仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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王都防衛編chapter①

「はぁはぁ……」

 フラフラと男のいる部屋に戻り床に倒れこむフォンセ……頭が朦朧とする、体が重い、足が自分の足じゃないかのように言うことを効かない。

 苦しい……苦しい……もういっそのこと殺して楽にしてほしい……、ドアが開く音が聞こえる。男が来たようだ。

 

「おかえりフォンセ……どうしたんだい?そんな苦しそうな顔をして?」

 男はうつ伏せになって倒れたフォンセを上から覗き込む、いつもの笑顔のはずなのに今日はいつもと様子が違う?

 

「ダーリン……苦しいよ、体が……自分の身体じゃないみたい……」

 

「そうか、そうか……」

 

「助けて……ダーリン……」

 フォンセが男助けを求めるように手を伸ばすが、男はただただ不敵に笑っているだけだった。

 

「ダーリン……?」

 

「今助けてあげるからね、フォンセ……」

 ゆっくりとフォンセの顔に手を伸ばす男、これで助かる……そう思った時だった。突如として目が赤く光り輝く、もうあの優しい男の顔ではなく悪魔のような顔となっていた。

 

「貴方……やっぱりダーリンじゃない!!!」

 フォンセは力を振り絞って部屋から出て逃げようとする、だが足が覚束ずなかなか思うように走ることができない。あんな男の前にはいられない!無我夢中で転びながらもようやく外へ出ることに成功する。逃げないと……絶対に逃げないと!!

 

「今頃、気づいたところで遅いよ」

 パチンと指を鳴らすと、フォンセがいる上空の空に暗雲が立ち込めたかと思うと、彼女に向かって禍々しい光が差し込んだ。

 

「ああああああああ!!!」

 

「大丈夫かい?」

 差し込んだ光が解け呆然と立ち尽くすフォンセに優しく声をかける男。

 

「はい♡フォンセは大丈夫です♡」

 目がとろんとして、特徴的な黒い目が赤く光り輝いていた。

 

「行くぞフォンセ」

 

「はーい♡ダーリン♡」

≪spiritdriver!! start up!!≫

 黒いドライバーを装着する男は、フォンセのイラストが描かれたカードを装填する。

 

≪PreparationDarkness!!≫

 

「変身」

 

≪ether visit in splendor≫

 ベルトがそう発すると男の体を黒い靄を包み込み、体を黒いアンダースーツが包み込むと黒い禍々しい鎧が装着され背中には黒いマントをが靡いた、そしてマスクには悪魔のようなパーツがつき目は何ものにも染まらないような黒に黒ずんだ。

 

 エーテル・ダークネス フォンセの力をまとったもう一人の精霊の騎士の誕生である。

 

「フハハハハハ!!!!!ついに手に入れた!!!ディーパを殺める力を!!!」

 ディーパ……本当の悪夢はこれからだ……男は黒い翼を広げ王都へと向かった。

 

 

 

 

 アイロンベインを出発し2日が経った、エアリアの時よりも大勢の旅人や商人そして馬車が行きかっていた。いくつもの武器を構え4人程のパーティを組んだ冒険者もいた。さすがここら一帯を統治している王都だ、かなり賑わっている。

 その中でも人々の注目を集める馬車が一台ゆっくり走っていた。

 

「ゲン♡ゲン♡」

 

「あの……皆見てるから離れてほしいんだけど」

 僕の足の上にちょこんと精霊エンデルが座っていて小さいな子供のように僕に甘えていた。そのおかげですれ違う人々が振り返ったりひそひそと話してたりしていてとても恥ずかしい……、そして何よりも

 

「じー」

 座席に座っている二人の精霊の鋭い視線が痛い、その中でも一際凄まじいオーラを放つセレステ……目からは光がなくなり

 ぶつぶつと何か念仏のようなものを唱えていた。まずいこのままだと本当にセレステに火だるまにされたり、ネレイスに頭を打ち抜かれたりされそうだ。

 

「なぁエンデル、そろそろ降りてくれないか?」

 

「いや!」

 頑なに離れようとしないエンデル、無理やり引きはがそうとするがもの凄い力でくっついていてなかなか離れない。

 

「ゲン、私の事嫌い?」

 うるうると目を光らせて僕をずっと見つめる、くーーー!!可愛い!!!負けそうだ……。

 

