転生世一のエゴイストRTA   作:斉藤田中鈴木

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腑抜けヘタクソ

視線を感じる。それは餓鬼共や保護者達のものでは無く…もっと異質な視線。腹が減る。涎が垂れる。この懐かしい感覚に馬狼は自分自身に驚いていた。

 

#

 

何だあいつは!?それは馬狼の心中を表していた。あれは潔の…いや更に洗練されたプレー。あの裏抜けとダイレクトシュートに馬狼は潔を重ねて見ていた。最初見た時、あいつは俺との目線を逸らした。俺にびびってる奴が碌な選手になれないと思っていた。しかしあの餓鬼のプレーは確かにこのフィールドを支配していた。ブルーロックで凛に負けた時のように。そしてあまりにも酷似していた。そのプレイスタイルは…潔…世一であると。

 

いや…ありえない。この世界に潔世一(あいつ)はもう居ない。あいつは世界一のストライカーになって勝手に死にやがったクソ野郎だ。俺は潔を喰うことで強くなった。そして他者も潔だと思い込み更に強くなった。しかし、オリジナルが死んだ。俺は潔を恨んですらいる。だがそれと同時に心に穴が空いたようような空虚な感覚が心を支配した。今までの人生で感じたことの無い感覚…。

 

この時、馬狼は始めて悲しみという感情を知った。馬狼自身は気づいていない、しかし確かに心に刻まれたそれは、この4年間馬狼を支配していた。馬狼はその感情が何なのか分からず怒りを感じていた。

 

しかし、目の前でプレーしている子供は馬狼の目には潔世一にしか見えなかった。その事を聞く為に絵心の横に並ぶ。

 

「おい絵心。あいつは何だ?潔の生まれ変わりか?」

 

「正真正銘、俺の子だよ。ただ明らかに潔に酷似しているだけだ」

 

「それはお前が育てたからか?」

 

「違うよ。あの子は最初からああだった。世一は才能の原石では無い。文字通り天才だ」

 

「そうか…」

 

馬狼はそう言うと監督の方へ向かった。

 

「おい監督。俺をあっちのチームに入れろ。俺が直々にサッカーを教えてやる」

 

「え?いいんですか?」

 

「ごちゃごちゃ言わずさっさとやらせろ!」

 

#

 

馬狼がフィールドに入ると子供達が騒つく。

 

「まじで馬狼選手とできるのか!?」

 

「すげー」

 

お前らに興味はねーよ。そう思い一人の子供の前に立つ。

 

「おい餓鬼。お前も潔だろ。喰ってやるから覚悟しとけ」

 

するとその子供はビクッと怯える。ハハッ!小せー潔みたいで面白いな。

 

そして試合再開の笛が鳴る。

 

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やばい!これはバレてんのか?俺が生まれ変わった事に。いや、でも…うーんどっちだ?ここはバレないようにプレースタイルを変えるか?どうする。

 

すると相手のチームがパスを回し馬狼にボールが回った。来る!チョップドリブルからのシュートが!

 

…。

 

は?パス?こいつ舐めてんのか?俺達が子供だから手加減してんのか?W杯の時のお前ならそれはあり得ない選択だ。あの時の馬狼はこんなもんじゃ無かったはずだ。

 

…もういい。プレースタイルを変えるとかどうでもいい。腑抜けたお前に興味なんかねーよ。お前を喰って俺は先に進む!

 

そして相手のパスを強奪する。目の前には馬狼。

 

「腑抜けたな馬狼。今のお前なんかに喰われるわけねーだろ。腑抜けヘタクソ」

 

#

 

この餓鬼は今なんて言った。

 

俺に向かって。

 

ヘタ…クソ…?

 

この…キングに向かって、ヘタクソだと?

 

もう殺す。絶対にこの餓鬼だけは赦さない。ブチ殺してやる!

