仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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王都での日常chapter②

 手紙を読み家を出た僕は王都に裏手にある一つの小さな家の前に来ていた。こんな人気のない場所になんでアイツが住んでるんだろう?と疑問ではあるが入り口に吊るしてあった鐘を叩いた。

 

「はーい、今行きまーす」

 中から純真な声が響きこちらへと向かう足音が聞こえてくる。

 

「やぁやぁよく来ましたねソゲンさん」

 

 中から出てきたのは騎士団のエリーゼだった、いつものトレンドマークである大きな魔女のようなとんがり帽子は被っておらず、鮮やかなピンク色のツインテールにまとめられた髪が風になびいていた。

 こいつこんな色の髪の毛をしていたのか……。

 

「エリーゼ、なんでこんなところに住んでるの?」

 

「そりゃ、人通りの多いところが嫌いだからです」

 騎士団なのにそれでいいのか?呆れそうな理由だったが突っ込むのやめておこう。

 

「で、手紙にいろいろ分かったことがあるって書いてあってここに来たんだけど」

 

「まぁまぁ立ち話もなんですから、どうぞ入ってください」

 僕は案内されるがまま家の中へと入ると、周りには本棚がずらっと並んでいて所々に錬金術とかに使いそうな窯のようなものも置いてあるのが見受けた。

 それにしても女の人にしては凄い質素な部屋だ。僕はエリーゼと向かい合うようにして座ると一冊の本を取り出してきた。

 

「これは?」

 

「先代ディーパバルバトが残したドライバーについて書かれた本の写しです」

 「どうぞ読んでてください」と差し出されて開くとそこには自分が持っていたエレフェントドライバーが描かれており細かく説明文が書かれていた。いつも変身に使うカードも書かれていたが僕が持っているカードとは書かれている精霊のイラストが違った。

 まぁ当然か……こんな昔の精霊が今も生きているはずがないもんな……。

 

「これ……所謂説明書ってやつか?」

 

「そうです、あの黒いドライバーを見た瞬間にどこかで見た事あると思って三日三晩

探してようやく見つけたんです」

 エリーゼは「ここです」とページを捲っていくと、スピリットドライバーと書かれたページへとたどり着く。

 

 同じくそこにもエレフェントドライバーと同じように説明文とともに書かれていたが、何個か違うところがあった。

 まず一つ目はディーパと違い精霊の武器を使えないということだ。その代わりにエーテル・ロッドという専用武器がありロードモッド、ライフルモード、スピアモードの3モードに変形できるようである。だからオディオはフォンセの武器を使っていなかったのか…、クリーナソードガンも奴のオリジナルの武器のようだ。

 

 二つ目はディーパよりもスペックが高く設計されているところで、まぁこれはディーパと違って精霊の武器が使えないから仕方ないのか……。

 そして特筆すべきは3つ目だ。エレフェントドライバーがカードが4枚なのに対して、スピリットドライバーのカードは2枚ということだ。そしてその中にフォンセのカードは……

 

「やっぱりフォンセのカードはない……フォンセの言う通りアイツは本当に霊液で無理やり変身していたのか」

 載っていないという事は正規の変身ではないという事に間違いはない……、しかもドライバーについているはずのカードケースもなかった。それにしてもフォンセの言っていた霊液、遺伝子ってなんだったんだろうか?

 

「霊液はわからなかったんですけど……遺伝子についてはこれかと……」

 そう言って今度はページを戻すと、そこは前書きが書かれているページだった。

 

 これを読んでいる人がいるという事は新たな精霊の霊力に耐えうる遺伝子を持つ人間が現れたという事だろう……新たなるディーパの誕生を祝福するとともにこの世界の未来を託す。

 

 精霊の霊力に耐えうる遺伝子を持つ人間?!僕はそんな特別な人間なのか!?という事は先代ディーパも

 そしてこのスピリットドライバーの正規の装着者も僕と同じ遺伝子を持つ人間……という事なのか??

 だが遺伝子について書かれているのこのページだけで詳細はわからず仕舞いだった。

 

「ドライバーの詳細とか、遺伝子についてはなんとなくわかったけど……肝心の持ち主についてはわかったのか?」

 

「ギクッ……それはその……」

 これはわかっていない顔だ。まぁドライバー渡しただけじゃわかるわけないか……

 

「ただ、噂程度なんですが……帝都バルバトにソゲンさんと同じような騎士がいるって言うのは聞いたことがあります……」

 

「マジで!?」

 

「まぁ噂程度ですよ?如何せん帝都の話はほとんど伝わってきませんから……」

 

「そうなのか?」

 

「まぁ遠い国というのもありますけど、結構秘密主義な国ですからねぇ」

 帝都か……いつかは言ってみたいなものだな……ん?あれ?

