デスゲーム出身PK狩りがいろいろやる話   作:ゴリ押しこそ至高

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前進!

あのアンドリューさんの店での一件の翌日。

 

キリトに呼び出され、正直慣れないちょっとお高い中華の店の席に座っていた。

 

アンドリューさんへの詫びの菓子折りでもそこそこ出費したが、この店で払うとなれば今週の生活費を切り詰めるハメになるだろう。

 

というかキリトもまだ未成年のはずなんだけど、もしかして結構金持ちなのかな?

 

なんて考えていたら個室のドアが開いた。

 

「待たせたなアオバ。この人の前の用事が少し時間オーバーしちゃったらしくてさ」

 

「その人は?」

 

「ああ、自己紹介させてもらうよ。菊岡誠二郎という者だ。よろしく」

 

「よろしくお願いします。菊岡さん」

 

「まずは腹ごしらえといこうか。奢りだから好きに頼むと良いよ。どうせ経費で落ちる」

 

そこからしばらく静かな食事が続いた。ここの炒飯お肉が大きめで美味しい。

 

「さて、僕がどのような立場か教えておこうかな。総務官僚で、今は通信ネットワーク仮想空間管理課…まあ正式名称は長ったらしいから仮想課って呼ばれている場所に配属されている」

 

「…SAOの対策に関わってた課でしたっけ。キリトとはSAOでの出来事でも聞き出そうとして知り合いに?」

 

「メンタルケアもかねていたつもりだったけど概ねそうだね。最もメンタルケアが必要なのは君だったようだけど」

 

「本当にメンタルケアのつもりあったか?結構踏み込んだ質問もあった気がするけど」

 

「そこに突っ込まないでくれると助かるよキリトくん。そのつもりはあっても専門家では無いんだから上手くいかないのも仕方ないだろう?」

 

「話を続けましょう。…その口ぶりだとこっちの事情は知ってるみたいですが?」

 

「ああ、だいたいはね。SAO内での殺人プレイヤーに対してだろう?」

 

「先に言っておきますけど、意見は変わりませんよ。彼…いや、彼らは紛れもなく殺人鬼です。リアルでも殺しに躊躇はしても後悔はしない連中だと確信しています。おれは復讐を果たせる、世間は殺人鬼が死んで復讐鬼が牢の中だ。win-winでしょう?」

 

「まあ待ってくれ。君を牢に入れるのは損失でしか無いと考えている」

 

「なら法改正にでも動いてくれるんですか?現実的では無いでしょう。証拠無しでキルログだけ見るならおれも奴らと遜色ない数殺してますし、証拠を集める手段があるならこんな法にはなっていない……違いますか?」

 

「その通り、だから法改正なんか出来ないし、する必要が無いやり方を提案したいと考えている」

 

「……聞きましょう」

 

「こちらとしても、彼等が何もしないとは思えないからね。故に備えが必要と考えているんだ。しかしリアルでの人員を集めても、仮想世界で彼等より上手く動ける人の育成は困難……そこで仮想世界で2年間戦い続けた実績を持つ君達だ」

 

「仮想世界を含む犯罪に対して解決に協力しろと?」

 

「そういう事になるね。直接手をくだす事は流石にナシだけど、彼等に法の裁きを適切に与えると約束する。この場で念書を書いたって良い」

 

「奴らが本当に犯罪を起こす保証なんてどこにも無いでしょう。おれの目的は奴らを含む有象無象に罰を与える事じゃなくて、奴らに復讐する事ですよ」

 

「では僕より、どころかキリトくんよりも彼等と対峙したであろう君に聞こう。仮想世界を介した殺人に魅入られた彼等が、このまま大人しくしている保証はどこにある?」

 

……言い返せない。

 

正直落とし所としてはちょっと物足りない程度だし、この男に取り入るのが情報を得る最善だ。なんならPoHの居場所さえ入手すればさっさと裏切って殺しに行けば良い。

 

なんで素直に話を受け入れない?何が引っ掛かってる?

 

沈黙を数分続けたおれを気遣ったのか、今まで問答を静観していたキリトが口を開く。

 

「アオバ、この話受けてみないか?今は確かに復讐心でいっぱいかもしれない。だけど、いざあいつらのうちの誰かが法で裁かれたらそれで心境が変わるかもだしさ」

 

「…これがいい落とし所だとは思ってる。だけど何か…何かが引っ掛かってるんだ。少し、考える期間が欲しい」

 

「わかった。どのみち今すぐに事件が発生する訳じゃないんだ、良い返事を期待しているよ」

 

「すみません」

 

「それから、これは期待を込めたプレゼントだ。受け取って欲しい」

 

「これは?」

 

「アミュスフィア…ナーヴギアの後継機だ。別のゲームは良い刺激になると思うよ?」

 

 

 

店を出て、キリトと並んで歩く。

 

あの後、菊岡さんは別件があったのか電話に少し対応した後慌ただしく店を出た。

 

「アミュスフィア…といってもどんなゲームに手を出せば良いやら」

 

「ALOはどうだ?SAOみたいに剣を使った戦闘もあるし、魔法も目新しくて面白いぞ」

 

「まあ共通の部分がありつつ新要素があるのはとっつきやすくはあるね」

 

「だろ?実はエギル含めて仲間の殆どはALOをメインゲームにしててな。SAOのステータスも引き継げるから序盤進めやすいし」

 

「なるほど、コンバート機能ってやつだね。早速始めるよ」

 

「ああ、しばらくは命のやり取りがない仮想世界をのんびり見て回るのも良いかもな」

 

「そうだね。っと、おれこっちだ。…そういえばずっと言い忘れてた事があったな」

 

「言い忘れてた?」

 

「そうそう。じゃあ…おれ、リアルでの名前は春野若葉って言うんだ。リアルでハンドルネームで呼ばれ続けるのもあれだから、教えとくよ。まあ好きに呼んで良いけど」

 

「んじゃこっちも改めて… 桐ヶ谷和人だ。よろしく、若葉」

 

「ああ、よろしくね和人。…ALOである程度自由がきくくらい装備を整えたらゲーム内でも会いにいくよ。その時は連絡する!それじゃあまたね」

 

「待ってるよ。それじゃまた」

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