デスゲーム出身PK狩りがいろいろやる話 作:ゴリ押しこそ至高
身体を横たえていたベッドが軋む音がした。
あの後、リーファ&レコンのパーティと街に戻ってから皆疲れを理由に解散した。
フカ次郎はご飯の後に再びログインすると言っていたが、自分は断りログアウト。
夜になりすっかり暗くなってしまった部屋で、しばしぼんやりと天井を見る。
ふと、あのサラマンダーのプレイヤーを思い出す。
彼は感情的だったが、話をしてみれば性根は仲間思いの優しい男だった。
PKプレイヤーなのに。
違和感。
喉の奥が熱くなる感覚を覚え、徐々に鮮明になっていく。
最初はSAOでのPKプレイヤーへの態度と変わらない、辛辣な言葉と容赦無い手段を用いた自覚があった。
それが日常だったから。
事実「どうするか」と問うた時、自分はどんな会話になろうと最終的にどちらかのHPが底をつくまで戦うのが決着だと考えていた。
帰ってきたのは対話の選択肢だった。
先程までPKを、楽しむ目的でやるつもりの表情だった男が、対話を望んだ。
経験が無かった。SAOで拘束した奴らだって達磨にして回廊結晶で監獄送りだったのに。
あそこで判断をフカ次郎に委ねたのは、彼女を立てようとしただけじゃない。師匠に弟子として分からないことを聞く他無かったのだ。
PKプレイヤーは対話して和解する事が出来ない。それはSAO特有の文化だったのかもしれない。
………本当に?
喉の奥がさらに熱を持つ感覚。
本当に彼らとの和解は出来なかった?
対話出来た可能性がある相手を、自分は殺した?
手洗いに駆け込み吐いた。胃液しか出ない。
「違う…」
あの世界はSAOじゃない。ALOで人は死なない。
でも仮想世界である点は一緒だ。仮想世界で、確かに自分は和解出来た。
自分の冷静な部分が、SAOとは違うと主張している。そしておそらくそれは正解だ。
でも、それは主観だ。側から見れば同じに見えるのかもしれない。
自分と、PoHが、同族に見えているかもしれない。
そういう思考を、一度持ってしまった。
再び嘔吐。
「違う、違う違う…」
アイツなんかとは違う。アイツは自分と違って自身の欲求の為の殺人に、世間なんかどうでも良いと言わんばかりの行動を…。
『世間が悪者扱い?それがなんだ!アイツがペインアブゾーバーの無いリアルに帰ってきた事を後悔させてやる!たとえおれが裁判で死刑になるとしても思いつく限りの拷問をして、可能な限り凄惨にぶち殺してやる!』
アンドリューさんに言った言葉が、今になって『違う』という主張を否定する。
そこから三日後に街中で気を失って病院に搬送されるまで、まともな睡眠を取れなかった。