仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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王都防衛編chapter⑦

「はぁぁぁ!!!!」

 ジオフォームの拳がエーテルに直撃すると、男は数メートル先まで吹き飛ばされる。

 

「ふふふ……やるじゃないか、その姿だと遠距離戦は苦手なようだな……」

≪Gun mode!≫

 エーテルは掃除機型の武器をライフル銃の形に変形させ、ジオフォームに連射させる。

だがジオフォームの頑丈な鎧には効かなかった。だけどこの銃弾の雨じゃ近づけない……

 

「ねぇ、なんで私達みてるだけなんですか?ソゲン君サポートしてくれって……」

 武器を構えたまま動こうとしない二人にセレステは慌てたように話しかける。

 

「セレステ、敵はソゲンと同じ精霊の騎士だ……迂闊には動けない」

 

「でも!!」

 

「アウリスの言う通りですわ、ここは様子しましょう」

 

「それに……なぜかいやな予感がする……」

 

「どういうことですか?」

セレステは何のことだかわからず聞こうとするが何も言わなかった。

 

「くそ……あいつら……なんで動かないんだ?」

(ゲン、多分あの弾鎧を貫けるほどの威力はない、だから防御しなくてもいい……)

 

「わかった!!」

 僕は防御をすることをやめ捨て身の戦法でエーテルに近づく。だが全く弾丸が効いていないのに一向に連射をやめとしない……今がチャンスだ。ジオフォームの拳の射程圏内に入ると拳を振り上げエーテルに殴りかかろうとする。

 

「はぁぁ!!!」

 拳が直撃しようとするその刹那だった、エーテルの体は黒い靄となってその場から消えた。

 

「何!?」

(かくれんぼなんて、卑怯!!)

 

 どこだ?どこへ行った……??どこから出てくるかもわからない恐怖に辺りが包み込まれる。

 

「ふん!!」

 

「しまっ!!」

 どこから来てもいいように構えていたつもりだったが、背後を取られてしまい剣の形に変形させた武器で一撃をくらってしまう。そしてまたエーテルの姿は見えなくなってしまった。

 くそ……ダメだ……ジオフォームじゃ対応しきれない!

 

「アウリス、交代だ!」

 

「わかった!」

 

「風の力解放せよ!!」

≪Gail! metamorphosis!≫

 緑の色のアウリスの粒子が僕の体を包み込むと緑の鎧が形成され、目には鳥を思わせるようなパーツが、装着目は緑色に輝いて、背中には二つに分かれた白い二つに分かれたマントが靡いた。

 

(ねぇ、例のあれやらなくていいの?ダーリン?)

 

(まだだ、まだ早い……フォンセが見たあれを使わせるんだ……)

 

「はぁ!!」

 

(ソゲン、左だ!!)

 アウリスの言う通り左にゲイルスピアを向けると、彼女の言う通りエーテルは左から現れ攻撃を受け止める。

 

「やるな……」

 

「さっきとは違って体が軽いからな!」

 僕は背中の翼を広げ空へ飛び上がる、そして上空から凄まじい速さでエーテルにゲイルスピアで攻撃する。

 

「はぁぁぁ!!」

 

「くっ……」

 エーテルは凄まじい上空からの攻撃に耐えきれずその場に倒れる。

 

(ダーリン!?)

 

(大丈夫だ、このくらいのハンデがないとな……)

 男は体の砂を払い、後ろのマントを黒い翼へと変え上空へ舞い上がり、僕と対峙する。

 

「くそ……そうかフォンセも飛べるってことすっかり忘れてた……」

 そんなことを考えていると目の前にいたはずのエーテルは消えていた。いつの間に!?

 

(どこへ行った……?)

 アウリスも突然の消失に困惑している……まずいどこから来る??落ち着け……焦りは禁物だ……。

 

「フハハハ!!!!」

 突然の不敵な笑い声とともに目の前にエーテルが現れ、不意打ちを受ける。

 

「うわぁぁぁ!!」

 突然の不意打ちにも何とか体制を立て直すが、もうそこにエーテルの姿はいなかった。

くそ!次はどこから来る……?

 

「隙だらけだな……」

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 後ろからの突然の声に振り向こうとするが、振り向く暇もなく地面に叩きつけられる。

 

「くそ……なんて力だ……」

 隣には立ち上がろうとすると隣僕から外れたアウリスの姿があった。まずい……なんだアイツの力は……「大丈夫ですか?」と言いながらセレステとネレイスが近づいてくる。

 

「アイツ……よくもアウリスを!!ソゲン!私の出番ですわ!!」

 

「わかった!」

 立ち上がりアウリスをベルトにネレイスのカードをケースから取り出す。

「水の力……解放せよ!!」

 

≪ Aqueru!metamorphosis!≫

 ネレイスは青い粒子状となり、僕の体に青い鎧となって形成されるとディーパ アクエルフォームが完成する。セレステは肩を貸そうとするがアウリスは大丈夫と言いながら立ち上がり僕の前から離れていく。

 

(あいつを!!アウリスを傷つけたアイツを!!撃ち落としてやる!!!)

