王都上空に一羽のカラスが飛翔する、そのカラスは建物の影に入ると一人の少女へと姿を変えた。
「オディオが滅ぼせなかった王都来ちゃった~」
黒いフードを被り、右手に人形を持つ少女デルヴォイドは王都の地に降り立つ。
カラスのような黒い羽が辺りに無造作に散らばる。
「さーて、ディーパ君はどこかなー」
デルヴォイドは町に向かって歩き出す。
「あ~あ~踊り狂うように発狂する姿が楽しみだな~」
そう言って町に出ようとした時だった、目の前を謎の黒い布で体を覆い顔には不気味な仮面を付けた3人が目の前を通過して行った。
「なにあれ……?」
屋敷を出て王都の城下町へと繰り出した僕とエンデル、彼女は手に持った木箱を振り回すように「ゲンとお出かけ~」と言いながらスキップをしていた。
だが彼女が軽々と振り回している木箱の中には重さ何百キロもあるオリハルコンが入っている。持ち上げる彼女も相当な怪力だが振りましてどこかへ吹っ飛ばしてしまっては相当やばいので止めなくては……。
「エンデル、振り回すのはやめよう危ないからね?」
「ごめんなさい……」
しょんぼりとするエンデルに僕はそっと優しく「怒ってないよ?」と宥める。
「ほんとう?」
「ほんとうだって……」
「エンデルちゃん、怖かったねー」
そう言いながらエンデルの目の前に棒に刺さった大きな丸い飴が差し出される。
「わーい、ありがとう!」
エンデルは差し出された飴を受け取るとペロペロと舐め始めた。
「ミレイユさん……」
「やっほー、ソゲン君~」
目の前にいたのはエリーゼのような黒い大きなトンガリ帽子をかぶった女性魔法使いのミレイユだった。そしてそのミレイユの後ろからは。
「よー、ソゲン」
「レグナーもいたのか」
そう言うとレグナーは不機嫌そうに「なんだよ俺がいちゃ悪いのかよ」と睨みつける。
「いや、そんなことはないんだが……」
「ソゲン君は女の子と一緒に居たいもんねー」
「ちょ、ミレイユさん!?」
僕をからかうようにニヤつきながら僕の肩をつつく。
「ソゲン、お前いつからそんなたらしに……」
「二人してからかわないでください!」
2人は僕の今にも泣きそうになっている様子を見て腹を抱えて笑っていた。
「ごめん、ごめん……、ソゲン君がまた女の子を連れてたからついからかいたくなっちゃって」
「勘弁してください」
「ところで、これなんだ?」
レグナーは不思議そうにエンデルが持っていた木箱を指差した。エンデルは「大切なやつ」と笑顔で言った。
「大切なやつ?」
「レグナー、これ実はな……」
僕はレグナーの耳に小声で木箱の中にオリハルコンが入っている事を説明すると、レグナーは驚愕した顔をして「マジで?」と驚愕する。それを見たミレイユも何々?と言ってこちらに寄ってきた。
「できれば、ここで見せたくないんだけど……」
僕はそんなことを言いながらエンデルに木箱を両手で持たせて箱を小さく開けた。そうすると小さく開けてもオリハルコンの虹色の綺麗な輝きを放った。
「す、すげぇ……これがオリハルコン……」
「初めて見たわ」
「ゲン、なんか人がいっぱい……」
「えっ?」
2人が箱の中身を見ていると、見たことない眩い輝きを放っているものが気になったのか、僕らの周りにはかなりの人だかりができていた。
「まずい、逃げよう!!」
僕はエンデルの手を引っ張り、レグナーとミレイユともにこの場を足早に去って行った。
人通りの少ない場所にやってきた4人。息を整えて周りを見渡して誰かが追って来ていないか確かめる。
良かった誰も追っかけて来てないみたいだ。まさかオリハルコンがあんな綺麗な輝きを放つとは……。
「ごめんね……ソゲン君」
「いえ、僕もまさかあんな輝きを放つとは思わなかったので」
僕は必死で謝るミレイユを宥める。そこまで謝らなくてもいいのにな……。
「これ持ち歩いてどうするんだ?」
「鍛冶屋にもっていって剣にしてもらおうかと……思ってたんだけど……」
