デスゲーム出身PK狩りがいろいろやる話 作:ゴリ押しこそ至高
〜sideアオバ〜
(速いし、剣での攻撃は的確に受け流してくる…対人戦にもっと慣れたら体術の反撃にも対応してくるだろうなあコレ。流石は攻略組)
とはいえ、ダメージレースではこちらが勝っている。
舐めている訳でも油断している訳でも無く、このままなら勝利をおさめることができると確信していた。
そう『このままなら』確信できた。
アスナが急に動きを変えた。
このデュエルで初めて受け流さず、しっかりとしたガードをしてわざと吹き飛んだ。
即座に追撃に走るが、この判断を下すにあたってアオバには誤算と足りない情報があった。
誤算は『対人戦におけるセオリーを大きく逸脱してこないだろうという予想』をした事だ。
アスナは知っている限り堅実な戦いをする人だし、対人戦は知らないにしても多少のセオリーは頭に入っているだろう。そう考えた。
足りない情報は……
『ソードスキルの動き……慣れ親しんだ動きの再現という一点において、アスナに速度で勝るプレイヤーなど存在しない』
少年が油断無く、安易に取った防御が崩れる。
〜sideアスナ〜
〈フラッシングペネトレイター〉細剣系最上級単発突進技
ソードスキルの光は無くとも、その動きはまさにかの剣技そのものだった。
タイマンの対人戦において、上級のソードスキルはほとんど使われない。
使用後硬直の長さや太刀筋の固定のデメリットは、AIで動いている訳では無い人間相手ではあまりにも大きい。
故に対人におけるセオリーに当てはめれば本来放たれる筈のない一撃。
そしてこのALOのシステム上無いはずのソードスキルの動き。
重ねて未だかつて見たことのない速度。
それら全てが、SAOにおける対人戦のベテランであるアオバにマイナスに働いた。
「今っ…!」
アスナの全体重+最高速度の乗った突き。
本来手数で攻める武器で知られるレイピアは、そのセオリーに反して完璧だった筈の両手武器でのガードを確かに崩した。
(ここしか無い!)
慣れ親しんだ動き。ガードを崩した敵に対して、何度も放って来たソードスキルの構えが自然に出る。
〈スタースプラッシュ〉
その最初の一撃が、少年の喉元をまっすぐに狙い……
何が起こったのかわからなかった。
触覚再生エンジンが、顔と頭に大きな衝撃があった事を伝える。
レイピアは…ちゃんと握っている。
目の前で逆さまになっている対戦相手の顔に苦し紛れに一閃。
屈んで避けられる。……逆さま?
腹に衝撃。なすすべなく吹っ飛んで転がる。
まだ負けてない。立て。まだ負けてない。相手から目を逸らしちゃダメ。
そうやって再び見た相手は怯えたような顔をして、何かを呟いた。
ALOデュエル大会【魔無き妖精剣闘士】
優勝:アスナ〈ウンディーネ〉
準優勝:アオバ〈シルフ〉