仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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地の精霊chapter①

「皆、しばしの間お別れだね」

 エアリア山道にある分かれ道の王都アヴァロン側に立つレイナを見送る僕らは「お世話になりました」と労いの言葉をかける。

 

「レイナさん、いろいろとありがとうございました」

 

「お世話になりました」

 セレステとアウリスはそう言って綺麗な角度でお辞儀する。

 

「いえいえ、もし機会があればアヴァロンにも来てね」

 

「こちらの用事が終わり次第そちらに伺わせてもらいますわ」

 

「いやだから、勝手に決めるなって、それは僕が決めることだ」

 僕がため息交じりにネレイスにツッコむと「てへぺろ」と小馬鹿にするような表情をする。

 こいついつか絶対わからしてやる……。

 

「仲良いね二人とも」

 レイナはそういって微笑んだ、ネレイスはそれに対して「別に……」と顔を赤くしながらボソっと呟いた。

 

「ソゲン君騎士団に協力するかしないか、王都に来るまでに決めておいてね」

 

「わかりました」

 僕がそう返事すると、王都の方角へと歩いていき「またねー」と言いながら手を振って

閃光のような速さで消えていった。

 王都に来るまで決めておけか……まだ行くか決めてないんだけどな

 

「さーアイロンベインに向かいますわよー」

 そう言って馬に出発の合図を送るとゆっくりと馬車を動かしアイロンベインの方向へと発進させるのだった。

 

 

 

「ああああ……アイロンベインってどこぉ……?」

 フォンセは珍しく道に迷っていた、アイロンベインがどこにあるか彼女は聞くのを忘れてしまったのである。

 一度帰ってダーリンに聞くか?いや今のアイツに聞くのは……。

 

「せっかく最後の精霊の町なのにぃ……、私の馬鹿ぁ……」

 あれ?これは?彼女は案内板が目についた、とりあえず今いるところを確認しよう……

なるほど今はエアリア山道にいて……、!!!温泉がある!!!

 

「温泉に入ってからでもいいよねー」

 彼女は黒い霧のように消え温泉街へと向かったのだった。

 

「温泉♪温泉♪」

 フォンセがアイロンベインに着くのは当分先の話になりそうだ。

 

 

 

「ここがアイロンベインか」

 僕らが付いたのは採石場の建物や工場が並ぶ街だった、中心には大きな煙突をもつ建物が立っていてそこから洞窟まで大きな筒状のトンネルのようなものが伸びていた、恐らくあれが町の中心となっている工場なのだろうか?だが今は休みなのか煙が立っていないかったが、その周囲にはまだ鉄の独特な匂いが充満していた。

 

「ここの町の匂いはいつ来ても慣れませんわね」

 

「すごく、鉄の匂いがする……」

 

「なんせ王都や他の町で武器を作るのに使う鉄鉱石やミスリルの大半はここで掘られているからな」

 さすが工業地域、町の雰囲気も今までいった3つの地域と全く違う。

 精霊たちは慣れない鉄の匂いに思わず鼻を抑えている。

 

「まずは宿屋を探しませんと」

 

「そうだな」

 

 僕らは大きな門をくぐり町へと入っていく。

 アイロンベインの町は西部劇で出てくるような建物が多くたっていて工場の従業員だろうか?屈強な巨人の男がたくさんその辺を普通に歩いている、だがこの町何か様子がおかしい……。

 

「前来た時よりも静かですわね……」

 

「たしかに……あまり雰囲気がよくないな」

 そう町には活気がなかったのだ、町を歩いていてもあまり人とすれ違わず、いてもとても落ち込んだ顔をしている。

 工業の地域だからもっと活気があってもいいとは思うが……。

 

 

 今日泊まる宿屋を見つけた僕ら一行は中に入ると、若い女性の従業員が「いらっしゃいませー」と迎えいれてくれた。

 

「とりあえず二部屋で一週間泊まりたいんですけど、大丈夫ですか?」

 

「一週間ですか?」

 女性の店員が少し戸惑った表情で聞き返してきた、さすがに一週間はだめか……そう思いながら「無理なら構わないんですが」と聞き返すと「いやいや無理じゃないです!」と笑顔でチェックイン用紙のサインを求めた。

 

「それにしても、最悪なタイミングで町に来られましたね……」

 

