仮面ライダーディーパ   作:瓜生史郎

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崩れ去る平和な日常

「あの3人の主犯格が目を覚ましたのか?」

 

「えぇ……」

 3人のファンタズマゾルダードに変身していたうちの一人が今日の朝に目を覚ましたらしい。

 これから尋問を行うという事で、万が一に備えて僕が呼ばれたという事だ。とりあえずディーパソードガンを持ってきておいて正解だったようだ。

 

「僕はここで何をすればいいんですか?」

 中へ入ろうとするエリーゼに疑問をぶつける。

 

「とりあえず、万が一に備えていてくれるだけでいいです」

「わかった」

 案内されたのは、よくテレビで見るような取調室のような場所だった。

 

 エリーゼと共に中へ入ると、既にヴァレリオやアルべリクも座っていた。その隣にはエリーゼと僕が座る椅子も用意されていた。

 

 しばらく座って待っているとレイナと共に兵士に連れられた一人の男がやってくる。それはまさしくファントムゾルダードに変身していた仮面の男の一人だった。男は腕を縄で縛られており静かに椅子に座った。

 

「とりあえず、名前を名乗ってもらえるかしら?」

 

「マルスだ」

 

「貴方はどこから来たの?」

 

「帝都から来た」

 

 男が帝都から来たと言った瞬間、周りにいた騎士団や兵士はざわつき始めた。僕もそのうちの一人である。

 帝都だと……?なんで帝都が王都にこんな刺客を送り込んだんだ?

 

「ちょっと待って……、なんで帝都が王都にこんなことを……?」

 

「知らねーよ、逆に俺が聞きてぇよ……」

 

「本当に何も知らないの?」

 レイナが後でどうなっても知らないぞ?と言う風に脅しをかけるも男はひるまずに「だから知らないって言ってんだろ」と返しさらに続けた。

 

「記憶がねーんだよ……、夜に帝都の町を歩いてたら誰かに連れ去られてしまってよ……

そこから記憶が全くないんだよ」

 

「じゃあ、貴方が私達を襲った事も覚えていないってこと?」

 

「あぁ……そうだよ、多分他の二人に聞いても同じ事を言うと思うぜ」

 

 これ以上の詮索は無意味か……とレイナはあきらめる。だが帝都が何かよからぬ事を考えているという事はわかった。

 それを聞いていたアルべリクは兵士に小声で耳打ちをして命令をすると兵士は部屋を急いで出た。

 

「なぁ、俺はどうなるんだ?」

マルスと言う男は汗を大量に垂らしながら聞く。

 

「さぁね……、それは貴方次第よ……」

 

「まぁ、覚悟はできてるさ……」

 そう言って、マルスと言う男がため息を付いた瞬間だった。突如として先ほどまで何もなかった男が声を荒げて苦しみ始めたのだ。

 「ぐわあああああ」と声を荒げ椅子から転げ落ちもがき苦しんでいた。

 

「ちょ、ちょっと!!」

 レイナは苦しんでいるマルスに近づく、するとマルスの顔を見たレイナが悲鳴を上げる。

 

「いやぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 その悲鳴と共にマルスはこちらにも顔を向ける。

 

「おいおい……まじかよ……」

 男の顔にはまるでミミズのように血管が浮き上がってきており、見るも無残な姿ととなっていた。

 それはまさしくあのオディオの時と同じ……。

 

 それを見たエリーゼはレイナと同じように悲鳴を上げ、さらにアルべリクやヴァレリオもグロテスクな光景に目を逸らす。

 

「霊液の副作用か……」

 僕がそう呟くと、レイナは涙ながらに「どういうことー?」と聞き返す。

 

「霊液というものがあるって事は教えましたよね?それを摂取すると、あのドライバーを使えたり精霊の力を操る事ができるようになるんです。ですが、過剰に摂取しすぎるとこのような副作用が出るんです」

 

「つまり、あのファンタズマゾルダードというものに変身できたのも、霊液と言うものを摂取したからということか……」

 アルべリクはマルスに回復魔法をかけながら、納得した様子で聞いていた。しかしながら少し疑問がわく。なぜ帝都が霊液を持っているんだろう?

 いや先代ディーパが作った国だからあって当然なのか……。

 

「とりあえず、取り調べはここまでにしよう、レイナもエリーゼも限界みたいだしね」

 そう言ってアルべリクはレイナを、ヴァレリオはエリーゼを担ぎ上げ部屋から出ていく。それと回復魔法をかけられ寝静まったマルスも兵士におぶられ部屋を後にした。

 

「ソゲンもご苦労をかけたね……」

 

「い…いえ……」

 全員を見送った後僕はしばらく動けなかった、なんかいろいろとあって疲れた……。

 あのファンタズマゾルダードはやはりオディオの仲間が作ったんだろうか?いや帝都自体が主犯格とか?いろいろな考えが頭の中を錯綜する。

 はぁこんなことになって帝都へ行けなくなったらどうしよう……。大きくため息を付き窓を見ると何かがこっちを見ていた。

 

「カラス……?」

 それは一羽のカラスだった、そのカラスは僕を睨みつけるように窓の外見ていた。なんだ?カラスってこんな鳥だっけ?そんなことを思いながら近づくとさすがにびっくりしたのかその場から黒い羽を散らして飛び立っていく。

 

「なんだったんだろう?」

 暫く僕は窓の外を眺めていた。

 

 

 

 

「ただいまー」

 屋敷に戻った僕は声をかけるが、いつもなら精霊が迎えてくれるのだが今日は誰一人として出てこなかった。

 まさか出かけてるのだろうか?と思いながらリビングにいくと……。

 

