仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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王都防衛編chapter②

 騎士団長との謁見を終えた僕は騎士団本部の更衣室にいた。騎士団からもらった衣装を

着ていたのだが……。

 

「黒でも目立つなぁ……これ……」

 鏡の前に立つとまるでどこかのお屋敷の執事のようだった、どうやらこれが騎士団の制服らしい。白は目立つから黒がいいとは言ったがそれでも目立つ、さらにこの上にマントを羽織るらしいのだが……

 「いや、これはいいや」と僕はマントを置いた。ふと隣に置いてあった現実世界で生きていた名残であるスーツと目が合った。長い旅で汚れていたりボロボロに破けていたりしている。これでお別れだな……後で焼却炉に入れよう。

 

「よぉ、ソゲン似合ってるじゃないか」

 

「ソゲンさん、かっこいいです」

 スーツを見ながら思い出にふけっていると、これまた白い制服に着替えたレグナーとミレイユが入ってきた。

 

「ありがとうレグナー、あんたも似合ってるぜ」

 

「おうありがとな、それにしてもその黒い服アイツを思い出すなぁ……」

 

「あいつ?」

 

「いや、なんでもない忘れてくれ……」

 この黒い服を着ていた人物がほかにもいるんだろうか?まぁ気にするなということだし

今は気にしないでおこう。それよりも……

 

「すまないな……、巻き込んでしまって」

 

「気にするな、これもソゲンに対する恩返しなんだ……」

 

「別に気に……」

 そう言おうとすると頭中でアウリスの言葉が再生された。「ソゲン、こういうのは素直に受け取るのが常識だぞ」と……確かにそうだな、僕は人に対して遠慮しすぎなのかもしれない。

 

「どうした?」

 

「ありがとう、助かるよレグナー」

 2人は不思議そうに見つめあうが、もう一度こちらに向いて笑みを浮かべて「あんまり遠慮するなよ」と言う。それに対して僕は「あぁ、わかったよろしく頼む」と言いレグナーと固い握手を交わしていた。

 

 

「それにしても腹減ったなぁ……」

 本部から出た僕とレグナー、ミレイユの3人は市場を歩いていた「3人でご飯を食べませんか?」とミレイユに誘われ「そうですね」と返事をするが、そういえば何か忘れているような……??

 

「ソゲン君……、あれセレステちゃんじゃない?」

 ミレイユが指を指した方向を向くと、王都への入り口門辺りにセレステが立っていた。

どうやら僕を待っているようだが、顔を見ると虫の居所が悪いのかとても不機嫌そうだった。

 

「あ、そうだ……忘れてた」

 先ほどまでの騎士団長やレグナーの事で頭が渋滞していたせいで、別れ際にアウリスに言われたことが頭から抜け落ちていたのだ。

 

「あんな可愛い女の子に待ってもらえるなんて幸せ者ですねーソゲンさん」

 

「そうだぞ、このこのー」

 二人に両方から腕でつつかれていると、こちらに気づいたのか笑顔で手を振ろうとするが急にセレステの顔が曇り体から凄まじく濃い赤いオーラを出しながらこちらへと近づいてきた。

 

「あ、来た来た、じゃあ私達は二人の事邪魔したら悪いからまたね」

 

「じゃあな、ソゲン」

 二人はそそくさと逃げるように僕のもとから帰って行く二人、あぁ今のセレステと二人きりにしないほしい。

 

「ねぇ、ソゲン君今の女の人誰?」

 二人に待ってと言う暇もなく、僕の目の前に来たセレステは鬼のような形相で僕を睨みつけていた。やばい……正直に言わないと殺される!!

 

「ねぇ、誰なの?言えないの……?」

 

「えっとほら!アーカニアの近くで出会ったミレイユさんだよ!!ほら隣に男の人いただろ?あれがえっとー、一緒にオーク倒したレグナーだよ!!」

 睨みつけるように見つめるセレステに説明するのに恐怖で顔に大量の汗をかいているのを肌で感じていた。僕の必死の説明を聞いたセレステは「あーそういえば」と思い出し納得したようだ。

 

「私てっきり、ソゲン君が魔法使いの女の人をナンパしたのかと思ったよ」

 いやそんなことしねぇよ、まぁでもこれ以上セレステの前で他の女の人の話はよそう……。

 

 

 

「レグナーさん、王都に来てたんだね」

 セレステは恋人のように腕を組み僕に密着している。さっきまでの鬼の形相が嘘のように、幸せそうな顔をしていた。

 

「里帰りだってさ、僕と一緒に騎士団に一時的に加入することになったよ」

 

「そうなんだ、だから服装がいつもと違うんだね」

 

「あぁ、本当は白なんだけど目立つだから黒にしてもらった」

 

「すごく似合ってるよ、ソゲン君、いつも着てるよりもすごくかっこいいよ」

 キラキラと眩いばかりの笑顔を見せるセレステ、そう言ってくれるならこの服装に着替えた甲斐があったもんなだな……僕は顔を赤くしながら「ありがとうな」と返した。

 

 

「ところで、アウリス達がいる宿ってどこだ?」

 そう聞くとセレステは僕の腕を思いっきり握り、再び濃い赤いオーラを体から放出し始めた。まずい、またセレステの地雷を踏んでしまったようだ。

 

「ねぇ、どうして二人きりの時に他の女の子話するの?」

 

「え、えっとその……宿屋を……」

 

「私、ずっと我慢してたんだよ?それなのにあのでか乳は……私たちの前でイチャイチャと……」

 

「ごめんなさい!本当にごめんなさい!!

