仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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王都防衛編chapter⑤

「全部やられちゃったね、ダーリン」

 王都時計塔から今までの出来事を全て見ていた男とフォンセ、入り口の門から入れば兵士や警備隊に検問されてしまうがフォンセの力を使えば、簡単に王都に入ることができるのである。

 

「やはりディーパの力は厄介だな……」

 

「対策はあるの?」

 フォンセが聞くと男は掃除機と似た形状をした武器を取り出した。

 

「これはクリーナーソードガンだ、クリーナーモードにすることで霊粒子となった精霊たちを吸い取ることができる」

 

「へ~すごい~」

 

「そしてトラストモードで、霊粒子を噴出することもできるんだ」

 

「え、じゃあつまり?」

 

「思う存分4人の精霊から霊力を吸い取ると良い……」

 

「やったー!!」

 武器をしまった男はフォンセの頭を撫でて「君が無事元の姿に戻れるのが一番だからね」と優しく言う。

 

「でも、ディーパは4人一気霊粒子にせずに一人の精霊を霊粒子にするよね?」

 

「そこが問題だ……、一人しか吸い取れなければディーパに逃走され、次の戦闘で対策される可能性もあるどうしたものか……」

 男は唇を噛みしめ考え込む、精霊を殺害すれば霊粒子にすることもできる……かくなる上は……。

 

「じゃあ、私に任せて」

 

「え?」

 

「うふふー」

フォンセは不敵な笑みを浮かべて黒い靄となって消えていった。男はやれやれと呆れながら時計塔を後にした。

 

 

 一方そんな脅威が迫っている事を知らない僕は、また違った意味での脅威にさらされていた。

 僕の部屋にあるソファに怒りのオーラを出しているセレステとネレイスと向かい合って座っていた。

 

「アウ~あれ何?」

 

「エンデル、君にはまだ早い、私と一緒にお風呂に行こう」

 そういってアウリスは機嫌よく鼻歌を歌いながら、エンデルと手を繋ぎお風呂と向かっていった。あー、アウリスさんいかないで。

 

「ソゲン君、アウリスさんと何してたの?」

 セレステは仏様のように笑顔で笑っているが、内心は相当怒っているらしく体からはいつものように赤いオーラが出ていた。

 

「アイロンベインで、セレステとネレイスが気絶してる間ずっとアウリスにお世話になったからそのお礼だよ……」

 

「何か、プレゼントしたの?」

 

「いや、プレゼントというか……アウリスの行きたい場所に僕がただついて行っただけだよ」

 

「へー、そうなんだー」

 あれ?いつもならここでセレステが怒って僕が「ごめんなさいー」なんて言う流れであるが今回は様子が違った。

 

「まぁでも私もソゲン君にプレゼントもらったしねー」

 

「なぁッ!?」

そう言ってペンダントを嬉し気に見つめるセレステ、その隣で「嘘でしょ」という目でペンダントを見た後、僕を見つめるネレイス。

 

「あれー?ネレイスさんはソゲン君から何もしてもらってないんですか?ひどいですねーソゲン君はー」

 おーい、煽るな、煽るなー。

 

「ソゲン……私も……」

涙ぐんだ目をしながら僕をじーっと見つめるネレイス、明日こそはオディオを探そうと思っていたが……まぁネレイスが居てもそれはできるか。

 

「いいよ、明日はネレイスと出かけるよ」

そう言うと曇っていた表情が晴れ渡るような表情へと変わった。

 

「ふん、当然ですわ!二人がプレゼントをもらって私だけもらってないのはずるいですわ!絶対に何かしてもらいますわ!」

 

「あははは……」

僕が苦笑いしていると、ネレイスは機嫌よくイスから立ち上がり「私もお風呂にいきますわー」と言いながら、僕の横を通り過ぎようとするとすれ違いざまに小さく「好きよ、ソゲン」と呟き部屋から足早に出て行った。今のは反則だろ……。

 

「ソゲン君、ネレイスさんに今なにか言われた?」

 赤いオーラをまとい、目を濁らせたセレステが僕に迫ってきた。今の聞かれてしまったかな?なんとか言い訳を考えなければ……えーっとどうすれば……。

 

「私だって、ソゲン君のこと好きなのに……」

 

「え?」

 聞こえるか聞こえないかの境目くらいの声で呟いたためあまりよく聞き取れなかったが、まさかセレステも好きって言った!?

