ぼっち・ざ・こんだくたー   作:二階堂ハーパー

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私が失踪している間にオリ主のライバルになりそうなキャラ原作に来てるじゃないか…
後失踪してスイマセン
許して・・・許して・・・

あっバンド物で最近おすすめの漫画あるんですけど
ふつうの軽音部です
読んで・・・読んで・・・


RUSSIAN ROULETTE

先ほどの演奏で「演奏上手(笑)」で知られるギターヒーロー様が、へにょへにょのクソ演奏をしてしまったのには、明確な理由がある。

 

まず一つは、一目見てわかるように立ち演奏に慣れていないこと。

それに加えて段ボールの中という、まともに視界も確保できない環境だ。

 

そしてもう一つは、山田と虹夏のリズムの取り合いについていけず、途中でリズムが完全に迷子になったことだ。

ギターヒーローさんには、そもそも一緒に演奏できる仲間がいない。

 

普段は独りで弾くか、用意された伴奏に合わせるだけ。

バンド演奏という「呼吸を合わせる行為」を経験していないのだから、無理もない。

 

バンド演奏はまだ簡単な部類だとはいえ、おそらく今回は事前の練習すらろくにしていなかったのだろう。

 

普段の「弾いてみた」動画なら、伴奏に合わせて弾くだけで成立する。

誰かに合わせる必要はなく、ある程度、速さ・強弱・ニュアンス・フレーズを自分のやりたいように表現できる。

 

だがバンド演奏となるとそうはいかない。

互いの呼吸を感じ、同じ景色を見て、音を支え合う必要がある。

 

普通なら事前に「どんな感じでやりたいか」を共有するものだ。

長年一緒にやってきたメンバーなら「大体こんな感じで」といった曖昧なニュアンスでも通じることもある。

 

だが今回のように、ギターヒーローさんが“レンタル”された形なら、虹夏か山田が曲の方向性や演奏イメージを明確に伝える必要があった。

それができていなかったから、先ほどの演奏のような惨状になったのだ。

 

虹夏はまだ「ステージで演奏する意味」を理解していないのだろう。

 

ライブハウスで演奏するということは、たとえ自分たち目当ての客でなくても、金銭を払って音楽を聴きに来ている人たちの前に立つということだ。

 

しかも今の時代は、サブスクでプロの音楽が聴き放題。

わざわざ金を払い、知らないバンドの演奏を聴く客は、ある意味“神様”のような存在だ。

 

そんな相手に対して、はっきり言えばゴミのような演奏を聴かせてしまった――その罪の意識は、おそらく虹夏や山田にはない。

 

もちろん、下手でも一生懸命なら良い。

だが、先ほどのは違った。成り行き任せの寄せ集め、まさにゴミだった。

 

普通の箱ならオーナーに怒られるところだろうが、星歌さんは虹夏に甘いからなぁ……。

 

後で少しはきつく言わなければ、と考えながら演奏が始まるのを待っていた。

だが一向に始まらない。

 

段ボールを目の前に、ドラムにただボケっと座っているような姿になってしまっていた。

 

仕方なく、サブのスティックを段ボールに向かって投げる。

先端が突き刺さり、小さな声が漏れた。

 

フリーズしているわけではないと分かり、数拍遅れて、ギャギャギャッと勢いよく演奏が始まる。

 

――よし、やるか。

 

始まってみれば、先ほどと同じ人物が中にいるのか疑いたくなるほどの演奏だった。

 

「やっぱり別格だよなぁ…」

 

ギターヒーローがそこそこ知名度を持っている理由は、やはり演奏そのものにある。

 

正直、女子学生が実写でそれなりの演奏をすれば再生数は稼げる。

むしろ露出を増やせば爆発的にバズる可能性すらある、と考えたこともある。

 

だがその話を振ったとき、彼女はニヤニヤと笑ったり、真っ青になったり、百面相の末に必死で首を振った。

やらない、という強い意思表示だった。

 

以降、動画ではやけに厚着をするようになった。

 

本当にすまん…

 

話を戻すが、この少女は単純に、演奏に感情を乗せるのがうまい。

スキルも非凡だが、感情を含んだ独特の表現が聴く者を惹きつける。

 

だからこそ、声をかけてしまった。

 

最初は、自作曲の「歌ってみた」や「弾いてみた」を聴きながら、そうじゃない、いや分かってるじゃないか、と勝手に批評して悦に浸る――そんなあまりよろしくない趣味の最中に、偶然彼女の演奏を耳にした。

 

その曲のイメージは、人に言えない罪を背負った子供が、苦しみのあまり癇癪を起こしたいのに環境がそれを許さず、か細い悲鳴のような癇癪を理性的に繰り返すことで生をつなぐ。

そんなテーマを持つ曲だった。

 

ところが後藤の演奏は、それを超えてきた。

 

ギターそのものが悲鳴を上げながら、自分の心を守ろうとしているかのようだった。

初めて聴いたとき、脳が理解を拒んだ。

 

あまりの完成度に、曲を奪われたような感覚すら覚えた。

 

時間が経ち冷静になると、この人にイメージを伝えて演奏してもらえば、曲が持つ訴求力や世界観はどこまで広がるのか、と興味が湧いてきた。

 

そこで、もし関心があるなら連絡をくれるようコメントを残した。

 

最初はオンラインの依頼だけで十分だと思っていた。

自分自身が顔を出していないことも含めて評価されていたし、直接会うつもりなど毛頭なかった。

 

一曲目はそれでよかった。

話はとんとん拍子に進み、そこそこバズって再生数も稼げ、満足のいく仕上がりになった。

これで終わりにするつもりだった。

 

だが、依頼料や収益を振り込んだところで、相手の文面が変わった。

 

直接話をしたいと告げられたのだ。

どうやら親にばれたらしい。

 

ギターヒーローは収益化の仕組みを理解していなかったのかもしれない。

未成年に三桁近くの金額を渡すのは、やはり問題があったのだろう。

 

保護者はいても親がいない身としては、その辺の感覚がいまひとつ分からない。

 

ともあれ、場所を指定され、両親を含めて初めて会うことになった。

 

そのときの自分は、せいぜい「お子さん、すごいですね。才能がありますよ」と褒める程度で終わると思っていた。

 

しかし話は転がり、最終的にはなぜか、後藤(ギターヒーロー)をプロデュースするという流れに変わっていった。

 

……なぜそうなったのか、自分でも分からない。

 

 

 

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