僕らは精霊エンデルの母と名乗るアウレリアという金髪の淑女にお詫びがしたいと言われアウレリアの家に案内されていた。
それは宿屋からかなり離れた場所にあり、外観はほかの家より少し豪華で木造建築なのだが、壁は鉄鉱石でできているようでかなりしっかりとした家のようだ。
「ソゲンさん、こちらの二つのベッドをお使いください」
そう言ってアウレリアが案内したのはキチンと整えられたベッドが二つ並んでいる広めの部屋だった。
「別にそこまで気遣わなくても……」
「いえ、これは私の娘が二人の精霊にしたことに対するせめてもの誠意なのです」
申し訳なそうな顔をするアウレリア、僕はそれでも「で……でも」というがアウリスがそれを止めようと僕の肩に手を置いた。
「ソゲン、こういうのは素直に受け取るのが常識だぞ」
「わかった」
僕はセレステをベッドに優しく寝かせようとする、その隣でアウリスがネレイスをベッドに寝かせていた。
「これでよし……」
改めて二人を見るとエンデルにやられて吹き飛ばされた影響か二人の服はぼろぼろになっていた。
ネレイスはタイツが破けて素足が少し見えていて、セレステは胸の所が破けていてピンク色のブラが見えかけている。
「おい何を見ているんだ」
「ご、ごめん!」
「まぁセレステは別に許してくれるだろうけど、ネレイスは素足を男性に見られるのがあまり好きじゃないからな、バレたらどうなることやら……」
「あの黙っててもらえませんか?」
アウリスはにやりと笑うと「わかった」と一言だけ言いアウレリアの家から出ようとする。
「どこへ行くんだ?」
「宿屋へ荷物を取りに行ってくる、それと馬車も取りに行くから少し時間がかかる」
そういってアウレリアの家から出ると、白い羽を広げて空高く飛び上がった。
「ふぅ……」
僕は一息つきリビングにいくと、二人分の飲み物とクッキーが机の上に用意されていた。
白色のソファーにはアウレリアが座っていて「どうぞこちらへ」と手真似きしている。
「ありがとうございます」
ソファに向かって歩き出そうとすると、戸棚の上に写真立てが飾ってあるのが見えた。
ちらっと見ると、小さい頃のエンデルだろうか?おかっぱの女の子がの左右にアウレリアさんともう一人大きい大柄の優しい顔をした男の人が写っている。
「その人、私の夫メイルです」
写真立てを見ているのに気付いたのか、アウレリアはこちらに歩を進めると戸棚の前に立ち写真立てを持った。
「夫は一年前に採石場の洞窟の落盤事故で亡くなったんです」
「そうだったんですか……」
写真立てを見つめるアウレリアはとても切ない顔だった、彼女にとってメイルという男性は本当に大切な人だったんだろう。
「エンデルは父であるメイルを一番尊敬していたんです、私の自慢のお父さんだって
だからメイルが亡くなった時は、ものすごく泣いていましたよ。そりゃもう2~3日は立ち直れないくらい」
なるほど、エンデルが採石場にいるのは多分父メイルが関係ありそうだ……、もう少し掘り下げてみよう
「エンデルが採石場にいる理由とかってそのお父さんと関係があったりします?」
そう聞くとアウレリアは写真立てを置き、戸棚を開けると小さな箱を取り出し蓋を開ける、中には米粒ほどの大きさで透明で表面が虹色に輝く小さな石が入っていた、僕は「これは?」と聞く。
「これはオリハルコンです」
「オリハルコン!?」
RPGでよく聞くミスリル鉱石よりも上位っていう伝説の鉄鉱石っていうあれか?それがここに……
「これはあの採石場で夫が見つけた者なんです、でもこの町の皆誰も信じてくれなくて……」
まぁ確かに伝説の鉄鉱石だし誰も信じてくれそうにもないが……、いやでも町の全員が信じてくれないのは、たしかにひどい話ではあるか。
「エンデルはとても悔しがっていました、なんで誰もお父さんが見つけたオリハルコンを信じてくれないんだと、だから今度はもっとでかいオリハルコンを探してくる!!と言って採石場にこもってしまったんです」
なるほど、死んだお父さんの無念を晴らすためオリハルコンを掘り当てるべく、採石場にこもったという訳か……まあなんと親想いな話だと言って片づけて美談にしたいところだが、そのせいでの町の経済が落ちてると言うのが現実だ。
なんとかしてやりたいのも山々だがどうしたものか……そういえばあのゴーレムはエンデルと関係があるのだろうか?
