デスゲーム出身PK狩りがいろいろやる話   作:ゴリ押しこそ至高

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知り合いと後悔

「足遅いな……インドアの仕事だからかな?」

 

追跡を始めて数分が経過。

 

〈自分は物陰に隠れながら、疾走している肥満には見えない成人男性を追わなければならない〉

という条件は少し前までリハビリが必要だった自分には厳しいと思っていたが、想定より須郷の走りが遅かった為息もそれほどあがらず追跡する事が出来た。

 

今現在、病院の駐車場にできた暗がりに須郷が隠れていて、それを遠巻きに監視出来る別の暗がりに自分の身を隠している。

 

暗がりに隠れている顔面が痙攣している成人男性を、これまた暗がりに隠れている中性的な顔立ちの男というのは、側から見たら実にシュールな絵面だろう。

 

と、不意に自分の居る場所に少し光が入る。

 

音を聞くにどうやら背後の駐輪場に誰かがバイクを停めようとしている様だ。

 

焦っているのか手がかじかんでいるのか、ヘルメットを外すのに手間取っているらしい。

 

咄嗟に財布を適当な場所に落として、それを探している様に地面に這いつくばる。手が寒いが仕方ないだろう。

 

ヘルメットを外した男が小走りでこちらに近づく音が聞こえる。

 

小走りという事はやはり急いでいるのだろうか。

 

「うお!?びっくりした…何してるんです?」

 

…話しかけてきた。急いでるんでしょ無視しなよと思ったが、よく考えたら暗がりで人が這いつくばってたら気になるに決まってる。

 

隠れ直さないと考えつつ、仕方なく顔を上げつつ対応する。

 

「いやその…財布を落としてしまって。携帯もバッテリーが寒さで悪くなったのか使えな…えっ」

 

見上げた先にあった、街灯に照らし出された顔は自分の知った顔だった。

 

「えっって…どこかでお会いしました?」

 

「失礼、知り合いに顔が似ていてですね。………お急ぎだったのでは?」

 

お会いしているだろう。なんなら会話も何度かしているし、共通の知り合いすらいるし、命懸けの戦いで背中を預けた経験まである。

 

「いえいえ、気が急いてただけですよ。探し難いだろうし、俺の携帯で照らします」

 

(敬語使われると違和感凄いな!SAOとの口調の差が凄いよキリト君!)

 

ここで会うなんて想定外すぎる。そしてまずいかも知れない。

 

何せ自分は須郷への盗聴で知っているのだ。この男は須郷からすこぶる印象が悪い。

 

ここで顔を完全に見られて和やかに話しかけてこられたら、須郷の自分に対する印象は〈自分の嫌いな人物と親しい人〉になってしまうだろう。

 

それだけは避けねばなるまい。メリットが〈アスナを知っている理由を説明しなくて良くなる〉くらいしか無い。

 

照らされる前に財布を拾い、立ち上がる。

 

「見つかったので大丈夫ですよ!気にかけてくれてありが」

 

風切り音がした。

 

鉄の様な匂いが漂って来る。

 

目の前の男が横に倒れ、左の二の腕がよく見えた。

 

斬られている。

 

「何っが!」

 

キリトを切りつけた下手人は自分に標的を変えたらしい。

こちらに突き出される大型のナイフを咄嗟に後ろに飛び退いてかわす。

 

が、ここが駐車場と駐輪場の間である事を失念していた。

 

背後にあった車に背中を思いっきりぶつけてしまい、肺の空気が無理矢理吐かれる感触に襲われる。

 

視界に火花の様なものがちらついたが、かろうじて襲撃者の顔を認識した。

 

須郷だった。痙攣した顔に気味の悪い笑みを貼り付けて、ナイフについた血を振り落としている。

 

よく知っている表情だ。

 

人を殺すのに快楽すら感じる様な奴らと同じ顔をしていた。

 

反射的に身体が動く。

 

無理矢理に息を吸い込み、相手の脇腹に思いっきり蹴りを入れる。

 

不意をつかれたのだろう。後ろにひっくり返る須郷に対して、背中の両手剣を抜きざまにソードスk………剣が無い。

 

リアルなのであたり前だが、剣が無いしなんなら鞘も無いことに思わずフリーズしてしまう。先程無理矢理吸った空気は、いまだ肺に入っただけだった様だ。

 

いつのまにかキリトは普通に立ち上がっているし、なんならナイフを奪って無力化してかっこいい問答まで始まっている。

 

………恥ずかしさで死にたくなって来た。




キリト君とのリアル初遭遇回です。

ラストの描写でお察しでしょうが、この主人公は意外と残念っ子タイプとなります。

策だの計画だの言ってるから貧民街時代のシーザータイプだと思われた方々〜

騙されましたね!

主人公の種族は?

  • 緑色着てたんだろ!シルフでしょ!
  • 歌って戦え!プーカこそ至高!
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