 

馬狼は青筋を浮かべ目の前の餓鬼を睨みつける。

 

「こんな屈辱を受けたのは人生で二度めだ…。ぶっ殺してやる」

 

#

 

そう言うと馬狼の動きが変わった。あの時の荒々しくもキレのあるキング特有の潔世一()を喰う為の動き。

 

やればできるじゃねーか。

 

俺は馬狼に反射で適応する。馬狼は俺を喰う事に特化している。だから態と俺だけの動きで馬狼を餌にありつかせる。そして…冴の美しく壊すドリブル。

 

「あめえ」

 

馬狼は動きを変えずそのまま俺に突っ込んで来る。引っかかった。そう思い抜…けない!?

 

俺の足下からボールが消え、ボールは馬狼の下に降った。

 

「フィールドのキングは俺だ」

 

そして馬狼のゴールデンレンジ!まずい!

 

#

 

結局、馬狼のシュートを止められず試合終了の笛が鳴った。

 

今のドリブル何故取られた?

 

すると馬狼がズンズンと近づいて来る。俺の胸ぐらを掴み持ち上げた。俺の身長は小学生の身長だ必然的に足が浮く。

 

「撤回しろ…!俺はヘタクソか?」

 

 

俺は笑みを浮かべ答える。

 

「ごめん…俺が間違ってた。やっぱお前は凄えー人間(やつ)だ!」

 

この日、馬狼は人生二度目の敗北をし、そしてそれを乗り越えた。

 

「ていうか馬狼!今のどうやったんだよ!?何で俺のドリブルが分かったんだ!?」

 

「あれは糸師冴のドリブルだろ?」

 

「そうだ」

 

「冴も潔だろ?」

 

…!

 

「俺はお前を喰う為に進化し続けた。そして行き着いた果て全ての人間が潔に見える様になった…それだけだ」

 

俺の超越視界(メタ・ビジョン)と同じ!潔狩り(イサギ・ビジョン)

 

「…潔。お前には二度負けた。次は負けねー」

 

「やれるもんならやってみろ!」

 

俺は久しぶりに馬狼と戦えて興奮していたのかもしれない。

 

「おい…何でお前が潔って呼ばれて答えてる?」

 

「あ…」

 

「てめえ、どういう事だ?」

 

俺は仕方無く今までの経緯を語った。転生した事。そしてまた世界一を目指している事。あと他の人には黙ってて欲しい事。

 

「絵心にも言ってないのかよ。親だろ…。まあ分かったよ、その事は黙っててやる。だが必ず俺の所に来い!世界一(お前)を倒すのは俺だ!」

 

そう言うと馬狼は去って行った。

 

#

 

「おい絵心。あの餓鬼を俺に寄越せ」

 

馬狼は絵後の下に向かうと単刀直入に言った。

 

「渡すわけないだろ。あの子は俺の子だ」

 

「良いだろ。てめーは潔世一を育てたじゃねーか。それで満足して俺に渡せ。俺が育ててやる」

 

「…潔世一が何故、世界一のストライカーになれたか分かるか?」

 

「あん?」

 

「潔は適応能力の天才だ。適応能力とは自分を壊し再構成する事。普通の人間は気づいた事や教えられた事に対して直ぐに出来るようにはならない。何故なら教えられた事を意識すると今までやってた事が出来なくなるからだ。それを潔は自分を壊し、再構成する事で直ぐに自分の物にする事が出来る。分かりやすく言うならマルチタスクの天才だ。この才能に関して潔世一は世界で最も優れている」

 

「それがどうした?」

 

「あの子にもその才能が宿っている。世一が世界一になりたいと言った。だから俺はあの子の夢を叶える為、潔世一を育てた俺が世一を育てる事が一番合理的だ」

 

「チッ。確かに正論だな。分かった。あの餓鬼を奪うのは諦めてやる。だがいずれユーヴァースに入れろ」

 

「世一が望めば入れてやるよ」

 




馬狼絶対ブリーチのヤミーみたいに悲しんじゃうタイプだろww
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