仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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火の精霊chapter②

 

 

「へーーパワードスーツってわけか、それで何ができるってわけ!?」

 そう叫ぶと黒い悪魔のような腕が伸びてきた。またあの腕か、僕はその腕をよけようとジャンプする。そうする普段ではありえないくらいの高さでジャンプしたのだ。すごい飛躍力だ。自分の飛躍力に驚愕する僕は、このスーツをつけるだけでここまでの飛躍力が上がるなんて思ってもみなかった。

 

「ふーん、すごいじゃない。でも…」

 

 「!?」と声をあげた僕は、避けて着地しようとするが、もう一つの黒い腕に捕まえられてしまう。

 

「捕まえたぁ♡」

 

 くそ……なんて力だ!!!無理やり腕を振りほどこうとするが、力が強すぎて腕が開かない。このスーツがないと間違いなく骨は折れていただろう。

 

 それに気づいたセレステは「ソゲンくん!」と叫び、手のひらから炎球を出して、黒い腕にぶつける。

 

「ありがとうセレステ、助かったよ」

 僕とセレステはフォンセの前に立ちはだかるように隣に並び立った。

 

「二対一だ…形勢逆転だな」

 

「ふーん…能力を100%開花できていない精霊と、パワードスーツを着た人間ねぇ。実は私もまだ2割しか能力を出してないんだよねー」

 

「なんだと?」

 

「弱いものをなぶって殺すことは私の趣味じゃないんだよね。だから今日は一旦引くことにするよー。本当はセレステちゃんを持って帰りたかったけどー。じゃーーねーー」

 フォンセは笑顔で手を振ると黒い靄のようなものがかかり、煙のように姿が消え、その場から立ち去って行くのだった。「はぁ…はぁ…」と息を切らしながら、僕はバックルを引っ張るとベルトが消え、体を覆っていたスーツも粒子となり消えた。

 

「よかった……」

 そう言い残しバタン!!と音を立てセレステをそのまま力なく倒れる。突然の出来事に僕と周りにいた村人たちがパニック状態となった。

 

「セレステ!しっかりしろ!」

 

 

 闇の精霊の襲撃から数時間、荒れ果てた地面を修復する作業を僕は村人たちとしていた。

「旅人さん、セレステさんは大丈夫ですよね」

 

若い村人が今にも泣きそうな顔で僕に話す。

 

「多分、俺もわかんないけど……」

 

 セレステは村の診療所に運ばれていた。当たり前ではあるが命に別状はなくおそらく

あの闇の精霊が言ってた霊力というものを使いすぎで倒れたのだと思う。いや、そうであると思いたい。

 

あの闇の精霊…セレステをさらってどうしようとしてるんだ?あの闇の精霊フォンセと呼ばれる少女、そして彼女が言ってたセレステはまだ100%能力を開花できてないその言葉の意味がどういうことなのか…それとこのドライバー…変身したってことだよな…バックルもう一度お腹に当てるとベルトが出現し腰に巻かれる。

 僕は変身した、そして身体能力が向上した、これがディーパってやつの力なのか……?

 

「あんたのそのバックルなんだそれ…よくわかんない鎧つけれるんだよなー」

いろいろと考えていると村人がバックルをまじまじと見つめていた。

 

「エレフェントドライバーっていうものらしいんですけどね

あんまり使い方はよくわかってないんだけど…」

 

「ふーーんドライバーねぇ、あれ?この紋章は……」

 

「紋章?」

 巻かれているバックルをもう一度みると最初につける前になかった紋章が刻まれている。

 

「なんだこれ?あんた知ってるのか?」

 

「まぁ知らないといえばウソになるだけど思い出せないんだよ、うーんどっかでみたことあるんだよぁそれ、うーん思い出せん」

 村人は紋章を見ながら考えこんでしまう。とりあえずセレステの様子を見に行くとするか、僕はバックルを懐にしまうと僕は村の診療所に向かって歩き出した。

 

 診療所は闇の精霊が襲撃してきた場所から歩いて5分の所にある。

診療所の扉を開けるとベッドに眠っているセレステと一緒に住んでるおばあさんが椅子に座っていた。

 

「おばあさん…ごめんなさい…セレステ守れなくて…」

 僕は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。だがおばあさんは怒るどころか笑って僕を迎え入れてくれたのだ。

 

「別にあんたは頭を下げる必要はないよ。さらおうとしてきたやつから守ってくれたじゃないか、礼を言うよ」

 小さく会釈する姿に僕はどうもと小さく言うしかない。

 

「それにしても、セレステもいろいろ一人で抱えすぎだよ」

 

「いつもあんな感じなんですか?」

 

「セレステは村人が困ってると放っておけないやつでね、あの変な魔竜兵ってやつがこの     村に襲ってきたときも最初は村人も加勢してたんだけど、どっかで村人がケガしてしまって、そっからセレステは魔竜兵が来たときは自分一人でどうにかするからっていって村人が加勢することを断ってしまったのさ…」

 

「そんなことが…」

 