 

「今バルバトって言ったか?」

 

「は……はい」

 突然声を高くした僕にびっくりしたエリーゼは目を丸くした。

 

「あの先代ディーパのバルバトが作ったっていう……」

 

「そうです、先代ディーパが作り上げた国帝都バルバトですよ」

 まさかまだ存在しているとは……さっきまでは行けたらいいなと思っていたが、先代ディーパが作った国と聞いては行かなくてはならない理由ができてしまった。なぜならばそこにあるはずだからだ。

 精霊の誕生の秘密が書かれた本が……、これは楽しみになってきたなぁ顔が緩んできてしまった。

 帝都への旅立ちに思いをはせているとエリーゼは「あのー」と水を差してきた。

 

「もし帝都に行くなら、護身用に武器を作った方がいいと思いますよ?」

 

「武器なら……」

 僕がエレフェントドライバーを取り出すとエリーゼは「いやいや」と言いながら腰に差していた聖剣エッケザックスを見せた。

 

「まぁこういう剣とか……、精霊がいない時とかに襲われたらどうするんですか?」

 

「確かにそうだなぁ……」

 護身用の武器か……確かに今まで精霊が身の回りにいて守ってくれていたからそれに甘えていたかもしれない……。

 こうやって一人で出かける機会も増えるだろうし、この機会に作っておくのもいいかもしれない。

 

 しばらくして外を見るともう日が沈もうとしている最中だった。

 

「あ、やっべ……そろそろ帰らないと」

 

「そうですか、ならこの本お貸ししますよ?もっと知っておくべきことがあると思いますし、後ドライバーもお返しします」

 

「そうだな、借りていくよ、ありがとう」

 僕はエリーゼの家を出て帰路に就く、振り向くとエリーゼが小さく手を振ってくれていた。

 本当に小さくて可愛いなアイツ。

 

「小さい言うな!!!!」

なんで聞こえてるの?

 

 

 帰路についてる途中僕は本を広げながら歩いていた。いろいろと分かった事はあったが一番肝心の精霊の誕生はやはり書かれていなかった。

 こればっかし帝都に行かないとわからなさそうだ。旅立つ前に武器も作っておかないとなぁ。

 それといろいろと旅支度もしなくちゃいけないな、また忙しくなりそうだ。そんなことを考えていると気づけばもう自分の屋敷の目の前ついていた。

 

「ただいま」

 

「ソゲン君おかえり」

 

「ソゲン、おかえり」

 扉を開けて入った瞬間にセレステとネレイスが二人仲良く出迎えてくれた。

 

「ゲン、おかえり~!!!」

 

「ぼふッ!!」

 さらに追加の挨拶とともに僕に突進するように抱き着くエンデル、さらにそのまま勢いで僕を押し倒し、すりすりと僕の胸のあたりに顔を猫のようにこすりつけていた。

 

「あはは……エンデルもただいま」

 エンデルの頭を撫でる僕、本当にこの精霊は猫のようだ……

 

「エンデル?早くどきなさい……ソゲンが困ってるでしょ?」

 

「そうだよ?エンデルちゃん~?」

 二人は体から凄まじいオーラを出しながらエンデルを僕から離すと、機嫌が悪そうに僕に「だよね?」と迫る。

 

「いや別に……」

 

「「だよね……??」」

 

「は、はい!!!」

 二人の顔が怖い……、笑ってるけど目は笑ってない……。

 

「はぁ……3人とも、ソゲンが困ってるからそこまでにしとけ」

 階段から降りてきたアウリスが3人にそう言い聞かせるに言うととそれぞれ「はーい」と返事をした。

 ありがとうアウリスさん、助かった。とほっとしていると突然腕をがっしりと掴まれる。

 

「ソゲン君、ご飯出来てるから」

 うむを言う暇もなく僕はそのまま引きずられていってしまう。

 

 

 広いレンガの壁と木の床でできた食堂に引きずりこまれた僕が目にしたのは机に置かれた色とりどりの料理の数々だった。

 

 花模様の陶器の皿に盛り付けられた美しいビーフシチューが置かれている。シチューの香りが、まるで幸福の響きを運んできたかのようだ。

 

 シチューの上には、ゆっくりと煮込まれた牛肉が、優しく崩れるほどの柔らかさで存在している。深い茶色のソースが、肉の一つ一つに絡みつき、舌を優雅な旅へと導く。隣には、色鮮やかな野菜たちが、まるで自然のパレットから飛び出してきたかのような鮮度を保ちながら添えられている。

 そして、シチューの隣に添えられたサラダは、新鮮なレタス、キュウリ、トマトが、

優しく組み合わさっている。彩り豊かな野菜たちは、まるで庭園から摘んできたような活気と清新さを放っている。サラダの上には、シンプルなドレッシングが軽やかにまとわりつき、食欲をそそる。

 

「本当にセレステのこの料理の腕前はどこで身に着けたんですの?」

 セレステとアウリスは机に置かれた贅沢な見た目の手料理を驚いた眼で見ていた。

 

「まぁ、練習したらできるようになりますよ?」

 本当に彼女のシェフ顔負けの腕前は練習だけなんだろうか?