「まぁ、さっきのあれじゃあ普通の鍛冶屋に持っていったら大騒ぎになるわね」
そういえば屋敷を出る前アウリスも言っていたな、それに普通の鍛冶屋に持って行って大丈夫か?さっきまでのあの騒ぎ見ると普通の鍛冶屋だと無理だなぁ……。
「あー、皆どうしたのー?」
そう言ってこちらに走ってきたのは騎士団レイナだった。
「それが……」
僕は事の顛末を全て話した、するとレイナは「そういうことならー」と言い、メモとペンをポケットから取り出して、すらすらと何かを書き2枚僕に差し出した。
一枚は鍛冶屋らしき店がある場所を示した地図。
もう一枚はレイナからの紹介状だった。
「そこ行ってみて」
「あの鍛冶屋はまずいんですけど……」
「大丈夫、そこはあんまり有名じゃないし人もあんまりいないよ、でも腕は確かだから」
そう言ってこの場を急いで立ち去ろうとすると、「あ、そうだソゲン君にも言っておかなきゃ」と言い立ち止まった。
「どうしました?」
「ついさっき騎士団に通報があってね、変な黒いマントを付けたやつ3人が王都をうろついているらしいの」
「黒いマントを付けた?」
「どっかの魔法使いじゃねーのか?」
レグナーが呆れてそう言うと「いやそうじゃないのよ」と断言する。
「見た人によると、変な仮面を付けてるみたいなの、魔法使いだったらそんなことしないでしょ?」
「そうね……、仮面を付けているところを見ると、呪術師とかな?」
呪術師か、そんな類のもの達だと良いんだが……まさかオディオの言っていた……!?
「あり得るわね……、そんな訳だからソゲン君もくれぐれも気を付けてね……」
「あ、はい……お気を付けて」
僕は急いで走っていくレイナの後姿をぼーっと眺めていた。
「どうした?ソゲン?」
ぼーっとレイナを眺めていた僕に心配そうに話しかけるレグナーに「いや、なんでもない」と返した。
言えるわけがないよな、オディオにまだ仲間がいるなんて……。
「レグナー、私達もそろそろ」
「そうだな」
「レグナーもどこか行く予定だったのか?」
そう聞くとレグナーは「あぁそうかソゲンには話してなかったか」苦笑いでをしながら言う。
「俺達そろそろまた旅立とうと思っててな、それの買い出しをしていたんだ」
あぁそうかレグナーは僕らと同じ旅をしているんだった。それをこの前の一件でここに留めてしまっているのを忘れてしまっていた。
僕のために嫌いな騎士団に一緒に入ってくれたり、一緒に戦ってくれたりと彼には本当に感謝しても感謝しきれない。
「レグナー、ありがとうな俺のために」
「いいって、俺達は仲間であり、友達だろ?」
そう言いながらレグナーは僕の肩から首に腕を回して肩を組む形となる。本当にレグナーはいい人だ。
元いた世界だとこういうことを言ってくれる人がいなかったので、今僕は目から涙が出そうだった。
「ありがとう、これからもよろしく頼む」
「おう!!じゃあまたなソゲン」
「バイバイ、ソゲン君」
そう言いながら二人は町の中心部へと戻って行った。
二人を見送っていると隣にいたエンデルが僕の服を「ねぇねぇ」と言いながら引っ張ってきた。エンデルの顔を見るとあくびをしすごく眠そうな表情をしていた。
「あぁ、ごめん!!僕達も行こうか!!」
「うん、いこ」
僕らはレイナからもらったメモ帳を見ながら、鍛冶屋へ向かった。
城下町から少し離れた場所にその鍛冶屋はあった。あまり有名じゃないと言っていたが……。看板も出てないし、初見だとわからないなこれは。
「こんにちはー」
店の中に入ると微かな鉄の匂いが鼻をついた、壁にはこの店の店主が作ったであろう剣や槍が壁に飾ってあった。
僕は鍛冶についてわからないが、すごくいい出来であることは見て分かった。
奥に進みカウンターから「すいませんー」ともう一度声をかける。すると奥から女性の驚いた声が聞こえると、次に転んだ音が聞こえる。あれ?これ大丈夫かな?レイナさんに騙されてないよね??