 自分のことは棚にあげて人様のことばっか、ちょっとは自分のことを大事にしろって言うんだ、でもなんで、セレステはここまで村を守ろうとするんだ?きっと理由があるはず。

 

「なぁおばあさん、きっとセレステは…尽くそうする理由があると思うんだ何か知ってることがあったら話してくれないか?」

 

「まぁ…この村に尽くすも何もセレステはこの村で生まれたのではなく捨て子だからね」

 

 え?捨て子?おばあさんからの衝撃の言葉に僕は茫然とした。

 

「セレステは5歳の頃に森で親に捨てられたのさ、それを私が拾って今に至るわけさ」

 

「そんな…」

 僕はそれを聞いて心が締め付けられていた。まさかこの世界でも親に捨てられる子供がいるなんて。

 

「ま、この娘は今となっちゃ私の孫娘みたいなものさ」

 そういっておばあさんは眠っているセレステをまた優しく撫でた。まるで本当の我が子のように

 

「ところでおばあさんは精霊って知ってますか?なんかあのフォンセとかいう襲ってきた少女がセレステを火の精霊って言ってたんですが…」

 

「精霊?私はしらないねぇ…」

 

「そ…そうですか…」

 精霊について手がかりは何も掴めないかもう少し話そうとすると診療所の男性の医者が僕らのもとへと歩いてきた。

 

「あの、そろそろ閉めないといけない時間なのですが」

 

「今日はあんたも休みな疲れてるだろう?」

 そういって立ち上がるとセレステが寝ている隣にあるベッドを指さした。

 

「旅人さんよここに泊まっていってくれセレステに何かあったときのためにあんたがここにいたほうがいい。」

 

「え、僕が?で、でも構わないんですか?」

 

「えぇ、別に構いませんが」

 

「じゃ、決まりだな、頼んだぞ旅人さん」

 おばあさん僕の肩をぽんと叩いて歩き出し、診療所をあとにした。

 

「はぁ、今日は……いろいろありすぎて疲れた」

 それを見届けた後僕はそのままベッドに吸い込まれるように横になった、よっぽど疲れていたのか僕は一瞬にして意識を失い、異世界での一日目が幕を閉じた。

 

 

 

僕は夢を見ていた。それは元の世界にいた頃のものだった。

「お前は役立たずだ」

 違う……僕は役立たずなんかじゃ……

「違う、お前は役立たずだ」

 違うんだ……僕は役立たずでも落ちこぼれでもなくて、僕は、僕は……

 

 そう言いかけた瞬間僕は目を覚まし咄嗟に起き上がる。

 

「夢……」

 変な夢を見たと僕はため息をこぼした、現実世界にいた頃の

嫌な思い出だ、やることはやっていたのに上司にはいつも怒鳴られてばかりだった。

役立たず、役立たずとでも今は違うこの異世界で絶対に役立たずにならないと決めたのだ。そう自分に言い聞かせてベッドから起き上がる、

 そして隣のセレステが寝てるベッドに目をやるとそこにはいるはずのセレステはもういなかった。あれ?どこへいったんだ?診療所内を見渡していると診療所の男性の医者がやってくる。

 

「おはようございます旅人さん、セレステさんならもう起きてここを出ましたよ」

 

「え?セレステは大丈夫だったんですか?」

 

「ええ、お元気そうだったので」

 

「そ、そうですか」

 僕は診療所を出ると、セレステが村の門へと歩いてるのが見えた。それを見た僕はとっさにセレステの方へと走り出す。

 

「ソゲンくんおはよう、どうかした?」

 走ってきた僕に気づいたセレステは小さく会釈をした。

 

「セレステ具合はどうだ?」

 

「うん…とてもいいよ今からまた山菜を取りに行こうと思ってね……」

 なんともないと言っているが僕はセレステが昨日とは少し違うことに気が付いていた。

 昨日と変わらず、笑ってはいるがそれは作り笑いだということ、それも無理もないであろう、昨日のフォンセとの一件がの事がまだ気になっているのだろう。

 

「な、なぁ?昨日こと」

 それを言いかけるとセレステは喋らせないように僕の口に指をあてた

 

「もうあの事は気にしていないよ、私は人間じゃなくて精霊だった。

それだけのこと」

 

「セレステ……」

僕の口からセレスは指を離すとまたニコっと笑って、僕の手を小さな両手で握った。

 

「あ、そうだ!ソゲンくんも一緒に行ってくれない?おばあさんが旅人さんも連れていけってうるさいから」

 

「わかった」

 僕はセレステにの後ろをついて歩いた、しかしその後ろ姿は悲壮感に満ち溢れている

そんな感じがした、おそらくセレステは一人になりたくないのだろう

一人でいるとどうにかなってしまいそう、だから話し相手がほしいそんな感情なんだろうと僕は心の中で思った。

 

 

 

 

 何も話さないまま何分も歩いていた、いや何も話せないでいた

はぁ…話しにくい、気まずい、気まずい、何を話せば良いんだよこの空気をなんとかしないと、そう思って口を開こうと思った時、セレステが急に立ち止まり重い口を開いた。

 

「私…5歳の時親に捨てられたの…」

 

「!」

 それはおばあさんに聞いた話だと言いかけたが僕はぐっとこらえた。

 

「でも不思議なことに5歳より前の記憶がなくて…気づいた時には森にいてどこの森かもわからないから…必死でお母さん…お母さんって泣き叫んでいるところをおばあさんに拾われたの…」

 

「え…?」

 それはおばあさんからは聞いていない話だった。拾われた時より前の記憶がない?