「そこまでにしときなさいエンデル、言う事を聞かないと本当に嫌われてしまうぞ?」

 操縦席からこちらを振り向き、エンデルに少しお説教をするアウリス、エンデルは「え……」と声を漏らす。

 

「それは嫌だ、エンデル、ゲンの言う事を聞く!!」

 そう言われてエンデルはすかさず僕の足の上から降りる。アウリスグッジョブ、後でお礼を買ってあげるからね、ふぅ、これでやっと精霊二人の鋭い視線から逃れられる……と思っていたがセレステはまだブツブツと念仏を唱えるようにこちらを睨みつけていた。怖すぎる……もう許してください。

 

「そろそろ王都に着くぞ」

 

「ようやくですわねー」

 見えてきたのは大きく聳え立つ門だった。立派な石造りの門は、高さ数丈にも及ぶ壁を形成し、その頂上には頑丈な鋼鉄の冠が輝いており。様々な人々が出入口を行き交っていた。商人が馬車を連れて荷物を運ぶ姿、または旅の疲れを癒すために立ち寄った冒険者の姿があった。いよいよ王都に来たんだなと緊張感が出てきた。

 

「どうしたのゲン?」

 

「いやーいよいよ王都に近づいてきたなーってわくわくして来てさー」

 まぁその逆であるが……王都に呼ばれていなかったらこんなに緊張はしていなかったはずだが。

 

「嘘ですわね」

 

「嘘だね」

 

「嘘だな」

 

「うるせー!!!」

 僕が声を荒げると3人はクスクスと笑っていた、エンデルは僕の味方だよな?そう願って振り向くと

 

「クスクス」

 エンデルも3人と一緒に笑っていた……エンデルは違うと思っていたのに……そんなことを考えていると馬車はもう入口の門をくぐろうとしていた、いよいよ王都の街並みが見える、僕の緊張は最高潮に達していた。

 

「待て、止まりなさい」

 馬車が門をくぐり町へ入ろうとした時、武装した兵士2人に囲まれる。やばい女の子4人載せてるから犯罪者とかそんなのに間違えられてしまったのだろうか?

 

「あの?何か?」

 僕は恐る恐る兵士に聞き返した、まさかここで捕まってしまうんじゃないだろうな?

 

「貴方が精霊の騎士ソゲンさんですか?」

 

「はい?」

 想定していなかった質問に思わずとっさに返事をしてしまった、え?僕王都でも有名人なのか?

 

「実はレイナ副団長に赤と青と緑の髪3人の女性が乗ってる馬車が来たら止めてくれと言われているんです」

 

「でも先輩、黄色女の子もいますよ?」

 

「あれ本当だ、じゃあソゲンさんとちゃうかー」

 

「もうちゃんとしてくださいよ、先輩」

 漫才のようなやりとりを繰り広げる兵士二人、これはいつまで経っても終わらなさそうだ。やれやれと呆れた顔で「あのー」と声をかける。

 

「僕がソゲンです、ここにほら王都からの手紙も」

 僕は服の内ポケットからリリアンから手渡された手紙を兵士に見せると、兵士は僕から手紙を分捕り中から手紙を取り出し内容を読む。

 

「確かに、この印は王都のものです、ソゲンさんご無礼大変申し訳ございません」

 いやいやと手を振る、貴方方の漫才のような会話面白かったですよと言うと思ったがぐっと堪えた。「じゃあ行きますね」と言い馬車を動かそうとすると「待った」と止められる。

 

「まだ何か……?」

 

「レイナ副団長にはもしソゲン君が来たら、門の前で待機させるようにと言われているのです」

 よっぽど僕をただでは入らせたくないらしい、ここで嫌だと言って逆らって面倒なことになるのはごめんだ。ここは騎士団に従っておくのが無難だろう……。

 

「わかりました、ここで待てばいいんですね?僕一人でも構いませんか?」

 

「ええ、構いませんが」

 僕は馬車の荷台から降りると、アウリスに合図を送る。

 

「ソゲン、私たちは先に言って宿を確保しておく、後でまた誰かを向かわせるから」

 

「ソゲン、くれぐれも騎士団の方々に粗相のないようにね」

 

「わかってるよ」

 アウリスは馬車を発車させると、4人は僕に向かって手を振り王都の町を走っていた。

 

「ふぅ……」

 いつの間にか隣にいた、後輩の騎士がいなくなっているおそらくレイナさんを呼びに行ったのだろう。暇だなあ……。

 