「というと?」

 

「実は数か月程前から町の中心にある採石場がゴーレムに占拠されてしまっていまして……採石ができなくなってしまってるんです」

 やはりこの町も呪縛によって操られた魔物被害にあっていたようだ……、宿屋の店員はさらに続ける。

 

「それで今王都の騎士にも連絡しているんですが……ほかの地域の事で手一杯みたいで……、今ギルドハウスの方々が腕のある冒険者を探してるところらしいですよ」

 

「なるほど、よくわかりました」

 チェックインシートにサインを終え、部屋のある二階にいくと僕は部屋に入ろうとする精霊3人を引き留め僕の周りに集める。

 

「一応ギルドハウスに行ってみようと思う……皆はどう思う?」

 3人は全員「賛成」と口々に僕の意見に賛同した、やはり精霊を探すよりも呪縛によって操られただろうゴーレムを倒すのが先だその後でも精霊を探すのは遅くないだろう。

 

「ゴーレムって岩とかでできたでっかいやつだろ?」

 

「あぁ、そうだ」

 

「岩なら、ネレイスが一番有効か……」

 そう呟くとネレイスはそわそわとした表情で目を輝かせながらこちらを見つめていた。

 僕が「どうかした?」と戸惑いながら聞くと「なんでもないですわ」とそっぽを向く。

 

「いや採石場の近くだから鉄のアイアンゴーレムかもしれないぞ?」

 

「そうなると、やっぱりセレステか?」

 今度がっかりと肩を落とすネレイス、嫌だから何がどうしたんだって。

 

「とりあえず、ギルドハウス行ってみた方がいいんじゃないかな?」

 

「まぁそれもそうだな……」

 僕らは持っていた荷物を部屋へ置き、宿屋を後にするとギルドハウスへと足を運んだ。

 

 

 

「ここがそうみたいだな……」

 宿屋の従業員からもらった地図を頼りについた建物はその外観は、堂々とした石造りの建築物であり、一際高くそびえ立つ塔が特徴的だった。

 石灰岩で築かれた壁は、厚みと重厚さを感じさせる。入口には重い木製の扉があり、その上部には鉄製のギルドの紋章が飾られていた。扉をくぐると、広々としたロビーが広がり、そこには休憩用のベンチや情報掲示板が設置されていた。

 だが活気があるはずのギルドハウスには誰一人していない。

 

「こんにちはー」

 誰もいないギルドハウス内に僕の声がこだまする。留守かそう思ってギルドハウスから出ようとした時だった。

 

「ん?誰にゃー、こっちは気持ちよくお昼寝したのに……」

 奥からあくびをしながら出てきたのは、背の小さい茶髪の短い若い女性だった。

 青色の帽子そして、白いリボンが付いたギルドの服と黒いスカートを着ておりスカートから真っすぐに細長い尻尾が伸びていて、その頭の上には茶色い猫の耳ピコピコと動いていた。

 

「あの、ここがギルドハウスで合ってますか?」

 僕がそういうと女性は眠い目を擦りながら僕と3人の精霊を交互に見ると、急に機嫌の悪そうな顔をする。

 

「合ってるけど、何にゃお前は、女ばっか連れて!!たらしかにゃ!!」

 

「い、いえ違いますけど……」

 

「ぐぬぬぬ……今日は寝起きで機嫌悪いのにゃ!帰ってくれにゃ!!」

 そういって女性は手で「しっしっ」と追い払うしぐさを見せ、あくびをしながら

奥へと戻って行ってしまう。

 

「なんだよあいつ……」

 

「彼女はケットシーという獣人の種族だ」

 

「いやそうじゃなくて、急に機嫌が悪くなったけど!?」

 

「ソゲンが変なことしたんじゃないの?」

 

 「ソゲン君ダメだよ?」とセレステとネレイスが口々にソゲンというと、それを聞いた奥へ戻ろうとしていた女性がこちらへとじりじりと寄ってくる。

 

「今、ソゲンと言ったかニャ?」

 

「ええ、言いましたわ」

 

「こいつあの、各地の危機を救っているあの精霊の騎士ソゲンかにゃ!?」

 そういって女性は僕の顔を見てキラキラと目を輝かせていた。

 

「まぁそうですけど……」

 

「そうでしたかニャ!!じゃあこの3人も精霊たちかニャ!?」

 女性は3人の顔を交互に見ると全員困惑しながら「はい」と返事をする。

 

「そうでしたかニャー!!、先ほどは無礼な口をきいて失礼しましたニャ!!