 

「なーんてね、オディオってやつの一件が終わったら私ともたくさんデートしてね♡」

そう言って笑いながらセレステも足早に僕の部屋を出て行った、絶対あの好きは冗談じゃない……ネレイスだけじゃなくセレステもか……元いた世界と違って、こんなモテるのは喜ばしいことだが二人の女の子にアプローチされては困ってしまう。嬉しいけど僕はどうすればいいんだよ……。ベッドに今の気持ちをぶつけるように横たわった。

 

「モテるってこんな大変なことだったんだな……」

 そんな時だった、ふと目を机の上にやるとエクスシアから送られてきた木箱が目に入った。

 そういえば、まだ開けてなかったな……どうせまたあの卵型のやつだろうな。そう思いながら木箱の蓋を開ける。すると中には……。

 

「腕時計……??」

 中に入っていたのは高級そうな赤いシルクとその上に大きな細長い腕時計のようなものが入っていた。そして腕時計の隣には、何色もの絵具が混ざり合ったようなイラストのカードが時計の針を動かさないように止められていた。

 

「なんだこれ?新しいアイテムか?手紙を見ないとわからないな……どこだ?手紙」

 木箱の中のシルクと腕時計をどけると底に一通の手紙を発見する。どれどれどうやって使うんだろう?

 

「ソゲン君、4人の精霊との契約おめでとうございます!ハーレムですね~あんまり羽目を外しちゃダメですよ?」

 うるさい、僕がそんなことをするはずがないだろう、早くこの腕時計の使い方を教えてくれ。

 

「あ、今うるさいとか思いしましたね?もう!!私はそんな子に育てた覚えはありません!!ぷんぷん!」

 ……なんで心読まれてるんだろう?

 

「あ、そうそう今回の4人の精霊と契約できたご褒美はその名も「フュージョン・ウォッチ」です!!これは精霊の力を束ねディーパに集約させることできるものすごいアイテムなのです!」

 精霊の力を束ね、ディーパに集約させる?つまり今まで1人までしか使えなかった精霊の力が4人いっぺんに使えるということか……だけど、そんなことして僕の体はもつのか?

 

「但し、貴方への負担が大きいので5分という制限時間があるので注意が必要です、ピンチの時やビシッと決めたいときに使ってくださいね?貴方のエクスシアより」

 貴方のエクスシアってなんだよ……、まぁ確かに4人も体に宿せば体の負担が大きいし、僕の身に何が起きるかわからない……安全装置がついてるのはありがたいな。これがあればオディオとの戦いも楽になりそうだ。いいものをありがとうエクスシア様。

 

「へー、4人と……」

 その様子を窓から黒い影が覗き込んでいたことをこの時僕は気づいていなかった。

 

 

 

 次の日の朝、僕とネレイスが出かけている間アウリスの提案により3人の精霊は王都を見まわる事になった。ディーパを倒すことを目的としたオディオが精霊を狙らう可能性も否定はゆがめず、3人を危険に回してしまうかもしれないが……。

 

「なぁ、3人に任せてもいいのか?」

 

「構わないよ、ネレイスとのデート楽しんできてくれ」

 

「デートって……」

 

「デートって何?セレ」

 

「えぇ!?えとえと……男女が……えーと」

 セレステはエンデルの質問に顔を赤くして目をくるくると回していた。いつもは僕に大胆なことしてくるのにこういう時は顔を赤くして恥ずかしがるのはなんでだろうか?

 

「エンデル?君もそのうちソゲンとすることがあるよ」

 

「ほんとう!?」

 嬉しそうに眼を煌びやかせるエンデル、次はエンデルとか……まぁそれもオディオとの一件が終わってからになりそうだな……。

 

「じゃあ、ネレイスと楽しんでな~」

 3人は僕に手を振り町へと繰り出していった、3人が無事でありますようにと願うばかりだ。

 

「ソゲン、お待たせしましたわ」

 

「あ、おはよう……ネレ……イス……」

 そこに立っていたのはお姫様だった。黒と白を基調としたいつものより短いスカートのドレスで胸の部分には細長いリボンが結ばれておりその下にはフリフリのフリルが施されていた。そして何よりも……。

 

「そんなに足をまじまじと見ないで……恥ずかしい……」

 いつもは足を隠すようにデニール値の高い黒タイツを履いているが、今日は履いておらず、細長く美しいまるでカモシカのような足だった。

 

