは……」
アウリスは拳を握りしめ、一言「許せないな」とと呟き唇を噛みしめた。自分の大好きなこの森を荒らす不届きものに対しての怒りを彼女のは感じていたのだ。
「ところで、セレステとネレイスは二人でエアリアに来たのか?」
アウリスはそう聞くと二人は首を振る。
「実は、もう一人ソゲン君って言う男性がいて」
「ソゲン?ネレイスか、セレステさんのフィアンセか?」
アウリスがそういうと、二人の顔が一気に沸騰するように赤くなった。
「ち、違います!」
「そうよ!誰があんな変態ムッツリの精霊の騎士と!!」
「?」
アウリスがきょとんとしてると、またも別の場所で爆発音がした、4人が辺りを見渡していると木々の間から煙が上がっているのが見える、場所はアウリスが住んでいる家の辺りからのようだ。
「まずい!」
それに気づいたアウリスは一目散に自分の家へと走った、今自分の家には怪我をしている男とアルラウネ子供たちがいる!急がねば!
「ちょ、ちょっとアウリス!」
3人は煙が上がった場所へと走るアウリスの背中を追いかけた。
アウリスの家では、激しい戦いが繰り広げられていた。黒い髪の少女が自分の身長程ある剣で襲い来る狂暴化したアルラウネの子供フローラのうねうねと動くつるを切り裂く
「あいつ何者なんだ?何で自分の体のほどある剣を軽々と扱るんだよ……」
自分には目の前に起こっている光景が理解できていなかった、なんでまだ10代ににもいってないような少女があんなでかい敵と戦えるんだ?
「やっぱ弱いねぇ……」
どんどんとつるを切り裂いていく黒い少女を見ていたアルラウネの子供エルフィーは一目散に家を出て、狂暴化したフローラの前に立った。
「ダメ!やめて!フローラをいじめないで!」
「お、おい!!やめろ!いてッ!!」
エルフィーを追いかけようとすると、全身に激痛が走りその場に倒れこんでしまう。こんな時に……なんて僕は非力なんだ……
「どいてた方がいいよ?死んじゃうよ」
「やだ!どかない!エルフィーちゃんは私が守る!」
「聞き分けのない娘は嫌いだよ?」
指をエルフィーに向けると黒い腕が黒い髪の症状の立っている地面から悪魔のような黒い腕が生えエルフィーをつかみ取るとそのままにょきにょきと上に向かって生え、エルフィーを宙づり状態になる。
「やだ……放して」
「そこで大人しくしといてね、できるよね?」
泣きじゃくるエルフィーをよそ眼に黒い髪の少女は、何本も黒い腕を地面から生やし暴れるフローラに向けてのばした。体や腕、下半身いたるところに腕がまとわりつくようにがっつりと抑え込んでいる。
「今、楽にしてあげるからね……」
「な、何をする気なんだ、あいつ!!」
「来世では平和に暮らせるといいね」
突如として何本もの剣が彼女の後ろに現れフローラに向かってまるで矢のごとく襲い掛かった。
「やめろおおおおおおおお!!」
無情にも僕の叫び声は届かず、彼女の放った剣はすべて彼女に命中、体の至るところを貫いた。フローラは悲痛な叫び声を上げさせてもらえないまま地面に力なく倒れた。僕の頭の中真っ白だった、なんで、なんで、こんな惨いことを……
「あ……あ……」
地面に降ろされたエルフィーの目に光はなかった、それもそうだろう強制的に間近で友達が殺されるところを見せられたのだから、そのショッキングな光景が彼女に与えたダメージは計り知れない。
「こ……これは……」
到着したアウリスが目撃した光景は、おぞましい姿になったフローラの醜くなった遺体だった。彼女はその近くで座り込んでいた、エルフィーの元へと走った。
「大丈夫か?エルフィー!?」
彼女に問いかけにエルフィーは何も答えない、目に光はなくまるで人形のようだ。そして後から追いかけてきた精霊2人もフローラの遺体を見て愕然としている、そんな中レイナは一目散にフローラの遺体へと走った。