私ここのギルドマスターをしているリリアンというニャ!ささ座ってくださいニャ!」

 先ほど全くの真逆の態度を取る、リリアンと名乗る女性、先ほどたらーんとやるきのなかった尻尾も上機嫌にぶんぶんと振っている、何なんだこいつ……敬語を使うのも馬鹿らしくなってきた。

 敬語で話すのもやめよう……

 

 ギルドハウスの机へと案内された僕と3人の精霊はリリアンと向かうように4対1で座った。

 やっぱり、セレステは俺の隣に来るんだな……まぁいいや。

 

「で、ソゲン様一行はもしかして採石所のゴーレムの件でここに来てくれたのかニャ?」

 

「そうだ、とりあえず今のこの町の状況と採石所にいるゴーレムについて教えてくれ」

 僕がそういうとリリアンは、はぁ……と深いため息を吐いて悲しげな表情で語り始める。

 

「見ての通りの有様ニャ、数か月前に採石場の洞窟をゴーレムが占拠してしまったせいで鉄鉱石やミスリルが取れなくなって王都や他の町に出荷ができなくなってしまったせいで経済状況が悪化、町の人々もほとんど出て行ってしまって今残ってる住民は採石場で働いているタイタンとその家族のごく限られた人間や他の種族だけニャ!」

 なるほど、だから町にいたほとんどの人が巨人の男たちで、それでいて皆落ち込んだ顔をしていたわけか……

 

「状況は分かった、で採石場にいるゴーレムはどんな奴らだ?」

 

「アイアンゴーレムニャ、体が鉄でできているから物理攻撃がほとんど効かないニャ……

なぜかあのアイアンゴーレム魔法耐性をもついてて火の魔法も効かないのニャ」

 そういうと、セレステをじーっと見つめ始める、リリアンは髪の色と目の色と赤いと気付くと、今まで曇っていた顔がニコやかになる。

 

「あの……なにかついてますか?」

 

「もしかして君、火の精霊かニャ?」

 

「そうですけど……、でも火は効かないんですよね?」

 

「火の魔法はニャ?もしかしたら精霊の炎なら効くかもしれないニャ!」

 そういってご機嫌になり「ルンルン」とその場で踊り始めた。

 なんだこいつ……本当に変わったやつだ。

 

「どうニャ?引き受けてくれるかニャ?」

 

「無論、そのつもりでここに来た」

 

「それは嬉しいニャ!」

 そういって大慌てで奥から誓約書のようなものとペンを大急ぎで持ってくる。

 

「とりあえず、ここにサインしてくれニャ!!」

 僕はその誓約書にサインをはじめる、とりあえず誓約の内容もきちんと読まないとな。

 僕は指でなぞりながら誓約書を読みサインを書き始める。

 

「これでいいか?」

 

「ばっちしニャ!それと一応胸にこれを付けてほしいニャ」

 そういって取り出してきたのは、ギルドハウスの紋章が掘られたバッジだった。

 

「この町にいる間はそれを肌身離さずもっといてほしいニャ、一応ギルド公認の冒険者の証になるニャ」

 僕らはそれぞれ服の胸の部分にバッジを取り付ける。

 

「それじゃあ討伐よろしくお願いしますニャ!!」

 

 

 僕らはギルドハウスから出ると宿屋の帰路を歩く。

「とりあえず、今日はもう遅いから明日だな……」

 

「そうですわね、旅で疲れてるし……ふわぁ~」

 僕らは宿屋までの帰路を歩いていると横から金髪の長い髪の女性が静かに歩いてきて僕の前に立った。

 女性は美しいドレスのような服を着ていて、髪もちゃんと整えられており淑女という言葉が似合う女性だ。

 

「あの……何か?」

 僕はそう聞くと女性は唇を噛みしめていてなかなか話そうとしない。

 

「僕達に何か用ですか?用がないならもう行きますよ?」

 そういうと、女性は一言すいませんでしたと謝りどこかへ走り去って行ってしまった。

 

「なんだったんだ?一体……」

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