そこで、従兄弟のバンドメンバーの星歌さんの演奏に魅了され、従兄弟に頼み、ライブに通うようになる。
4つ年下の一人の少女と出会う。その少女の名前は『虹夏』。
米津玄師並みの才能をもった星歌ガチ勢のオリ主が、虹夏ちゃんを強化していくお話です。
初めて音楽に惹かれたのは、小学校の高学年の頃。
正月の親戚の集まり、そこでバンドをやっている従兄弟がお年玉と称してくれた一枚のチケット。
両親からは危ないからやめた方がいいといわれたが、ライブというものに言ったことがない自分はどうしても行ってみたく、
従妹と一緒に両親を説得し、小学生ながら初のライブに向かうこととなった。
薄暗いライブハウスはいかにも大人の世界といった感じでとても興奮した。
小学生ということもあって、フロアで見ることはできなかったが舞台裏から見ることが出来た。
その時の熱量、見たことの無い従妹の顔、何もかもが知らないことだらけで
でも、その知らなくても、演奏者の感情がダイレクトに伝わる。
中でも、金髪のお姉さんが演奏していたギターの音色に魅了された。
その演奏が上手いのか、凄いのかはそもそも比べるものがないからわからない。
それでもその音色に絡めとられ、目が離せなかった。
あっという間に時間が過ぎ、従妹のバンドの演奏は終わり、従妹が自分のところに戻ってきた。
「ケン、どうだった? 兄さんの超絶ベーステク」
「めちゃくちゃよかった、でも金髪のお姉さんの方が神的に良かった!」
「マセガキめ、女の人が好きなだけなんじゃねーのか?」
なんて笑って髪をぐりぐりとなでてきた。
「誰この子?」
短髪のギターを弾きながら歌っていたお兄さんが聞いてくる。
「従兄弟だよ、ライブとか行ったことないっていうから、お年玉でチケット上げたら喜んでついてきた」
「お年玉をやる金がなかっただけじゃねーのか?」
「そうとも言えるが、金よりいいものだと俺は思うね、親の説得も大変だったし」
さっきギターを弾いていたお姉さんが従兄弟に突っ込みを入れる。
「よねやんに全く似てないね! めっちゃ可愛い」
ドラムを叩いていたお姉さんに頭を撫でられる。
「やめろ、リナ。俺の従兄弟にきやすく触るな、そいつの両親からその子の安全を任されてるんだ」
「私は安全です~だから触ってもいいんです~」
「酒に飲まれて普通に俺らより暴れるドラムゴリラがなんか言ってるぞ」
「だれがゴリラか! 失礼だな!」
なんて和気あいあいとはしゃいでいる。
その時、従兄弟が俺の手を引いてリナさんから引き離すと金髪のお姉さんの前に連れてこられた。
「ケン、お前が神的良かったと言っていた星歌お姉さんだ直接感想言ってやれ、怖い顔してるが喜ぶから」
なんて言うと星歌さんは無言で従兄弟わき腹を殴った。
……ホントに怖い人なのかもしれない
でも、俺はさっきのライブで感じたこと星歌さんのの演奏がとてもよかったことを思いつく限り、つたない言葉だったがそれを伝えた。
なんていったかは正直曖昧にしか覚えていない。
俺はいつかこんな音を、音色を、感動を、感情を、伝えることが出来るバンドを作って、この人たちみたいになりたい。
そんなことを言っていた気がする。
それを聞いていたメンバーはうれしそうに笑っていたが、星歌さんは顔を背けてしまっていた。
今考えると照れていたのだろう。
「ウチの妹も、こいつみたいに素直だとよかったんだけどな……」
どこか寂しそうな顔でそんなことを言った。
それからは、特に習い事もしていなく暇だった俺は親に頼み込んで時々、従兄弟のバンドを見に行くことになった2回目以降は、ライブスタジオの証明さんがついてくれてフロアで演奏を聴くことが出来た。
夢のような時間だった。
そして、何度も聞くうちに改めて、星歌さんの演奏に惹かれていることを再認識し、いつか星歌さんと演奏をしたいと思うようになった。
ある日、いつも通り従兄弟に証明さんに預けられた俺は、ある少女と出会う。
チープなリボンを付けた星歌さんに連れられてきた少女。
名前は『虹夏』といった。
「帰る!」
その子はなぜか帰ろうとしていた。
「帰るなんて言うな、ほんとは来たかったんだろ?」
星歌さんが優しそうに微笑む。
最近、星歌さんは雰囲気が変わった。
もともとリナさんみたいに明るい人でもなかったが、最近は無理して明るくしてるようなそんな雰囲気があった。
「ケン。こいつは虹夏、前に話してた私の妹だ気難しいが面倒見てやってくれ」
「気難しくないもん!」
反抗期なのだろうか?
「わかりましたよろしくお願いします。虹歌ちゃん」
「よろしくお願いします……」
虹歌ちゃんを預けると星歌さんはいなくなってしまった。
特に何を話していいのかわからなくなってしまいきまづい沈黙が流れる。
「虹夏ちゃんはバンドすきなの~?」
その空気を察した証明さんが話を振ってくれる。
「好きじゃないです、何が面白いのかわからないです……」
その瞬間、この子とは仲良くなれそうにないなと思った。
──この先、一番多く関わる少女となることも知らずに