 これ以上は本当にまずい……セレステの中の何かが目覚めそうだ……僕は必死に何度も頭を下げ謝る。

 

「折角我慢したんだから、ご褒美ほしいな」

 

「え?ご褒美?」

 食い入るように僕を見つめるセレステ、まぁいいかアウリスにも渡すつもりだったし。

 

「何が欲しいんだ?」

 

「それはソゲン君が決めてほしいなー」

 決めてほしいか、それを彼女いない歴21年に僕に聞くのか、女の子が欲しいものってなんだろう?僕は辺りの市場の出店や、店鋪を見渡した。うーんスイーツ?いやセレステがそんなもので喜ぶかなぁ?服とかかな?いやいやネレイスやアウリスに見つかったら何を言われるか……。

 

「そこのカップルのお二人さん~」

 ある一つの出店を通りかかろうとした時、店員の女性に声を掛けられる。あれ?今カップルって言ったか?この店員さん。

 

「僕らですか?」

 

「そうそう、貴方達二人しかいないよ~」

 どうやらこの金色の髪のちょっと陽気なギャルのような店員さんには僕らがカップルに見えたようだ、それを聞いたセレステはまるで煮えたぎるマグマのように顔を赤くしていた。

 

「うちアクセサリー専門のお店なんだけど、良かったら彼女さんに買っていかない?」

 アクセサリーか……、そういえばこれらをプレゼントをするのは何か意味がなかったけ?どこかの本で見た気がする。思い出そうと奮闘していると、セレステは静かに一つのネックレスを指差した。それは金色のチェーンでピンクの色のハートの形をした宝石を守るように金色のふちで囲ったネックレスだった。

 

「あらー、彼女さんネックレスだなんて……お目が高いねー、付けてみる?」

 テンションの高い金髪の女性店員の誘いに「はい」と言って承諾したセレステは僕の腕から離れて女性店員の元へと近づいた、罠か?と思って身構えるが金髪の女性の店員さんは木箱に置いてあったネックレスを持ちチェーンを外して優しく首につける。

 

「すっごく似合ってるねー、彼氏さんもそうだよね?」

こちらへはにかんだ様子で振り向くセレステ、まぁそれよりも罠じゃなくて良かった。

 

「すっごく似合ってるよ、セレステ」

 

「うん、ありがとうソゲン君」

 あー、なんかすごく付き合い立てのカップルのような雰囲気になってきた、すっごい恥ずかしい……。

 

「お熱いねぇ、なんかすごい良いもの見せてもらっちゃった少しサービスするけどどう?」

 

「セレステ、それでいいか?」

 僕がそう聞くとセレステは「うん」と万年の笑みで答えた。

 

「毎度ありー!!お幸せにー!!」

 銀貨5枚か……元の値段はいくらか知らないけど結構な値段だった。でも嬉しそうなセレステの顔が見れたからいいか。

 

「ソゲン君、ありがとうね」

 

「でも、それでよかったのか?」

 

「うん、私はこれで十分だよ」

 セレステは幸せそうな笑みを浮かべると「これでソゲン君は私のものだね……」と小さな声で呟くように喋った。

 

「え?」

 

「ううん、なんでもない、早くみんなのところへ戻ろ?」

 

「あ、あぁそうだな……」

 すごい今恐ろしいこと呟いた気がするけど、まぁいいか……。

 

 

「遅い!!」

 宿屋に着いた瞬間、ロビーにネレイスが待ち構えており開口一番にそう言い放った。

 

「ごめん……」

 

「どこ歩いてたんですの?」

 

「えっと……ちょっと王都を」

 

「ふーん、セレステと二人で……」

「はい」と申し訳なさそうに返事する僕、女の子に説教されるのってこういう気持ちなんだなと初めて実感する。

 僕遅れただけなのになぁ……、その後ろでセレステはネレイスに勝ち誇った顔をしながらアウリスと一緒に宿泊部屋へと入って行った。あ、そうだ今ならネレイスにあの話ができる!!アイロンベインでは疲れ切って弱ったアウリスが抱き着いてたり、ここへ

来るまでの合間にはセレステがいた、だけど今はネレイスだけ!!今なら!!