「そういえば、エンデルはゴーレムと一緒に居るんですが……エンデルはゴーレムと交友関係はあったんですか?」
「さぁ……?私は分かりませんね……」
アウレリアは首をかしげて何も知らないそぶりを見せる、何もわからず仕舞いか……と僕は肩を落とした。
しばらくして馬車に乗ったアウリスが戻ってくると、荷台に乗せている最低限の貴重品と荷物を降ろしアウレリアの家に入れ一息ついてところで、僕はアウレリアから聞いたことを全て話した。
「オリハルコンか……、そういえば数百年ぶりに見つかったっていう噂を小耳にはさんでいたがここで見つかっていたのか、知らなかった」
「まぁこの町の皆ここでオリハルコンが見つかったって信じていなかったみたいだからな」
アウレリアから用意されたコーヒーを飲み、一息を付く
「ソゲンどうするつもりだ?」
「もう一度採石場にいってみる」
「馬鹿!危険だ、絶対にやめとくべきだ!君が怪我したらどうにもならないんだぞ?」
「それでも一度、あいつと話がしたいんだ!多分今アイツは必死でお父さんの名誉のためにオリハルコンを探してる、僕はできれば彼女を応援してあげたい……だから僕は行くんだ」
このまま嘘つきなお父さんと思わたままにしておくのはかわいそうだ、彼女の大好きなお父さんの名誉のためにも僕は何か手助けをしてあげたい……。
僕はその思いで立ち上がり家から出ようとする。
「待て」
アウリスは僕の腕を掴み僕の動きを止めた。
「引き留めようって言うのか?」
そう聞くとアウリスは首を横に振り、「私もいく」と言って立ち上がった。
「君一人じゃ何をしでかすかわからないからな、それと君を傷つけたらネレイスやセレステになにを言われるかわからないしな」
そういってアウリスは後ろから優しくぎゅーっと抱きしめると一言耳元で優しくささやいた。
「もっと自分を大切にしろ、君が傷ついて悲しむ人はたくさんいるんだぞ?」
「アウリス……」
僕はアウリスから静かに離れて赤くなった顔を隠した、今のは反則だろ……
アウレリアの家を後にし、もう一度採石場へと踏み入れる僕とアウリス、洞窟に入ろうとすると、アウリスが「待て」と言い僕を引き留める。
「いいか?本当に危なかったらディーパになって離脱するんだぞ?」
「わかってるよ」
そういうとアウリスは「ならよし」と言い僕と共に洞窟に入る。
やはりいつ来てもこの匂いは慣れないものだ、頭が痛くなって意識が飛んでしまいそうだ。
「もうすぐか……」
だんだんと下り坂になってきた。もうすぐエンデルが寝ていた開けた場所に出る、そう思いながら歩いていた時だった。
「ずかずかとまたやられに来たのか?」
どこからともなく野太い男の声が聞こえる。
どこだ?と辺りを見渡すと目の前の通路からエンデルと一緒にいたゴーレムが、こちらに向かって迫ってきていた。
「ソゲン、逃げるぞ!!」
「お、おう!」
そういってドライバーを取り出し、変身しようとすると「待て」とゴーレムが引き留める。
「俺はお前たちと戦うつもりはない」
「何!?」
どういうことだ?この魔物もしかして呪縛の影響を受けていないのか?いろいろな疑問が頭に錯綜した。
「お前らはエンデルに何の用だ?」
ゴーレムは目をギラりと光らせ僕ら脅すようにして、上からにらみつける。
答え次第ではひねりつぶしてやるぞと言ってるようだ。
「僕は、エンデルの事を手伝いに来たんだ」
「ほう?」
ゴーレムは予想外の答えで拍子抜けした様子だった。
「エンデルのお母さんから聞いた、オリハルコンを探しているんだろ?僕にもそれを手伝わせてほしい」
それを聞いたゴーレムはまた目をギラりと光らせ僕を睨みつける。
「その様子だと、アウレリアから全部聞いているみたいだな」
僕は一言「あぁ」とだけ返すとゴーレムはやれやれと言った感じでその場に座り込んだ。
「逆に僕からも聞かせてもらう、お前たちはなぜエンデルの事を守っているんだ?」