 

「ちょ……ネレイス!!」

 僕の体を勝手に動かし空を舞うエーテルに向かって何発も撃ち続ける。

 ダメだ、アウリスを傷つけられた怒りで我を失っていて狙いが定まらない……これではダメだ。

 

「ネレイス、落ち着け!!」

 

「許さない!!許さない!!」

 

「いたずらに撃ち続けちゃダメだ、冷静になれ!」

 僕の言葉に耳を貸さないネレイス、本当にまずい……このままでは!

 

「怒りは時に、自らを殺す凶器にもなる……」

 

「うるさい!!くたばれ!!くたばれええええ!!」

 ダメだ……制御が効かない……どうすれば……!!

 

「本当にお手本のような怒りっぷりだな……」

(ダーリン、覚まさせてあげよ?)

(そうだな……)

 

「ネレイス、本当に落ち着け……!!」

 

「くたばれぇ!!」

 完全に暴走していて全く制御が効かない、頼む落ち着いてくれ!!

 

「ネレイスさん、本当にやばいんじゃ……」

 

「あのままだと、ソゲンもただじゃすまないぞ」

 セレステは刀を構えて、僕の元へ向かおうとするがそれをアウリスは阻止する。

 

「離してください!!!」

 

「やめとけ、セレステ!!君もただじゃすまないぞ!!」

 

「じゃあどうすればいいんですか!!??」

 セレステ言葉を強くしてアウリスに訴えるが、アウリスは何も言えないまま黙ってしまった。2人は暴走したネレイスを前に何もできない……出来ることはソゲンを信じる事だけだ。

 

「ははは!!ディーパ!!お困りのようだね!!」

 

「くっ……」

 上空から見下すように攻撃をかわしながら僕らを見降ろすエーテル。

 

「俺達が助けてあげよう!!」

 そう言って上空を旋回するように僕らに近づくと、黒い翼からまるで短刀のような

黒く鋭くとがった羽を飛ばす。

 

「はっ!!」

 突然の空からの凶器に我に返ったときにはもう遅かった、すでに目の前に迫ってきており全て僕らに命中してしまう。

 

「うわああああああ!!!!」

 

「はっはっは!!!」

 

「くっ……」

 

「ごめんなさい……ソゲン……」

 

「大丈夫か……?ネレイス……?」

 絶望的状況だ……どうすればいい?焦って正常な判断ができなくなってしまっている自分がそこにいた。3人の精霊は僕の周りに集まってくる。

 

(作戦会議カナ?ダーリン?)

 

(所詮どんな作戦を立てようと俺らには勝てないさ……)

 エーテルは静かに僕らの様子を上空から眺めていた。

 

「ゲン……どうする?」

 

「セレステでも無理だ、ここは一旦退散した方が」

 

「諸悪の根源を黙って見過ごせって言うのか!!!???」

 アウリスの言葉に僕は声を荒げる、それに対してセレステも「そうだよ」と賛同の声を上げた。

 

「そ、そうですわ、アウリスの言う通りですわ……」

 

「ソゲン、一応聞くが勝てる算段はあるんだろうな?」

 かくなる上はと用意していた、エクスシアにもらった秘密兵器を取り出す。

 

「ソゲン、それは?」

 

「精霊の力を一つにするアイテムだ、これさえあれば……」

 

「使い方は分かるのか?」

 

「なんとかな」

 

「やるしかないですわね……」

 4人の精霊はお互いの顔を見合わせると利害が一致したのか、全員で首を縦に振った。

 

「行くぞ、皆……」

 

「「「「了解!!!!」」」」

 

(来るよ……ダーリン……)

 オディオは口元を緩めて、今か今かと待ち浴びながら見守る。

 

「ここに4人の精霊を束ねる!!」

 僕は刺さっていたカードを抜きドライバーに装填……しようとした時だった。目の前が突然白くなり、昨日見た夢の映像のようなものが再生される。なんだよこれ……夢でも見てるのか……?

 

「ソゲン君、どうしたの?」

 

「いや、なんでもない……」

 まさか……まだ使うなってことなのか……?いやここで使わなきゃ意味がないだろうが!!

 

 僕はフュージョンウォッチについていたカードをベルトに装填する。

≪fusion stand-by!≫

 

≪agglutination!!≫

 4人が一斉に粒子状になるとまずは3つの粒子が僕の身体へと鎧となり装着されようとした時だった。

 

「させるか!!!」

≪cleaner mode≫

 エーテルは武器を小型の掃除機の形へと変形させる。そうするとけたたましい音ともに3つの粒子を吸い込んでしまったのだ。

 

「何!?」

 そして赤の粒子も例外ではなく、掃除機型の武器に吸い込まれようとしていた。まずい精霊全員を失う訳には……!!