「あれ?ソゲンじゃないか」

 聞き覚えのある声と共に誰かが僕の肩を叩いた。誰だ?と思って振り向くと

 

「レグナー?」

 

「やっぱりソゲンじゃないか、久しぶりだなー」

 

「ソゲンさんお久ぶりですね」

そこにいたのはアーカニアで共にオークの軍団と戦ったレグナーと、そして二人で救出したミレイユだった。

 

「王都に来ていたのか」

 

「まぁちょっと野暮用で……レグナーも王都に用事か?」

 

「俺達は里帰りさ、王都の空気を久しぶりに吸おうと思ってね、そしたら入口にお前を見つけたってわけさ」

 そういって3人で仲良く談笑していると、「お待たせー」と白いロングテールコートと

青いスカートを身に着けた若い金髪ロングヘアーの金髪の女騎士がこちらに向かって走ってきていた。

 

「ソゲン君、ごめんね待たせて……ってあれ?弱虫レグナーじゃん騎士団に再入団したくて戻ってきたの?」

 小馬鹿にするようにニヤニヤとレグナーに近づくレイナさん、レグナーは「ちげーよ!!」と語気を強める。それに対してレイナは「へー、ふーん」と言いながらまだ二ヤついていた。

 

「こうみえて、あの二人すごく仲いいんですよ?」

 ミレイユが僕の耳元でそう囁くと二人に聞こえていたのか、「「仲良くない!!!」」と二人同時にこちらを向いて声を荒げた。それを見てミレイユは「ね?」と笑顔で僕にもう一度囁いた。まぁ喧嘩するほど仲良いって言いますもんね。

 

「で、レイナはソゲンに何の用なんだよ」

 

「ソゲンを迎えに来たの」

 

「何で?」

 

「騎士団長が呼んでるから」

 「マジかよ!?」と言って僕の顔を見るレグナー、まぁ僕も今初めて知ったんですけどね。

 

「レグナーも来たら?騎士団長久しぶりに見たら飛んで喜ぶかもよ?」

 

「そんなことはねーよ、行くぞミレイユ」

 

「待って、レグナー!!」

 レグナーは機嫌を悪くして、入り口の門を通って王都の外へとまた旅立って行ってしまった、もう少し話したかったな。

 

「じゃあ行こっか……」

 

「あぁ、はい」

 僕は門を抜けて、ようやく王都の町へと踏み入れた、そこに広がっていたのは壮大な城壁に囲まれた都市だった。高い塔や綺麗に彫刻が施された建物が、まるで物語から抜け出してきたようにそびえ立っている。賑わう市場では、色とりどりの鮮やかな布地が風に舞い、商人たちの声が響き渡り、町の喧騒が生き生きとした活気を感じさせてくれた。そして、城の見える中央の広場には大きな宮殿が佇んでいて、その美しいアーチと豪華な装飾が、まるで天空からの贈り物のように美しさを放っていた。

 さすがは様々な種族の多様性が共存する王国アヴァロンだ。街には人間だけではなく、亜人やリリアンのような獣人、そしてエルフといった別種族が人間と交流していた。

 

「王都に来るのは初めて?」

王都の街並みに浸っている僕にレイナが優しく問いかけてくる。

 

「そうですね、別の国でこういう街に来たのことがあったんですけどね……」

 まぁこの情景は元の世界にいた頃の街東京とは全くの大違いではあるが……この人や別種族の多さは東京とそっくりだ。

 

 

 案内されたのは、騎士団本部だった。王都の騎士団の本部は、王宮に隣接した壮麗な建物であった。白亜の塔が空にそびえ立ち、その先端には金色に輝く騎士団の旗が誇らしげに掲げられていた。広大な庭園には、美しく彫刻された噴水や花々が咲き乱れその中央には、巨大な騎士像が立っており、恐らくこの国の英雄か何かなんだろう。とても勇ましい顔つきをしている。

 

 本部の中に足を踏み入れると、広々とした大広間が広がっていた。天井からは美しいシャンデリアが垂れ下がり、光の輝きが騎士団の紋章を照らし出していた。暫くレイナと共に歩を進めていると、一つの大きな騎士団の紋章が描かれた扉の前で止まった。

 

「騎士団長、レイナです、ソゲンを連れてまいりました」

 