「なら、タイツ履いてくればいいだろ?」

 

「本当に貴方ってにぶちんですわね……」

 

「なんでだよ」

 

「本当にわからないんですの!?」

 

「ごめんわからないや……」

 僕がそういって謝ると、顔を赤くしフグのように頬を膨らませた。普段はこんな顔しないから少しドキっとしてしまった。

 

「はぁ……もう……ソゲンになら見せても良いかなって思ったのですわ……」

 口元を手で抑え顔を赤らめながらそういうネレイス、それを聞いた僕の胸はドキドキと鼓動を早く打っており本当にネレイスは僕の事を嘘偽りなく好きなんだなと改めて感じた。ならば僕が言う事はただ一つ……。

 

「すごく綺麗な足だ……ね」

 

「うん、ありがとうソゲン……」

 なんだこの付き合い立てのカップルみたいな雰囲気……、まだ僕はネレイスに返事してなかったよな?と少し不安になってしまう。

 

「ところでどっか行きたいところはあるのか?」

 

「そうですわねぇ、一つ行きたい所がありますの」

 

「行きたい所?」

 

 

 僕がネレイスに連れてこられたのは、町外れのアンティークな石造りの外観の大きな建物の前だった。そして立札には……。

 

「エリーゼダンス教室……?」

 

「そうですわ、私のお友達が営業していますの」

 そう言いながらベルも鳴らさず建物の中へ入っていくネレイス、僕もその後ろを「お邪魔しますー」と言いながら入っていく。中へ入ると長い廊下が続いており、何個もの教師が並んでいたが今日は休みなのか生徒の姿はなかった。

 

「あれ?ネレイスじゃない、久しぶりだね」

奥のドアが開き出てきたのは、黒く長いサイドテールのおおらかな雰囲気の女性だった。ネレイスの顔を見て小走りでこちらに近づいてきた。

 

「久しぶりですわね、エリーゼ。半年ぶりぐらいですか?」

 

「そうねー、あらこの男の人は?」

 

「私のボーイフレンドのソゲンですわ」

 

「ソゲンです、よろしくお願いします」

 僕は小さく頭を下げてセレイネに挨拶をした、あれ?今ネレイス僕の事ボーイフレンドって言ったか?

 

「え!?ソゲンってあの各地を救っている噂の精霊の騎士の!?へーふーん……

良かったねーネレイス~夢が叶って~」

 

「えーとその……噂の精霊の騎士ですけど、ネレイスのボーイフレンドなんかじゃ……」

 僕は慌ててエリーゼの誤解を解こうとすると、隣に立っていたネレイスは思いっきり僕の足を踏んづけた。「いった!!!!」と悶絶しながら床を転げまわる僕を横目にエリーゼはネレイスに「どうやって知り合ったの?」と聞く。

 

 

「私が悪い敵に襲われているところを助けてくれたのですわ……」

 顔を赤らめて話しているが、ほぼ嘘である……嫌嘘と言えば間違いになるかもしれないが……かなり端折りすぎている。お前との出会いはめちゃくちゃ最悪だっただろと突っ込みたくなるがまぁ今はやめておこう……。エリーゼは「すごくかっこいいー」と僕に憧れの眼差しを向けた。

 

「で、今日もダンスをしにきたの?」

 

「ええ、ここ一か月各地を旅していて、ほとんどダンス出来ていないので……」

 

「へー、旅してるのねー、二人で旅してるの?」

 

「えと……僕とよ……」

 立ち上がって4人の精霊と言うとすると、またもネレイスは思いっきり僕の足を踏んづけた。

 

「ええ、そうですわ」

 クソォ……このホラ吹き精霊めぇ……と拳を握りしめた。

 

 

 

「ソゲンさん、ここに入ってね」

 教室の二階へ上がり、エリーゼに案内されたのは煌びやかなダンスホールだった。

 

「すげぇ……」

思わずため息が出てしまった。天井からは豪華なシャンデリアが優雅に揺れていて。蝋燭の灯りが部屋を照らし、壁には豪華なタペストリーが飾られている。床には美しい花模様の絨毯が敷かれていた。

 

「すごいでしょー?うちの教室の自慢のホールなんだよ」

 ダンスホールの美しさに言葉を失っていると、その後ろから「おまたせしましたわ」とネレイスの声が聞こえた。

 

