アウリスと僕ら4人は先ほどグリフォンが襲われていると報告をしに来たアルラウネのシルビアという女性の家にいる、彼女がフローラとエルフィーの母らしい。つい先ほどまでの話を全てシルビアに話すとその話をシルビアは神妙な面持ちで聞いている。
「そうですか……フローラはあの噂を光を浴びて」
「すいません、私が守ってあげていれば……」
アウリスは自分を思い詰めているようだ、もう少し早くいっていれば……あのフォンセという精霊を傷つけてでも守るべき大切な命だった。
「あまり思い詰めないでください……、死んだフローラもアウリス先生のそんな顔を見たくないと思います」
「シルビアさん……」
「全ての元凶はあの変な光ですから!」
シルビアは笑顔で会話しているけど、その笑顔は偽りかもしれないと思った……大切な娘を亡くしたのだから、一番悲しいのはシルビア自身である。これ以上フローラのような
犠牲者を出すわけにはいかない……早くあの呪縛の光を出す極悪非道な犯人を見つけなくては……
「ところで、エルフィーは大丈夫ですか?」
「それが、うんともすんとも言わなくなってしまって……」
「そ、そうか……」
無理もないか、あんなものを目の前で見せられてしまっては……
シルビアの家を後にした後もアウリスは浮かない顔で歩いていた。
「アウリスまだ気にしてますの?」
「すまない……顔に出てたか?」
「出てましたわよ」
ネレイスがからかうようにそういうとアウリスの表情が少し緩んだ。多分彼女は感情が表に出やすいタイプなのだろう……
「それにしてもあのフォンセ……許せませんわね……」
「例え皆の命を守ったとはいえ、あの殺し方は酷いよ……」
二人はそういってフォンセに対して怒りをあらわにした、でも僕は彼女のやったことは
間違ってはいないだろうと思った。彼女の言ってたあの言葉あの娘をあそこで殺していなければ大勢の命が犠牲になっていた、そう考えると彼女の事は憎むに憎めないのだ。それでもエルフィーの目の前で殺したり、かなりやりすぎな面はあるが……
「あの呪縛を使う犯人を見つけ出さないと、ここだけじゃなくてほかの地域でも大変なことになるわ」
僕と3人はうんうんと頷いていると、突然どこからともなくぐーと空腹の音が聞こえた。
「ご、ごめんね……」
騎士の格好をした女性が手を上げ顔を真っ赤にして、お腹を押さえた。
「とりあえず、私の家でご飯にしようか」
アウリスがそういうと、僕らはさんせーい!!と言いアウリスの家へ戻った。
その日の夜僕は、女の子4人に囲まれて晩御飯をごちそうになっていた、赤い髪の少女セレステという名の娘が作ったらしく机の上には彩の森で取れた山菜のサラダと、恐らく豚であろう肉から作られたカレーがスパイシーな香りを部屋中に漂わせている。
「やっぱり、セレステは料理が上手ですわねー、レストラン開けますわよ」
「たしかに、これはプロの味だ」
「とてもおいしいです、セレステさん!」
うんたしかに素人とは思えないほどのおいしさだ、見た目もさることながら味付けも相当こだわっていてとてもおいしい。3人の感想にセレステはありがとうございますとニッコリと嬉しそうな表情を浮かべている。
「セレステさん、とてもおいしいよ」
僕がそういうとセレステは不機嫌な表情となって、一言ありがとうと言った。
「それとソゲン君、さんとつけるのやめてなんか距離感じて嫌だから」
「ごめん、でも今日会ったばっかだしいきなり呼びつけは……」
「やっぱり覚えてないんだ……」
セレステはしょんぼりと悲し気な表情を浮かべると、隣に座っていたネレイスは励ますようにセレステの頭を撫でた。
「大丈夫、一時的なものだと思いますからすぐ記憶が戻りますわ」
「だといいけどね……、頭のけがが直っても記憶が戻ってないのはちょっとやばいかも……」
それを聞いたセレステは、「いやだ、いやだ……」と呟きながら涙を浮かべている。それを見た騎士の女性は慌てて「最悪の場合だから!」と言葉を付け加えてセレステをなだめた。それでも彼女の涙は止まらない、僕は申し訳ない気持ちでいっぱいとなり一言ごめんとセレステに呟いた。
「ううん、大丈夫だから……、早く記憶戻るといいね」
セレステは涙を拭いて僕に向かってニッコリと微笑んだ、早く記憶取り戻さないとな……僕は心の中でそう呟いて、頭を優しく触った。
その数秒後だった。
突如として夜なのに外が真昼間のように明るくなり、まるで閃光のようにまぶしい。
「な、何!?」
「何ですのこれ!?」
僕と3人が混乱している中、騎士の女性は落ち着いて窓を開け外の様子を確認するとその光を見て彼女は嘘でしょ!?と言い驚いた顔をしている。
「そんなに驚いてどうしたんですか!?」
僕も急いで窓の外を確認すると、そこには信じられない光景があった。空の上からフローラの時と同じ禍々しい光が森を照らしていたのだ、しかもそれは一本や二本だけではない、何十本もの光が森中を照らしていた。
「おいおい、フローラの時と同じ光だぞこれ……」
「これ……相当やばいんじゃないですの?」
ネレイスの言葉は的中した、空からの光が消えると何百匹ものグリフォンが雄たけびを上げながら空を羽ばたいている。しかもグリフォンが向かっている先は……