「入りなさい」

 扉の向こう側から優しい男の声が聞こえた、その声を合図にレイナは扉を開け「失礼します」と言い扉の中へと入る。

 中の部屋は広々としており、天井には美しい彫刻が施され、壁には壮大な戦場の絵画が飾られていた、部屋の一角には、豪華な椅子が置かれた大席があり、

その後ろには騎士団長の椅子が立っていて、そこには照りつける太陽のようにオレンジ色の髪の毛で、目鼻立ちが整った美青年が座っていた。

 

「初めましてソゲン君、僕はブライト・ガーディアンズの騎士団長アルべリク・ヴァンハーグだ。以後よろしく頼む」

 包み込まれるような優しい声で喋るアルべリク騎士団長、相当モテるんだろうな……男の僕でも聞き入ってしまう優しい声だ。

 

「ソゲンと申します、直々に王都にお招き頂き光栄でございます」

 

「エアリアの町ではレイナが世話になった、私からも礼を言わせてもらう」

イスから立ち上がり、僕に向かってを美しいお辞儀をするアルべリク。

 

「いえ、レイナさんにはうちの精霊を護衛してもらったこともありますし、こちらがお礼を言いたいくらいです」‪

 

「そうなのか?」

 

「え……えっと……」

 どうやら精霊を護衛したことはアルべリクには報告していなかったようで、レイナは大量の冷や汗を書いていた。

 

「まぁその話は今はいい……さて本題に入ろう、実は2日前にこのような予告状が王都届いた」

 アルベリクは一枚の紙を取り出し、僕の前に差し出した。差し出された紙を見ると、そこには赤い文字でこう書かれていた。

 

 

 5日後の満月の夜に魔物大軍が押し寄せることをお知らせいたします。王都は、魔物大軍の猛威に屈服せざるを得ません。抵抗する者には容赦せず、我々の勝利が決して揺るがぬことを理解してください。王都は終わりの時を迎えることを覚悟してください。

 

 優しく温和紳士のような言葉で書かれた予告状、差出人は書かれていなかったが温和な紳士の中から隠し切れずにじみ出るような狂気。間違いない……。

 

「オディオ……」

 

「どうやら……君はその予告状を送った犯人を知っているようだね」

 僕はアイロン・ベインで操られたフォンセの中にいたオディオから聞いた話を全てアルべリクに話した。オディオは精霊フォンセの力を使い、王都を数十万の魔物を使い壊滅させようとしている事、そしてディーパに強い恨みを持っている事を。

 それを聞いた彼は「なるほどわかった」と納得したように頷いた。

 

「なぜディーパに強い恨みを持っているのかよくわからないが、相手が精霊の力を持っているの厄介だ出来れば騎士団にも精霊の力を持つ者が欲しいのだが……」

 そう言いながら僕を何度も視線を向ける向けるアルべリク、言葉には出さなくて察してもらおうというタイプかな?

 

「つまり、僕に騎士団に入れということですか?」

 

「よくわかったね」

 嬉しそうに満面の笑みを浮かべる騎士団長、すごくわかりやすいなこの人……

 

「入ってもいいのですが、一つ条件があります」

 

「何かな?」

 

「僕は正式には入団はする気はありません、この件が終わったら退団します、それでもよろしいですか?」

 

「構わないよ」

 良かった……これで承諾されなかったらどうしようかと思っていたところである、まぁ今はこの騎士団に協力しておいた方がいいだろう、本当はできればこういう組織には関わりたくはないが……利害の一致している今は致し方がない。

 

「ごめんね、ソゲン君騎士団も今人数が足りなくて……遠くに光の調査をしにいった2人が襲撃の日に間に合いそうにないみたいで……でも、もしかしたら一人間に合うーか間に合わないとか……」

 あぁ通りでこの建物の中が歓呼鳥なわけだ、3人で大丈夫なんだろうか?

 

「そうだねぇ……これだけ人が少ないと心もとないねぇ、なーレグナー?」

 突然ここにいるはずのない名前を口にするアルべリク……、そうするとドアが開き「いつから気づいていた?」と言いながら入るレグナー

 

「気配は隠せても聖剣の放つ輝きは隠せないという事だ……」

 

「相変わらず、きざな野郎だ」

 

「で、君もできれば協力してほしいのだが……?協力してくれるよね?」

 不敵な笑みを浮かべながら半ば強引にお願いするアルべリク、さすがにそれは無理では……

 

「あぁいいぜ、その代わり俺もソゲンと条件は同じだ」

 

「まぁ、いいだろう……頼んだよ」

 

 どうやら半ば強引にレグナーを巻き込んでしまったようだ、後で謝らないと……。

 

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