 

「どうしたんですの?ずっと私を見つめて……そんなに見つめられると恥ずかしいですわ」

 

「あぁ!!ごめん!!」

 気が付くとネレイスを顔を真っ赤にしているネレイスが居た、どうやらずっと気が付かずネレイスを凝視したままだったらしい。

 

「もう……、早く行きますわよ」

 

「あ、あのさぁ、アイロンベインの……」

 

「ソゲンくーん、ネレイスさんもうご飯できてるよー」

 ネレイスに話そうとした時宿屋の二階からセレステの声が響く。

 

「セレステが呼んでいますわ、行きましょう」

 僕から逃げるようにその場から立ち去るネレイス、「あ、あぁ!!」と僕も慌ててネレイスについていく。すると急に立ち止まり振り向いた。

 

「後で、ソゲンの部屋行きますわね」

 

「お、おう……」

 機嫌よさそうにスキップをするように階段を登るネレイス、なんでこんなに機嫌がいいんだろう……?

 

 

 

 

 ご飯を食べ終えた僕は部屋へ戻った、部屋分けはいつもの通り精霊4人と僕一人だ。いつも通りではあるがこれが一番安心する、あの4人と同じ部屋だと何が起きるかわからないからな。

 あとそれとドアにチェーンもかけるか、それならピッキングして入ってきたセレステを撃退できる。まぁ異世界にそんなビジホみたいなものあるわけないか、いろいろと対策を練らないとなぁ。

 

「お待ちしていましたわ、ソゲン」

 

「うわ!びっくりした!いつの間に!?」

 部屋へ入った瞬間椅子に座って、紅茶を飲んでいるネレイスが待ち構えていた。いつの間に……。

 

「その服騎士団に協力することにしたんですわね」

 

「まぁな」

 

「それで、私に話があるんですのよね……?」

 妙にハラハラドキドキといった顔をしているネレイス、なんでそんな気持ちになっているんだよこいつは……まぁいいや、そんな事を気にしている暇はない……。問い詰めなければ……。

 

「単刀直入に聞く、お前アイロンベインでエンデルに吹き飛ばされた時、その夜には目覚めてたよな?」

 

「なぜそんなことが言えるの?」

 急に睨みつけるように僕を凝視するネレイス、まるでそれ以上は言うなと言ってるみたいだ。負けるな……僕。

 

「まず、僕がアウリスと話している時不意に彼女を押し倒してしまったの見ていた奴がいた。僕は最初アウレリアさんかと思っていたが、朝起きた時の反応がその場面を見ていないような発言をしていたんだ。アウリスは閉め忘れただけと言っていたが、あの几帳面なアウリスがそんな事するはずはない……」

 

「それだけなら、私がやったなんて言えないですわよね?アウリスが本当に閉め忘れた可能性も捨てきれないのですから」

 

「そうだな、だけどアウリスを押し倒してしまった次の日から不思議なことが起きるようになった。起きたら僕の体が濡れていたんだ、しかもその日だけじゃない3日目の朝までな……」

 

「寝ぼけて、井戸とか川にツッコんだんじゃないんですの?」

 余裕そうに私はやってないですわーなんて言う顔をしている、ムカつくがここは抑えろ僕。

 

「まぁ、そう考えるの妥当だと思うけど、知ってるか?アウレリアさんの家の周りには井戸は愚か近くに川もないんだぞ?」

 

「じゃあ、誰かの魔法なんじゃ……?」

 

「まぁ、アウレリアさんの魔法かな?とも思ったけどあの人は魔法は使えなさそうだし

例え使えたとしても僕をあんな風に貶めるアリバイもないからな……」

 ネレイスの持っているカップがプルプルと震え始めた、相当動揺しているようだ。

 

「それに3日目の夜、僕が起きていたにも気づかずに近づいて逃げた時のあの身体能力……あの町の奴ではできるようなやつはいない……だからネレイスいたずらしたのはお前なんだろ?」

 顔を下に向けて何もしゃべらないネレイス……

 

「あと、ベッドにお前がいなかったのも確認済みだ、いい加減白状してくれないか?

僕は別にお前がいたずらしたことに怒っているわけじゃないんだ、なんであんなことをしたのか知りたいんだ」

 少し言い過ぎてしまったか、何も言わなくなってしまったネレイスのカップを持った手は激烈な勢いで先ほどとは比べ物にならないくらい震えていた。これで泣かれてしまったら困るし謝るか……。

 

「遅いですわ……、気づくのが……」

 

「え……?」

 

「まぁでもようやく気付いてくれて嬉しいですわ」

 

「へ……?」

 さっきまでの落ち込みが嘘のように万年の笑みでこちらに接近するネレイス。なんでそんなに嬉しそうなんだ?訳が分からず困惑する。

 

「ソゲン?私からも単刀直入に言いますわ」

 

「な、なんだよ……」

 

「貴方、私のものになりなさい!」

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