「ねぇ、グリフォンが向かってる先エアリアの町だよ」
「まずいな……エアリアの町には私のお母さんも住んでる……、それとアルラウネの皆は大丈夫だろうか?」
たしかに、この光を浴びればアルラウネの皆は全員フローラのようになる、それはアウリスにとって最悪のビジョンとなってしまう……もうあんな悲劇はごめんだ……唇を噛みしめて僕はアルラウネの森の方を見つめる。
「ソゲンくん、アルラウネの森にいこう……」
僕の表情を見たセレステが僕の手を引っ張り、外へと走り出した。それを見たネレイスとアウリスが気を付けてねと後ろから叫ぶ声が聞こえていた。
「とりあえず町へ行って、住民の安全を確保しましょう」
「そうですわね……」
3人もアウリスの家を飛び出しエアリアの町へと走り出した。
「セレステさん、痛いよ、痛いって……」
腕を引っ張られたままずるずると連れてこられたのでとても腕が痛い……そしてセレステは急にブレーキをかけて足を止めた。
「ねぇ、さんはやめてって言ってるよね?」
「ごめん……」
セレステは少し目くじらを立てを立てた表情でこちらを見つめる。
「ほら、早くセレステって呼んでよ」
「セレステ」
「よろしい」
セレステは僕の頭をよきできましたーと小さな子を褒めるように撫でた。
「早くアルラウネの森にいかないと……」
僕とセレステが急ピッチで走り出そうとした時、茂みの中からリザードマンが飛び出す。僕らとの距離はそこそこあるがそれでも感じるとてつもない殺気、こいつらもあの光によって狂暴化
しているようだ。
「ソゲンくん下がって……煌天翔鳴!!」
手を天高く上げてそう叫ぶとセレステの体赤く一瞬だけ燃え上がり、赤い燃え上がるような巫女服へと変わる。
「な、なんだそれ!!」
僕が驚いていると、セレステは落ち着いた表情で下がってて言い刀を抜いた。
「それにしても……この光景どこかで……」
僕はセレステが刀でリザードマンに斬りつけてる様子を見ていたが、おかしい今日出会ったばかりのはずなのにこのセレステのあの姿を見たことがある、なぜだ?どこかで一緒に戦っていたような……?
「はぁぁぁ!!」
どんどん襲い来るリザードマンを切り裂き真っ二つになる、それを見てもなおひるまずに襲い掛かるリザードマン、その数はさっきよりも増してきていた。
「はぁはぁ……この程度の雑魚……数が増したところで!!」
相当息が上がっているようだ、助けてあげたいのは山々だが僕には彼女のような力は……
「俺にも戦う力があれば……」
襲い来る敵の数が多すぎる……セレステは刀の刀身燃え上がらせ回転するように切り裂き一気に敵の数を減らすがそれでも倒すたびどんどんと倍以上に増えているのだ。息も上がっていて体力も限界のようだ……そして集団で突進してきたリザードマンに吹き飛ばされるセレステは地面に叩きつけられてしまった。
「いった……」
「おい!!大丈夫か!?」
僕はセレステに近寄ろうとすると、地面に四角い謎の紋章がついたバックルが落ちているのがみえた。
これは……
僕はふいに無意識のうちにそれを拾い上げるとそれを見たセレステが叫ぶ。
「それ、ソゲン君なら使い方知ってるはずだよ……」
僕は四角い謎の紋章がついたバックルを見つめる、どこかで見たことがあるようなその時だった、僕の頭の中にまるで稲妻が走ったような衝撃が走る。何忘れてたんだよ僕、そうだ、僕はこれを知っている……エレフェントドライバー、僕を正義の戦士へと変身させる道具……
「ソゲン君……?」
急にバックルを見つめて黙り込んでしまった僕に声をかけるセレステ僕は意を決してセレステに声をかける。
「セレステ、いけるか!?」
「う、うん!!」
≪driver starting ≫
僕はバックルを装着し、エレフェントドライバーを起動させる。そしてセレステのカードをベルトに装填する。
「変身!!」
≪ignis!metamorphosis!≫
久しぶりの感覚だ……湧き上がる熱い力、そしてこのマスクから見える景色。ディーパ イグニスフォームがエアリアの森に復活した瞬間である。
(記憶戻ったんだね、良かった!良かったよぉ!!)
僕の脳内でセレステの泣きじゃくるセレステ、この感覚も久しぶりだ
「心配かけて悪かった、もう大丈夫だ」
そんなことを話していると周りにはリザードマンの群れが僕を取り囲みにらみつけていていつ襲ってきてもおかしくない状況だった。
「セレステ、久しぶりに力を借りるぞ!」
(久しぶりって言っても一日ぶりだけどね)
手にもっていたイグニスブレードを抜刀し、リザードマンへと向ける僕。それをみたリザードマンは僕に向かって剣を振り上げ襲い掛かってくる。
「はぁぁぁ……」
刀の刀身にさっきよりも大きく燃え上がる炎を刀に宿らせベルトを操作する。
≪ignis! finalatack!!≫
「おりゃあああああ!!!!」
ベルトの音声とも火柱のように燃え上がる炎を振り上げ襲い来るリザードマンを全員一刀両断する。周りにはリザードマンだった燃えカスだけが散らばった。
(ソゲンくん!アルラウネの森に急ごう!!)
「わかった!」
僕はイグニスブレードを鞘に収めると、森の奥へと急いだ。