「顔を見ると、まだ子供ね普通は子供がこんな姿になることはないと思うんだけど……」
「へーお姉さん詳しいんだねー」
遺体を見ているレイナの前に黒い髪の少女が隣に座る。
「貴方さっきの!?」
レイナがそう言って後ろに下り剣を抜こうとすると、その後ろからアウリスが槍を持って疾風のごとく襲い掛かるがその攻撃をフォンセは黒い靄のような壁で防御する。
「危ないなあ」
「お前が……フローラを!!」
アウリスに続いて、剣を構えたレイナ、刀を構えたセレステをじりじりとフォンセに近寄り、ネレイスが後ろで銃を構えた待機している。その圧倒的不利な状況を見てフォンセはため息を付いて降参をといいながら手を上げた。
「4対1じゃ勝てないよ……」
手を上げるフォンセの顔にアウリスは槍を向けて睨みつける。
「なぜ、フローラを殺した!!」
「あの光を浴びて狂暴化した魔物はもう元に戻らないからだよ」
「なん……だと……」
驚愕のカミングアウトに一同は驚愕した。
「だから、楽にしてあげるために殺してあげたんだよ?」
「殺してあげただと!?ふざけるな!!」
アウリスはしてあげたという言葉に怒りをあらわにした、なんでお前なんかフローラが殺されなければいけないんだ、あの娘はもっと生きたかったはずなのに。
「じゃあ、どうすればよかったの?あのまま放っておいたら大勢の命が消えたかもしれないんだよ?」
たしかにそうだ、あのまま放っておけば森の中にいた民衆はおろか、下手すれば町にまで甚大な被害が広がったかもしれない
だけど……
「う……だけど!!」
そう言いかけるアウリスにフォンセは鋭い眼差しで睨みつけた。
「貴方は一つの命を守るために大勢の命を犠牲にするの?」
「それは……」
「私は大勢の命が助かった方が嬉しいから一つの命を犠牲にするな♪」
その場にいた精霊3人とレイナは何も言い返せずただ黙っていた。
「まぁ皆、答えは違うからね……じゃあまたねー」
フォンセは全員に手を振ると、その場から消え去ると僕がいるアウリスの家の中に入り
床に倒れている僕に近づいた。
「貴様!彼に何を!!」
アウリスは自分の家に無断で入ったフォンセに再度槍を向けた。
「ちょっと悪いことしちゃったし、お詫びを渡さないとね」
そういって、僕に左手をかざすと、右手の指をぱちんとならした。するとどうだろう、先ほどまで、痛みが走っていた頭、そして体が嘘のように直っていた。
「直った……」
僕は立ち上がり、体の感触をたしかめた……ジャンプしても痛まない、少しジャンプしても全然痛まない……完全に治ってる!!
「じゃあまたねー!!」
フォンセは今度こそ消えた、少しの間沈黙した後アウリスは僕に向かって抱き着いた。
「君も無事でよかった……」
「中にいる怪我した人だ……いじょ……ぶ……あーーーー!!!」
心配して見に来たセレステは抱きしめられた僕を見て叫び声を上げた。それに続いて、ネレイスとレイナもアウリスの家に入ってきた。
「どうしたんですの?いきなり叫び声を……あげ……、あーーー!!!」
「心配したんだよ!?ソゲン君……でも無事で良かった」
セレステも背中から僕にアウリスごと抱き着いた、あーなんかすごい前と後ろからやわらかいの当たってるー、後ろの赤い髪の毛の人誰か知らないけど
「無事で良かったですわね、ソゲン……」
青い髪の少女はニコニコと笑っているが目が怖いです、自分小さいからってそこまで怒らなくても……この娘も誰かわかんないけど
「二人ともこの男がソゲンなのか?」
「そうですわ!その男が精霊の騎士ソゲンですわ!」
「非常に申し上げにくいんだが……、実は彼記憶喪失なんだ」
「「え?」」
その言葉を聞いた二人は歓喜のムードから、悲哀のムードへと一気に落ちた。