次の日……、というより4回目のセレステとの買い物の日を迎えた。起き上がって外を見ると相変わらず馬車が置かれていた。
あ、そうだ。手に書かれた文字は残っているのか?急いで確認する。
「良かった!!残ってる!!」
やっぱり僕の見立ては間違っていなかったようだ……。後はこれで……信じてもらうだけ!!
アウリスに頼んで昨日と同じようにリビングに4人の精霊を集め、また昨日と同じように説明を始める。やっぱり昨日と同じく、アウリス以外は僕の事を気遣った言葉をかけてくれるが、やはりアウリスだけは信じてくれなかった。
「証拠はあるのか?」
「証拠ならある!!」
僕は昨日ネレイスから借りたペンで手に書いた文字を見せる。
「これは……!!」
「3回目のループの時ネレイスから借りたペンで書いたものだ、しかも筆記用具はネレイスしか持ってない」
「確かにこの匂いは私のペンのインクですわ……」
僕の手からはほのかにインクの匂いがしていた。このインクの匂いもネレイスの物と言う確実な証拠となっている。
「朝起きてすぐネレイスの部屋に行って書いたんじゃないのか?」
「あり得ませんわ、だって私の部屋はいない間は鍵をかけていますのよ?」
「それに私の今日買うものも、ソゲン君に言ってないのに全部正確に書かれてる」
「じゃあ本当に……」
「本当だ」
アウリスはまだ若干信じきれていないようだ、こうなったらやる行動はただ一つ。
「アウリスもセレステとの買い物についてくるか?」
「わかった……」
馬車に乗った僕ら4人は、市場へと向かっていた。
ネレイスが操縦し、セレステ、アウリス、僕が後ろに座っていた。
「ソゲン君、本当に大丈夫?無理しなくていいんだよ?」
「いや、大丈夫だ」
僕はこうはいっているが、正直もう限界だ。こんな毎日同じことを4回も繰り返されれば精神に来る。正直もう倒れてしまってもおかしくない状況である。だがここで倒れてしまっては敵の思う壺……。だから倒れるわけにはいかないのだ。
セレステが他の買い物に行ってる間、アウリスと共に待っていた。
「本当に起こるんだろうな?」
「あぁ、間違いないはずだ」
そうは言ったが、もしも今行っている行為が見透かされていたとすれば運命が変わっている可能性がある……。
頼む、起こってくれ!!
そして暫くすると……。遠くの方から女性のきゃーー!!!という悲鳴が聞こえる。
「ソゲン!?」
「行こう!!」
僕とアウリスは悲鳴が聞こえた方角へと急いで走った。
「おい姉ちゃん……、さっき肩ぶつかっただろ?」
「ひ……ひうん……助けてぇ~」
「ひうんだってー、猫でもそんな声出さないぜー」
「だ……だれかぁ……」
やっぱりいた。金髪の女性だ。僕はすかさず腰に携えていたディーパソードガンを構えて女性に近づく。
「おい!」
「あ?なんだてめぇは……」
もうこの会話も聞き飽きたなぁ……。めんどくせぇ。頭を掻きながら荒くれ者の耳をかするかかすらないほどの場所をに弾丸を飛ばす。
「ひぃ!!!!」
「死にたくなければ、その娘から離れろ!!」
ディーパソードガンをソードモードに変形させ、荒くれ者の首に突きつけると、怯えた様子で犬のようにきゃんきゃんーと言いながら逃げて行ってしまった。
「ふぅ……」
「助けていただき、ありがとうございます!!その……お名前を……」
長い金髪の女性はにこやかな表情となり僕の腕を掴む。これも4回目だから慣れて来てしまった。やっぱり初めてやられた時のときめきには勝てない。
たしかこの後は凄まじいオーラを出したセレステがくるんだよな……。少し待ってからここから去っていか……。
「あの……、お礼をしたいのでこれから……」
「え、えっとその……」
早くセレステ来てくれ……と願っているとアウリスが後ろ後ろとアピールするように指を指している。
「あの……急いでるんで!!」
僕は凄まじいオーラを出す寸前のセレステの手を取って、アウリスと共にその場から逃げるように走って行った。