 

 5人はそれぞれ椅子に腰掛けると一斉に「いただきます」と手を合わせた。

席順は僕を挟み込むようにしてセレステとネレイス、そして向かい側にアウリスとエンデルという感じだ。

 二人の圧というかオーラですごく食べずらい……。

 

 震える手でビーフシチューをスプーンで掬い口に運ぶ、おいしい……口の中でとろける牛肉、そして程よいスパイス……森の洋館で食べた時よりパワーアップしてる気がする……。

 気が付くと取りつかれたかのように夢中でビーフシチューを食べていた。

 

「ソゲン君、おかわりあるよ?」

 その様子をにんまりとした顔でセレステは見つめており、僕はその可愛さに負けてしまいセレステに空になった皿を渡してしまう。

 

「おかわり」

 

「はーい」

 気分よくで立ち上がるとセレステは厨房へとスキップをしながら入っていく。さておかわりを待ってる間にサラダでも食べるか……。

 

「ソゲン?ほっぺにビーフシチューがはねてますわ」

 

「マジか……」

 立ち上がって鏡を見に行こうとすると、ネレイスが立ち上がろうとする僕を制止しほっぺを舐めるように口づけをした。

 

「!!??」

 

「すごい……ネレちゅーした」

 エンデルが目を輝かせて隣でアウリスを頭を抱えてため息を付いていた。それよりもセレステに見られたら……と震えていると大盛のビーフシチューが入ったお皿が目の前に置かれ、「いっぱい食べてね」と言いながら座った。

 あれ?全然動揺してない?と言うか全然気にしてない?

 

「あーあー、ソゲンにキスしちゃったー、セレステもまだなのにー」

 ネレイスは何もはんのうしないセレステに動揺しながら大きな声で独り言を言う。

 

「え?私ソゲン君のファーストキス奪っちゃいましたよぉ?」

 セレステが満面の笑みでそう言った瞬間、時間が止まったように辺りが静まり返った。

 

「「ええーーー!!!!!」」

 ネレイスとアウリスは椅子から立ち上がって屋敷中に響くくらいの大声を上げた。

 

「??」

 エンデルは首を傾げてわかっていないようだが、今はそんなことはどうでもいい……。

 なんて事を言ってくれたんだ……。

 

「ちょ、セレステ、皆には内緒って……」

 それを聞いてセレステは慌てて口を抑えるがもう遅い……。

 

「ちょっとソゲンどういうこと!?私が先に貴方に好きって伝えたのに!!」

 

「へ?」

 あーあーもう終わりだ……口は禍の元とはこの事か。

 

「あー、そっかー最近ネレイスさんとソゲン君の距離が近いと思っていたのはそう言う事だったんですね……」

 ネレイスの話のを聞いて、怒りを通り越して笑うセレステ。

 

「貴方こそいっつもいっつもソゲンにくっつい独占して!!挙句の果てにファーストキスまで!!」

 

「うふふふ……ごちそうさまでした~」

 

「許せないですわ……」

 二人は体から今までに見たことがないオーラを出して向かい合うように立っている。まずい止めなくては……。

 止めようと近づこうとするが、今までにないオーラで近づくことができない……。

 

「ここで決着を付けておく必要があるようですわね、セレステ」

 

「ええ、ネレイスさん、どっちがソゲン君に相応しいか……」

 二人は霊服となりそれぞれ武器を構える。まずいこのままだと屋敷が二人によって破壊されてしまう止めなくては!!

 

「やめ!!」

 意を決して二人の間に入ろうとすると、同じく霊服となったアウリスがネレイスを、エンデルがセレステを取り押さえた。

 

「二人ともいい加減にしろ!!ソゲンを守る立場同士が争ってどうするんだ!!!」

 アウリスに叱責され二人は「はぁはぁ……」を息を荒くして睨み合ってる。

 

「はぁ……二人の気持ちは分かった、だけど僕は4人全員同じくらい好きだ……誰か一人を選ぶことなんて出来ない!だから、もう争うのは辞めろ」

 まぁ少なくとも今のところはではあるが……。

 そう言うと二人は「同じくらい好き……」と復唱をしてお互い顔を見合わせて笑っていた。

 はぁこれで何とか一件落着なのか……な??

精霊で誰が好き?

  • セレステ
  • ネレイス
  • アウリス
  • エンデル
  • フォンセ
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