「ぐぬぬ……やりますわねセレステ……」

 

「ネレイスさんこそ……」

 セレステとネレイスは机に座りチェスをやっていた。僕は近くで見ていたアウリスの肩を叩き「何やってるの?」と聞く。

 

「あぁ、ソゲンおかえり。今二人はなソゲンと明日買い物にいく権利をかけて戦ってるんだ」

 

「はぁ……ってえ?」

 

「ゲン、どっち応援するの?」

 

「まぁ、どっちも頑張れー」

 

 数十分後。僕は後ろから二人の激闘を観戦しているとようやく決着。

 

「私の勝ちー!!」

 勝ったのはセレステだった。

 

「ぐぬぬぬ……私が負けるなんて……」

 ネレイスは唇を噛みしめて心底悔しがっていた。

 

「ネレイスはチェスも強かったんだ」

 アウリスは僕に耳打ちをする。強かったという事は今は腕が落ちている、という事だろうか……?

 

「ソゲン君、明日は一緒にお買い物行こうねー」

 

「う……うん」

 セレステはそう言うと僕の腕に抱き着き豊満な胸を当ててくる。本当にセレステはいつもこんなことを平気でやってくるがこちらからすると顔を真っ赤にする……。たまにはやり返してやるか。

 

「セレステ」

 

「どうしたのソゲン君?」

 機嫌良くこっちを振り向いた瞬間僕は胸の柔らかい肉の方を触ろうとするが、思った以上に振り向くスピードが速く……。

 

「ソ……ソソソソソソソゲン君!!!!!!!?????」

 顔を真っ赤にして今まで以上に湯気を出すセレステ、まずい、これはまずい……。こんなところ触るつもりはなかったのに。

 

「ソゲン……?さすがにそれは……」

 

「ドン引きするぞ……」

 幸いエンデルは何が起こったのかわかっていなかったみたいではあるが、二人はドン引きしていた。

 

「い、いやこれは……不慮の事故で……」

 僕は突然の出来事に慌てふためていると、セレステは僕に巻き付くように抱き着く。

 

「ソゲン君……えっち……」

 

「ごめん、もうやらないから……」

 

「それだけは許さない!!」

 そう言いながら僕に覆いかぶさり、押し倒す形となる。それだけはまずいやめてほしい!!

 

「ちょ…ちょっと!!!」

 

「セレステ!!」

 

「こら!!セレステ!!」

 セレステは息を荒くしながら僕に覆いかぶさっていた。

 それを引きはがすためにネレイスとアウリスは奮闘するがなかなか離れようとしなかった。こいつこういう時は力が強いな……。

 もう二度とこんな事をしないでおこう。そんな事を考えながらふと窓を見る。あれ?また何かいる!?

 

「ゲン、どうしたの?」

 エンデルがしゃがんで僕の顔を見ながらそう聞いてきたので「いや、窓に何か……」と言うと。

 

「いないよ?ゲン?」

 そういいながらエンデルは窓を見る。気のせいか……と僕は見なかったことにする。カラスがついてくるわけがないよな……。

 ちなみに僕からセレステが離れたのはそこから数十分後のことであった。

 

 

 

 

 

 時は変わって夜中、突然目が焼けるような痛みに襲われる。

 

「いってぇ!!!!!!」

 なんだこれは……マジで痛い!やけどするように痛い……。

 僕は目を洗うために洗面台に向かおうとドアを開けると同じようにネレイスやアウリスやエンデルも同じように目を抑えながら出てきた。

 

「皆もか……?」

 3人の精霊は目を真っ赤にしながら、僕と同じように痛い痛いと涙を流していた。

 

「なんですのこれ~」

 

「目が痛いよ~」

 二人は目が抑えて痛がっていたが、風の精霊であるアウリスは二人以上にダメージを受けていた。

 

「ソゲン……多分台所からだ……」

 アウリスは手を震わせながら台所を指差す。見てこいと言うのか……しょうがないな……原因が分からないと対処のしようがない……。僕は目を抑えながら台所へ向かう。

 

 ようやく階段を降りて、台所に近づくにつれ唐辛子のようなにおいが漂ってくる。誰か僕を懲らしめるためにやってるのか?

 それなら止めるために懲らしめないといけない……。僕は意を決して台所に入る。すると……。

 

「あ……」

 

「何やってるの?」

 

 台所にいたのセレステだった。机の上には煮えたぎるマグマのような赤い料理が……、まさかこれが痛みの原因?

 

「ごめんね、今まで旅で我慢してたんだけど……ようやく住めるところができたから……我慢できなくなっちゃって……」

 

「だからってこんな唐辛子をたくさん使うことないだろ!!!!」

 セレステの後ろに大量の唐辛子のヘタがまとめておかれていた。どうやら原因は激辛料理に使った唐辛子のようだ。多分これ相当辛い奴だ……。

 

「皆、その唐辛子の辛さで目がやられてんだぞ……?」

 

「ごめんね……、これくらいしないと私満足できないの……」

 

「はぁ……、頼むから今度からは外でやってくれ……」

 イニシオ村でおばあちゃんと住んでた時もこんなことをやっていたんだろうか?もしやっていたのならよくおばあさんは耐えれたものだ。

 しばらくして目にゴーグルのようなものをつけた3人がやって来てブチギレられた事は言うまでもない。

精霊で誰が好き?

  • セレステ
  • ネレイス
  • アウリス
  • エンデル
  • フォンセ
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