「あぁ……。まぁでもまた会えますよね……」
金髪の女性は走り去っていく僕の後姿をずっと見ていた。
「はぁはぁ……本当に手に書いてたことが起こるとは……」
「だから言っただろ?俺はこの光景を4回も見てるんだって……」
人気のない場所に逃げ込んだ3人は息を切らしながら座り込む。セレステもアウリスもようやく信じてくれたようだ。
良かった。ひとまず安心だ。
「あーあーつまんないなー」
突如として聞こえてきた声に僕らは辺りを見渡す。するとセレステが「あれ!」と声を上げ一匹のカラスを指差した。
そのカラスに僕は見覚えがあった。そう4回のループの中でかならずと言っていいほど出現して僕の事を付きまとっていたカラスである。
「誰だ……」
「やっほー、精霊の騎士さん」
カラスが喋った瞬間体が黒く光り小さなゴシックドレスをきた幼い少女へと姿を変える。どす黒く染まった黒い髪のツインテール。
そして真っ白すぎる肌。手には不気味なフランス人形を持っていた。
「お前……何者だ」
「私?私はデルヴォイドっていうのよろしくね?」
そう言ってウインクをするデルヴォイドと呼ばれる少女。愛らしい姿をしているが彼女からはとても悪いオーラを感じた。
「オディオが世話になったね」
「お前やっぱりオディオの仲間だったのか」
「今日は君にお礼をしようと思って……あ、君に取っては4回目か……」
ニヤニヤと馬鹿にするような顔で僕を見ていたが、その目から殺気が感じられて僕の体は震えていた。
「何のつもりだ……?まさかこのループがお礼だと言うのか?」
「ビンゴ!!あたりー!!」
こんなのがお礼だと?馬鹿げた真似を……。俺は拳を強く握りしめる。
「こんな所に閉じ込め、僕を苦しめて、さぞ楽しいだろうな……」
「うん、楽しい~」
無邪気に僕の前でダンスを踊るデルヴォイド。殴りかかりたい気持ちを抑え込んでディーパソードガンに手を伸ばそうとすると黒い羽が迅雷の如く飛んできてディーパソードガンが床に落ちる。
「なに……」
「暴力は嫌いなんだよねぇ……」
先ほどの愛らしい顔とは違い狂気じみた顔となり果ててこちらを睨みつけていた。
その顔に僕と2人の精霊は圧倒される。やはりヤツもオディオの仲間ということか……。
「僕達をここから出せ」
「どうしようかなぁ……?」
「ソゲン、ヤツに言葉で言ってもダメだ……」
「あぁ、そうだな。いくぞセレステ」
ドライバーを装着し、セレステのカードを取り出すとデルヴォイドは「あれれー?いいのかなー?」と言い制止する。
「どういうことだ?」
「私を倒すとここから出られなくなっちゃうよ?」
「は?」
突然のカミングアウトに僕は唖然とする。いや惑わされるな……。ヤツは俺達を陥れようとしている。
「ふざけるな……!!変身!!」
(ignis!metamorphosis!)
ディーパ イグニスフォームに変身すると、落ちていたディーパソードガンを拾い上げ右手に持ち、さらにイグニスブレードを左手に持ってデルヴォイドに突撃する。
「しょうがないなー」
一言言うと、愛らしい姿に黒い煙のような靄がかかり姿形が二足歩行で赤い瞳の鳥人間のような怪物となり果てる。
「お前を倒して、このループから脱出だ!!」
「相手してあげるからかかってきなよ」
精霊で誰が好き?
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セレステ
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ネレイス
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アウリス
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エンデル
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フォンセ