「お、きたきたー」

振り向くとそこには赤いドレスに着替えたネレイスが立っていた。そのドレスは、細かなレースで飾られた肩紐と、ウエストから広がるふんわりとしたスカートが特徴的で、彼女の美しい体型を引き立てていた。胸元には、ほんのりと輝く青い宝石が飾られいた。

 

「ほら、ソゲンさん彼女に感想は?」

ネレイスのドレス姿に見惚れていると突如としてエリーゼの顔が現れた。「え、えーっと、すっごく似合ってると思う」と慌てて答えた。するとネレイスは「ソゲンらしい感想ですわね」優しく笑い出した。それにしてもなんで赤いドレスなんだろう?青とか水色とかが似合いそうなものではあるが…

 

ダンスホールの中央に立ったネレイスは、目をつむり大きく深呼吸をし呼吸を整えていた。

 

「曲は湖畔の白鳥でいいよね」

 

「えぇ、構いませんわ」

 そういってエリーゼは一枚のレコードを、机の上に置いてあったプレイヤーにセットした。そうするとダンスホール中に、クラシック調の音楽が鳴り響くと、ネレイスは美しい足取りその音楽に載せて舞い躍り始める。彼女の動きは優雅で、まるで風になびく花のように軽やかで。赤いドレスがスカートの広がりとともに美しく舞い、まるで彼女が湖の中で羽ばたく鳥のように見えた。

 

「すごいよねー、湖畔の白鳥をあそこまで完璧に踊れるのはこの地域ではネレイスだけだよ」

 そう言いながら僕の隣にエリーゼが立った。確かにネレイスのダンスには寸分の狂いがない。

 セイレンタウンで見た時もそうだったが、まるで竜宮城の乙姫のように美しく踊る姿には感服する。

 

「ネレイス、本当はね王城の舞踏会の講師になれるくらいの実力なんだよ?」

 

「え?そうなんですか?」

 それがどこまでの凄いことなのかはわからなかったが、王城のというくらいなんだから免許皆伝とかそれくらいなんだろう。

 

「だけど、私は精霊の騎士様と一緒になるんだーって断っちゃたんだよね、私それ聞いて呆れちゃってなんで名誉あるものを断るんだろうなって……」

確かに王女の舞踏会講師なんていうとても名誉あるものを断るなんて、普通の人からすれば呆れてしまうだろう。僕だって今日初めて聞いてびっくりしてしまう程であった。

 

「でも、今日ようやくわかったよ、だってソゲンさんといるネレイスの顔ダンスしてる時よりもすごく楽しそうな顔してるから」

 

「え?そうなんですか?」

 知らなかった、最近ダンスをしているところを見ていなかったというのもあるが……そんな僕と一緒に居るときはいい顔をしているんだろうか?

 

「ソゲン君、本当に僕と一緒にいてネレイスは楽しいんだろうか?って思ってないですか?」

 

「な、なんでそれを……」

 セレイネは「やっぱりー」と言ってしてやったりというような顔をしていた。

 

「だってあのすっごく厳しいネレイスが一人の男にあんな楽しそうな表情をするなんて今までなかったからだから胸張っていいですよ」

そう言いながら笑顔をを向けるセレイネ、僕がネレイスにとってダンスをより大切な存在か……なんかすごく嬉しい反面複雑な気分だ。

 

「ネレイスの事本当に大切にしてあげてくださいね?あの子ガラスのハートですごく傷つきやすいから……」

ネレイスがガラスのハート?あんなに僕と激しく口論したり、喧嘩するネレイスが……根が強い人だと思ってたけど意外とそういうところあったんだなぁ……、そんな事を思いながら僕はネレイスのダンスを目を離さずずっと見ていた。

 守ってあげないとなあの笑顔を。

 

 

「はぁはぁはぁ……なんで私王都なんかに……」

 呪縛の効果が一時的に解け一人王都の裏手に座り込むフォンセ……ディーパに助けを求めるのは癪だがあの男の言いなりになるのはもっと癪だ……覚束ない脚で立ち上がり歩き始めると頭の中に男の声が響く。

 

(早くこっちに戻っておいでよ、フォンセ)

 

「うるさい!うるさああああああい!!」

 後ろから何か気配がする、とっさに振り向くと、男の影がこちらにおいでおいでと手招きしていた。

 

「い、いやあああああああ!!」

 もう嫌だ……ここから逃げなければ!!

 

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