「どうも……いらっしゃいませ……」
奥から出てきたのは背が小さく黒い髪の気弱そうな女性で、暗い青い色の長いスカートのドレスを着ていた。
どうやら僕に相当怯えているようで、体が小刻みに震えていた。こんな気弱そうな人がこの武器を……。
「あの、レイナさんに紹介されてここに来たんだけど」
「レイナさんですか!?」
驚いている彼女にレイナからもらった紹介状を渡すと、黒い髪の女性はジロジロとみて
「この字本物だ……」と呟いた後「本当にお客さん……」と言って僕をジロジロと見つめた。
僕の事まさか荒くれものとかなんかとか思ったのか?
「あの、なんかまずかった?」
「い、いえ!!久しぶりの初見様だったので……」
そう言って笑ってはぐらかした。絶対お客様と思ってなかったな……。
「それでご用件は……」
僕はエンデルに合図をして木箱をカウンターに置き、木箱を開ける。
「これを剣にしてほしいんだけど」
「え……こ……これもしかして……オ……オリハルコン!?」
目を見開いて虹色に輝くオリハルコンを凝視していた。
「そうだよ、できるかな?」
「む……むりです!!こんな……オリハルコンで剣なんて……私には無理です……」
そう言ってドレスのスカートの部分を握りしめる女性。これは不安な気持ちを落ち着かせるために掴んでるな……。
これは多分圧して自信を付かせればいけそうな気がする……
「ここしかないんだ、頼む!!」
僕は手を合わせて頼み込むがそれでも「無理なもの無理なんです!!」と言って目をくるくると回していた。
「別に失敗してもいいからさ……、それにレイナさんが紹介するって事は君相当すごい人ってことだよね?」
「私がすごい人……別にそんなんじゃ……」
そう言って自分を比喩しているが、顔はすごい人と言われて嬉しいのか、少しにやけていた。これはいける……。もう一押し。
「お願い!!君しかいないんだ!!」
頭を深々と下げると女性は「わ、わかりました!わかりましたから!!頭を上げてください!!」と慌てたような口調で承諾した。
ふぅ……なんとかなったぜ。ブラック企業に勤めていた時の話術がここで役に立つとは……。
「ゲン、すごい悪い顔してる」
そう言ってエンデルはなぜか呆れた表情でため息をついていた。
僕が鍛冶屋で懇願している間レイナは王都の町を徘徊していた。
黒いマントを付けた集団どこにいる?スパイ?呪術師?いや正体はどうであれ手遅れになる前に早く見つけないと……。
レイナは見逃さないように目を光らせる。そんな時だった目の前から異様な雰囲気を漂わせる黒いマントと顔に仮面をつけた3人が目の前から歩いてきた。
明らかに怪しすぎる……。3人は騎士団レイナの姿を見ても何も動揺することなく
レイナの横を通り過ぎようとする。
「待ちなさい!」
そういうと3人は立ち止まった。
「貴方達、その仮面とマントを取り正体を明かしなさい!」
3人は無視するように立ち去る、レイナは足を踏み込むと閃光の如く3人目の前に移動し立ちはだかる。
そして剣を抜きけん制する。事の重大さに気づいた周りの住民はざわつき始める。
「待ちなさい!!従わない場合は貴方達を強制的に連行するわよ!」
すると3人はマントを翻し体をさらすと、服の上にカードがセットされた灰色のドライバーが装着されていた。
「なっ!?」
「「「変身……」」」
≪henshin! fantasma soldado!≫
3人がカードをドライバーに一斉に装填すると、灰色の粒子がスーツとなりその上に兵隊をイメージさせるような鎧やパーツが装着され目は黒く不気味に光る。
「な……なにこいつら……?」
「「「ファンタズマソルダード 行動を開始する」」」
そう叫ぶと3人は小さな短剣や槍を構え、一斉にレイナに襲い掛かる。
精霊で誰が好き?
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セレステ
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ネレイス
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アウリス
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エンデル
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フォンセ