いろいろと頭の中が混乱していた…捨てられるときに親に記憶を消された?一体何のために?

 

 

「なぁ…てことは親との思い出は愚か住んでるところや…親の顔も覚えてないってことか?」

 

「うん…そうだよ何もかも覚えてないの…」

 そう話す彼女の背中は泣いているようだ、さらにセレステは続けた

 

「ずっと考えてたの…なんで私は捨てられたんだろうって…けど昨日あのフォンセって人から私が精霊だって聞かされて分かったのきっと私が人間じゃないから…精霊だから…だから捨てられたんだって…」

 セレステの体はガタガタと震えていた、それは怒り、いや悲しみ、いや違う両方だ、セレステは自分が人間じゃなく精霊だって事気にしてないといったのはやはりうそだった。       やっぱり気にしてるじゃないか!なぜか僕の心まで暗い気持ちになってしまった。

 

「そ…そんなことはないよ…」

 

「じゃあ…私はなんで捨てられたの!?」

 

「セレステ……」

 セレステは振り向き僕の両腕を掴み「うわあああん」と声を荒げ、まるで赤子のように泣くセレステを見て僕は彼女の頭をいつの間にか無意識に優しく撫でており、それを予想だにしていなかったセレステはびっくりして「へっ!」という声を出して僕の顔を見つめる。

 

「最低な親だよな、セレステの親は……いっそ殴ってやりたいくらい!」

 

「ソゲンくん…」

 

「僕はセレステの親の気持ちはわからん、何にもわからんだからこうやって慰めてあげることしかできないんだけど」

 僕はそういいながらセレステを優しく抱きしめていた、急に女性の体を触るだなんて

最低なことだとも思ったが、でも彼女をこうしてあげたいという気持ちが真っ先に

僕の体が動かしていたのだ。

 

「ソ、ソゲンくん?急にどうしたの?」

セレステが顔を赤くしながら僕の顔をみていた、それを見て僕は急に恥ずかしくなって正気に戻って急いでセレステを離す。

 

「ご、ごめん!迷惑だったよな?」

 

「ううん、気にしないで」

セレステは僕の顔から目をそらしながら言った。僕は今の気まずい雰囲気をどうにかしようと少し咳ばらいをして、少し気を落ち着かせてから僕は言葉を放った。

 

「真実かどうかわからないことを考えてくよくよしてもしょうがないよセレステ

過去の事を考えるより今を考えて生きよう、そうした方が僕はいいと思うよ」

 

「……」

セレステは涙を袖でふきふきと吹き頬をぱんぱんと叩いきよし!と言いまた歩き出した。

 

「うん!そうだよね!何か私ちょっとナイーブな気持ちになってたみたいもう過去の事は考えない!ソゲン君の言葉で元気出たよ!」

 

「はぁ、よかった元気出て」

 

「ほーらー早く山菜採りにいかないと日が暮れちゃうよー」

 セレステは僕の腕を掴むとそのままずるずると引きずられていた。僕はそのまま力なく引きずられていったが、「あっ」という声を出し急にセレステが立ち止まった。その立ち止まった先を見ると一人の見覚えのあるゴスロリ少女がいた。

 

「二人とも仲いいんだねーー」

 

「「フォンセ!」」

 二人の声が重なり合った。黒色の長い髪そしてゴスロリ服、そして子供っぽいけど少し妖艶のある声、あの闇の精霊フォンセが目の前に立っている、僕はセレステを守るように彼女の前に立つ。

 

「お前、僕らになんのようだ?」

 

「ちょ…ちょっと…そんな怖い顔で見つめないでよ貴方たち二人に村が大変な事になってるって伝えようと思って待っていたのに」

 

「村が……??」

 フォンセのその一言で当たりの空気が一気に下がる。

 

「おいどういうことだ?」

 

「さぁ?私にはよくわからないんだけど…さっき魔竜兵の親玉が村を攻めるとか、言ってるのが聞こえただけだよ?」

 

「お、おい魔竜兵がこんな時間に襲ってくるわけが…」

 僕がそう聞いている間に何も言わずセレステが村に向かって駆け出す。

 

「セレステ!」

 

「ふふ」

 セレステが駆け出した後ろを姿を見てフォンセ不敵に笑っていた。

 

「まさか、お前が仕組んだことじゃないだろうな?」

 

「さぁ?どうだろうね?うふふ」

 フォンセは自分の口に指を当て、不敵に笑う。

 

「くそ!!」

 今はこいつが嘘をいってるかどうかなんて考えてる余裕はない、不敵に笑みを浮かべるフォンセを横目に僕はセレステの後ろを追いかけた。

 

 

 

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