デスゲーム出身PK狩りがいろいろやる話 作:ゴリ押しこそ至高
「今回もいい感じだな。ありがてえ話だ」
その日の納品分のコーヒー豆の搬入を終えた巨漢は、その中の『試』とだけ書いてある袋の中身を試しに淹れて休憩がてらに飲んでいた。
「こんにちは!エギルさんつまめるものなんかあります?」
「よう直葉ちゃん。クッキーをサービスするからこれを飲んでみないか?」
「コーヒーですか?」
「おう、苦味を抑えて飲みやすい品種でな。卸業者さん曰く、最近市場に参入してきた農場らしい。日本の輸入してる貿易商が一社しかねえんだと」
「それじゃあお兄ちゃん達が来るまでに一杯…あ、ほんとだ。あまり苦く無いですね」
「おう、もちろん淹れ方も工夫してるんだがここまで苦味を抑えられる品種は稀だ。カフェラテとかにしたらもっと飲みやすいはずだぞ」
「って事は新商品に?」
「何人かに試飲してもらってからな」
「楽しみにしてます!」
「おう、どうも。っと待ち人来たる、だな」
常連の二人が店に入ってくるのを出迎え、新商品候補の味見をさせつつ話題は本日の目的に自然となっていった。
「で…なんだって直葉ちゃんを呼び出したんだ?」
「最近のスグの話を聞いてて確信を持ったから、ちょっとした話をな」
「キリトくん、確信って言うと?」
「スグの同行者だよ。十中八九アオバだろうなって」
「?アオバさんと知り合い?」
「ああ、というか皆に紹介したい人ってのはアオバなんだ」
「………つまり、偶然にもお兄ちゃんが紹介したいって言った人はすでに私の知り合いだったんだね」
「まあな。で、話の内容なんだけど…合流するまでにアオバがコンバートしなきゃいけない時があったら、アイテムを預かってやって欲しいんだ」
「コンバート?なんで『しなきゃいけない』なんだ?」
「あー…エギルは直接聞いてたけどアオバの話でさ、『PoHを追い詰めていた』って言ってただろ?」
「確かに言ってたが……コンバートに何か関係あるのか?」
「それに関して、ALOの運営側の人と話をする機会があってさ。曰く『PKプレイヤーという対人戦に長けたプレイヤーを追い詰められるのは、君と同じような特殊なスキルを与えられていたのかも…テストプレイに協力してくれないだろうか?』って」
「ちょっと待って?アオバさんってPKプレイヤーを追ってたって事?死んだらリアルでも死んじゃうゲームの中で?」
「あ………まあその話はアオバが詳しく説明する気になってからとして…この話で重要なのはALOに何かしらの要素が新しく追加される可能性があって、そのテストプレイの為にアオバがコンバートしなきゃいけないかもという訳だ」
「………まあいいや。本人の居ない所で聞くのもなんかアレだしね」
「所でお兄ちゃん。アオバさんが会うつもりの人たちがお兄ちゃんの紹介したい人たちって事はさ、すごいプレイヤーがいるんでしょ?アオバさんから聞いたよ」
「すごいプレイヤー?なんの話だ?」
「曰く『最初のフロアボスにトドメをさした有名なソロプレイヤー』とか」
「うぐっ!?」
「『最強ギルドの副団長』とか」
「………」
「あとは……『クリア直前にユニークスキルが発覚して最強ギルドの団長と一騎打ちして新聞を賑わせたプレイヤー』だったかな。どこまでホントなんだろう?」
「スグちゃん、全部ホントだぜ。なんなら今すぐにでも本人からエピソードトークでも聞いてみるか?」
「うーん……今はいいかな!会った時の楽しみにとっておきます!あ、もうこんな時間だ。高校の入学前課題もあるのでそろそろ帰りますね。お兄ちゃんもあんまり遅くまでアスナさん連れ回しちゃだめだよ!」
「お、おう…」
「ま、またね直葉ちゃん…」
「さて、キリトよ………妙に饒舌だったじゃねえか。何か隠してるな?」
「そうね。少なくともALOの運営からっていうのはウソでしょう?」
「………バレたか。本当はSAO対策に関わってた人から言われたんだ。今は詳しくは話せないけど…まあそのうちな」
「危ない事じゃ無いでしょうね」
「そこは安心して欲しい。そもそもナーヴギアを使ってのコンバートじゃ無いんだから平気だよ」
「どうだかな。お前の無茶はクラインからも聞いてるしオレもよく知ってるぞ?クリスマスボスの件とかな」
「今回は本当に大丈夫だから…むしろ怖いのはアオバの方だよ」
「?何かあるの?」
「ああ、まあな。これに関してもアオバが話すまで待ってあげて欲しい」
携帯に届いた文面に、アオバは驚愕していた。多少の歓喜もあったかもしれないが。
『from.菊岡』
『ラフコフを名乗る集団の情報があった。
何かわかれば追って連絡する。』