「それは、エンデルの父メイルからの願いだからだ」
そういうとゴーレムは静かに語り始める。
「元々俺とメイルは生前から交友関係があった、そしてエンデルともな、だが魔物がほかの種族と絡んでいるとバレればまずいことになるだからメイルとエンデルと交友関係があるのは3人だけの秘密だった」
なるほどだからアウレリアはゴーレムの事を知らなかったのか。
「そんな、ある日メイルはオリハルコンを見つけたと大喜びで俺に見せびらかしてきた、町に皆にも報告しないと意気込みいざ報告しに行くとやれ自分で埋めて見つけたやらあんなところで見つかるはずがない偽物だと言い誰も信じてくれなかった、俺はそれが許せなかった。奴らをひねりつぶしてやろうかとも思ったそしてやつは信じてもらえないまま事故でなくなってしまった、俺は信じてもらえないまま無念の死を遂げた奴の代わりに何とかしてあげたいと思っていた、だが俺はゴーレムだこんな手じゃどうすることも
「そんな、ある日メイルはオリハルコンを見つけたと大喜びで俺に見せびらかしてきた、町に皆にも報告しないと意気込みいざ報告しに行くとやれ自分で埋めて見つけたやらあんなところで見つかるはずがない偽物だと言い誰も信じてくれなかった、俺はそれが許せなかった奴らをひねりつぶしてやろうかとも思った。そしてやつは信じてもらえないまま事故でなくなってしまった、俺は信じてもらえないまま無念の死を遂げた奴の代わりに何とかしてあげたいと思っていた、だが俺はゴーレムだこんな手じゃどうすることも
僕はゴーレムの言葉に心を打たれた、今こいつらがやっている事は決して許されるべきことではないだけど、信じてもらえないまま死んだお父さんの無念を晴らすために大きな夢を掘り当てようとしている。
そんなエンデルとゴーレム達の事を応援したいという気持ちが芽生えてきのだ。
「ソゲン、なんとか助けてあげることはできないだろうか……?」
アウリスも今の話に感銘を受けたのか、憐みの表情で僕に懇願する。
「まぁ……なんとかできなくはないと思うが……」
採石場の洞窟を一旦後にして、僕らがやってきたのはギルドハウスだった、事の顛末を全てリリアンに話した。
「話は分かったニャ、でもその話は了承できかねないニャ……」
やはりか……でもそれは想定済みだった。
「なるほど、だけどそれは誓約違反にならないか?」
「ニャ?」
「誓約書にはこう書かれている、了承した依頼にはギルドハウス側は一切関与はしないし、全て冒険者に一任すると」
リリアンはギクッと擬音を発し、焦った表情をする。
「うぐぐ……お前、誓約書とかそういうのを隅々まで読むタイプだったかニャ……」
「まぁな」
現実世界で癖づいてたことがこんなところで役に立つとは思わなかった、ありがとう会社……、もう二度と戻りたくないけど。
「だけど、それは私が許しても、町が許してくれないニャ!!ましてやオリハルコンを掘るニャンて……」
「なら、掘って出てきた鉄鉱石やミスリルはすべて運び上げ、全て町に寄付する、これでどうだ?」
「それでもダメニャ!!!何かあったら全責任はお前が取るのかニャ!?」
まるで毛を逆立てた猫のように興奮気味に言うリリアンに僕は冷静に答えた。
「ああ、全責任は僕が取る!!だから頼む!!」
立ち上がり頭を下げる僕、こんな世界にまで来て頭を下げることになるなんてな何やってるんだろ僕。
でもエンデルの一件は頭を下げてまでお願いする価値がある、ここで引き下がるわけにはいかない。
「私からも頼む……」
アウリスも立ち上がって僕よりきっちりとした姿勢で頭を下げた、僕ら二人の様子にさすがに勝てないと思ったのか、リリアンは「わかったニャ!!なんとかしてみるニャ!!!」
「ありがとなリリアン!!」
僕とアウリスはリリアンにもう一度深く頭を下げた、
それを見たリリアンは「そ、そんな頭を下げなくても!!」と顔を赤らめて奥へ引っ込んでいった。
とりあえずまずは第一関門突破というところだな。