 僕はセレステのカードを急いでセットする。

≪ignis!metamorphosis!≫

 

 吸い込まれようとした粒子はベルトの音声がなった僕の方へと引き寄せられ、赤い鎧を形成しイグニスフォームを完成させる。良かった、間一髪のところだった。

 

「ちっ、一人だめだったかー」

≪sword mode≫

 悔しがるしぐさを見せもう一度剣へと変形させ、僕に向けた。

 

(ソゲン君……皆が……皆が)

 セレステは今にも泣きそうな声で僕の脳内に語り掛けている。

 

「お前、今何をした!!」

 

「あー、そうだったねこの武器の説明をしてなかったねー、これはクリーナーブレイガン。3モードに変形する、そして今使ったのはクリーナモードいかなる粒子も取り残さない。すごい武器だろ?」

 まるで親に買ってもらったおもちゃを自慢する子供の用に説明をするエーテル、その様子に僕の中で怒りの炎が燃え盛っていた。

 

「3人の精霊を返せ!!」

 

「取り返したくば、俺を倒してみなよ」

 

「お前ぇ!!!」

 僕は武器を持たずにエーテルに勢いよく殴りかかろうとするが、ひらりと避けられてしまうだが僕は煮えたぎる怒りを抑えきれず何度もエーテルに殴りかかる。

 

「さっきも言っただろう?怒りと言うものは時に、自らを殺す凶器にもなる……と」

そう言うとクリーナーブレイガンを振り上げ僕の体を斬り裂いた。

 

「ぐわぁぁぁぁ!!!」

(きゃあああああ!!)

 

大きなダメージを受けうつ伏せになって倒れる僕の背中に足を乗せぐりぐりと体重を乗せている。

 

「フハハハ!!!痛いか?俺がディーパから受けたものはこんなものじゃないがなぁ!!

あー、そうか思い出したお前はほとんどダメージを受けてないんだったな」

 

「何っ?」

 

「その様子だと気づいていないようだなぁ??」

 そう言いながらさらに体重を僕の背中にかけるエーテル、セレステは「痛い、痛い」と悲痛の叫びをあげている。

 

「説明してやるよ、ディーパのシステムは装着者の命を第一に守るように設計されている、だからなダメージのほとんどは憑依している精霊がくらうんだよ!!」

 

「なっ!!」

 エーテルのカミングアウトに耳を疑った、ディーパの受けたダメージは精霊がくらう……?確かに言われてみればそうだ、エーテルに吹き飛ばされた時もセレステやネレイスは気絶していたのに僕は気絶していなかった……、じゃあ今まで僕は……精霊を……。

 

「ようやく気付いたようだねぇ……、そうお前は精霊を踏み台にして戦っていたにすぎないんだよぉ!!」

 

「そんな……」

(ソゲン君!!そんな奴の言う事耳を貸しちゃダメ!!)

 僕は……今まで精霊を……。

 

「精霊がいないと何もできない……この役立たずめ!!!」

 何度も何度も「役立たず」と言いながら僕の背中を踏みつける……痛い……痛い……やめろ……僕にその言葉を……。

 

「役立たず!役立たず!」

 ダメだまた僕の心にしまっていたトラウマが……やめろ!!やめてれぇぇぇ!!!!!!

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

 僕はその場で悲痛な叫び声をあげていた、目からは涙が溢れていた何度叫んだかはもう覚えていない頭の中で閉まっていたトラウマがフラッシュバックしまるで目の前に投影され上映されいるようだ。

(ソゲン君!?どうしちゃったの?ソゲン君!?)

 

 セレステの呼びかけも聞こえていなかった、そしてふと真上を見た時だった。そこにはエーテルがいたはずだっただが、錯乱し正常な判断ができていない僕にはそれがエーテルではなくニヤリと僕を見下すかのように笑うトラウマの元凶に見えていた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 一目散に僕はその場から逃げた、何度も転びそうになったがそんなことは関係ない……。今はこの場から離れたい!という気持ちの方が強かったのだ、どこか遠くへアイツにも見つからないようなところへ僕は走り続けていた。

 

(逃げちゃったね)

 

「まさか自分から壊れるとは……」

 男はやれやれと言った感じでベルトを外そうとした時だった。

 

「うぐ……ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」

 エーテルは胸を抑えながらその場に座り込んだ、あまりの苦痛だったのか僕と同じように叫び声をあげた。

 

(ダーリン!?大丈夫?)

 ドライバーは危険を感知したのか、変身を解除させてオディオを鎧から解放する。

 

「大丈夫だ……」

 そう呟き胸を抑える男の顔にはミミズのように血管が何本も浮き上がっていた。

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